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  • 2014.07.28 Monday
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「夜より深く」 藤森ちひろ / ill.蓮川愛

「君が隠しているものをすべて、見せてごらん」母を事故で失い、ジュエリーショップを引き継いだ水本愁一の前に一人の男が現れる。それは、以前、母の葬儀の場にいあわせ、愁一に冷ややかな視線を向けてきた男だった。遠山紘貴と名乗るその男は、ある指輪を探してほしいと愁一に依頼する。―はたしてこれは偶然の出会いなのか。だが、愁一の本能が告げていた。この男は危険だ、と。やがて愁一は遠山の手によって自分の裡に潜んでいた欲望を知ることになり―

久々にゴージャスな攻めの出てくるBLを読みました(笑)。けっこう面白かったです。

母親を事故で亡くし彼女が経営していたアンティークジュエリーの店を引き継ぐことになった愁一(受)。その彼の前に遠山(攻)という男が現れて、希少なことで有名なある指輪を探してほしいと依頼します。
実は遠山は愁一の母親の葬儀に姿を現していて、その時に愁一に冷ややかな眼差しを向けてきた男でした。父親と早くに離婚し以来奔放な男関係をつくっていた母親と何かあった相手なのではと愁一は警戒しますが、そんな愁一に遠山は指輪が見付かるまで君の躰で楽しませてもらうと言い出す。愁一はいつの間にか遠山の手練手管に溺れていきますが…。

愁一は子供の頃に母親の情交の現場を見てしまったことでその淫蕩さを疎み、また自分にも同じ血が流れていることを過剰なまでに嫌悪しています。そのため、母に似たとても美しい容姿をしているけれどもその美貌をメガネで隠し性的なことには特にストイックな生活をしているほど。
そんな愁一の仮面を、遠山という男が剥いでいくのですね。
遠山は若くしてコンサルティング会社を経営している才のある、非の打ち所のないゴージャスな男。
先程も書きましたが、こんなにゴージャスな攻めの出てくるBL読んだのは久しぶりで、何だか新鮮でした(笑)。まぁ、個人的には攻めはただゴージャスなだけじゃなく、ちょっと残念だったりスキのある方が好みなのですけれどもね。

けれども愁一が最初に警戒した通り、遠山にはウラがありました。
実は遠山の父親はかつて愁一の母親と一緒になるつもりでいたほど深い関係にあり、その時に遠山家に代々伝わる指輪を愁一の母親に渡してしまっていたのですね。遠山の母親は彼が子供の頃に亡くなっているのですが、それから程なく他の女性とそういう関係になった父親を遠山は許せず、今までほぼ疎遠の状態になっています。
いわば、愁一の母親は遠山の家族をばらばらにした存在で、愁一は遠山にとって憎い女の息子でしかなかったわけです。
遠山は指輪を取り戻すために愁一の前に現れ意趣返しに彼を弄んでやろうと考えていたわけですが、愁一の魅力に遠山自身が惹きこまれてしまうという誤算が生じてしまう。そして徐々に愁一を欺いていることに後ろ暗さを覚えるようになっていく。
お話は愁一視点と遠山視点が交互に入れ替わるかたちで進んでいくのでどちらかの思惑や感情がわからないというやきもき感はありませんが、お互いにすれ違いを起こしている切なさがあります。

親の因縁がもたらした関係がどうなるのか目が離せなくなるお話でしたが、終盤がちょっと疾走気味だったのが惜しい。でも件の指輪も上手く使われて、きれいなハッピーエンドは読後感が良かったです。
エロ方面もねっとりと濃くて満足(笑)。性的にまっさらな愁一が遠山の手練手管に堕ちていく姿がやらしいです(笑)。でも普段はツンとしたクールビューティで、そのギャップがまたいですね。
あとがきの「モ○プチしか食べないようなプライドの高いお猫さまを捕まえて、無理やり手懐ける話」というのに納得です(笑)。

「偏愛メランコリック」 夜光花 / ill.蓮川愛

出版社に勤める敦彦は、人形作家・夏目錬三郎との仕事にうんざりしていた。溺愛する人形に瓜二つだという敦彦の顔に異常な執着を見せる夏目は、ことあるごとに愛を囁き身体に触れてこようとする。理解できない言動と人形恐怖症に悩まされる敦彦だったが、人形を壊してしまった代償として、夏目と寝てしまう。後悔する敦彦に対し、一途で天然な夏目の愛情は暴走し始めて……。

人形や人形師が出てくるから耽美系? と思っていたらキャラが立っているためなのか(笑)コミカルな作品でした。

出版社に勤める敦彦(受)は怪我で休職することになった先輩の担当していた人形作家・夏目(攻)の写真集の仕事を引き継ぐことになります。が、敦彦は子供の頃に人形絡みで怖い思いをして以来大の人形恐怖症で、これはムリだ、他の誰かに代わってもらおうと考えていて、にもかかわらず何の因果か挨拶に訪ねるなり夏目に一目惚れされてしまう(!)。
夏目は、普段は電話も引かないくらいの人嫌いの偏屈者なのに恋には盲目(笑)というか、相手の他には目に入らなくなってしまうようなよく言えば純、悪く言えばストーカー気質なタイプ。おまけに芸術肌タイプに多そうなかなりの天然さんで、敦彦に惹かれたのは彼が偏愛している人形(女の子)に瓜二つだったからというかなりアレな理由です(笑)。そんな夏目ですが、敦彦を前にして「君は人間だからキスをしてしまった」りするところに人形相手にそういうことはしてなかったのねと安堵する(笑)と同時に、何処か孤独も感じさせます。
そんな夏目からの一方的な愛のささやき(笑)やプレゼント攻撃(しかも職場に!)に敦彦は頭をかかえることになりますが、こちらも相手が相手なだけに失礼になってはいけないと気を使っているつもりが夏目の大切な人形たちを大袈裟なくらいに怖がったりしてけっこう失礼です(笑)。でも夏目の目は盲目なのでもちろんそんなことは気にも掛かりません。
前半、こんなふたりのとんちんかんなやりとりが可笑しくて面白く読んでいたんですが、ある些細なアクシデントから敦彦が夏目の人形を壊してしまったあたりから、敦彦が躰で弁償するとか言い出してあらら? という方向に向かってしまった印象が…。それでふたりが躰の関係を持つようになるという展開も、何だか強引な感が拭えませんね。。
それから、後半に行けば行くほど夏目のストーカー気質がヒートアップしてちょっと引いてしまいました;いくら押せ押せキャラでもちょっと;;あれを一途さの裏返しと取って微笑むことができるかで、この作品の印象はだいぶ変わる気がします。
でも敦彦を愛するあまり彼の人形を5体も作っていたというのがあまりにもぶっ飛びすぎていて、最後はここまでくればもう何だか愛しくさえ思えてしまいました(笑)。その後の顛末も小気味良くて、夏目は自分にぴったりな相手を見付けたのだと思います。というか、敦彦がこのヘタレ男を放っておけなくなったというのがホントのところかもしれませんね(笑)。
 
というわけで色んな意味ですれ違いラヴ(笑)な、予想外に笑えた作品でした。
夜光さんなのでエロももちろん濃厚です(笑)。
それから蓮川さんのイラストがすごく良かったです。特に男前なのに変態っぽい夏目がどんぴしゃすぎ(笑)。それに振り回されている敦彦もイメージにぴったりで、本作はイラストも必見です!