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  • 2014.07.28 Monday
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「淫猥なランプ」 中原一也 / ill.立石涼

平凡なサラリーマンの猪瀬匡は、怪しい占い師から無理やりランプを売りつけられる。家に帰って半信半疑で擦ってみると、野生美溢れるランプの精・キファーフが出現。なんと匡が擦ったのは彼の股間だったらしく、千年ぶりに火がついた男に組み敷かれ、あれよあれよと言う間にお初を美味しくいただかれてしまうのだが…。セクハラ魔人のランプの精×昼行灯リーマンの千夜一夜ラブ!

タイトル見たときからものすごーく気になっていた中原さんの新刊、とっても面白かったです!
油絵みたいなカバーイラストも素敵ですね!
セクハラオヤジなランプの精×昼行灯リーマンで、アラブでオヤジでファンタジーなんて、一見その組み合わせは大丈夫? と思ってしまうような有り得なさですが、さすが中原さん上手〜く料理されています(笑)。

押しに弱すぎる昼行灯リーマンの匡(受)は、仕事帰りに占い師から無理やりランプを売り付けられてしまいます。
持ち帰ってランプを磨いたら何とオヤジなランプの精・キファーフ(攻)が出現、擦った場所が股間だったらしく「俺の大砲に点火しやがって」と匡に襲いかかってきて、流されるまま匡は喰われてしまう。
とんでもないものを買ってしまったと一度はランプ捨てた匡でしたが、いつの間にやらランプの主になっていた匡のところに戻ってきてしまい、気が付いたらキファーフとの奇妙な同居生活が始まっていたのでした。
セクハラを仕掛けまくるキファーフにたじたじだった匡でしたが、封印をかけられて千年の間ランプに閉じ込められていたというキファーフが千年前の主であった王子を今でも想っていることを知り、気持ちに変化が起こります。

あとがきで「だれが何と言おうとアラブものです」とおっしゃっているのに笑ってしまいましたが、なるほど中原さんがアラブものを描くとこうなるのですね(笑)。
なによりランプの精なのにエキゾチックな気配のまるでない、むしろ昭和の臭いがするセクハラオヤジ・キファーフのキャラがイイです(笑)。最初の大砲の点火云々始まり、ことあるごとに灼熱のスープやらビッグサーベルやらとオヤジな下ネタ全開なのが可笑しいw
でも、キファーフが騒動を起こしたり匡にセクハラを仕掛けたるたびに匡にランプを擦られて「うぉぉぉぉぉぉーーーー」と叫びながらランプの中に吸い込まれてしまうのがいちばん可笑しかったです(笑)。このピンチ回避策は想像できなかったですね(笑)。
そして、ランプを擦るときになぜか匡がキファーフの股間を擦ってしまうというのがまた…(笑)。匡よ、なぜそこだけ器用なんだw
そんなキファーフですが、ところどころでちらっと優しさや包容力を見せてくれるところにただのセクハラオヤジではない素敵さがあり、そこがまた魅力的です。もうすっかり彼の虜になってしまいました(笑)。

そんな奇抜なトンデモ設定なので、読む前はお話に入り込めなかったらどうしようかと思っていたりもしたんですが、匡のぼんやり昼行灯思考のお陰で(?)この非現実な事態もアリかもと思えてくる不思議さがありました(笑)。
お話そのものも、単純なアホエロなのかと思いきや意外なほどしっかりしていて読み応えがありました。
ランプの精にも種類があって、フェロモンむんむんの淫魔系かと見せかけて実はキファーフはミサイルも撃ち落としてしまうほどの戦闘系。これ絡みでかなりの騒動が起きてしまいます。
その中で、なぜ千年もの間解けなかったランプの封印が匡に解けたのかという謎が、実はキファーフの過去につながっていたことが段々明らかになっていくのですが、これがすごくよくて感動的でした。
奇抜さを売りにした作品では決してなくて、すごく上質なファンタジーロマンスだと思います。

ところで、ランプは脱皮しながら成長していくという設定があるんですが、匡が「抜け殻を財布に入れておいたら、金が貯まるのだろうか」と考えいているところに吹いてしまったw
こんな些細なところがツボにきてしまうとは(笑)。

「Under The Heaven」上下 かわい有美子 / ill.立石涼

両親を失い、施設で育てられた史貴は妹と、同じく施設育ちのアレックスと一緒にマフィアの帝王・ハーベイに引き取られる。ハーベイの実子・イェインと共に成長していく中、史貴は寡黙だが頼れる兄的存在のアレックスにほのかな想いを抱くようになっていた。しかし、イェインの歪んだ欲望のはけ口が史貴へと向けられ、その秘密をアレックスに知られてしまい…。

1997年刊行のノベルズ「MIKAD」の新装版。今年の2、3月に刊行上下巻で刊行されて、下巻には書き下ろし「花婿介添人」を収録。まとめて感想を書きます。

事故で両親を失った史貴(受)と麻里絵の兄妹(4分の1だけロシアの血が入っている)と、不幸な事件で両親を失ったアレックス・カイナル(攻)が、マフィアのボス・ハーベイに養子として引き取られる。彼らはハーベイの実子・イェインと共に育っていくんですが、その中で史貴と麻里絵はアレックスに、そしてイェインは麻里絵に惹かれていきます。
けれどもある日、まだ12歳という幼さの麻里絵が数人の男たちに拉致され、レイプされてしまう。この事件が、兄妹の関係に影を落とし始め、そして史貴の過酷な運命の始まりになります。
麻里絵に一方ならぬ想いを寄せていたイェインは、事件のあと極度の男性恐怖症に陥った彼女に触れるどころが姿を見ることもままならない。彼はその劣情を、麻里絵とうりふたつの史貴に向けてしまいます。
それに気づいたアレックが事態を収束させ、更には史貴とアレックスの仲を近付けさせるんですが、正直、妹の代わりとして扱われてしまう史貴が哀れ。
その後も史貴の不幸は続き、敵対するマフィアのボスに、やはり麻里絵の身代わりに捕えられて取り返しのつかないことになってしまう。
こうした一連の出来事が、史貴とアレックスを近付けさせ結びつけていくんですが、史貴が可哀想でしょうがないです。

母の最後の言葉「麻里絵をお願いね」を忠実に守りぬいた結果なんですが、なにもそこまで自分を犠牲にしなくても…、と思ってしまったほど。
妹が大事なのは分かるんですが、見ていて気の毒になってしまいました。お陰で、酷い過去を背負っていると分かっていても、麻里絵に好感がまるで持てない(苦笑)。イライラしてしまうばかりでした。。
そして史貴が受ける陵辱の数々が哀れなほど痛々しいだけで、割とこういうシチュが好物なのに萌が拾えませんでした。
史貴の感情や状況を追うのではなく行われていることが淡々と俯瞰されるように書かれているために、中々感情移入ができないんです。

おはなしの展開や構成も、ちょっと無理があるのでは、とも感じます。ニューヨークのマフィア間の抗争が関わるだけに、大げさな事件の連続なんですが、それらに必然性を感じないというかただ次から次に起こる事件を並べているだけの印象。アレックスの両親の仇が実は養父ハーベイであるとかサウフォンのこととか麻里絵に執着してるヴィンセントとか、物語の伏線か? と思ったら不発というか消化不良のまま終わった感じのエピソードもちらほら。肩透かしでした。

で、色々考えたら、この作品は10年以上前のものなんですよね。よくよく振り返ってみれば、当時のBL、というかジュネ系の作品の雰囲気なんですねこれは。主人公の不幸オンパレードみたいなの、当時は多く見た気がします。<今のBL作品に慣れていたら、違和感覚えても仕方ないのかも。

旧作を読んでいないので、どこがどのくらい変更になったとか分からないんですが、本編のラストは変わっていないみたいです。これだけだとバッドエンドっぽい印象ですが、新たに書き下ろされた「花婿介添人」では、四兄妹が幸せな再会を果たしています。
…けれども、こんなパッピーエンドになるお話なら、イェインのあの悲劇は必要なかったのでは。彼のその後の回復っぷりを見て、余計にそう思ってしまいました。。
あと、イラストの立石涼さん、クールでかっこいい絵柄なんだけどちょっと固いのが惜しいですねぇ。
 
色々期待しただけに、うーん、ちょっと残念な作品でした。