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  • 2014.07.28 Monday
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「斜光線―人肌の秘めごと」 沙野風結子 / ill.梨とりこ

父が社長を務める出版社の経営難を救うべく、副社長となり手を貸すことになった橘和叉。社運を懸けた企画―人気の元戦場カメラマン・塔野の写真集を刊行するため彼を訪ね、条件として住み込みでモデルをすることを強いられる。だが、かつて撮られながら陵辱を受けた和叉は、写真と他人との接触を嫌悪していた。「素直に感じてみろ」カメラの前で懸命に己を保とうとするが、塔野は淫らな表情を要求するばかりか強引に身体を奪う。男に穿たれ屈辱に塗れる心とは裏腹に、和叉の身体は快感に喘ぎ―。

2007年にラピス文庫から出ていた「人肌の秘めごと」の改稿版です。タイトルやイラストのみならず、キャラの年齢設定が少し上がっていたり内容の構成も大幅に変更されていたりとかなり変わっていて、詠み終えたあとの印象が違いました。
旧作では何とか理解はできたけれども納得のいかないもやっとしたものが残ってどうにもすっきりしなかった作品でしたが、構成をかなり大掛かりに変更してあるため今回はすっきり納得できました。
書き下ろしの「夢見心地」でニヤニヤと甘さも倍増(笑)、そしてカバーを外した本体の裏表紙にもショート「副社長の奉仕」があるという嬉しいサプライズに大満足な一冊になっています。
でも旧作同様読むのにけっこう体力のいる内容で、ここんところ風邪をひいて調子を崩していたことを差し引いても疲れてしまいました。それだけ読み応えのある内容だということですかね。

経営難にある父親の出版社を立て直すために証券会社のディーラーから副社長となった和叉(受)。人気写真家・塔野(攻)の写真集を出すことで危機を脱しようとしていますが、元戦場カメラマンの経歴を持つ塔野は変わり者で、和叉は早々に彼の機嫌を損ねてしまいます。
そして後日ご機嫌伺いに向かった塔野の自宅で、写真集を出す代わりに住み込みモデルになれと強要されてしまう。
常に冷静沈着で感情にブレのないように見える和叉ですが、高校生の時に同級生たちに陵辱されそれをカメラに撮られた過去があり、以来写真が苦手になっています。そんな彼に塔野の出した条件は到底受け入れられるものではなかったのですが、己の立場や社運がかかっていること、そして何より和叉の言葉に聞く耳を持たない塔野の強引(というか半分脅し・苦笑)さで結局モデルになることに。
で、もちろんただのモデルで終わるはずもなく陵辱されてしまうのですが、そんな関係が続くうち塔野も過去に深い傷を負っていることを知り、和叉の中で塔野という存在が特別なものに変わっていきます。

沙野さんがあとがきで書かれているとおり、この作品は主人公がモデルにされることに始まってひたすらムリヤリ尽くしです(笑)。読んでいて和叉が気の毒になってしまうほどです。なので苦手な方はご注意下さい。
和叉は決して弱くも女々しくもないんですが、過去に受けた裏切りのために誰にも本心を見せない―弱さを晒さないように生きてきた姿が切ないですね。塔野が和叉にカメラを向けたことで和叉が鎧ってきたものが一枚一枚引き剥がされていくことになるわけですが、それは結果的には救いとなったのかもしれませんね。強引な塔野だからこそできたことなんだと思います。
旧作では酷さばかりが目立っていてまるで共感できなかった塔野ですが、今回の改稿で手負いの獣という印象になっていて、その孤独や苦しみ、そして何故和叉でなければならなかったのかがより理解できました。塔野の印象が変わったことでちょっとだけ甘さが加わり、ラストのふたりに心から良かったなと思える作品になっている気がします。

塔野のこと以外で大きく変わっているのは、和叉の宿敵・有坂に関することですね。シーンがまるごと変わっていたりしています。
彼が絡んできてからドタバタした印象なのは相変わらずでした。

この他和叉が自分のことを「僕」ではなく「私」と呼ぶようになっていたり、塔野が和叉の写真ガサ入れに気が付いていたことのやり取り(きっちりしすぎで気が付かれてしまった和叉が可笑しい・笑)とか、ツボになる部分も増えていて愉しかったです(笑)。

梨さんのイラストは、キャラの年齢引き上げに合わせてアダルトな感じでぴったりでした。21Pの塔野とか、素敵すぎます(笑)
ただ、表紙や絡みのシーンの裸体に違和感が。。こんな描き方する方でしたっけ??
どちらかというと繊細な印象の絵なので、筋肉質な、それこそ絡みのシーンが肉と肉のぶつかり合いみたいなのは合わない気がします。何作品も見ているわけではないので何ともですが;最近出たもう一冊の新刊の表紙も似た感じでしたし、そういう新境地に舵をきったのでしょうか? …うーん、方向性が違う気がする;

「神の囲い人」 沙野風結子 / ill.梨とりこ

ガイゼル帝国の圧倒的な武力を前に、制圧されていくラカン神国。兵士のセツは自決しようとしたところを、ガイゼルのヨルクに捕らわれてしまい――「神の人形」。捕虜となった軍医のキールは、武骨で純情なラカン軍の中将シンを誘惑し、籠絡しようとし――「神の愛人」。皇帝のアーシェイドは、神秘的なラカン神国の天子・ミコトを嬲り、蹂躙しようとするが――「神の囲い人」。

プランタン出版から出ているBLコミック雑誌「Canna」に連載されていた「神の人形」、「神の愛人」、「神の囲い人」に書き下ろしの「初夜〜青年花嫁〜」が加えられて文庫化です。待ってました〜

舞台は架空の世界。大陸の西にあるラカン神国は、神秘的な天子の呪術的な力によって統治されているといわれる迷信的で貧しい国。戦前〜戦中の日本みたいな雰囲気と国民性。国土が必要以上に貧しい点とか、北のあのくにっぽくもあるような。そのラカン神国に、東の巨大なガイゼル帝国の「蹂躙王」の手が伸びようとしている。
ここを舞台に三組のカップルの三つのお話が、それぞれに完結していながらも時系列的に繋がりながら展開していきます。

◇「神の人形」
ラカン神国の兵士セツ(受)は、壊滅状態に陥った塹壕の中で自決をしようとするが、ガイゼル帝国の親衛隊上級大将ヨルク(攻)に捕えられてしまう。
ラカン神国の兵士には、叛逆の思考を持てばそれを読み取って爆発するチップがこめかみに埋め込まれている。セツは兵士になった頃からラカン神国のあり方に疑問を持つことがあって、その度に兵士となった時に見た神々しい「天子さま」の姿を思い出して心酔することで疑いを思考から払っています。
けれども自分を捕えた男に、今度は心を読むリングを胸に付けられる。それは、ヨルクに叛いたならセツの心臓に毒を流し込むという…。

もちろんこれは嘘でヨルクはラカン神国のチップの効能を見極めようとしているだけなのですが、生真面目なセツはこれを真に受けて思い悩み、そのなかで自分が命に執着していることに気付いて徐々に自我を解放させていく。チップが、あるいはリングが自分を死に至らしめるのではという恐怖ととなり合わせながら、彼が憎いはずのヨルクに恋心を抱くようになる姿は切なすぎます。
一方のヨルクはけっこうな鬼畜です。無垢なセツを道具(カテーテルとか・爆)を使って攻めたりするし、普段からけっこうなサディスト。なのに実験体にすぎないはずのセツを想うようになっている。彼は恋をするとあんがい一途で、なのにお互いが思い違いをしながらすれ違う姿が切なかったです。
 
◇「神の愛人」
ガイゼル軍の軍医キール(受)は親衛隊上級大将ヨルクに従ってラカン神国に進軍していたが、山津波が起きてヨルクと別れ別れとなり、カン神国の北翼中将シン(攻)に捕えられる。
キールはヨルクとは幼馴染みでそれ以上の感情をヨルクに抱いているんですが、セツが現れたことで叶わないものになる。けれども変わらずヨルクを想い続けていて、彼の生死と居場所を知るためにシンを誘惑する。ラカン神国の兵士はその精神のみならず身体も天子に捧げたものとして性交を禁じられていて堅物なシンも未だ純潔のままで、そんな無垢な男を落とすのは、そういうことに慣れているキールにはなんでもないことなわけです。
けれども、利用していたはずの男が向けてくる真っ直ぐな眼差しに、キールの心は徐々に傾いていきます。

個人的にはこのふたりの話が、いちばん好きです。
ツンツンクールでサディストな誘い受けと、堅物な童貞攻め! 萌えました!!!
キールがずっとヨルクを想っていたというのも切なくてポイント高いです。器用なのにそういう面では器用ではないキールがいいんですよ。実は沙野さんの作品の中でよく見かけるパターンなんですが、好きなパターンです。

◇「神の囲い人」
ガイゼル帝国皇帝アーシェイド(攻)は遂にラカン神国を侵略、聖都も攻略してラカン神国の天子であるミコト(受)を陵辱してその国ごと自分の支配下に置きます。
けれどもラカン神国の真の支配者はミコトではなく、彼はその特集な能力のために酷い方法で捕えられていたことがわかる。そして、ミコトが自分のためではなく自分によって苦しめられていた民のために涙を流していることを知り、アーシェイドは彼に惹かれていく。一方のミコトも、アーシェイドを自分を照らす太陽のようだと慕うようになります。

ミコトは子供の頃から性交を教え込まれているんだけれどもそれがどういうことなのか理解しておらず、躰はしっかり慣らされているのに心はあどけない少年のまま、無垢そのものなんですね。けれどもなよなよと頼りない感じではなくて芯のしっかりした青年で、こういう設定ですし耽美なキャラになりそうなものをそうさせていないのがさすがといいますか。
そんな彼がアーシェイドによって初めて性交の意味を教えられるのにはきゅんときます。
アーシェイドが、「蹂躙王」なんて異名を持つからどんな酷い男かと思っていたら案外面倒見のいいというか、攻めとしては普通な感じなので、きっとミコトは幸せになれるでしょうね。彼を見ていると、他のふたりのガイゼル人の変態度が気になってきた(笑)。

◇「初夜〜青年花嫁〜」
ガイゼル帝国皇帝アーシェイドは、ラカン神国の天子であったミコトを后することに。
初夜には4人の証人の立会が必要で、その役目はヨルク、セツ、キール、シンに与えられます。
そして初夜で…何と6P…!!!
とはいっても性交で淫らなのは自分だけなのでは、というミコトの不安を取り除くのが目的ですので、スワッピングや乱交とかではないです。
なので、6P期待しすぎると肩透かしかもしれません。ページも少ないですし、というか、もっとじっくり読みたかったです〜〜

いや、全体もっとページがあっても良かったのかなぁという印象なんです。いっそそれぞれ一冊ずつでも良かったくらい。キャラの感情などなど唐突感もなくはないので、ページを増やしてもっとじっくり掘り下げてほしいくらいでした。
でも沙野さん特有の雰囲気に溢れた作風で、架空のそれも国と国が戦争しているようなややこしい設定なのにも関わらすスラスラ頭に入ってくる読みやすい作品です。
エロもエロてんこ盛り! ではなくてしっとりエロい感じでいいですよ(笑)

あと! 梨とりこさんの軍服には萌えました!
コントラストの美しさが目を引くレーターさんなので、軍服ものはぴったりですね♪
それにしても軍服…、あれに身を包んだ男のストイックさはとてもセクシーでくらくら。○島由○夫もそう言っているじゃないですか!(笑)
ともかく軍服萌えならこの作品、絶対楽しめますよっ(笑)

「密愛契約」 藤森ちひろ / ill.梨とりこ

「自分に値段をつけたことがあるか?」あまりにも優雅で官能的な微笑だった。肉食獣を彷彿とさせる男の色気に、裕紀は凍りついた―。有名レストランで副支配人を務める瀬川裕紀は、独立を考えていた。資金集めに苦労する裕紀に、ある客が声をかける。高級クラブを営む実業家神矢が開業に必要な資金を出すと申し出たのだ。闇に繋がると噂に聞くが、以前から目をかけてくれた上客だ。能力を買ってくれたと純粋に喜ぶ裕紀。だが、神矢は代償として、ひとつ条件を出す。―裕紀が「愛人」になることを…。

裏のありそうな実業家×ギャルソンの、大人のツンツンラブストーリー。

有名レストランで副支配人を務める裕紀(受)は、独立を考えているけれども資金のことで躊躇していましたが、ある時客として店に来た、魅力的だがどことなく得体のしれない雰囲気のある実業家・神矢(攻)の言葉に背を押されて独立に踏み切ります。けれどもやはり資金集めや立地などの問題で予想以上に上手く進まない。
そんな悩む裕紀に、あの神矢が資金援助を申し出てきます。けれどもそれには、裕紀が彼の愛人になるという契約付き。
自分の店を持つため、ここまで援助してくれた人の恩を無駄にしたいため、裕紀は心を決めて彼の愛人になり、店を開くことができます。
裕紀は神矢が自分に資金提供してくれたのは自分の仕事を認めてくれたからだと思っていて、だから自分に愛人になれと言った神矢につまりは一時の遊び相手が欲しかっただけなのかとかなり失望して、彼に対して持っていた憧れの想いも消えてしまい、代わりに屈辱と憤りを覚える。自分の仕事にそれなりのプライドを持っているんですから、まぁ当然ですね。
なのに店がちょっとしたトラブルに見舞われて、神矢が親身になってくれたあたりから徐々に彼に対する感情がそれだけではないものになっていくんですね。気付かず、神矢に恋している。
神矢も最初っから裕紀が気に入っていたことが丸分かり(笑)なんですが、なのに彼に契約を持ちだして「愛人」にしてしまうとか、ふたりとも仕事では優秀な大人なのにこんなことろで素直になれないツンツンぶりがなんだかじれったい(笑)。

そんな、キャラもいいし文章も上手いしボリュームもあってレストランのことなど細部もしっかり書かれているのに、何処か物足りない読後感なのが残念。
たぶん、お話の展開にひねりがないせいだと思います。金のために身を差し出すという設定はBLではもう見飽きるくらい溢れかえっていますし、その後お話がどう展開するかで読み応えが随分変わってくると思うんですけれど、これは予想通りの展開で物足りなかったです。
 
梨とりこさんのイラストはステキでした。藤森さんがあとがきで言われるには、この人のモノクロ画のコントラストの美しさが、ギャルソンの出てくる本作誕生のきっかけだったとか。それも納得の出来栄え、ステキなギャルソンでございます^^落ち着いた色あいのカバーイラストもいい感じです♪