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  • 2014.07.28 Monday
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「ラ・ヴィアン・ローズ」 山藍紫姫子 / ill.本仁戻

「酷いことはしないでくれ、何でも、なんでも君の言う通りにするから…」一眞が最初に男に乱暴されたのは、中学生のときだ。しかも相手は、担任教師。だらしない男性遍歴を繰り返した母親譲りの一眞の美貌が、男たちの何かを呼び覚まし狂わせるのか。次々と現れては、ストーカーのようにつきまとう男たち。しかもどの男も口々に言う、淫らなお前が俺を誘うのだ。俺こそが被害者なのだと―。その美貌ゆえに、生れながらに愛執の鎖に繋がれた、魔性の男の凄まじき日常生活を描く表題作ほか、幻の処女作『神よ、この悩める子らのために』も併録。ボーイズラブ界きっての問題作を、発表当時の危険な状態のママで完・壁・復・刻。

少女革命制覇しました〜(笑)。いやー、初めの頃は摩訶不思議な音楽の流れる中展開する王子様とか薔薇の花嫁とかのオトメな世界観にたじたじだったんですが(笑)、いつのまにかこの奇抜さがやみつきになっちゃって、最終回は泣いてしまいました。あんな悲しい結末になるとは思わなかった。
完全に夫のシュミに付き合った形だったんですが、たまには自分のフィールド外のものを見るのもいいなと思いました(でも夫は個人的に一押しの「ベ○セ○ク」には付き合ってくれないんですが!)。
映画版も観たことだし、これで心置きなくBLに戻れます(笑)。

というわけで本日は薔薇繋がりで、復刊ドットコムから復活した山藍さんの「ラ・ヴィアン・ローズ」です(あんま関係ないか)。
そのうちどこかから新装版出るだろうなと思っていた作品ですが、意外なところから出てびっくり(というか、復刊ドットコムってBLが、なんてあるんですねぇ)。
四六版ソフトカバーの本体がラメで光る箱に収まった様式。東○文庫をソフトカバーにしてもうちょっと大きくした感じですかね。
1995年に花音ノベルスから刊行された旧版収録の「ラ・ヴィアン・ローズ」と「ワンダフルナイト」に、山藍さんの商業デビュー作「神よ、この悩める子らのために」(小説JUNE1987年)と「ラ・ヴィアン・ローズ」ドラマCDブックレットに掲載されていた本仁戻さんのショートコミックを加えた内容です。
(本作は加筆修正なしの、当時のままの内容で復刊だそうです)
本仁さんのイラストは、箱と本体カバーは描き下ろしで、本文イラストは旧版と同じ。口絵には旧版のカバー絵が使われていました。

「ラ・ヴィアン・ローズ」
★★★☆☆
魔性の女だった母親の私生児として生まれた一眞。
一眞が偶然就活で面接を受けた先がかつての母親の愛人だった男・佑月の経営する会社で、採用されるはずはなかったのに監視のためなのか、一眞は採用されて異父弟の皓一を上司として働くことに。
けれどもそこで、男の恋人に刺されるという醜態を演じてしまう。
搬送された先はまたしても母の愛人だった大島が経営している病院で、一眞はもう一人の異父弟・真澄に甲斐甲斐しく世話をされる日々。
ところがある時、一眞は共謀したふたりの弟たちに無理矢理犯されてしまう。
そして退院後はふたりの囲われ者にされてしまいますが、そこに今度は義父ふたりまでもが乗り込んできて…。

…と、あらずじだけ見ると花丸BLACKから出ている著者の作品なみのねっとりエロエロな5Pを期待してしまいますが、残念なことに5Pそのもののシーンの描写はありません。それを含め、このお話はエロを求めると肩透かしになると思います。
もともと花音ノベルズというライトなレーベルから出ていた18年も前の作品なので、最近の複数ものに慣れた読者にはどうしても物足りない印象になるかもしれません。
山藍作品なので、どうしても期待してしまいますしね…。

一眞は母親から美貌の容姿を受け継いでいますが、奔放だった母親とは真逆の内向的な性格で、その美貌ゆえに男たちを惹きつけますが、いつも自分は彼らの「被害者」なのだと思っている。
でも読んでいるうちに、実は彼が無意識の内に男たちを支配しているのだと気が付きます。
もしかしたら、半分くらいは確信的にやっているのではとも思えてきて、そのあたりはやっぱり母親の血を引いている証のように見えました。
弟たちも義父たちも、今は亡き一眞の母親の面影を一眞の中に見てそれゆえに彼を自分のものにしたいと思っているのかと思いきや、本当のところは一眞そのものを欲しがっている、けれどもそのことに一眞ひとりだけが気が付いていない、そんなお話です。
なんで自分ばかりがこんな辛い目に…と思いながらも実は、一眞はこの状態に酔っているんじゃないのかとも思えました。
「家族」がほしいとずっと願ってきた一眞が、いびつな形とはいえ最終的にはその家族を得たわけですから…。


「ワンダフルナイト」
★★★★☆
酔った勢いで同僚の一条(受)と関係を持ってしまった望月(攻)。
記憶のさっぱりない望月は一夜の過ちだから忘れてほしいと言い、一条もそれを受け入れるのですが、以来一条のことが気になって仕方がなくなり…。

山藍さんには珍しいコミカルなリーマンもの。
一条に完全に恋しているのにそれに気が付かないままぐるぐるしている望月がかなり可笑しい(笑)。
短いお話ですが、私は攻め視点のBLが大好きなのでけっこう愉しめました!


「神よ、この悩める子らのために」
★★★☆☆
将之(攻)には和弥(受)という男の恋人がいますが、上司の娘との縁談が持ち上がったことで和弥との関係を清算することに。
けれども、職場が同じであることもあって別れたあとも和弥が気になって仕方がない。おまけに、和弥が会社の専務といい関係になったらしいことを知り…。

山藍さんの商業デビュー作になるのだそうですが、何か見た覚えがある…と思ったら「山藍紫姫子の世界」で読んでました。
小説JUNE(1987年)掲載作なので耽美な雰囲気なのかと思いきや、こちらもかなりコミカルです。
そして「ワンダフルナイト」に似た印象なのは、お話の展開だけではなく主人公の空回りなところが共通しているからでしょうか(笑)。
和弥と専務との間柄はすぐに気が付きましたが、最後に明かられた事実はちょっと意外(笑)。和弥、案外魔性の受けなのかも?


というわけで、収録作3つともが耽美な山藍作品には珍しくフツーのリーマンもの(もちろん山藍作品比・笑)という割と親しみやすい内容です。
そういえばどれも主人公の一人称ですしね。
山藍さんらしい濃厚で耽美な世界を求めたら物足りないかもしれませんが、入門編にはちょうどいいかもしれません。
当時のままの復刊なので、今ならホモって言わないなぁなど色々時代を感じる部分もありますが、読みやすい内容だと思います。

私は結局3作とも読んでいたので、ここで初めてだったのは本仁さんの漫画だけだったのですが、この漫画、かなり笑えました(笑)。本仁さんの山藍さんへの愛ですね!
そして、ドラマCDにも使われていた旧版の口絵イラストのリテイクっぽい今回のカバーイラストで、裏表紙に新たに佑月は登場させても大島が絵になっていないことに、これを読んで納得(笑・っていうか、ドラマCD聴かないから知らなかったけれど、そうか、塩○氏が奴の声を担当してたのか!)。
相変わらず、遊びゴコロいっぱいです。

「スタンレー・ホークの事件簿 IV 冥罰―リトリビューション」 山藍紫姫子 / ill.本仁戻

ハンサムな仮面の下におぞましい性癖を隠し持つ画家、ルイス・クウェンティンに囚われたロスフィールド警視と、精神科医のジン。ルイスは苦悩に歪むロスフィールドの表情を描くことに至上の悦びを感じ、残酷に2人をいたぶっていく。刻一刻と状況が悪化する中、スタンレー刑事は2人を救うことが出来るのか。そして、美し過ぎる男たちの複雑な三角関係の行方は…。ファン必読、めくるめく外伝も収録した、傑作シリーズ完結巻。

あけましておめでとうございます。本年もマイペースにBL萌えな感想を綴っていこうと思いますので、どうぞ宜しくお願いしますm(_ _)m

さてさて新年一発目は、「スタンレー・ホーク」シリーズ新装版の最終巻。
昨年内に出たのが嬉しくて年内に感想を書くつもりでいたのですが、もたもたしていたら年が明けていました; なので今年の初レビューにします。

副題が変更された新装版最終巻は、旧版の4冊目「採集家―コレクター」の残り3分の2の内容(「採集家―コレクター」の続きと「好奇心―パンドラ」)に加え、アンソロジー「薔薇とピストル」に掲載されていた「呪いの骨」も収録。「呪いの骨」は未読だったのですごく嬉しいです!!

(感想かなりバレてます。未読の方はご注意ください。)

「冥罰―リトリビューション」は、タイトル変わってますが、前回から続く「採集家―コレクター」のその後。
ルイスによってロスフィールドとジンが拉致監禁されてしまうというかなりヒヤヒヤな事態になってしまった事件は、スタンレーたちがふたりを救出するまでにジンの目の前でロスフィールドが黒人男性に犯されたりその様子をスケッチしたりとルイスの悪趣味というか変態ぶり全開になるものの、けっこうあっさりと解決を見ます。…ので、事件ものとして期待したら、やっぱり肩透かしなシリーズではありますね(笑)。
でも、最後の最後にロスフィールドが彼にしかできない方法でルイスに報復するシーンは息を呑みます。
ロスフィールドという複雑でミステリアスな男の魅力が見事に表れているシーンでもあり、「冥罰」という新たなタイトルはもうこのシーンのためにあるようなものですね。

続く「好奇心―パンドラ」は、ルイスの事件解決後、バージルシティの有力者の息子誘拐事件のお話。
犯人は身代金の引き渡し役に何故かスタンレーを指名、スタンレーは人質を助けるつもりが犯人の罠にかかってしまい失態を犯してしまう。
スタンレーを陥れようとしたのはルイスにも関わっていたラクロウという男で、ロスフィールドが能力を使ってそのことを突き止めて、スタンレーから汚名をそそぐという筋書きです。
この事件の途上、スタンレーの仕事仲間たちがロスフィールドの能力に気が付いてしまう事態になってしまいますが、これは思いがけずスタンレーたちにとっては頼もしい理解者を得る結果になります。
事件解決後、なんと3人で愉しむというオイシイ展開になっていますが(笑)、山藍さんには珍しく3人のシーンそのものはなし。見てみたかったな〜(笑)。

「呪いの骨」は、バージルシティの負の歴史のある土地で数人の骨を集めた変死体が発見される怪事件のお話です。
スタンレーの要請でロスフィールドは骨から思念を読み取ろうとしますがその強さに取り込まれてしまい、あろうことかジンを傷付けてしまう。愛しいジンを殴ってしまったことが許せないロスフィールドは何としても犯人を挙げようとして、単身、捜査で浮上してきたある男との接触を試みます。
これまでここまで捜査に積極的なロスフィールドは見たことがなかったので、その行動力にはちょっとびっくりなのですが、それだけジンを傷付けたことがショックだったということでしょうね。
そんなロスフィールドの行動に反対するジンを止めるという名目でスタンレーがジンの元を訪れるんですが、、、
何と酒に酔った勢いでジンを…!
いやもう、ジンは受けでも全然いけるタイプ(っていうかもともとあまり攻めっぽくない笑)に見えるから、この展開は全然大丈夫! っていうか美味しすぎます(爆)! この3人にこんな展開が待ち受けていようとは(笑)!
でもね、これでフィジカル的にはスタンレーが3人のトップに立ちましたが、立場的にはいちばんマズくなってしまいましたよね(笑)。で、結局ロスフィールドが問答無用でいちばん強い(笑)。
なんかいいですよねこの3人の関係性!
この3人だからこそ成り立つバランスがたまらないです(笑)。ほんと絶妙な3角関係…(笑)。
事件の方は、犯人に辿りつけたか? と思っていたら、意外なことに未解決なまま幕になってしまいました。
「冥罰」のくだりもそうですが、この「呪いの骨」ではその後の「背徳」シリーズに通じる同害復讐が全面に出ているのが興味深いです。

シリーズはこの「呪いの骨」で完結とのことですが、事件は未解決だしスタンレー3人以外にも秘密を知る仲間?ができたたりしてでまだまだ続けられそうなお話しなのに…と残念になってしまいます。
というか、このメンツで挑んでいく「事件簿」が見てみたくてどーしようもない(笑)。
そして私は地味にフランク・サイトが好きなので、彼が出てくるのをもっと見たかったのですが(笑)。
その後3人の関係性も合わせて、もっと読みたいですねー。
あとはまぁ、このシリーズの新装版はBLのレーベルから挿し絵付きで出てほしかったかな。本仁さんのカバーイラストが素敵なので、なんか余計そう思ってしまいました。
っていうか、角川文庫から出ている他の作品ほど耽美でもなく、かといって本格ミステリーには程遠いこのシリーズが、何で一般レーベルから刊行されたのかが謎です(笑)。
山藍さんによると、この3人は他の作品にも顔を出していたりするそうで(言われてみれば、あれはもしや…なのがあったな笑)、それを確認してみるのも楽しそう。

このシリーズは、山藍作品にしては珍しくエロ面はハードではなくむしろ控えめな印象なので(笑)、キャラクターの魅力と合わせて読みやすいと思います。
まだ山藍作品を読んだことのない方にもオススメの作品です。

「スタンレー・ホーク」シリーズ
 ・「スタンレー・ホークの事件簿 I 仮面―ペルソナ」
 ・「スタンレー・ホークの事件簿 供ヽ詁―アンビヴァレンツ」
 ・「スタンレー・ホークの事件簿 掘‘鷭甜我―ドッペルイッヒ」
 ・「スタンレー・ホークの事件簿 検〔夙魁愁螢肇螢咼紂璽轡腑鵝廖
 ・「スタンレー・ホークの事件簿 仮面〜ペルソナ」(コミカライズ版)

「スタンレー・ホークの事件簿 掘‘鷭甜我―ドッペルイッヒ」 山藍紫姫子 / ill.本仁戻

バージルシティで、臓器を抜き取る連続殺人事件が発生。スタンレー刑事は難航する捜査だけではなく、美し過ぎる上司・ロスフィールド警視との関係にも頭を悩ませていた。彼への感情は確かに愛なのに、謎めいた精神科医のジンとの三角関係など、人間関係の鎖が邪魔をするのだ。そんな中、新たな犠牲者が発見され、事件は心震える驚きの展開へ…!スリリングで濃密な、ドラマチック・サスペンス。傑作シリーズ、急展開の第3弾。

「スタンレー・ホーク」シリーズ第三巻「二重自我―ドッペルイッヒ」の新装版です。
1997年刊の花音ノベルズ版の内容に、旧版第四巻収録の「採集家―コレクター」の前半部を含めた内容。時代的に合わなくなった部分などの細かい修正はありましたが、大幅な加筆はありませんでした。
 
バージルシティの運河に臓器のない死体が浮くようになって数ヶ月。
一向に進まない捜査に手を焼いているスタンレーは久々にセフレの巡業舞台女優ミランダと逢いますが、彼女にロスフィールドとの関係を気付かれ怒らせてしまう。その上ミランダに「浮気相手の男に会わせろ」と迫られて、仕方なく彼女とロスフィールドの元へ向かう羽目に。
ロスフィールドに闘争心を燃やしたミランダは、彼に自分の舞台のチケットを売りつけて見に来るようにと言い出しますが、これが悲劇を呼ぶことになります。
舞台のあと、ミランダは何者かによって惨殺されてしまう。
スタンレーはミランダと最後まで共にいたために重要参考人扱いされ、事件が起きた時間帯の記憶がすっぽりとないロスフィールドは、自分がミランダを手にかけた夢を見て、ふたりの関係に嫉妬を覚えた自分が彼女を殺したのではないのかという思いに囚われる。
果たして、ミランダを殺したのは誰なのか…?

BLなのに男女の激しいベッドシーンで始まるのでご注意ください(笑)。
これまでは一話完結型で進んできたお話でしたが、今回は最終巻となる次巻へ続く形になっています。事件そのものも、スタンレーと深い付き合いのあった相手が被害者であるため主要メンバーも直接関わってくるというこれまでにない内容で、今まで以上に緊張感や焦燥感が増しています。

普通BLで主人公に女性のセフレがいるなんてだいぶイレギュラー、というか人によっては十分地雷になる設定だと思うんですけれど、このお話のスタンレー、ロスフィールド、そしてジンの三角関係はかなり特殊なので仕方がないのかなと思えます。
というのもスタンレーが惚れた相手ロスフィールドは、人の残留思念に感応する憑依体質で、それゆえにどうも何かに執着することを避けているところがあります。スタンレーは彼のそうした「普通ではない」ことを知っているしジンもいるし(笑)で、いろいろもやもやしているんですね。だからミランダという存在が必要だったんでしょう。
そのミランダの存在を、ロスフィールドは外見上は何でもない風を装いながらも、実は激しく嫉妬してしまう。その想いが強かったために彼女が殺されたことに敏感に反応して、自分が殺したのだと思ってしまうまでになる。これが感応体質のややこしさなんですが、そうなってしまうほどロスフィールドの中でスタンレーの存在が大きくなっているということでもあるんですよね。
因みに、今回いちばんハラハラさせられ見応えがあったのは、そのロスフィールドが自分が殺したのかもしれないという思いに囚われていくところでした。
ジンは当然ロスフィールドの変化に気が付いて物騒なことを言い出していますが(笑)、ジンとロスフィールドのやり取りを見ていると単細胞なスタンレーではこうはいくまいと思わざる得なくて、ロスフィールドには彼の存在も不可欠なのだなと思うのです。
やっぱり、奇妙でありながら絶妙なバランスの上に成り立つ三角関係です。
他の話でならそれはないだろな関係のはずなのに、この三人だとそうならざるを得ないと思わせるのがこの作品の面白いところですね。

事件の方も目が離せません。
犯人は、…まぁ、やつが再び登場した時点で確定したようなものですけれど、強行に及んだ謎とそのイカレっぷりには驚かされます。サイコキラーを前にして、贖罪するのではなく犠牲者の無念のためにも生きようと決意するロスフィールドの姿が印象的でした。
そしてかなり気になるところで「つづく」になっていますが、今回「採集家―コレクター」の内容の半分を含んでいるということは、最終巻となる次巻はけっこうな加筆があるんじゃないのかと期待してしまいます(笑)。

「スタンレー・ホーク」シリーズ
 ・「スタンレー・ホークの事件簿 I 仮面―ペルソナ」
 ・「スタンレー・ホークの事件簿 供ヽ詁―アンビヴァレンツ」
 ・「スタンレー・ホークの事件簿 掘‘鷭甜我―ドッペルイッヒ」
 ・「スタンレー・ホークの事件簿 検〔夙魁愁螢肇螢咼紂璽轡腑鵝
 ・「スタンレー・ホークの事件簿 仮面〜ペルソナ」(コミカライズ版)

「スタンレー・ホークの事件簿 供ヽ詁―アンビヴァレンツ」 山藍紫姫子 / ill.本仁戻

評価:
山藍 紫姫子
(2011-11-25)
コメント:「スタンレー・ホークの事件簿 ? 葛藤―アンビヴァレンツ」 山藍紫姫子 / ill.本仁戻

俺は、あんたの愛に飢えてるんだ―。夏の終わりに上司であるロスフィールド警視と関係をもった刑事、スタンレー。それ以来二度と機会がないままのふたりの前に、強盗殺人事件が立ちはだかる。捜査を通して大切なものに気付いていくドラマチックな過程を追った「葛藤」。そしてロスフィールドの命が危機に晒されたことを知ったジンがとった衝撃の行動を描く「双龍」、「秘密」の3編を収録した大人気シリーズ第2弾。

「スタンレー・ホーク」シリーズの復刊第二弾。表題作の「葛藤」と「双龍―ツイン・ドラゴン」「秘密―ハイド」の3編の収録。

ロスフィールドと関係を持ってから4ヶ月。スタンレーはある連続強盗事件の囮捜査にロスフィールドを使おうと、彼の元へ訪れます。当然ロスフィールドは渋い顔で承諾してくれないし、警視でもある彼を囮捜査にかり出すなどとんでもないと上司からも牽制されるんですが、被害者の中にスタンレーの知人がいたこととジンが反対しなかったことが大きく作用してロスフィールドはスタンレーに協力することになります。
なぜジンがこの絶対一波乱来そうなことに反対しなかったのかというと、自身が個人的な理由で日本に帰国せねばならずロスフィールドの側にいてやれないからなんですね。決してスタンレーのためでも事件解決のためでもない、というのがとてもジンらしい(笑)。もともとスタンレーを自分たちに関わらせたのは、こういう時のためだったんだっけと思い出したら、スタンレーはジンの掌で踊らされている気がしてちょっと気の毒ですね(笑)。
さて事件の方ですが、バージルシティの郊外に暮らす中流以上の人間を狙った強盗事件で、スタンレーはロスフィールドをアリスター・ゴードンという如何にも犯人が狙ってきそうな人物に化けさせて犯人をおびき寄せようとします。

犯人の正体は早い段階で明かされて、彼らの動向とスタンレーやロスフィールドの捜査とが絡み合うかたちでお話が展開していくので「犯人はもしや…?」とか「あ、こいつアヤシイ」とかの推理モノ特有の愉しみ方は期待しない方がいいでしょう(笑)。
むしろ見るべきはジンという心の拠り所を失くしたロスフィールドの変化。
読めば読むほどロスフィールドはつかみ所のない男です。彼は自分に流れる特異な血を気にするあまり、「いま」のことにしか気に留めないようにしている印象があります。きっと過去にあったことに気を取られると、彼の中の何かがそれに引きずり込まれて歯止めがきかなくなってしまうという怯れのためなんでしょうね。そうならないためのストッパー的存在のジン不在の中で起こった今回の事件では、それが際立っている印象です。
そんなロスフィールドにスタンレーという単細胞な直球バカ(笑・良い意味でですよ!)が関わることでどんな変化が訪れるのか、が最大の関心となるわけですが、癒しと安らぎを与えてくれるジンとは真逆の方法で守ろうとするスタンレーに、ロスフィールドは反発を覚えながらも徐々に心を開いていく感じ。もしかするとスタンレーの存在は、彼にとってとてもいいものをもたらすんじゃないでしょうか。

加筆修正もけっこうされていて、旧版よりもロスフィールドのスタンレーに対する感情のゆらぎや自身への怖れがよく出ている感じがします。犯人の過去もだいぶ変えられていましたが、何なんでしょう、時代の流れ?(笑)これも今回の方が無理なく理解できたかな。
それから事件に大きく関わっている牡蠣がより効果的に使うかたちに書き直されていて、色んな意味で印象的になっていました。
 
続く「双龍」と「秘密」は事件解決後、ジンが帰国してからのお話。
帰ってきたらロスフィールドが怪我をしていて、そのことでスタンレーを庇うものだからジンが嫉妬に狂ってしまうのです(笑)
とはいってもジンですから、直接相手に殴りかかるとかスタンレーじゃあるまいしな行動にはもちろん出ません。もっとねちっこくて残忍な方法でスタンレーをいたぶります。
なんとスタンレーの胸にドラゴンの刺青を入れてしまうんです(!)
ジンに言いくるめられてジンと対を成す刺青を入れられてこれでロスフィールドを守る片翼になれた〜と浮かれているスタンレーは、そう思うくらいロスフィールドにはまってしまっているということなんでしょうが、何というか単純すぎてかわいいですね(笑)。
拘束したスタンレーに馬乗りになって刺青を入れる姿やその後の顛末など、ジンの妖しさと歪んだサディストぶりが存分に出ています。
とはいえ刺青ってそんなに簡単に入れられるものなのだろうかという疑問は残りますが。。

まぁでもこうなってしまったことでスタンレーは、もうこのふたりから逃れられない深みに来てしまったのです。3人ともが飲み下せない感情を抱きながらも均等を保つためにはやめることもできない、そんな緊張をはらんだ三角関係がより深くなる、それがこの第二巻でしょうか。

本仁戻さんのイラストはカバーのみで本文にもあればなーとどうしても思ってしまうんですが、なんとコミカライズ版が来年の1月に花音コミックから刊行されるという情報をキャッチして小躍りしてしまいました(笑)。これはもう今から楽しみです!!!

「スタンレー・ホーク」シリーズ
 ・「スタンレー・ホークの事件簿 I 仮面―ペルソナ」
 ・「スタンレー・ホークの事件簿 供ヽ詁―アンビヴァレンツ」
 ・「スタンレー・ホークの事件簿 掘‘鷭甜我―ドッペルイッヒ」
 ・「スタンレー・ホークの事件簿 検〔夙魁愁螢肇螢咼紂璽轡腑鵝
 ・「スタンレー・ホークの事件簿 仮面〜ペルソナ」(コミカライズ版)

「スタンレー・ホークの事件簿 I 仮面―ペルソナ(新装版)」 山藍紫姫子 / ill.本仁戻

タフでクールな不良刑事スタンレーと、貴族的な美貌をもつその上司ロスフィールド警視、そして妖しい魅力を放つ精神科医ジン。美しくも危険な3人の男たちがバージルシティを震撼させる連続殺人事件の謎に挑む。互いに反目しあう男たちの視線がドラマチックに、熱く絡みあう時、予想もできない新たな扉が開かれる…。

山藍さんの1996年刊の代表作「スタンレー・ホーク」シリーズ第一弾が漸く文庫化です!
旧版で作品に彩りを添えていた本仁戻さんのイラストは表紙のみになってしまいましたが(でもクール! レーターさんの変更のなかったことに感謝)、1998年刊の小説ジュネ掲載の幻作「ウロボロス」も特別収録されるという嬉しいサプライズ付きの一冊です!
 
と、いうわけで再読。加筆訂正されているようですが、どの部分かはわかりませんでした。。

アメリカの地方都市バージルシティで刑事をしているスタンレー・ホーク(攻・32)は、バツイチで少々素行に問題のある不良刑事。同性愛者ばかりを狙った彫刻の公園での連続殺人事件を捜査中だが、持ち前のカンでその中で浮かび上がってきた犯人像と自分の上司であるアリスター・ロスフィールド警視(受・30)とが重なることに気付きます。
高貴な美しさと傲慢さを備え、マニキュアを塗り整えた爪をして現場に行くことをしないロスフィールドをスタンレーは毛嫌いしていたが、尾行しているうち彼が普段とは違う「別の顔」を持っていること、そして市警察の専属の精神科医ジン・ミサオと特別な関係にあるこを知り、彼に奇妙な執着心を覚えます。
要するに、ロスフィールドに恋しちゃうんですね。
けれどもロスフィールドが実は普通の人間とは違う、いわゆる憑依体質であることが分かり、それがスタンレーを翻弄します。

ロスフィールドの特殊な能力は連続殺人事件解決にも関わってきますが、謎解き自体は、まぁこれは本格ミステリーではないのでわりとあっさりしています。そこに、ロスフィールドのミステリアスさや、この巻のメインであるスタンレーがロスフィールドに魅せられのめりんでいく過程が絶妙に絡んで、どんどん引きこまれます。
気になるのはジンの存在。日本人である彼は、特異体質のロスフィールドの精神的バランスを保つために5年という長い年月を共にしてきたロスフィールドの恋人ですが、ロスフィールドとはまた違った、西洋人の目から見た東洋の神秘を纏ったような怪しさをもっている人物。スタンレーがロスフィールドと後戻りできない仲になってしまったのは、実は彼のある思惑による画作。
この巻では、スタンレーがこのミステリアスでよく分からない恋人たちと関わるようになった顛末に終始して、まだまだ導入部、本格的な物語の始動はこれから、という雰囲気です。
スタンレー、ロスフィールド、ジンの奇妙な三角関係や、次巻に繋がるんだろう伏線も張られていて、読み終えたら先が気になることが間違いなしです。再読してみると、ラストのあの電話のシーンにゾクリときました。
美しい特異体質者や現代のアメリカが舞台だというのにやたら豪華でデカダンな館など、山藍さんらしく耽美な魅力が散りばめられていますが、主人公のスタンレーががざつでやんちゃなせいか、全体的に親しみやすい印象です。

同時収録の「ウロボロス」は、中世の西欧が舞台の山藍さんらしい耽美で幻想的ななお話。こちらは読んだことがなかったので、今回の収録が嬉しかったです。

国王主催の宴で出会った予知能力や死者との会話ができるという男・アレクザンダ・レランと、国王の信任厚い武官ジェレミー・スタイン。実は彼らには、数百年前から続く祖先の、あるいは前世の因縁があった…。
ふたりが肉体を合わせた瞬間、物語は彼らの時代から数百年前の過去に飛び、因縁のもとをつくったアークライトとラングレーが現れ、事の顛末が展開していきます。
どこか倒錯した拷問のシーンとか、残虐な一族に生まれながら天使のように優しく見えたアークライトに、実はいちばんのサディストの血が流れていた、という顛末がツボ過ぎて、久々にしっとりと淫靡な山藍作品を堪能した気分。タイトルが表す彼らの辿り続ける運命も、ハッーピーエンドでは決してありませんが、これはもうBLというよりは幻想小説と呼んだほうがしっくりくる作品なので、ラストはこれ以外にありえません。

あと、これに登場するアレクザンダ・レランと、「スタンレー・ホーク」シリーズのロスフィールドとの奇妙な共通点が、けっこう気になっていたりします。姓名の共通点(ロスフィールドの母方の方の)や金髪、金の輪に縁どられた青い瞳など、もしかしてロスフィールドって…? と勝手な想像をしつつ、そういう繋がっているようないないような作品世界を繰り広げるのも、山藍さんの作品の特徴であり魅力のひとつだったなぁと思い至りました。

そんな愉しみも堪能できる、とても読み応えのある一冊でした。続巻の刊行が楽しみです♪

「スタンレー・ホーク」シリーズ
 ・「スタンレー・ホークの事件簿 I 仮面―ペルソナ」
 ・「スタンレー・ホークの事件簿 供ヽ詁―アンビヴァレンツ」
 ・「スタンレー・ホークの事件簿 掘‘鷭甜我―ドッペルイッヒ」
 ・「スタンレー・ホークの事件簿 検〔夙魁愁螢肇螢咼紂璽轡腑鵝
 ・「スタンレー・ホークの事件簿 仮面〜ペルソナ」(コミカライズ版)