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  • 2014.07.28 Monday
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「茨の呪縛 〜目覚めのくちづけ〜」 矢城米花 / ill.宝井さき

過疎の孤島、茨島には「茨姫」伝承の祭りがある。その姫役を務めることになった加賀見涼は、祭りの途中で、竜成という男に地下洞窟へとさらわれてしまう。涼を助けに来たという彼は、「姫は生け贄で、最後には必ず殺される」と言うのだが!? 追っ手から逃れる暗闇の中で、次々と明らかになっていく島のおぞましい真実。そして涼と竜成の間には、激しくもほのかな愛が芽生えていき……。

ホワイトハートから矢城さんの新刊が出るなんて何かの間違いじゃないかと思ってしまった(笑)。
いったいどういうチョイスなんだろう?w
孤島の奇祭とか鬼とか生贄とか、矢城さんお得意のネタ満載なのは相変わらずでしたが、…やっぱりライトなレーベルからの作品ですからね、いつもに比べると大人しめな感じです(あくまで矢城作品ではですが・笑)。

過疎の進む孤島・茨木島。幼い頃に両親を亡くした涼(受)は、島の大人たちによって宝のように大切に育てられ、18になる今まで島の外にすら出たことがありません。
その茨木島の12年に一度の祭りで涼は姫役を勤めることになりますが、祭りの途中で島の外からきた竜成(攻)に攫われてしまう。島の地下洞窟に涼を連れ去った竜成は涼に、島の住人の正体は鬼で祭りの最後に姫は殺されるのだと告げ、涼を助けに来たのだと言い出します。
あまりに突飛な話を涼は始めこそ信じませんでしたが、思い返せば島の住民には奇妙な部分が多いことに気がつき始め、竜成の言葉を否定しきれなくなってしまいます。
そして島の頭領的存在である茨木たちに終われ逃げる中、島のおぞましい部分が徐々に明らかになっていく。
更に、祭りの時にこっそり仕込まれた催淫剤が涼を苦しめ始め…。

…という眠り姫と日本の鬼伝説が合わさったようなお話で、おとぎ話の展開を踏襲しながら、途中ちょっと乱○の「孤○の鬼」みたいな部分もあったりします。

こういう因習や奇祭が関わってくるBLの受けって大人しめが多い気がしますが、このお話の受け・涼は18歳らしくやんちゃな少年という感じで新鮮でした。
あとがきで「非力ながらも王子のためにがんばる姫、いや、受けがいてもいいんじゃないか」とありましたが、本当にそんな感じです。特別な力があるわけでもないので空回りしてしまうんだけど、とにかくがんばる受け。
王子役の竜成は、29歳にして涼に「オッサン」呼ばわりされているようなぜんぜん王子さまっぽくないタイプですが(笑)、愛着が持ててけっこう好き(笑)。
そんなふたりが、鬼なのだという島の住民たちから逃れて地下洞窟に入り込み何とか脱出しようとするうち、互いに恋をしていくのです。
鬼たちに飲まされた、夜になると効果の出る催淫剤もうまい具合に役に立って(?)います(笑)
祭りの「姫」だから大切にされたことはあってもこれまで涼個人を労ってくれた大人を知らなかった涼が、竜成に気持ちを傾けていくのは自然なことですね。
それから、隔離されて育ったためにこれまで口にたこともなかったチョコの美味しさに目を輝かす涼とか、歳相応な感じで可愛いかったです。

奇祭とか鬼とか生贄とか、もうどれだけエロエロな展開になるのかと思いきや、そこはホワイトハートだからなのか割りと控えめな印象でした。残念←
後になって考えてみると最期までするHシーンはたったの一回という、これほんとに矢城作品?! な事実に気が付いてびっくり。
いつもの矢城作品を期待すると、エロに繋がる要素がたっぷりなだけにだいぶ肩透かしかもしれません。
とはいえ、攻め以外との本番行為こそないものの、涼が祭りの儀式の一貫で鬼たちにいろいろされてしまったりはしているので、苦手な方はご注意ください。
で、エロそのものよりは攻めが布団にされたり(布団のくせに文句を言っている、とかw)受けが抱き枕にされかけたりなど、どこかほのぼのなエピソードに萌えなお話しでした。

主役カプ以外にも、いちばん切なかった拓実やクールに非道だけどイラストともどもかっこいい茨木、最後は成り行きで何かイイ奴になってしまった土熊などなど、その後が気になったり魅力的なキャラが多かったです。

全体的に、エロエロ因習ものというよりは鬼退治がメインになっちゃっている感じの内容で、そういう部分の設定は上手く作ってあるなーと面白く読めたのですが、この内容ならもうちょっと哀愁漂う感じだったらなと思ってしまいました。滅びゆく鬼の哀しさ、みたいなものが。
涼が湿っぽい性格じゃないのでお話全体がどこかカラッとしているのも、そういう雰囲気のない一因かもしれませんね。涼のキャラは好きなので、もどかしいところなんですけどね。。
これってやっぱりレーベルのカラーなのでしょうかね?

それにしても、涼の両親は今頃どうしているんだろうかとか、そもそも涼の戸籍とかどうなってるのとか、色々気になる部分が多かったのも事実。
何より竜成。鬼の肉喰っちゃった彼は大丈夫なのかと気になって仕方がないです…

「愛は裏切らない」 オハル / ill.宝井さき

暴行された過去と、後に残された男を求めて疼く体。陰惨な事件に巻き込まれ、癒えない傷を負った奥村は、先輩刑事の填島に縋り、抱かれることで心の均衡を保っていた。槇島に歪な関係を強いることへの罪悪感に苛まれる奥村だが、そんな自分の狡さをも受け入れてくれる彼に惹かれていることに気づき…?出口の見えない想いに悩むある日、事件の犯人・桧山が現れ事態は急変する。自分に異常な執着心を見せ、填島を排除しようとする桧山の様子に、奥村は―。

初読みの作家さん、なんとこれが2作目だとか。
そんなことを感じさせないくらい面白くて完成度の高い作品だと思います。そして、痛くて重くて甘さのない独自の作品書かれる方だなぁと思いました。こういうBL、ありそうでないんですよね。

所轄警察署の若手警官として働く奥村(受)は、ちょっといい加減で女たらしと噂されている四十男の槙島(攻)の下で働いている。ある時、偶然粘着質な変質者・檜山の目に留まったことがもとで、奥村は檜山に拉致、3日の間監禁されて陵辱れ、左腕に刺青を施されてしまう。槙島たちが助けに来たことで檜山は逮捕、奥村は何とか開放されるが、心にも身体にも二度と消えることのない傷が残る。
拉致される前、奥村は檜山からストーカー行為を受けていたことを槙島に話していたのですが、槙島は気にしすぎだ、と取り合わなかったといういきさつがある。あの時、もし槙島が真剣に取り合っていたなら、という想いを奥村と槙島の両方が抱えていて、奥村は槙島の弱みに付け入って甘えるかたちで、槙島は奥村への罪悪感から肉体関係を持つようになる。
そうして3年が経って檜山が出所し、奥村の周りでまた不穏なことが起こり始めます。槙島は二度と過去の過ちを繰り返すまいと奥村を守ろうとしますが…。

とにかく受がとことん傷めつけられますので、そういうのが苦手な方はご注意ください。個人的には、痛いのには慣れているのか(?)この作品での描写は大丈夫でした。
そんな、ボロボロになりながらもプライドを持って生きている、けれども本当はかなり危ういバランスの上に立っている奥村と、彼を何だかんだと見守っている槙島のふたりがいいです。
特に槙島のオヤジキャラがツボ過ぎ。

あと槙島の可愛げがない、という言葉に対する奥村の
「可愛気ってどこの毛ですか」
っていう返しが激ツボです(笑)

ストーカーの檜山はもう狂ってしまっていると思う。
一方的に奥村を気に入り、自分のものにしようとし、奥村が槙島と関係を持ったと知ると「俺を裏切った」。やばいですよね。。
その檜山の、愛を裏切れば報いがある、という言葉が奥村たちを呪縛してしまうように見えました。迷宮入りしそうになりながら愛とは何なのかと考える二人の姿に、これはただの恋愛を描いた作品ではないと思いました。
だからこそ最後のあの言葉が印象深く残る。単純なラブストーリーではないんですね。

予想以上に読み応えのある一冊でした。読み応えがありすぎるので、一気に読もうとしたらやたら体力も精神力も消耗しました…。そんな経験をさせてくれBL作家さんはあまりいないので、次作も読もうと思います。