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  • 2014.07.28 Monday
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「未完成(新装版)」 凪良ゆう / ill.草間さかえ

教師の阿南が男とキスをするのを見た高校生の瀬名は、学校とは違う艶めいた表情を見せる彼に興味を持つ。素っ気なくあしらわれても阿南の傍は居心地良く、瀬名は彼の部屋に通うようになる。そして自覚した恋心。がむしゃらに迫り阿南を抱くことはできたが、その心を手に入れたとは思えなかった。「俺のこと好き?」懇願するような瀬名の問いに、いつも阿南の答えはなくて……。文庫未収録の『Young Swallow』と書き下ろし『さなぎ』を加えた待望の新装版!!

2009年に花丸blackから出ていた作品の新装版。
今月もう一冊過去の凪良作品がこのレーベルからでるようですが、なぜ重版じゃなく別レーベルから出るのかちょっとフシギです。
それはさて置き、本編にドラマCDブックレットに収録されていたSS「Young Swallow」と、書き下ろしSS「さなぎ」を加えた内容です。
高校生×教師の愚直なまでに青くて痛い感じがたまらなくいいお話でした。

離婚寸前の親のいる荒れた家や友人たちとの空虚な付き合いに苛立っていた高校生の瀬名(攻)は、暇つぶしに立ち寄ったクラブで偶然、英語教師の阿南(受)が男とキスしているのを見てしまう。
冷やかし半分にからかうも、阿南は学校で見る時とは別人のような色気を漂わせながら瀬名をあしらい、その様子に瀬名は興味を惹かれます。
そんな、最初は興味本位で近付いた相手だったのに、阿南は瀬名を特別構うわけでもありませんが突き放しもせず、その距離間が瀬名に不思議な安堵感を与えます。
やがて瀬名は阿南に恋をしていることに気がついて阿南に想いを伝えますが阿南は全く取り合わず、瀬名はどんどん深みにはまってしまい…。

瀬名が等身大の高校生だったのが何より良かったです。
何故かBLには年の差のある年下攻め、それも十代攻めをよく見かけますが、十代にもかかわらずやたら世慣れてスペックの高いすでにスーパー攻め様状態なのが多くて、その現実味のなさにもやっとしてました。学生×社会人でそれはドリームすぎるだろ、と。
でもこれは瀬名がとても年相応で、青春真っ只中にある焦燥感やジタバタしている様子が伝わってきてすごく良かったです。十代ならではの愚かさにあふれているというか、高校生って見かけは立派でも子供なんだなと思わせてくれるところがいいんです。
攻め(瀬名)視点なので余計ですかね。
そして瀬名が、荒れていた自分を唯一受け止めてくれた阿南に恋をするのもとても自然でした。

恋をした後、いつまでたっても「先生」の立場を崩さない阿南にじれて(それゆえに更に深みにはまっていくのですが)半分ストーカー状態になったり、教師である阿南の立場を理解することなく突っ走る瀬名の姿は若さ故の暴走だなぁと。
年を重ねた瀬名はそのあたりのことにちゃんと気がつくわけですが、その姿にあぁ彼は決してヤンデレ執着男じゃなかったと安堵してしまって(笑)、これは瀬名の成長の物語なんだなーとしみじみ思いました。

二転三転した終盤、一度は離れたふたりが再開を果たし今度こそちゃんと向き合えるようになるあたりはお話のキモに思えるのに、少々ドタバタ駆け足な印象だったのが残念。もう少しじっくり読みたかったです。
そしてもうひとつ物足りなかったのは、もう少し阿南その人に関することが読んでみたかったな、と。
いつの間に瀬名をここまで思うようになっていたのかが見えづらかったですし、何より大河内との関係を含めてどんな過去があったのかがすごく気になる。その辺りのことを少しでも憶測できる手立てが書き込まれていれば萌えまくれただろうなー…と。

本編後のSSは両方とも阿南視点です。書き下ろしの「さなぎ」がすごく良かったです。
付き合い始めてから3年経った頃のふたりを描いているんですが、かつてのぎりぎりで痛かった瀬名がしっかり成長していて、その姿に涙。立派になったね、ともう子を見守る親の気持ちでした(笑)。
そしていつまでも「先生」呼び名のかなとちょっと疑問に思っていたことが解決?していて、そこもとても良かったです。

「フェア・ゲーム」 ジョシュ・ラニヨン / ill.草間さかえ

元FBI特別捜査官で現在は大学で歴史を教えるエリオットの元に、失踪した学生の捜索依頼が持ち込まれた。捜査協力にあたる担当捜査官を前にしたエリオットは動揺を隠せなかった。そこには一番会いたくない、けれど決して忘れられない男、タッカーの姿があった。タッカーはかつてのエリオットの同僚で恋人。17ヵ月前、膝を砕かれ失意の底に沈んでいたエリオットに、冷たく背を向けた男。シアトルの大学を舞台に繰り広げられる、甘く激しい男たちのミステリー・ロマンス。男たちの熱く狂おしい恋愛を描くモノクローム・ロマンス、第一弾!!

話題になっている海外BL新レーベル「モノクロームロマンス」第一弾作、やっと読みました〜!
海外BLは、前にプリズムロマンスから数冊出たものの評判がよろしくなかったのかそれっきりになってしまって寂しい思いをしましたが、ファンタジーやSF設定のものばかりだったあちらと違ってこのレーベルは現代が舞台の作品がメインのようなので、だいぶとっつき易い印象ですね。
横文字ネームに馴染みのない読み手への配慮か冒頭に登場人物紹介があるのも有難い。
今度こそは息の長い企画になることを祈るばかりです…!

欧米では二次創作ではないオリジナルの男同士のラブロマンス小説を「M/M小説」と呼ぶのだそうですが、もともとゲイ文学から発展したジャンルであるだけに書き手には男性作家も多くいるのだとか。
この「フェア・ゲーム」の作者のジョシュ・ラニヨン氏も男性で、M/M小説の代表的な人気作家さんなのだそう。新レーベル第一弾にこうした作家さんをチョイスしてるのを見るに、このレーベルの今後が楽しみで仕方ない(笑)。
さて、お話はFBI捜査官×元FBI捜査官の大学教授の、シアトルを舞台にしたミステリー仕立てです。

エリオット(受)はFBIの捜査官でしたが任務中に膝に負った怪我が致命傷になって退職、FBIの仕事に未練を残しながら今は大学で歴史を教えています。
その大学である男子学生が行方不明になり、彼がエリオットの父の友人の息子である縁でエリオットは捜査をする羽目になるのですが、この事件を担当しているFBIの捜査官はエリオットの元恋人のタッカー(攻)。
酷い別れ方をしたタッカーに対する反感とFBIを去らざるを得なかったジレンマから、エリオットはタッカーに反発しながら独自に捜査を進めていきますが、そうしているうちに徐々にふたりの関係が変化していきます。
そして、失踪事件は意外な展開を見せ…。

エリオットとタッカーの恋模様と失踪事件の真相を追うミステリーが主軸となった内容ですが、FBIとかが出てくる割にはハードな印象ではなく、これほんとに男性が書いたの? というくらいロマンス小説っぽい雰囲気でびっくり。
もっとゲイ小説っぽい感じかなと思っていましたが、意外や日本のBLに慣れた読者でも違和感なく読める感じです。

エリオットはちょっと頑固で素直じゃない性格をしていて、それが彼とタッカーの関係をこじらせているという具合で、もう、これは普通に日本のBLで登場しててもおかしくないような典型的なツンデレです(笑)。彼にハマる方はかなりいると思われます(笑)。
タッカーは、登場したときは如何にもアメリカンな男なのかと思いましたが全然そんなことはなくて、わりと普通な感じ。如何にも攻め! という感じでもなくて、普通にいいやつでした。
このふたりが別れることになった原因は、え、そんなこと?! と突っ込みたくなるような行き違いでちょっと拍子抜けしてしまいましたが(笑)、やっぱり惹かれ合いながらもお互いに男のプライドが邪魔をして素直になれないところはじれじれさせられました。このあたりは、意外なほど日本のBLと変わりがないなと(笑)。
ゲイ男性が描くとあって色んな意味でエロシーンがどんななのか興味津々だったんですが(爆)、これも意外なことに普段読んでいるBLとそんなに違わない感じでした。
因みにエロ自体はあっさりした感じで、エロ度の高いBLを読み慣れているとだいぶ物足りないです;

日本のBLと違うのは、エリオットが自分がゲイであることを公表しているなどこっちよりもセクシャリティに関してオープンなところとか、それを身内が普通に受け入れていたりあるいは露骨に嫌悪していたりとか、やっぱりアメリカが舞台なんだな〜というところ。社会的なことがかなり書き込まれているのも何だか新鮮な感じです。
主人公の親やら大学関係や事件絡みの人間やらと、主役カプ以外にも重要な登場人物が何人も登場するのでややこしい…と感じるかもしれませんが、その時こそ前に触れた登場人物紹介を活用ですね(笑)。
主人公カプの年齢が30代後半とちょっと年齢が高いのもこちらとは違うところですが、まぁこれは、日本のBLがキャラの社会的な地位やらに対して年齢が若すぎるんですよね(苦笑)。
この日本のBLには希薄なリアリティの濃さが、M/M小説がもともとはゲイ文学から誕生しているんだなと実感させてくれます。
あと、個人的にあちらの人にとって南○戦争はこちらの戦国時代みたいなものなのかなーとか、どうでもいいことなんだけどこれは本場じゃないとわからないよね〜という部分が妙に気に入ってしまいました(笑)。

ミステリー部分は日本のBLでよくある取ってつけたようなものではなく本格的なので、けっこう読み応えがあると思います。
もしかして私がこの手の小説を読みなれていないからそう感じるのかもしれませんけど(汗)、結末は直前までどうなるのか予想がつきませんでした。
ただ、私はミステリーが好きじゃないので(汗)、そこが充実していてもあまり嬉しくないというのが正直な感想; っていうか、なんでジャンルを問わずみんなミステリー路線になっちゃうんだろう…。
個人的な好みはさておき、ミステリー部分の読み応えに対してふたりの関係はこれから始まるという感じなので甘さや萌えはそれほどでもなかったのが残念でした。

翻訳の冬斗さんは、話題のアメコミBL作家Guilt|Pleasureさんの同人誌の翻訳でもお名前見たな〜と思っていたら、プロフィールによるともともとはM/M小説を紹介しているブロガーさんだったのですね。
翻訳っぽい不自然さはあるもののわりと読みやすい文章で、何よりBL的萌えをわかってらっしゃるのでそこらへんのもどかしさがないのが有り難かったです(笑・BLっつか男同士のロマンスを愉しむためには、これは必須ですよ!)

文庫なのに税込で945円とノベルズよりも値が張るのがネックですが、翻訳ものだし448Pというボリュームだし…と思えば仕方がないのかな。
また、イラストはカバーのみだったプリズムロマンスとは違いこのレーベルは本文イラストもあるので(口絵はなし)、そこでもお得感はあるのかも。
もう一冊の方のイラストといい、個性派を持ってきたのは翻訳もの「らしさ」の演出のためかとか色々思ってしまいましたが、シックな草間さんのカバーイラストは目を引いていい感じです。

というわけで、個人的にはBL要素3割、ミステリー要素7割な印象ですかね。
ミステリーに興味がないので評価は普通ですが、ミステリー好きな方やこうした洋画や海外ドラマが好きな方は楽しめる作品だと思います。

「優しいSの育て方」 榎田尤利 / ill.草間さかえ

立派な身体に繊細な心を持つ大学生・栄田惣は、生まれて初めての恋に落ちた。ひと目惚れの相手は通称『殿下』。整った容貌、穏やかな雰囲気から人気の、文学部准教授・宮隆由紀だ。声を聞くだけで、姿を見るだけで、栄田の心も頭も宮でいっぱいになってしまう。けれど、宮にはある秘密があって―!?心優しい栄田と、一筋縄ではいかない宮のちょっと変わったピュアラブ誕生。

SMというワードに惹かれて手にしてみました(笑)。
大学生の惣(攻)は、図体はでかいくせに小心者、というか見ているこちらが気の毒になるくらい周りに気を使いまくっているタイプ。その惣が、通っている大学の准教授・宮(受)に一目惚れをしてしまいます。それまで女の子とも付き合ったこともないほど恋愛に疎かった惣は、文字通り生まれて初めての恋する感情に驚き振り回されますが、気が小さい彼にしては大胆なことに宮にこの気持ちを伝えようと決心します。
けれども宮がなんとSMを好む性癖の持ち主であることが発覚、Mである宮は優しくていい子な惣はSにはなれないだろうからと惣の気持ちを退ける。断りの理由が好きかどうかとか20も離れている歳の差とかではなくて、Sになれるかなれないかにあるというのがある意味すごい(笑)。宮は惣に対して好意を持っているにも関わらず、ネックはそこなのかと。
けれども恋する男は盲目です。惣はそれでも宮への想を諦められず、ならば宮を満足させられるSになる! と宮の助教でありプロのSM調教師でもある(!)王の教示のもとSになろうとしますが…。
 
この作品で何より新鮮に感じたのは、SMを扱っていながらその手の作品に見られる耽美な気配や背徳感のない、むしろカジュアルな作風だということ。SMという特異な世界を変態的に描くのではなく、何てことのない日常に溶け込ませているという感じです。まぁ、ウブな主人公が恋した相手がたまたまSM愛好家だったという、実はちょっと奥手の男の子の初恋ものでもあるので、それも当然かもしれません(笑)。
だから如何にもSM! という感じではないので免疫のない方でも大丈夫なんじゃないのかと。一応縛ったり叩いたりのSMなシーンはありますけれども、決してシュミに走り過ぎることなくそういうのがダメな方にも配慮がされている感じです。そして全体として、SMなシーンでその世界を見せるのではなくSM論をじっくり語ることでSMというものを知らない人にもわかりやすく説明している印象です。
私はSMシーンよりも、惣がSになるためのSMプレイ(本番ナシ)を散々しておきながら、ふたりがキスすらまだしていなかったという顛末が衝撃でした(笑)。何だかもう、惣が憐れ(笑)。

そんな、せっかくこれまでにない(あったらすみません、勉強不足です;)SM作品なのに、キャラの過去やらトラウマやらのお決まり設定が出てきたあたりでちょっと違和感が。それを持ち出してキャラに深みを与えるにはページが足りない気がしますし、そこにページを割くなら現在の彼らの心理状況をもっと丁寧に描いてほしかったですね。ありきたりなトラウマはいらないです。
特に宮はその過去から准教授となっている今とは何か繋がらない気がして、それはたぶん描ききれていない部分が多いからなんですが、その空白はまさかこれの続編の時のための余白ですかと思わなくもいです。一冊でキレイに完結するお話が読みたいのにーとちょっと消化不良。
そしてこの作品のキモたる優しすぎる惣がSになれるのか、という点に関しても描ききれていない気がしてもやもやもやもや;惣は優しい恋人としては満点ですが、Sとしては? というとかなり疑問です。そこの落とし所をどうするのかが最大の関心事だったので、残念ですねぇ。
あと冒頭の宮の社会学の講義、あれは必要なのかな。。その手のことはその手の本で読めるのだし、この作品ではもっと描くべきところがあったと思うのです。

…で、ラストを読みながら、宮は実は自分にぴったりなSではなくて物凄く得るのが難しいステキな恋人を手に入れたんじゃないのかな、と思いました。

最後に王のお話がありましたが、彼が主役の作品なら読んでみたいですね。とっても面白くなりそう! でも、こんな飄々としたキャラに重い過去とかはなしでお願いします(笑)。

余談ですが、作中にあった「筑○山にも登ったことがないのにチョ○ラ○マをイメージしろと言われても無理」という例えが何だかツボでした。なにその微妙なんだか絶妙なんだか分からないチョイス(笑)。惣がSMについて考えて頭をショートしかけている場面での一文ですが、彼のパニックぶりが妙に伝わってきていちばん好きなところだったかもしれません(笑)。