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  • 2014.07.28 Monday
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「江戸繚乱」 山藍紫姫子 / ill.水上シン

没落公家の一子王麻呂は、珠のごとき美貌の持ち主で、大金と引き換えに、謎めいた男、十右衛門に買い取られた。売られた先の雲上茶屋「桃源宮」では、絹縄で縛られ、木馬に跨り、あまつさえ自ら腰を振って、男を悦ばせる体位の数々を仕込まれる。まばゆいばかりの容姿を持った人間の常として、野獣のような男達に貪り喰われる宿命なのだ。やがて固い蕾も淫らに綻ぶころ、王麻呂は、江戸随一の大店の若旦那、好色な新之助の慰み者となるが!?淫蕩の闇に、いま堕ちる―妖しくも美しい調教ファンタジー、登場。

仕事帰りに人文系の本とBLを一緒に購入したら、レジの人(わりと若い男性)に「ご購入の商品はこちらで間違いはありませんか?」と2度も確認されて微妙な気分になりました。…別にいいじゃないのよ!(笑)レジが男の人だとやっぱり買いにくいな、BL本;
なんて話は置いといて(笑)。昨日の「色闇」に続いて感想書くタイミングを逃していた山藍さんの大江戸ものをもうひとつ。
2006〜2007年にかけて同人誌で発表された作品でそちらも持っていますが、「とりかえばや」の時同様これが商業で出るとは思いませんでした(苦笑・刊行はこの「江戸繚乱」の方が先ですが)。いくらエロ特化のレーベルとはいえ花丸BLACK、なかなかチャレンジャーな…(笑)。

没落公家の王麻呂は、隠れ遊里「桃源宮」に売られた美貌の若君。王麻呂の躰は「桃源宮」の主で表向きは呉服屋の大旦那・十右衛門によって男を悦ばせる淫らなものに変えられていきます。
その王麻呂を餌に、十右衛門は大店・駿河屋の好色でぼんくらな若旦那・新之助を罠に掛けようと策略をめぐらしますが…。

注意してほしいのは、これは王麻呂と誰かの恋模様を描いたものでも彼が幸せになるお話でもないということ。お話の本筋は得体の知れない男・十右衛門が策略によって駿河屋を破滅させていく過程であって、色恋沙汰じゃないんですね。美貌の貴公子・王麻呂は、十右衛門の策略のための駒なのです。
そんな内容なので、話自体はけっこう面白いんですけれどBLとしてはちょっとどうなのかなぁと。
BL的萌えに必須な「愛」が希薄な上、エロなシーンは縛りや線香を使っての尿道攻め(!)や木馬やの道具攻めに調教にとこれでもかというくらいハードで、ここまで来るともうBLというよりはフェチ度の高い耽美SMと言った方が正しい感じがします。
そして、誰が受けで攻めなのかとか考えるのが無茶な内容だなぁとも。そこに収まりきらない内容なので、考えていることがナンセンスな気分になりさえします。
…となると、これはもうBLではないですよね(苦笑)。
ハードな場面も山藍さんの絶妙な言葉選びで濃厚に美しく書かれていて圧巻です。男色のためのお尻の準備とか、普通BLでは描かれない部分もそれは詳しく説明してくれていて(笑)、書き手のこだわりが感じられます。
こういうのがツボの人やフツーのBLでは物足りーん! という人にはたまらないかもですが、そうでなければちょっとハードルの高い作品だと思います。けっこう長い女性の強姦シーンもありますので、ダメな方は避けたほうが無難でしょう。

正直なところ、時代もの、特に大江戸ものは大好きですが、正直この作品はちょっと合わなかったです。。長年山藍さんの作品を読んできた中でも、ちょっとフェチ度が高すぎました。
そして萌え切れなかった最大の原因は、登場人物の誰にも好感が持てなかったせいですね〜;
三人称で客観的に綴られていくため登場人物に寄り添って感情を描いたりはされていないので、誰もに共感出来なかったのですよ…。
せめて王麻呂が、少しでも意思のある、それこそ十右衛門に反抗するような気概のある性格だったらよかったなのになぁと。。己の不幸を嘆きながら、いつしか快楽に流され溺れてしまうお人形でしかない。そんなだから彼がどんなエロい目にあっても全然萌えなかったです。
その高貴な生まれと美貌だけが取り柄の王麻呂に、十右衛門がなぜ執着するのがもわからない。
唯一関心が持てたのは、十右衛門のもうひとりの掌中の珠・侘助。ほのめかし程度に触れられた彼の過去にはいろいろ妄想してしまいます(笑)

この作品はもともと続編を念頭に書かれたものだったそうで、十右衛門の謎や侘助の過去などまだ描かれていない部分が多くある印象です。そのたりの不足部分も補いたいと思ってしまう読後感で、是非続きを書いてほしいです。
というわけで、これ単体では消化不良感が強すぎて評価はちょっと低めです;

それにしてもこれを読んだ時につくづく思ったのですが、年々耽美な内容に萌えを感じられなくなってきているような。って、もともとそう好きな分野でも無いんですけれど;
BLには耽美とは真逆のものを求める傾向が、どんどん強くなっている気がしました。

「長恨歌 下之巻 青蛾(新装版)」 山藍紫姫子 / ill.水上シン

荒れ狂う愛の交歓の果て、沙門と心が繋がりかけた弁天だったが、沙門に横恋慕するお澪のせいで罠に落ちる。お澪の父で江戸随一の豪商、宗左衛門に捕われた弁天は、奥座敷に囲われてしまい!?

先日に続いて「長恨歌」の下巻です。
コアマガジンのバニラ新書で出ていた「シシリー」(1998年)に収められていた番外編の「紫陽花」も収録。
 
許嫁と祝言を挙げ大店の内儀となったお澪は、娘から女へと変貌を遂げる。
彼女の沙門への執念は消えるどころが増々大きくなっており、その足は相変わらす彼とその情人である弁天のいる廃寺へと向かうが、異変が生じていた。弁天が血を吐いたのだ。
弱り果てる彼が沙門には遠ざけられ鉄には変わらず激しく侵されているのを見て、お澪は心から同情し、どうにか救出しようと一計を謀ってなんと彼を父親の宗左衛門に囲わせる。そしてあの沙門をおびき出し、屋敷の座敷牢に捕えてしまう。
以前お澪が屋敷に弁天を上げた折に彼にいたずらまでしていた(笑)宗左衛門は弁天にそれはご執心で、囲ってからは毎夜のようにその元を訪れます。そして弁天の躰は、宗右衛門の手管の前に乱れに乱れる。
上巻で弁天を攻めまくっていた沙門や鉄が危機に陥るこの下巻では、宗右衛門が大活躍です(笑)。呼びつけた医師と共に器具を使って攻めるわ媚薬を使って自慰めいた行為をさせるわ泥鰌(!)を使うわ…(笑)。沙門や鉄との激しいシーンもあるんですけれど、はっきり言って宗右衛門は彼らを食ってしまっています。というか泥鰌、さすがというか、よくこんなこと思いつきますね(汗)。
エロいシーンでは他に、弁天が4人の浪人たちに媚薬を使われて輪姦されたりと、上巻以上にハードです。

終始お澪視点だった上巻よりも弁天その人に焦点の当たった感のある下巻では、弁天が如何に性別を問わず人を惑わせる存在なのかが描かれている感じです。宗右衛門の屋敷で弁天の世話をしていた老女が弁天のことを作中で使われる媚薬「青蛾」そのものだと言う場面が、弁天の本性を表している気がします。そういえば下巻のサブタイトルはその「青蛾」。弁天その人のことなんですね。
その弁天に、沙門や鉄のみならずお澪が宗右衛門が浪人たちが群がり味わい尽くそうとする。何度も使われる青蛾の効果も相まって、快楽に悶え歓ぶ弁天の姿は淫蕩であり美しくさえある。
そしてかつての頃のまま錆び付いていない剣さばきを見せて危機に立ち向かうという、常に受身だった彼の強い姿を垣間見ることも出来ます。
でも結局、彼が一番求めてしまうのは、その身を男を悦ばせるものに変え色の地獄に落とした憎い沙門…。

お澪の弁天に対する愛憎半ばする感情は、歪んでいるようで納得できるような気もします。
愛しい沙門は彼女を決して愛さないどころか関心すら向けない。そんな男の心を、憎しみというある意味愛よりも根深い感情で独占している弁天は、お澪にとっては憎い恋敵であり同時に愛しい男に愛でられる羨む存在でもある。彼女は弁天を通すことで沙門を感じようとして弁天を弄ぶどころか犯す(!)んですが、私は少なからずお澪に共感を抱く読み手がいるんじゃないのかと思います。
何故なら彼女の視線は、受身の女のそれではなくてBLにおける「攻め」が「受け」に向けるものと同質のものだから。
私はBLを読むとき、男たちの関係性を俯瞰して眺めている感覚で読んでいてあまり登場人物に自分を重ねたりはしないです。しても攻め視点寄りで、受け寄りではないんですよ。それはなんとなく何処かでいたぶられている男を見たいというかなり歪んだ欲望があるからだろうと勝手に推測していますが(汗)、だからお澪の弁天に対する執心や欲望は何となく理解が出来るのです。逆に、彼女が弁天ではなく沙門に手を出していたら、彼女への共感はなかったでしょうね。
そう考えると、お澪は実に山藍作品らしい女性キャラと言えるかもしれませんねぇ。

さて。物語は、3人の男たちが魔道によって不死を得、弁天と沙門は未来永劫互いに憎み合いながら求め合うというもはやお澪の手の届かない次元に去って幕となる。荒唐無稽で有り得ない顛末なはずなのに、違和感がないというかこの物語はそうでなければならないような気分にさせられてしまう筆力はさすが。
番外編の「紫陽花」では、その後江戸を離れ、上方に向かう途中の3人が描かれています。そして、沙門にも不死へと変貌を遂げる兆候が。
「長恨歌」には続編が予定されているらしいのですが、それにはお澪の子孫が不老不死となった3人に関わるのだとか。あとがきを読んでいたら期待が膨らんでしまって、山藍先生がこの冬にでも続きを書いてくれる日が来るよう祈るばかり(笑)

久々の再読でどっぷりその世界に浸かってしまいました。
ただ、…いちばんはじめの版で読んできた私としては、「長恨歌」のイラストは、舞方ミラさん以外には考えられないのですよ…。水上シンさんの絵は、ちょっと濃ゆいです。。着物の柄まで原文に忠実だったりと、細やかなんですけれどもね。。
イメージが固定してしまっているのは、舞方さんがこの作品を何度か漫画化していることも影響しているのかも。同人誌「花闇」収録の「曼珠沙華」、白夜書房刊の「山藍紫姫子の世界」収録の「雪椿」、同じく「山藍紫姫子の世界 Part 2」収録の「夢想の符」と、どれも麗しくて忘れ難いのです。
そんなぼやきはさておき、普通のBLとはひと味違うエロスの世界を堪能したい方はぜひ。

 ・「長恨歌 上之巻 蛇性の婬」

「長恨歌 上之巻 蛇性の婬(新装版)」 山藍紫姫子 / ill.水上シン

お澪は、ある日、謎の美剣士・沙門に命を救われる。男の魅力にすっかりのぼせあがり、ひそかに沙門の後をつけるお澪。やがて廃寺で、沙門と怪僧鉄に飼われる、高貴な“性奴隷”弁天をみつけるが…。

山藍さんの名作「長恨歌」が復活です〜!
「長恨歌」は1992年に同人誌で発表されて、その後1994年に白夜書房(イラスト/舞方ミラ)から1999年にコアマガジンのバニラ新書(イラスト/みなみ恵夢)から刊行されていて、商業では今回(イラスト/水上シン)で3回目の、嬉しい復刊です!

享保期の江戸。江戸で一番の器量良しで大店の油問屋のひとり娘・お澪は、ある時無頼漢に絡まれていたところを美剣士・沙門(攻1)に助けられ、彼に恋をしてしまう。
純で一途な想いのまま、お澪は男の住む廃寺まで押しかけるが、そこには女のように美しい青年・弁天(受)と淫らに交わる沙門の姿があった。愕然とするお澪だがそれでも沙門への想いは冷めず、しかし男はそんな娘をまるで相手にはしない。お澪の愛しい男に自分を見てほしいと切望する想いは日増しに強くなり、そしてその情人である弁天に憎むと同時に羨むという屈折した思いを抱く。
そして沙門が弁天を廃寺の主の大男・鉄(攻2)と共有していることや、弁天とは実は敵同士だということを知り…。
 
…とまぁ、お澪の、つまり女の視点でお話は進んでいきます。そう、男たちを見付けてのぼせ上がり真っ直ぐな執念で彼らを追う、その顛末がほとんどお澪の視点から描かれているんです。数あるBL作品の中でも女性の視点から語られたものなんてこれくらいじゃないでしょうか。
この話がもし弁天と沙門と鉄3人の話だったなら、単純に耽美な時代モノSMだったでしょう。でもそこに、お澪という娘が関わることで他にはない一風変わった作品になっています。
そしてお澪が乱入してきたことで、愛憎入り混じらせながら快楽を貪っていた男たち、彼女さえ現れなければ自分たちだけで倒錯したSM的世界を繰り広げていられた彼らの関係にも、色々邪魔が入ることになる。まずからしてお澪がそうだし、その父親の宗左衛門まで首を突っ込んできて…(笑)。
下巻では更なる波乱が待っています。

お澪の迫力や執念にばかり目が行ってしまいましたが(汗)、受けの弁天はエロいですよ(笑)。
もともとは身分のある身で腕も相当たつ男なのに、そんな彼が、左胸にはかつて沙門に斬りかかられた痕、右の胸には折檻で付けられた金環、そして背には艶かしい弁財天の刺青と、どこまでも男を悦ばせる躰に作り変えられている様は壮絶にエロい(笑)。彼は沙門から鉄からお澪から他からも、求められ弄り尽くされてしまうという壮絶さ。ちょっとなよなよ儚い感じなので、まぁそれにはちゃんと理由があるんですがもうちょっと凛々しいくらいがちょうどいいかなとは思いますけれども、私は山藍作品一やらしい受けだと思っています!
その弁天と沙門は敵同士であり憎しみ合うことで結びついているという歪な間柄なのですが、これを読んでいると深い憎しみは時に愛にも似たものなのかと思わされます。
その他時代背景はもちろん衣装やアレに使う小道具までもちゃんと取材もされていて時代モノの雰囲気たっぷりです。登場人物の喋る言葉も時代がかっていてそのあたりはさすが山藍さんですね。
ただ、プレイ的には縛ったり薬使われたりでSMっぽいというか、免疫のない方には痛いかもしれません。

さて。
沙門と鉄と弁天―この3人は仲良く快楽を共有するために共に行動しているわけではなく、特に沙門と鉄は何らかの利害関係にあるらしい。それが何なのかは上巻では明らかにされていませんが、ヒントは鉄がそれとなくぽろぽろしゃべっていますので、わかる方にはわかるかも。
お澪の情念の深まる様子はサブタイトルにもなっている雨○物語から採られた「蛇性の婬」の女の情念と重なるかたちで描かれていて、不穏ささえはらみつつある。男たちは、彼女の本当の怖さをまだ判っていません。さてこれから男たちは逃れられるのか…? それとも? なところで上巻は幕。
どうでもいいんですが、この間読んだのが「道○寺」かと思えば次はそれを元にする「蛇性の婬」…。狙ったつもりはなかったんですが(笑)、情念ものが続いてしまいました。。

 ・「長恨歌 下之巻 青蛾」