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  • 2014.07.28 Monday
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「王朝恋闇秘譚」 山藍紫姫子 / ill.小林智美

時は平安王朝時代。高貴な家に生まれながら、政変に巻き込まれ離ればなれになった綾王と吉祥丸の兄弟。寺から寺へ高値で売買され高僧に体を捧げる笛人に身をおとした兄のもとに、ある日雅な文が届く。今宵、お迎えに参ります、と。しかしそれは巧妙に仕組まれた罠だった。時代に翻弄された美しき兄弟の確執の行方は?そしてあの日の慟哭の別離の真相とは?めくるめく禁断の官能と真実の愛とを描き切る究極の耽美世界。

ここのところ何度めやらの山藍さんブームが来てまして(笑)、この作品も10年ぶりに再読してみました。
昔読んだのは2002年に角川書店から出ていたハードカバー版(イラスト:水上有理)でしたが、今回は文庫化した新装版を。全体的に大きな加筆修正はなかった印象です。
実の兄弟ものな上に稚児弄りあり陵辱あり複数プレイありと禁忌は一切ナシ! な王朝ものです。

綾王(受)は高貴な生まれですが子供の頃に政変に巻き込まれてしまい、弟の吉祥丸をかばって寺の中童子(稚児みたいな僧のお相手をする存在。山藍さんのオリジナルです・笑)に身を堕とします。
その後も高級男娼の笛人(これもオリジナル)となって受領に囲われ、色欲の世界に溺れた生活をしていましたが、ある時「お迎えに参ります」という文を送ってきた謎の男によってさらわれてしまう。男の正体は、今は中将に登りつめた生き別れになっていた弟、かつての吉祥丸(攻)。中将は色欲に堕ちた兄を憎み陵辱してしまいますが。

実は、私の読んだ山藍作品第一号はこの作品でした。
購入した帰りの電車で読もうとして(カバーはかけてもらいましたよ!笑)、のっけから綾王が寺の僧都ジジに仕込まれているあのシーンだったのにびっくりしてしまい、あわてて閉じたことは忘れもしません(笑)
…しかしこの作品を一般書籍と同じ体裁で出した当時の角川書店、今考えるとなかなか凄いですよね(笑)。当時はこれがふつうに一般文芸の棚に並んでいたことを思い出します(笑)。
というわけでそんなエロエロなシーンの初めから最後まで、綾王があの手この手で責められてしまう、とってもエロい王朝絵巻です。

綾王は薄幸の麗人ですが、子供の頃僧たちの相手をしているところを弟に見られてからは、一方的に辱められるならばいっそ相手の快楽ごと支配してしまえと閨房では男娼の顔になるしたたかさを持つようになっています。
中将の命令でその部下たちに陵辱されたときでさえそうです。
ところが相手が弟である中将となるとそうはいかず、禁忌を犯してはならないと抵抗するあまり取り繕う余裕がすっかりなくなってしまうんですね。ある意味素の自分をさらけ出してしまっている。
で、体を重ねているうちにどんどん深みにはまってしまうという状況に陥って、相手は実の弟なのにと愕然としてしまう。
中将の方も、最初は憎い兄を犯して気を晴らすつもりが、気が付いたら兄の甘美な肉体に溺れてしまうという予想外の事態になって困惑してしまいます。
若くて勢いはあるけれども経験は少ない弟が、男娼として仕込まれてきた兄の体がもたらす快楽に骨抜きにされてしまうというのは、シチュ的においしくて萌えてしまいます(笑)。逆に、記憶の中の幼い弟しか知らなかった兄が知らぬ間にたくましい男になっていた弟に戸惑わされる、というのもいいです(笑)。
ふたりはこのまま愛欲に溺れながら和解していくのかと思いきや、途中で邪魔が入ってしまいます。
中童子だったころの綾王を見初め、以来執心している式部卿宮が、中将から綾王を奪ってしまう。
でも、宮さまの相手するときの綾王はただの「囲われた男娼」に戻ってしまって、それが宮さまにはなんとも物足りない。結局綾王を乱れ狂わせるのは、弟ただひとりだったというオチです。

実は、どろどろしがちな兄弟ものをはじめとする近親相姦モノは苦手なんですけれど、この作品は愉しめました。愉しめたからこそその後他の山藍作品もどんどん読んできたんですよね(笑)。
何故と考えて、これ、兄弟もののわりにはあまりどろっとしていないからだろうなと思いました。
弟が兄を執着するよくある兄弟ものですが、けれども弟の執着心を書き込みすぎておらずどろどろした印象が薄いのです。変わって、細部にわたるまで王朝ものらしい雰囲気や道具使いがお話を彩っていて、お話に深みを与えています。バランスが絶妙なのです。
そして長く生き別れていた綾王と弟が久しぶりに再会して昔とは違うことに戸惑ったり、個人的においしい部分が多かったこともポイント高し! という感じです(笑)。
ただ、ラストがちょっとご都合主義的すぎるというかもう一捻りあればなと思わなくもないのですが。

エロシーンはとっても濃いです。のっけの仕込みシーンに始まり、陵辱、輪姦、SMとよくまぁこんなにバリエーションに富むものだと感嘆してしまうほどです(笑)。特に終盤のプレイは凄い発想だと思います!
そしてなにより、桜、琵琶、蛍などなど、王朝物ならではの道具使いが効いてます(笑)。というか、よく思い付きますねっ!
というわけで、受けが攻め以外に犯られてしまうしその場面は濃厚に描かれてもいますので、そういうのが苦手な方はご注意ください。
でも輪姦シーンも綾王が相手を手玉に取っていたりするので酷い印象はなく、むしろとてもやらしい感じです(笑)。
私はといえば、BL作品の本格的な出会いの一冊だったたこの作品がスタンダードになってしまっていて、その後他のBL小説を読むようになりいろいろタブーが多いことに気が付いてびっくりというか物足りない思いをよくしました(笑・最近はだいぶ変わってきましたが)。

というわけで、ある意味王朝文学、とくに「源○物語」のパロディとも取れる作品(笑)。
そんなにボリュームはないにも関わらず、もの凄く濃厚で読み応えのある一冊です。

「色闇(新装版)」 山藍紫姫子 / ill.小林智美

貴くも妖しい色香を持つ美貌の男娼・月弥。盗賊の二代目、犬神の早太郎としてかつて江戸を騒がせていたが、闇の司法官を務めている牙神尚照に正体を見破られてしまう。捕らわれ、犯されたあげくに、密偵となることを強要された月弥は、牙神によって火盗改方・中郷主膳の許に送り込まれる。月弥は中郷に抱かれるようになり、牙神への憎しみを募らせるが―。官能の美を描く、至極の愛の物語。

1998年に角川書店から刊行された作品が、同じく角川書店刊のルビー・コレクション「花宴」(1996年刊)に収録されていた「狗」を加えて文庫化されたもの。
大江戸を舞台にした役人×元盗賊の美少年の捕物帳っぽいお話です。
旧版はだいぶ前に読んだのですが、この文庫版は買ってそのまま積んでいました(汗)。
ここのところ時代ものにはまり気味なので、その気分のまま再読です。内容は旧版とほぼ変わりないですが、細かい部分に修正がされていたのと、最初の方に受けと攻めの養子とのエピソード(笑)が加えられていました。

盗賊・犬神の早太郎の二代目として江戸を騒がせていた美貌の少年・月弥(受)は、元火盗改方の牙神(攻)によって捕らえられ犯されて、その後は牙神の密偵となることを強要され寵童のように扱われています。
牙神は、表向きは隠居していることになっていますが実は密命を帯びて悪事を裁く裏の顔を持っています。
その牙神が目を付けているのが、牙神のあとを継いだ現火盗改方の中郷。不穏なものを覚える中郷の元に、牙神は密偵として月弥を送り込みますが…。

お話は三人称で進むので、月弥の想いも牙神の心情も彼らが追う事件の顛末と共に客観的に見ることになりその本性や本音が見えてきそうでなかなか見えてきません。この読む側をじらせる感じが、登場人物たちの持つ二面性を上手く魅せていると思います。牙神の中郷の、そして月弥の表と裏の顔、そのどれに真実があるのか、ぎりぎりまで掴めさせずよい緊張感が張り巡らされています。
それが、牙神たちが追う捕物と月弥と牙神の恋の駆け引きとをより一層引き立てているという感じ。相手に惚れているのかそれとも欺いているのか、見ているこちらも彼らの策略にはまってしまいそう。
台詞回しや文章に時代ものの雰囲気もよく出いていて、耽美な山藍ワールドというよりは捕物帳という感じです。もちろんBL的捕物帳ですが(笑)。終盤近くの打ち合いは、なかなか迫力があってかっこ良かったです。

月弥は絶世の美少年ですが、元盗賊なだけにただの美少年ではありません。頭は冴え度胸もあれば腕もたつ。おまけに大酒飲みのウワバミときている(笑)。
牙神の密偵となってからは表向きは牙神の寵を得ている可憐な美童という風情ですが、しれっと人を欺いたり粗雑な物言いをしたりと時おり本性が覗いて、そのギャップがなんともいいです。そしてそれが、このお話の大きな魅力だと思います。
山藍さんの受けはどーもなよなよと女々しいというか男っぽい部分のないのが多いので、月弥はなかなか新鮮です。そしてなよっとした受けが苦手な私には、とっても魅力的でした。
特に、いつも改まった口調の彼が女中相手に「いらねぇよ」とかけっこう粗雑な物言いをする姿にもの凄く萌えました…! こんな小生意気な感じの方が美少年は可愛いです!!(笑)
でもそれはほんの少し出てくるだけで、年相応の少年っぽい部分が素の時の彼にはもっとあった方がよかったのになーと思ってしまいました。
そしてその月弥はまだまだ子供なんですね。盗賊の頭だった過去があるとはいえまだたったの16才の月弥は、30を過ぎた牙神には子犬も同然です。
牙神に翻弄され自分はいいように利用されていただけなのかもしれないという思いにとらわれる月弥の切なさと、彼がまだ自分を暖めてくれる誰かを必要とする子供だったという顛末にきゅんときました。
で、ぎりぎりまで本心を見せなかった牙神も、蓋を開けてみたらな展開でよかったです。彼は、始めは自分の想いの正体を掴んでいなかった、いや気付いていたけれども敢えて直視していなかったのかもしれないですね。
月弥にはこの先はどんどん成長して、牙神をやり込めるくらいしたたかになってほしいですね〜。

エロは、山藍作品の割にはそうハードではないです。縛られてて折檻…という部分もありますが、珍しく(?)その場面は直接描かれずそういうことがありました、と触れられている程度。
地雷があるとしたら、月弥が密偵先の相手・中郷とも関係を持ち、その濡れ場がけっこうしっかり描かれていることでしょうか。強姦ではないとはいえ、受けの攻め以外とのシーンがダメな方にはちょっとしんどいかもです。。

終わりに収録されている「狗」は、本編の前のお話、牙神が月弥を捕らえた顛末を描いたもの。本編よりこちらの方がエロ面では、縛り上げられた上に前を括られたりお酒で責められたりとかなりハードです(笑)。苦手な方はどうぞご注意を!
でも、時代ものがお好きな方にはオススメの一冊です^^