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  • 2014.07.28 Monday
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「編集長の犬」 鳩村衣杏 / ill.佐々木久美子

「―おまえはMか?いや、バカか」この世のものとは思えないほどの美貌の男に罵られ、冷たくされ、大和の心は…ときめいてしまった。これは、恋だろうか?印刷会社で営業職に就く大和は、新規担当の『ジョイント』編集部にて、運命の洗礼を受ける。編集長の佐治は、恐ろしいほど整った顔と歯に布着せない物言いで、ひたすら大和を翻弄する。困惑する大和だが、彼の仕事に対する姿勢に心揺さぶられ、尊敬は恋心へと伝播して―。

「部長の男」のスピンオフというかリンク作? 攻めが同じ印刷会社の社員という以外はあまり被っていないので、これ単体で楽しめる内容でした。
今回は、元プロ野球志望だった印刷会社営業×偏屈者で有名な出版社の編集者。
「部長の男」の康太もちょっとだけ顔を出しています。

かつてプロを目指していた野球の世界への未練を残したまま、印刷会社の営業として働くようになって3年になる大和(攻)。
仕事への情熱を抱けずにいる彼が初めて大手出版会社の雑誌の担当を任されることになりますが、担当編集長の佐治(受)は優秀だけれども偏屈者で有名で、案の定初っ端から失礼な対応をされて頭にきた大和は自分の立場も忘れて反抗してしまい、最悪のスタートをきることになります。
けれども、共に仕事をしていくうちに佐治の仕事に対する真摯な姿勢や意外な優しさを知ってその印象が変わっていき、また佐治に触発されるように大和の仕事への想いも変化していく。
やがて大和は、自分の佐治への想いが尊敬から恋に変わっていることに気が付きますが…。

タイトルにあるように、大和は大型犬タイプですが、佐治に何度も突っ込まれているように若干マゾ犬タイプですね(笑)。「体育会系はみんな、そいういう部分(Mっ気)がないと続かない」って、確かにそうかもしれないけどさ(笑)。
そんな大和の視点でお話が進むので、マゾ犬っぽさ全開で一人勝手にぐるぐるしたりおかしな妄想してくれたりと、何というか全体的にコミカルで楽しかったです。こういうキャラ、けっこう好きかも。
そしてやっぱりBLは攻め視点の方が美味しい(笑)。
佐治は最初のパワハラスレスレの対応に大和同様引いてしまってついついドSっぷりを期待してしまいましたが(笑)、ドSというよりは男前な感じでちょっと残念。←
いやだってこのタイトルなら美貌のドS編集長を期待するでしょう!(笑)男前受けは大好きなんですけどね。

お話は、BLというよりはお仕事ものという感じです。それこそ作家さんがあとがきで仰られているようにビジネス書にでもなりそうな(笑)。
もう断たれた道だと解っていてもプロへの未練を捨てきれないでいた大和が、辛辣ながらも温かな言葉をくれる佐治と仕事をするうちに印刷業という今の仕事に段々向き合うようになっていくのは、お話としてはとても面白いです。
大和のジレンマはプロ野球なんて大きな舞台じゃなくてもちょっとした挫折の経験のある人ならよくわかるものだと思いますが、彼がそれを振りきってひとりの社会人として成長していく過程に好感が持てました。

でも、「仕事」の意味を教えてくれた佐治になぜ大和が恋をしてしまうのか、そこら辺が説明不足というか唐突な感じで残念です。
大和の佐治への感情がいつの間に恋になったのかがわからなかったし、何よりゲイじゃない大和がいくら相手がきれいだからって男に惹かれるのが謎すぎる。。
BLだからなにがなんでもふたりの間にラブが芽生えなければいけないというお約束を守っただけのようにも見えて、このあたりの滑らかな接続は難しいんだなと思ってしまいました。
お仕事パートがいいだけにすごく残念です。

そんななのでHシーンは最後の一回だけですが、佐治が年上&男前なのでポジション争いしちゃっているのが楽しくて、けっこうイイ感じでした(笑)。
佐治が最期までデレないのも個人的には好きかも。そしてあんな場面で「精神論はいらん」とか言うのには吹いてしまった(笑)。
でも、前の「部長の男」がリバだっただけについつい今回もそうならないかといらぬ期待をしてしまって、それだけにリバがないことに残念…。
って、ないのは当たり前なんですけど;

というわけで、面白いおお話だったんですけれど色々物足りないものもあったので★3つです。
あと、イラストがリーマンというより学生みたいでイメージに合ってない…。特に佐治、服装やフシギな髪型がどうしても小説にある「稀に見る美貌の」編集長には見えなくて残念でした。

「部長の男」(リンク作)

「部長の男」 鳩村衣杏 / ill.佐々木久美子

水科康太という純朴な青年を、一人前の使える男にすること…それが、出世を条件に、印刷会社広報部部長・日下部に課せられた任務だった。容姿に恵まれ処世術にも長け、仕事も恋愛も順調な男盛りのゲイである日下部にとって、真面目だが無愛想で目つきの悪い康太は、食指も動かない取るに足らない相手。しかし彼から予想以上に懐かれ好かれて、ペースを乱される。一途な想いをいじらしく感じた衝動で、日下部は康太を抱いてしまい…。

リバもの、というウワサを聴きつけて手が伸びました(笑)。BL版マイ・○ェア・レ○ィなお話(笑)も、とっても面白くて読み応えありました^^

印刷会社の広報部部長を務める日下部(攻)は39歳になるゲイで、能力があるだけに出世欲もある男。そんな彼に社長の安田が、取締役に就く代わりに工場から引き抜いた青年・康太(受)の教育係を任される。
康太は実は安田の初恋の人(純粋に憧れの存在で愛人だったとかではない)の忘れ形見で、できれば実の娘と一緒にさせたいと一方的に考えている存在。
出世のため、と日下部は23歳のわりに擦れていない、真面目でちょっと要領の悪いところのある康太をどこに出してもおかしくない男に仕立て上げようとしますが、裏の事情を知りもしない康太は日下部に必要以上に懐き、ゲイであることをカムアウト。おまけに日下部を好きなのだと言い出し、気が付いたら日下部もそんな彼に惹かれていくようになってしまい…。

お話は日下部視点で進んでいくのですが、彼から覗う康太ときたら一途で純な乙女ワンコで可愛すぎて、日下部がついくらっときてしまうのも頷けます(笑・図体はでかいですけれど)。しかも童貞くんときたっ!
自分の好みじゃない、と思いながらもそんな康太を見ていると、ついつい「かわいい」と父性本能(?)が刺激されてしまうのでしょう(笑)。
で結局康太の情熱に押し切られてしまって日下部は彼を抱いてしまうのですが、その時のセリフが「私が君の最初の男になってやる」。
そう、「好きだ」という気持ちを伝えないまま関係を始めてしまい、最初から大きなボタンの掛け違いが起きてしまっているんですね。
おまけに日下部は社長の安田から任された重要なミッションを帯びてもいるわけで、これどう転ぶんだろうかと目が離せなくなりました。

そして全てを知ってしまった康太が憤りのあまり、…リバになだれ込んでしまうのです。
康太の気持を考えたら、そうなるのも仕方ないなぁと思える展開なので無茶な印象はありません。

そんなマイ・○ェア・レ○ィな部分とお仕事BLな面が恋愛面に上手く絡んで展開して、お仕事のパートの比重が大きいにも関わらず萌えも充分な内容です。
仕事の部下として育てていくのと平行して、ウブな童貞くんを手取り足取り…というのも何か萌えます(笑)
あと初恋は実らない云々が…!(笑)
康太は最後まで可愛かったです!

本編の後のSS「可愛い男」では、ふたりの立場が月に一回程度変わるようになったその後のふたりが描かれていて、ありがちな一回限りのリバではなかったのか! とニヤニヤが止まりませんっ。
リバは地雷な方が多いようですが、個人的にはこれこそ男同士でしか成り立たない醍醐味だ! …と思っていたりします(少数派?汗)。
リバ、もっと増えればいいのに…。

小説Chara vol.25

雑誌をもう一冊。感想書くタイミングを逃していた小説キャラのvol.25です。
のろのろしていたらもう次号の発売が近付いていますね(汗)
キャラは毎回豪華なので手が伸びてしまいます(笑)。全サが逃せない! っていうのもあるんですけれどね。

というわけでざっと感想書いてみます。
でもキャラの看板シリーズの「フレブラ」と「間の楔」は本編を読んでいないので;番外編ショートも読んでいません。。すみません。。。

 ◇ 小 説 ◇

「シガレット×ハニー」 砂原糖子 / ill.水名瀬雅良
 ★★★★★
ヘビースモーカーなクールビューティ受けと年下ワンコ攻めのお話。
名久井(受)は仕事の後輩の浦木(攻)に片思い中ですが、ノンケの浦木は彼女にふられては愚痴ってくる上にホモは気持ち悪いと言う始末で叶わぬ恋だと思っています。けれどもある時苛立つままセフレとやっている現場を浦木に見られてしまい…。
名久井のキャラがいいです! 恋愛相談してくる浦木に「エッチがヘタ」だからだとか言っちゃっいながら(笑)、諦めきれない恋に苛立ってニコチン中毒がひどくなるとか(笑)。
すれ違いは切ないわけっこうエロいわで、とても読み応えがありました。
実は砂原さん初読みだったんですけれど、これは文庫化したら絶対購入する! と決めてしまったくらい面白かったです^^

「Bitch's breakfast」 水原とほる / ill.佐々木久美子
 ★★★☆☆
倦怠感に包まれた大学教授と美青年の、ちょっとコワイお話。途中から本当に猟奇的な方向へ行ってしまうんじゃないのかとヒヤヒヤしましたが、さすがにそうはならず安堵。でも、よくよく考えたら攻めの執着は狂気ぎりぎりな感じがしなくもないラストです。

「キミと見る永遠(不浄の回廊シリーズ)」 夜光花 / ill.小山田あみ
 ★★★★★
今号はこれが目当てで購入したようなもの(笑)。大好きなシリーズの続きが読めて嬉しい限りです^^
プチ旅行に言った先で西条が霊に取り憑かれてしまい…な怪事件から始まって、解決過程で歩がシリーズ通してどうするつもりなんだろうかと引っかかっていた将来のことをちゃんと考えて決断するまでのお話。いつも通りに笑わせてくれて、エロ度も高めです(笑)
その後どうなるのかは、文庫化した際の書き下ろしで読める日を待っています。
にしてもこのふたり、実は西条の方がもはや歩なしではダメなくらいメロメロ(笑)なんじゃ…と思うラストでした。

「眠れる森の博士」 いおかいつき / ill.葛西リカコ
 ★★★☆☆
恋人を亡くした主人公の前に、生前の恋人が残したクローンが現れ、恋人に瓜二つだけれどもそのもではないクローンに戸惑い…というちょっとSFチックなお話。ですがふつうの日常の中で静かに進んでいく感じで、派手な内容ではありません。
クローンが出てくるSFものが好きな私は、この作品の中途半端さが気になってしまいました;まぁ、そこはBLですからこういう風になるのはわかるんですけれども、どうせクローン登場させるのならもっとクローンという存在を掘り下げて欲しかったなぁと思ってしまいました(求めるも部分がだいぶズレているのはわかってます、はい;;)。

「幽霊屋敷の存続人」 神奈木智 / ill.禾田みちる
 ★★★★☆
本好きの高校生・千尋(受)は、ひょんな事で知り合った謎の男・誠一郎(攻)から希少本を貸す代わりに街で有名な幽霊屋敷の掃除アルバイトを頼まれるのですが…。
本好きなためか(笑)、「本」をめぐるお話そのものにけっこうはまってしまいました。BL要素は薄めですが、この雰囲気にはこれくらいがちょうどいいのかなと。
作中に登場する花のお話も幻想的でいいなと思いました。

「公爵様の羊飼い 7」 秋月こお / ill.円屋榎英
最初を読んでいなくて今さらついていけない(汗)ので、読んでいません。。

 ◇ 漫 画 ◇

「不機嫌な猫王子」 夏乃あゆみ / 原作:榊花月
 ★★★★☆
榊花月さんの「不機嫌なモップ王子」の漫画版番外編。
本編は読んでいないのですが、漫画はコミカルで面白かったです。夏乃あゆみさんのちょっと不思議な感じの可愛い絵柄がお話によく合っていました。

お目当てだった夜光さんの「不浄の回廊」シリーズのみならず、砂原さんと神奈木さんの作品が面白くて、文庫化したら買うと思います。
次号は英田サキさんの「ダブルバインド」番外編(しかも新藤と葉鳥の!)だというので、見逃すわけにはいかないです…!

「40男と美貌の幹部 2」 海野幸 / ill.佐々木久美子

「 ――……上手く誘えなくて、ごめん 」 年下の上司・篠宮と恋人同士になった宗一郎。その美貌にもかかわらず恋愛に初心な篠宮は、仕事中の完璧な姿が嘘のように初々しい反応で宗一郎の理性を崩壊させていた。
だが、宗一郎が昇進試験で多忙になったとたん、幹部候補生の神谷が篠宮に急接近。年甲斐もないと自嘲しつつも、気心の知れた二人の様子に湧き出る嫉妬心を抑えきれず…。そんな中宗一郎は、神谷が篠宮を口説いている現場に遭遇してしまい――。

40男の部下・宗。郎(攻)と美貌の上司・篠宮(受)のお仕事BL第二弾。
前作から数ヵ月後、クリスマス商戦と昇進試験に追われ、宗一郎は篠宮と恋人として過ごす時間もないくらい慌ただしい日々を送っています。
そこに篠宮の同期であり幹部候補生でもある神谷という男が現れて、助言をもらいたいという名目で頻繁に篠宮の元を訪れるようになる。
神谷は篠宮とはまるで違って押しの強い感じで、それを武器に自分の堀を固めていくタイプ。宗一郎はそんな神谷が篠宮サイドの優秀な人材の引き抜きを行なっているらしいことに気が付き愕然としますが、さらに神谷が篠宮を口説いているところを偶然聞いてしまう。その時の篠宮の返答が宗一郎を打ちのめし…。
…と、仕事に打ち込むあまりお互いにすれ違い思い違いをしてしまうという展開なんですけれど、これ3角関係か!? と思っていたらそうではありません。実は優秀な部下である宗一郎が、当人ばかりが自分の価値に気付いていなくて起こった騒動なのですね。読み手もわりと早い段階でそのことに気が付ける内容なので、まぁ読んでてヤキモキします(笑)
というわけで前作同様ラブ面よりもお仕事面のお話がメインという印象です。会社内の組織のこととか宗一郎の社会人としてのかっこ良さとかとても丁寧に描かれていて読み応えはあるんですけれど、…やっぱり萌は低めでした。。
三角関係とか恋の駆け引きや甘い展開を期待すると、ちょっと違うかもしれないです。

上司の時は完璧なのにそれを取り払って素になると不器用な篠宮は相変わらず可愛いいです。宗一郎がメロメロになってしまうのも仕方ないです(笑)。
で、やっぱり宗一郎は、もっとオヤジなキャラの方がいいのになーと思ってしまいました(苦笑)。いやすごく魅力的な大人の男なんですけれども、何というかスマートすぎる…。高級化粧品会社の社員としてはこれで正解なんでしょうけれども、オヤジ好きな私はちょっと物足りないのでした。

 ・「40男と美貌の幹部」(シリーズ一作目)

「ヌードと恋と家庭訪問」 朝香りく / ill.佐々木久美子

不登校の生徒・笠嶋香奈目の家庭訪問をした新米教師の未月。訪れた豪邸に親はおらず、保護者代わりは破天荒な叔父だった。画家だというその男・雅道は全く未月に取り合わず、ヌードモデルを強要してくる。言いくるめられて脱がされて、果ては強引にイかされ…!? その上「現場」に出くわした香奈目も加わり、二人に弄ばれながら不覚にも週一でモデルをすることを承諾させられ!!!? その日から、未月の受難は始まった――!

こういうカバーイラストを目にするとつい3Pものかと思ってしまいましたが、そうではなくて三角関係ものでした。

ちょっと熱血漢気味の新米高校教師・未月(受)は、初めて受け持った自分のクラスの不登校生・香奈目を登校させようとその自宅を訪れます。香奈目の家はものすごい資産家で、未月を待っていたのはとんでもない豪邸。けれどもそこに香奈目の両親はおらず、変わりに出てきたのは香奈目と同居しているという叔父・雅道(攻)。画家だという雅道はガタイのいい狼男みたいな風体で、未月をまるで相手にしない上、香奈目に会いたいならヌードモデルになれと強要してきます。
自分の受け持つ生徒のためと未月はそれを受け入れますが、もちろんただヌードモデルをやるだけでは終わらず(笑)、雅道にイタズラされてしまう。しかも間の悪いことに、そこを香奈目に目撃されてしまいます。
香奈目は引きこもりタイプではなくて、学校に来なくなったのは退屈だからという理由の芸術家タイプの優等生。…なんですが、外面はものすごく慇懃なのに裏ではちょっと何を考えているのかわからない感じです。
その香奈目がなぜか未月を気に入ってしまい、自分が学校に行く代わりに毎週日曜日にここに来てヌードモデルをしろと言い出す。
それで仕方なしに未月は毎週ヌードモデルをしに足を運ぶ用になるんですが、そうして見えてきたのは、香奈目もその保護者である雅道も、芸術志向は強いけれど掃除やご飯もまともにできないほど生活能力や常識のないという事実。
未月は持ち前のおせっかいで、彼らの生活習慣を変えさせることがまず必要だとあれこれ世話を焼き始めます。
そんな中、始めはただ未月を鬱陶しがっていた雅道に変化が現れる。
裕福だけれども幼い頃から「温かな家庭」というものに縁のなかった雅道は、未月に初めてそれを感じるんですね。ただ未月の作ったお味噌汁を食べたいという理由だけで未月の家に押しかけたりする姿は可愛いというか、何だか微笑ましいです。
そんな雅道にいつの間にか未月も心惹かれていくんですが、同様に未月を狙っている香奈目が邪魔をして…という三角関係です。が、ちょっと香奈目の存在が中途半端だったのが残念。

そんな、どうしようもなく常識なしでだらしのない人間に見えた雅道も、そして香奈目も、実は正式な場では評価されている人物だった、というのがポイントかな。
最初の方で、未月の一方的なおせっかいや熱血漢ぶりが鼻につくなぁと思ってしまって、単純に雅道と香奈目が彼によって更正させられていくお話なのかと思ったら、常識的に生きていかざるを得なかった未月のことが判りその未月自身も彼らと関わることで成長していくお話だったのが良かったです。

「40男と美貌の幹部」 海野幸 / ill.佐々木久美子

「君が欲しくて仕方がなかった」―勤続十数年。突然のご指名で支店勤務になった上城宗一郎を待ち構えていたのは、七歳も年下の美貌の上司だった。幹部候補生という社内でも特別なエリート社員である篠宮辰樹は、一分の隙もないスーツ姿とは裏腹な、艶かしいほどの色気と掴みどころのない性格。しかも、接客の練習としてまず篠宮自身を口説くよう命令してきて!?風変わりな上司に翻弄され、なぜかときめきを覚えてしまった四十男の運命は…。

化粧品会社のエリート幹部候補生×彼に引き抜かれた四十路の部下のお話。
評判がいいので読んでみました。

訪問販売を専門とする高級化粧品会社に務めて十数年の40男・宗一郎(攻)は、ある日突然エリート幹部候補生の篠宮(受)に引き抜かれ、7つも下の彼の元で働くことに。
篠宮はちょっと変わってる上とんでもない美貌と色気のある男で、彼の振る舞いに宗一郎は戸惑います。更には「君には色気が足りない」と、接客の練習と称して自分を口説いてみろと言われ、宗一郎は翻弄されてしまうばかり。
ところがそんな篠宮の仕事を離れた時に見せた頼りない姿に、宗一郎の心が揺らぎ始めます。
 
このお話、何をおいてもまず篠宮のキャラがいいです。
男に色気などあるのかと問う宗一郎に「では、私は?」と見つめ返す場面なんて、悩殺ものな気がします(笑)
そんな、仕事での上司としての面は色気たっぷりなのに、いざプライベートとなると何処か頼りない風になってしまう篠宮の二面性がツボですね。彼が順風満帆に出世街道を歩んできたわけではないという意外な側面が見えてきてからは、仕事での姿は彼の精一杯なのかと思うと可愛く思えてくるというか。
そんな彼が宗一郎を欲しがった理由が明らかになったときはもうきゅんときてしまいました。
対する宗一郎は、冴えないダメなオヤジがイイ男に成長していくみたいな話だと思い込んでしたせいもあるんですが(汗)、けっこうスマートな紳士といった感じで物足りないというかもうちょっとくたびれた感じでもよかったかな。せっかく40男であることを強調しているのだし、オヤジらしさを堪能したいのですよ。。
まぁ、実は包容力のある男・宗一郎の力を得ることで篠宮は試練を乗り切っていく、という展開なんですが、全体的に甘い恋模様よりも仕事の場面が多い印象なのでちょっと物足りない。
続く後半の「キスの代わりに」は、女性販売員たちの慰安沖縄旅行に同行したふたりのお話で、薫という若手の販売員が関わってくることでふたりの関係がこじれてしまうんですが、最後はまぁ甘々な顛末です(笑)
 
いいお話だとは思うのですが、何というかもう一押し欲しかった読後感でした。

 ・「40男と美貌の幹部 2」(シリーズ2作目)

「シナプスの柩」上下 華藤えれな / ill.佐々木久美子

両親を亡くし、大学三回生の時に天涯孤独となった桐嶋水斗は、日本心臓外科界の権威である長山の援助を受けて医師となった。だが、援助の代償に長山の下で働くことと躰を求められ続けていた。長山から逃れたいとの思いが募る日々の中、NYから敏腕外科医の樋口が赴任してくる。彼の天才的な医療技術に心酔した水斗は技術を教えてもらうことになり、いつしか樋口に惹かれていくが―。
 
「あなたは僕を愛していない」が良かったので、こちらも手にとってみました。
2001年〜2002年にかけて小説エクリプスに掲載された本編に、上巻に「水棲類の夢」、下巻にふたりのその後を描いた「幸福の領域」が書き下ろされてました。

心臓外科の権威・長山のもとで働く桐嶋水斗(受)は、両親を亡くした自分に医者の道に進めるよう援助してくれた長山への恩から、彼に仕事での研究成果を奪われ、更には躰を好きなようにされていることを受け入れている。けれども追い詰められいく苦しさから長山から解放されたいと望むようになり、ちょうどNYから赴任してきた敏腕心臓外科医の樋口(攻)を利用して、上手くNYに逃げようと考える。ところが利用するつもりで近付いた樋口に、どうしようもなく惹かれてしまう。
樋口も長山にいいように利用されている水斗を哀れに思い始めた頃から水斗に惹かれ、ふたりは互いを求めるようになるが、それを知り激怒した長山が樋口の前で水斗を抱くという暴挙に出たために、樋口にいちばん見られてくなかった姿を見られてしまった水斗は、堪えられずに飛び降り自殺をはかってしまう。
何とか一命を取り留めたものの、水斗は記憶を失ってしまい責任を感じた樋口は彼の面倒をみることを決意、北海道にいる友人の脳外科医・海堂の元へ向かう。
それから樋口が幼児のように言葉さえも分からなくなってしまった水斗を育てていくようになるところからが本編の始まり、という感じです。いろんなしがらみに追い詰められ壊れてしまった水斗の再生のお話、ということでしょうか。

水斗が長山から性的な行為を仕掛けられたり追いつめられるとき「ウィルスに細胞が侵食される」錯覚に陥ったり、北国の湖が記憶を失った水斗の心理状態を表していたりと、象徴的な表現が効果的に使われていて、どこか幻想的な雰囲気です。
また、樋口の神業のような執刀技術に心酔した水斗が「死んだらこの指に解剖されたい」と思うところなどは、ちょっと倒錯した感じでたまらないですね。
そんな耽美的で幻想的な雰囲気が全体に流れていますが、文章に飾りが多いとか読みにくいとかは思わなかったです。むしろさらっと読みやすい印象。

ただ、個人的には最初の、記憶をなくす前の水斗の如何にも医者っぽい発言と、それに戸惑った反応をする樋口が好きだったので、幼児化して無防備になってしまった水斗とそんな彼を過保護に慈しんでく樋口というシチュには、あまり萌えられませんでした。これはもう好みの問題でしょうね…。もうちょっと最初の頃のふたりのやりとりが見たかったです(笑)。
そしてノベルズ上下巻でボリュームもあり医療のことやキャラの感情などとても丁寧に書かれてあるのに、話の展開がBL的お約束に溢れていて予想どうりなのが惜しいところ。もうちょっと予想を裏切るような展開だったらなぁと思いました。
あと、佐々木久美子さんのイラストが、雑誌掲載時のものと新たに書き下ろしたものが混じっているようで、何だか統一感のない感じ。それもちょっと気になってしまいました。

スピンオフ作品
 ・「あなたは僕を愛していない」(海堂が主役のお話です)