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  • 2014.07.28 Monday
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「修羅の華」 水原とほる / ill.高緒拾

僧院で修行に励みつつも、魂の片割れとも思うカードマと戯れる日々。そんなアーシャのささやかな幸せは、養父である尊師の死と共に終わりを告げた。母を庇って父を殺害したカードマを救うため、アーシャは欲深い座主に身を任せる。ところがさらに悲惨な事件が起き、カードマは失踪。取り残されたアーシャは、座主の慰み者になっていた。だが、復讐を誓うカードマと再会し―!

あらずじを見た時から、6月に出た「真夏のクリスマス」っぽいお話なのかなと思ってしまいましたが、こちらは悲劇に終わったあちらと違って後半は見事な復讐劇でした。

東南アジアにあると思しき仏法を尊ぶとある国の小さな街。
幼くして孤児になってしまったアーシャ(受)は、寺院に引き取られて座主のルワン尊師の養子になり僧侶となるべく修行を積む日々に身を投じることになりますが、そこで寺院の下働きをしている男の息子・カードマ(攻)と出会い「自分の魂の半分」なのだと思うほど心を通わせるようになります。
しかし尊師の唐突な死の後、寺院は欲深い新たな座主ニキの意のままになってしまい、また金鉱脈の発見で活気付き始めると同時に悪がはびこるようになった街の様子も変わっていく。
そんな中で身を持ち崩した父親をカードマが殺してしまう悲劇が起こり、カードマは大罪とされている親殺しを犯した罪で捕まってしまいます。
カードマを救いたい一心で、アーシャは警察と癒着しているニキに縋りますが、ニキはその代償としてアーシャの躰を要求、アーシャは弄ばれてしまう。
ほどなくしてカードマが戻ってくるものの、ある不審な事故がきっかけでカードマは街から脱走、結局アーシャの前から姿を消してしまいます。
それから6年、アーシャはニキに弄ばれ続け、限界を感じて死のうとしたその時にマフィアとなって街に戻ってきたカードマと再会し助け出され、ふたりは運命を狂わせた存在への復讐を誓うのですが…。

「真夏のクリスマス」が欧州の片隅ならこちらは東南アジアの、同じようにいつの時代の何処ともはっきりしない街を舞台にしたお話。タイトルからしてそうですが、キャラの苦悩や行いなどがいちいち仏法に関連付けられていて、それが仏法を尊ぶ場所でのお話なんだな〜と感じさせてくれます。
孤児の受けが幼い頃に運命の相手である攻めと出会い愛を育むも離れ離れとなり、受けは第三者の慰み者になり攻めはマフィアになって再会を果たすというお話の流れや、受けの設定が東洋の血が入っていたあちらと同様に今回のアーシャも西洋の血を引くような容姿の持ち主として周囲の目を引いていたりして、なんだか舞台を変えた別バージョンを読んでいる気分でした。
けれどもふたりが再会を果たした後の展開がだいぶ違い、これは似た状況でも悲劇にはならなかったふたりのお話でした。

カードマがいなくなったあとアーシャがニキの手から逃げようとしなかったのは、いつかカードマがここに戻ってくるかもしれないという一縷の希望があったから。
そのためにニキの悪行にどうすることもできずにいたアーシャはひたすら耐えるだけの弱い存在に見えましたが、カードマが戻ってきてからは一転、半身が戻ったことで自分を取り戻したように弱さや迷いを無くして諸悪の元であるニキたちへの復讐を果たすべく「修羅の道」を行く存在になります。

アーシャにとってカードマは、「恋人」とか「好きな人」という言葉では足りないほど大切で不可欠な存在という感じが伝わってきて、そんなカードマを救うためにニキに躰を差し出したことやそれでもカードマと離れ離れになってしまったこのは見ていて苦しかったです。
ニキに躰を差し出した時、修業に身を置くばかりに世間知らずなアーシャは本当に何も知らないおこぼで、そこにうっかり萌えてしまいましたが(すみません汗)、あれは本当に気の毒ですね。
さらにアーシャは僧侶でもあるので、教えに背いているという苦しみもあり…。
カードマにとってもアーシャは自分の片割れのような存在なんだろうと思いますが、正直あのままアーシャを残して逃げたらアーシャがニキに弄ばれるだろうことを分かりきっていたカードマが、それでもひとり去ってしまったことにはちょっと違和感が残りました。まぁ、アーシャを連れて逃げるのはあの段階ではムリだっただろうしああする理由もあった上でのことなので、苦渋の選択ということでしょうか。
でもやっぱりあの瞬間、離ればなれになることに絶望するアーシャほどにはカードマはそのことに苦しんでいるようには見えず、その割に再会した時のあの縋り様は…とか(まぁ状況が状況でしたけども)、肝心なところでカードマの心理がよく見えてこなかったのが残念でした。
どうもカードマの軸足が、アーシャを取り戻すことと復讐を果たすことの間でブレているような感じがしないでもなかったです。

立ち向かうべき敵がマフィアではなかったことがふたりの闘志に火を点けたという感じですかね。腐敗しきっている僧侶や警察というのはもうマフィアよりタチが悪くて、同情の余地のかけらもありません。
なので、その末のあのラストにはだいぶ胸がスッとしました。
そんな復讐劇では途中かなりハラハラさせられる部分もありましたが、全体的に盛り上がりに欠ける気がしたのは登場人物から少し距離を置いて書かれているような文体のせいでしょうか。
のめり込むには何か物足りなかったです。

「夏陰 -cain-」 水原とほる / ill.高緒拾

早くに両親を亡くし、姉とふたり慎ましく暮らしていた大学生の雪洋。しかし、アルバイト先のバーで冷酷な瞳の男・岡林と出逢ったことで、それまでの平穏な日常はあっけなく崩壊する。雪洋の清廉な印象を持つ美貌と意外にも強気な態度に心惹かれた岡林は、その体を凌辱したばかりか自分のものになれと言い放ったのだ。暴力団の要人である岡林に刃向かう術もなく、雪洋は決して逃れられない腕へと堕ちてゆくが──!? 小説ピアス期待の新鋭、渾身の書き下ろし長編が登場。胸に突き刺さる執愛の行方は……。

水原さんの昔の作品を〜♪ …と、何とデビュー作であるというこのお話を手にしてみたんですが、、これはちょっと合わなかったです;
やっぱり執着ものはダメらしい。。

苦学生の雪洋(受)はバーでアルバイトをして生計を立てていましたが、そこに気まぐれでやってきたヤクザの岡林(攻)に一方的に気に入られ、その場で犯されてしまう。
その後、岡林は雪洋に「俺のものになれ」と言い出し、ついには拉致同然で生活を共にすることを強要、平凡だった雪洋の日常は一変してしまいます。
監禁状態の中で岡林の歪んだ執着と暴力を受けていくうち、やがて雪洋は岡林へと堕ちていくのを感じ始めますが。

…と、執着ものの王道まっしぐら(?)な内容なんですけれど、肝心のキャラの心理がまったく見えてこないため感情移入も共感もできず、最後までなんかもやもやすっきりしなかったです…。
そういえば水原さんに苦手意識があったのは、イラスト買いで初めて読んだ「午前一時の純真」がこの手の作品だったからだということを思い出しました…。

岡林がなぜここまで雪洋に執着したのか、そして容赦のない暴力を振るってまで従わせようとするような岡林に雪洋はどうして惹かれてしまったのか、このお話を納得するために最も必要なところが抜けていた気がします。
特に雪洋が何を考えているのかがよく掴めなかった。ふらふらと定まらない印象の雪洋の心情がもう少しはっきりしていれば、だいぶ違った印象になっただろうなと思いました。
岡林も不器用な上に壊れている人間なのは分かったけれども、やってることに突っ込みどころが多いしいまいちどこに魅力があるのかがわからないというか…。

こういう攻めが一方的に受けに執着するお話って、どんなに酷いことになってもそれでもお互いを求めざるを得ないことに納得できる理由がないと本当になぜ?? という気分になってしまうんですよね。
執着ものが苦手なのでいまいちノれないのも大きな原因だとは思うんですが、こんな事態になったら普通は最近読んだ 「真夏のクリスマス」「唐梅のつばら」のようにむしろ逃げようとするのが当たり前で、相手に心を傾ける要素がどこにあるよ? と思わずにいられません。
BLではわりとこういう作風が人気のようですが、ちょっと、個人的にホラーにしか見えなくて未だにさっぱり良さがわからないです;

ヤクザものだし何より水原作品なので暴力シーンなども頻出しますが、そこまで痛くはない印象。
ただ、この方の描く痛いシーンは何か求めるベクトルが違うので、痛さの加減以前にどうにも愉しめないのがツライところなのですが;
衝撃の「ウェディングケーキ入刀」は、これもう冗談でしょうという気にさえなってしまいました(汗)。
なんだかんだで、痛い展開に免疫のいない方は気を付けた方がいいかもですね。。

続編出てますが、…うーん、今のところ読む予定はないです。。