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  • 2014.07.28 Monday
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「白夜に青い花」 華藤えれな / ill.高階佑

外交官補の海翔は語学研修にやってきたソビエトで、美しいロシア青年、イリヤと出会った。彼の絵には自由と愛を渇望する想いが込められていた。海翔はイリヤに魅せられ恋に落ちるが、愛した男はソビエトのスパイだった。人を愛する気持ちもエリートの道をも失った海翔は、復讐を誓う。そして7年後、陸軍大佐のイリヤと再会。憎しみを晴らす機会がやってきたのだが……!?

ホワイトハートから華藤さんってなんだか意外な感じがしましたが、スタボリアという架空の国を舞台にした日本人外交官×ロシア系軍人の再会ものという、いつも通りの華藤さんでした。
そして、カバー絵にてっきり日本人受けだと思っていて、逆だと知りびっくり。ここまで分かり難いのは初めてかも。。

ソビエト崩壊直前のモスクワに語学研修にやってきた外交官補の海翔(攻)は、そこで美しいロシア青年イリヤ(受)と出会い、彼の絵のモデルとなる代わりに彼からロシア語を学ぶようになってやがて恋人同士の関係になります。
イリヤの絵に自由への渇望を感じ取り、海翔は彼をなんとか亡命させてやろうとするのですが、実はイリヤはソビエトのスパイであることが判明し、イリヤの裏切りによって海翔はエリートの道を閉ざされてしまいます。
それから7年、ソビエトが消滅した後にできた新興国スタボリアに赴任した海翔は今は陸軍大佐となったイリヤと再会し、この時のために外務省に残り都合のいい狗のような立場に甘んじ続けていた彼は、自分から何もかもを奪った憎いイリヤへの復讐を果たそうとします。
しかし日本人外交官も関わっているらしいスタボリアでの武器密売の真相を暴くため、図らずもイリヤに協力することになってしまい…。

スタボリアは架空の国ですが、如何にもありそうな旧共産圏の新興国として描かれているのが華藤さんらしい。
ロシア趣味が大好きな私は、文学、音楽、バレエ、さらにはワインと次々に登場するロシア文化についにやにやしてしまいました(笑)。
そんな国を舞台に最初は復讐劇が繰り広げられるのかと思いきや、スタボリア国内で行われているらしい武器の密売行為を国籍も立場も違うふたりが最終的には手を取り合い暴いていくというお話でした。
ソビエト崩壊前夜から20世紀末と時間が少し前のお話なので、今からだとちょっと時代がかって見える部分もなくはないですが、それが逆にこの非日常な設定を「あり」なものにしてくれています。
っていうか、もう「ソビエト」って言葉がはるか過去のものなのね…と、遠い目をしてしまったのはここだけの話(苦笑)。崩壊からもう20年以上も経つのかー…。
お話自体は湿っぽくもなく読みやすい感じなので、その辺りの時代背景に詳しくない方でも普通に楽しめると思います。

ただ、いろいろ詰め込んだ感がある一方でまとまりに欠ける印象なのが惜しいです。
何より、海翔視点で何度も彼のイリヤへの憎しみが繰り返された前半は復讐劇を期待したのに、半分くらい来た頃に突然イリヤ視点に変わって密売の黒幕を暴く方向へ変更、最後の最後でまた海翔視点に戻るもイリヤへの復讐心はどこへやら、すっかり相思相愛状態になってしまっていたのにはちょっと拍子抜けというか…。
海翔の心情の変化が解りづらく、もっと早くに視点を戻して海翔が冒頭であれほど憎んでいたイリヤへの復讐を止め再び愛するようになったのは何故なのか、そこを描いてほしかったです。

というか、これならもう最初からイリヤ視点のお話にしてしまえばよかったのではとも思いました。
美貌と医者になるほどの頭脳と芸術を理解する心を持ちながらも、マフィアのボスを養父に持つために男娼まがいのことをしながら諜報をしてきたイリヤという人物は、やや詰め込みすぎ感はあるもののとても複雑で魅力的です。
ビッチなんだけれども実は純粋…というのも、けっこうツボ(というか最近のはまりものw)。
因みに前の華藤作品のようにビッチなのは見せかけだけではなくイリヤは本当に体を使って諜報をしてきた過去がありますが、性格がかなり男前なので痛々しい印象はまったくありません。軍人さんなので、武器もいっぱしに使えますし。
そのイリヤに対して海翔は良くも悪くも単純すぎるというか純粋すぎるというか…(笑)。
まぁ、だからこそ複雑な環境で育ったイリヤには眩しく見えたということなのですが、最初からイリヤを主人公にして彼の込み入った部分をもっとディープに描いてほしかったかも。

安心のハッピーエンドを迎えたラストにはいろいろニヤニヤさせられましたが、イリヤがどんどん大物になってしまうのにはちょっと萎え;
海翔と再会した時から大佐や文化副大臣なんてその若さに似合わない肩書きをもっていたけれど、それ以上にグレードアップされるとなんだかもう異次元のお話読んでいる気分です…;
次期大統領候補なんて仰々しすぎますよ(苦笑)。あくまで普通の男たちのお話…の方が萌えるんだけどな個人的には。

ところでイラスト、30過ぎの大人の男たちのお話なのにまるで少年のようで違和感。
イリヤはまぁともかく、海翔は作中に「一見すると、強面の東洋人」とか「アメリが映画に出てくる武闘家といっても通りそうな強面」と説明されているイメージと全然合わなくて、冒頭にも書きましたがぱっと見彼が受けなのかと思ったほどですよ。。
本文イラストはカバー絵ほどの繊細さがないし、なにより最後は紫色の花の刺青を描いてほしかったな…。

「DEADLOCK シリーズ」 英田サキ / ill.高階佑


先日、いつも利用している本屋さんに新刊を狩りに行ったんですが、なんと改装中になってました。。売り場の一部は営業中だったそうですが正面真っ暗だったので気が付かず、仕方なく他店舗を回ってみるものの、BL小説の売り場が縮小していて新刊すらちゃんと揃っていないという、BL業界大丈夫か?! な状況に遭遇。酷いところだとそもそも置いてなかったりするから、あるだけマシなのか。。
いつも利用しているところが利用できなくなるとこうも不便なのかとしみじみ実感です。そして、改装後まさかBLコーナー縮小していたりしないだろうなと不安だったり。。BLに力を入れている書店さんなのでまさかそれはないと思いますが、ちょっとこわいですねー。
そんなわけで新刊は読めず、ちょっともやもやしていました。
新刊は改めて狩りに行くとして、ちょっと前に外伝が出た時に振り返った「DEADLOCK」シリーズの感想を書いてみました。先日から英田さん続きになっちゃってますが、書くタイミングを逃したままになちゃいそうでしたので(笑)。
本編が終了してからも外伝が出たり小冊子などで番外編がいくつもあったり遂にはコミカライズ版が出たりととても人気のあるシリーズですが、実は私ははまっておりません;
これに限ったこっちゃありませんけど、個人的にジャンルを問わず大ヒット作ほどツボにこないことが多いんですよね…。あれかな、必要以上に期待してしまうからなのかな。。そういえば何気なく読んだお話がとんでもなくヒットってことがわりとある気もします。
それはさておき。「DEADLOCK」シリーズ本編3冊+外伝「SIMPLEX」まとめて書きます。

photo
DEADLOCK (キャラ文庫)
英田 サキ 高階 佑
徳間書店 2006-09-27
評価

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同僚殺しの冤罪で、刑務所に収監された麻薬捜査官のユウト。監獄から出る手段はただひとつ、潜伏中のテロリストの正体を暴くこと!! 密命を帯びたユウトだが、端整な容貌と長身の持ち主でギャングも一目置く同房のディックは、クールな態度を崩さない。しかも「おまえは自分の容姿を自覚しろ」と突然キスされて…!? 囚人たちの欲望が渦巻くデッドエンドLOVE!!
刑務所、冤罪などのへヴィーなキーワードやあちこちで聞かれる「BLを超えた作品」という評価に期待して読んだんですが、早々にFBIやらCIAやらが出てきたのにああそっちの方か…とがっかりしてしまったのがのめりこめなかった一因かも。
木原さんの「箱の中」のようにムショものや冤罪ものならではのヘヴィーさを描いた作品ではなく、ハリウッド的エンタメなお話だったんですね。読みながら求めるポイントがズレていたのだと痛感。

痛いだけのレイプシーンやらHIVのことやら、やたらリアルに拘っている割に、コルブスはもしやディック? なんてありきたりすぎる、そしてそうじゃないんだろうなと簡単にわかるベタな展開になったりして、終始これはBLなのかハードボイルドなのか、結局どっちにもなれていない中途半端な印象が拭えずそこが引っかかったままのめり込めなかったのですが、どちらもの「らしさ」を求めたらこういう作風になってしまうのは仕方がないですかね。
あと、これはシリーズ通してですが海外が舞台だからか翻訳小説っぽさを狙ったような文体にも終始違和感が;特に会話が不自然すぎてダメでした。私は、「翻訳小説っぽく硬い」文章というのは翻訳者の原文を上手く写しきれていない未熟さの結果でしかないと思っているので(上手い方はなめらかに訳してくれるものです)、それをわざわざ日本語で書かれた作品でやる必然性を感じませんでした。
シリーズ通してといえばもうひとつ、イラストですが、…小説同様どこを見ても絶賛の嵐なので言い辛いですが、華やかなカラーに対してモノクロが不慣れというかぎこちなく見えてしまってダメでした。美麗な絵柄なだけに、表情や動きや奥行きがないのが気になってしまう。。

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デッドヒート―DEADLOCK2 (キャラ文庫)
英田 サキ 高階 佑
徳間書店 2007-02-23
評価

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宿敵コルブスを追えば、いつかディックに会える―。密かな希望を胸にFBI捜査官に転身したユウト。彼を縛るのは、愛を交しながら決別を選んだCIAのエージェント・ディックへの執着だけだった。そんなある日、ユウトはついにコルブスに繋がる企業との接触に成功!!ところがそこで変装し別人になり済ましたディックと再会し!?敵対する二人が燃え上がる刹那―デッドエンドLOVE第2弾。
ムショ萌え求めて手にした作品だったのに、二作目ではもう出所してしまっているなんて〜! …と嘆いたのは私だけでしょうか(笑)。
そして前巻でも思いはしたんですが、このシリーズ、どうにも主役のふたりが好きになれないためにのめりこめないのだとこの巻ではっきり悟りました。
特に、作中では「優秀な元麻薬捜査官」とされているのにぜんぜんそう見えないユウトがダメ。ディックが彼を突き放すのはディックの状況を考えればなぜか気がつくレベルのものだと思う(私でさえ気がついたぜ…)のですが、頭の中が完全に恋する乙女になっているあたりがなんだかね…。BLだからしょうがないのかもですが、気になってしまいます。
なのにロブから想われるというのも、BLらしいですよね…。因みに私、このお話の中ではロブがいちばん好きです。あのちょっと残念なところがなんとも…(笑)。だからってわけじゃないですが、正直ディックより彼を選んだほうがユウトは幸せになれるのでは? と思ってしまったり。
そんな、せっかくのハードな内容をBL的「甘さ」が台無しにしている気がしないでもない読後感。でもその甘さがなくなったらBLじゃなくなってしまうんですよね…。難しいところです。

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DEADSHOT―DEADLOCK3 (キャラ文庫 あ 4-3)
英田 サキ 高階 佑
徳間書店 2007-06-23
評価

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ディックを復讐の連鎖から解放したい―。宿敵コルブスの逮捕を誓い、捜査を続けるFBI捜査官のユウト。次のテロ現場はどこか、背後に潜むアメリカ政府の巨大な影とは…?ついに決定的証拠を掴んだユウトは、コルブスと対峙する!!ところがそこに現れたディックがコルブスの銃弾に倒れ…!?執念と憎悪と恋情―刑務所から始まった三人のドラマが決着を迎える、衝撃のラストステージ。
シリーズ完結編。コルブスとの決着もきれいに付いて、収拾つくのか不安になるくらい広がった風呂敷も上手く閉じられています。
そして終盤、前回と同じことを繰り返しているディックにはそれならさっさと素直になっておけよと突っ込まずにいられなかったですが(笑)、ラストは心憎いというか良いシーンでした。
そして「来い。……犬」と「ユウティー」には吹いた(笑)。そんなに好きならさっさと言え(笑)!! ずーっと苦手だったディックがちょっと好きになった瞬間です(笑)。

こういうタイプのハリウッド映画や海外ドラマが好きな方にはたまらないお話だとは思うのですが(逆にだからこそダメだという方もあるかも)、そういうものをあまり見ない私には巻を重ねるごとに派手さもスケールも大きくなってしまってちょっとついていけなかったです。難しいとかじゃなくて、単純に合わなかった。
そしてこういう話は、BLではなくニアっぽいくらいの方が明らかに萌える…と思ってしまったのでした。

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SIMPLEX DEADLOCK外伝 (キャラ文庫)
英田 サキ 高階 佑
徳間書店 2008-11-22
評価

by G-Tools

犯罪心理学者ロブの誕生日パーティに届いた謎の贈り物。送り主はなんと、かつて全米を震撼させた連続殺人鬼を名乗っていた―!!ロブの警護を志願したのは、金髪の怜悧な美貌のボディガード・ヨシュア。すこぶる有能だが愛想のない青年は、どうやら殺人鬼に遺恨があるらしい!?危険と隣合わせの日々を送るうち、彼への興味を煽られるロブだが…『DEADLOCK』シリーズ待望の番外編。
ロブが主役の外伝。内容は本編のような派手なものではなくミステリー仕立て。正直ミステリーは好きじゃない(そしてそのミステリー部分はたいしたことない)のでなんだかなーとは思うんですけど、私はロブがお気に入りなのでシリーズの中でこのお話が一番好きです(笑)。
そして本編ではとほほな役回りだったロブにかわいいコが現れて、やっと報われています(笑)。ロブよかったね!

ロブが好きなのは、作中でユウトやディックたちが真剣にビーチバレーに興じ超絶技巧を披露して周囲の注目を集める姿に「大人げない」と言っておきながら、すぐ後に誰よりもビーチバレーに熱くなっちゃうような子供みたいなというか、どこか残念なところが魅力的だから(笑)。
そのロブのお相手は、美形だけども愛想のないヨシュア。不器用なところが可愛いですが、ロブがなぜ彼に惹かれたのかがいまいち伝わってこなくて残念。まるでロブを幸せにするためだけに出てきたキャラのように見えなくもないです。
それからあとがきにヨシュアの最初のキャラ設定(口の悪いオタクだったとかw)のことが書かれていて、そっちの方が魅力的だったんじゃ?? とも思ってしまいました;

それにしても、冤罪だったユウトや潜入捜査中だったディックはともかく犯罪者として服役していたネトやトーニャまでがロブやパコたちに受け入れられているってユートピア過ぎませんかね? いくらBLだからってここまで「いいヤツ」しか出てこないとどうなんだと思ってしまう。
そんな彼らの姿に、シリーズ最初の売りは「刑務所もの」だったなーとか、もうそれっぽさが全然なくなっちゃたなーとか思ってしまったのでした。

「HARD TIME DEADLOCK外伝」 英田サキ / ill.高階佑

酒に酔って一夜を共にした相手が、殺人事件の第一容疑者!?しかも自分にその記憶が全くない―!?皮肉な運命に呆然とするロス市警殺人課の刑事・ダグ。容疑者のルイスは、気鋭のミステリ作家!彼の無実を信じたいダグは、先輩刑事のパコと共に真相を追ううちに、次第にルイスへの興味を煽られて…!?男相手の初めての恋に悩むダグが相談するのは、同僚刑事のユウト。なりゆきでルイスを警護することになった、腕利きのボディガード・ディック―。

「DEADLOCK」シリーズの外伝。今回はユウトとパコの同僚刑事ダグが主役のお話です。
別段このシリーズが好きというわけではないので購入しようか迷ったんですが、これまでのシリーズを読んできたのだしということでやっぱり購入。
というわけで、熱心なファンでもない人間の感想です。辛い部分もあるのでファンの方はご注意ください!

元恋人からゲイ疑惑をかけられたロス市警の刑事ダグ(攻)。そうではないことを証明するためにゲイバーに行くのですが、そこで出会った売れっ子推理小説家のルイス(受)と意気投合、翌朝彼の部屋で裸で寝ている自分を発見してしまいます。
間の悪いことに、ダグはルイスと寝たのかどうかを覚えていない。
そのことに気分を害したルイスと、そのまま気まずい別れ方をしてしまいます。
ルイスとはもう会うこともないだろうと思っていたダグでしたが、ある殺人事件の容疑者としてルイスが浮上して思わぬ形で再会することに。
犯人はルイスではないと確信したダグは事件の真相を追いますが、そのうちにルイスに惹かれるようになり…。

ミステリーの体裁をとっていますが、メインはダグとルイスの恋模様です(笑)。
ダグは自分がゲイであることを受け入れる勇気がなかなか持てず、ルイスははっきりものを言うように見えて実はかなり臆病な性格。
そんなふたりがお互いに惹かれながらもすれ違ってしまうという感じ。ふたりが恋に悩む描写が多くて、ミステリーの部分やこれまでの「DEADLOCK」シリーズのような息もつかせぬ展開を期待すると肩透かしかもしれません。
犯人もお話の半分ほどで判ってしまいます。
かといって、恋愛面もライトというか、そこまでじわーっとくるものがあるわけでもなく…。
いちばん切なかったのは犯人だった彼ですね…。

外伝なので本編キャラが要所要所で登場してシリーズのファンには嬉しい内容になっていますが、そのために肝心のお話が置き去りにされている印象がありました。
ロブの外伝の時は、ロブ自身が本編にも重要キャラとして登場していたこともあって本編の延長線上のお話として無駄なく楽しめたのですが、今回はダグがユウトとパコの同僚という以外は本編とは関わりが薄いこともあって、本編キャラが関わってくるたびにどこか無理矢理こじつけているような感じが拭えなくて、外伝としてちょっと中途半端な印象が否めません。
せっかくダグとルイスという新しいキャラを持ってきての外伝なのに、彼らの特性も生かされていなくて何だか残念。これならお馴染みのキャラを使ったほうが良かったんじゃないかと。。
ダグとルイスは好きなんですけれど、…うーん、シリーズのファンにはサービス満点で嬉しい一冊かもしれませんが、純粋にこのお話を楽しみたくて手に取った者としてはちょっと物足りなかったです。

…それから、ディックの仕事っぷりにそんなんでいいのかと思ってしまいました。腕利きのボディーガードのはずなのにあれはないんじゃないかと。。
ラストの和やかなホームパーティーもちょっと理想郷すぎやしないかとか、どうにも細かいところがいちいち気になってハマりきれないシリーズです。

あと値段が高すぎる! この内容なら今まで通り文庫サイズで十分だと思いましたし、ソフトカバーで本文イラストもないのにこのお値段は高いですよ。
このレーターさんのモノクロはあまり好きではないのであってもなくてもいいんですけど、確か同じくキャラさんから出ていた吉原さんの同じ様式の作品は本文イラストありでページ数も大して変わらないのに同じ値段でしたよね? …と思うとちょっと釈然としません。
15周年記念の一環なのはわかっていますが、どうせなら現在入手困難な小冊子も多いシリーズの番外編をまとめた方が良かったのでは。
今回、完結後の小冊子番外編でのその後のエピソードの数々がちょこちょこ出てきて、読んでないだけにそんな重要なことを小冊子で書いているなんてと複雑な気分になってしまいました。
刊行当時から読んでいる方ならいざしらず、後からの読者への配慮もお願いしたいと思わずにいられません。
このレーベルに限らずですが、最近読み手を置き去りにした企画が増えた気がしてちょっとうんざりしています。。
そして「二重螺旋」、「DEADLOCK」ときたら次は「Flesh&Blood」か? …と思っていたら、本当にそうなってびくり。シリーズ物は同じ規格で出してくれた方が嬉しいのにな。。

「夜明けには優しいキスを」 凪良ゆう / ill.高階佑

朝なんて来ないと思ってた―。フリーターの西塔要はある秘密を抱え、自分には幸せになる権利はないと日々ひっそり生きてきた。バイト先の無茶なシフトや恋人の加瀬からの暴力すら黙って受け入れる要を、バイトの後輩である池上公平はなにかと気にかけてくれる。最初は苦手だったのに、公平の明るさと優しさに触れるうち、要は次第に惹かれてゆく。けれど受け入れられない。公平を好きになってはいけない。過去の秘密が要を縛りつけ、二人の仲を疑う加瀬の執着も日毎にエスカレートしていき…。

凪良さんのディープな作品として有名な、そしてどこを見ても好評な作品ですが、、ちょっと合わなかったです。ゆえにかなり辛口評価です。。

フリーターの要(受)は、過去に犯した過ちのために自分に幸せになる権利はないと自分を罰するかのように過酷な環境で働き詰めている日々。更に恋人である加瀬からのDVも甘んじて受けている状態にあります。
そんな彼の生活に、バイトの後輩で明るくおせっかいな公平(攻)が関わってきたことで要の気持ちが動き始める。そして公平に惹かれていくようになるのですがそれが加瀬に気付かれてしまい…。

あとがきで蟹○船と言われているような現在の労働問題やらDVやらを取り上げた、BLには珍しい重たい内容もしんどいですが、この作品、何より受けも攻めも苦手です。
まず、要が背負っている過去というのが辛いことには間違いないのですが何かすっきりしません。
彼が直接手を下したわけでもなし、要の家族がそこに住めなくなるほど周りが過剰反応してしまうことなのかなと疑問に感じます。相手の遺族がそう仕向けたとかなら納得ですがそういうこともなく、最後は和解しているのを見ると何かそこまでしなくてもなーと。要という不幸なキャラを作るための演出が中途半端に過剰なのですよね。そのことが公平にバレるシーンも都合良すぎて気になりました。
で、それゆえに幸せになってはいけないとフリーターとしてぎりぎりの生活を送っているわけですが、それは仕方がないとして、自分を罰するために加瀬という他者を利用しているのが何だか許せなかった。
加瀬は愛情の足りない環境で育ったために愛情表現の上手くできないDV男ですが、その彼の暴力を要は利用しているんですよね。加瀬はそら酷いDV男ですが何だかとても同情してしまいますし、贖罪するのならこんなかたちで他人を巻き込まずにひとりでやれよという気分になってしまいます。それはただの自己陶酔なのでは? と。
そして本当に駄目だと思った決定打は、女子高生の遺影を拝みに行った後の要の「ずっと怖がっててごめん」というセリフ。これでは罪を償っていたのではなくて単に逃げていただけなんじゃないのかとさえ思えてきました。こういうのがいちばんダメなんですよね。。
そんな要に手を差し伸べる公平は、いいやつなんだけれども善意の押し付けがもうひたすら鬱陶しい。彼くらい前向きでアクティブな人間がなぜフリーターなのか、根本的なところで疑問を感じてしまいましたよ(笑)。

で、あのタイミングで公平ではなく加瀬を選ぶというのがまた…。最終的には要は公平とくっつく結末が予測出来るだけに、そこは加瀬を選ぶところなのかとまたひっかかり…。というか、加瀬がひたすら気の毒でした。ほんと、とことん合わないですね〜;;
これ、公平抜きで要と加瀬がくっつくお話だったなら良かったのかもなぁと思ってしまいました。

今回はっきり思ったのは、凪良さんはコミカルな作品の方が好きだなぁと。「全ての恋は病から」しかり、「初恋姫」しかり。重い内容でも「真夜中クロニクル」のようにどことなくユーモラスな雰囲気があればいいのですが(というかそれが凪良さんの持ち味な気が…)、ただ重いだけだと読んでいて疲れます。
その上主役カプが全く好きになれなかったりしたら、もうどうしたらいいのかと。。
このお話は、そういうのが全部揃ってしまっでダメでした。
あと、131ページ以外のイラストの加瀬が公平と見分けがつかなかった。。よく見たら髪の長さが違っていたという。なんだろう、キャラ云々と言うよりは表情が均一なせいなのかな??

 ・「お菓子の家 〜un petit nid〜」(加瀬が主役のスピンオフ作品)

「知らなくても生きていける萌えの話」 英田サキ / ill.高階佑

幅広い作風で人気を集めるBL作家・英田サキが花丸公式携帯サイトで連載した萌えエッセイを大好評につき、満を持しての単行本化。ヤクザ、リーマン、主従などのテーマに沿って時に熱く時に冷静に、妄想全開で萠えを語り尽くす。あまり語られなかった数々の萌え遍歴も今、赤裸々に明かされる―。エッセイの実例版ともいえる、己の萌えを追求・凝縮した大量の書き下ろし小説も収録。

英田サキさんの萌えにまつわるエッセイ集。その萌えに沿った小説「石橋の上に30年」「恋は明日か明後日か」と、イラストの高階佑さんのイラストエッセイもあります。

戦う男、ライバル、ヤクザ、記憶喪失、リバ、タレ攻め、サラリーマン、ヤモメ、幼なじみ、制服、女装、メガネなどなど、テーマに沿った萌え語りが、時に笑わせてくれながら展開しています。
それ分かる! なポイントが多くて、特に、「腐女子も年季が入って腐敗が進むと、タブーがどんどん減っていきます」っていうのには大きく頷いてしまった(笑)
私ももっと若かりし頃は麗しの美少年に萌えていた、というか、その辺りから腐の道に目覚めたはずが、英田さんと同じく、今はダメ…。何なんだろう? 飽きた? いや、単純に年を喰っただけか。。
そして、年と共にどんどんタブーが無くなって、リバどころか、人外キャラすらもOKになってしまっている自分がちょっとコワイ。。
これはもう、一生治らないでしょうねぇ。

ただ、ひとつひとつがちょっと短めなので、若干物足りない、というかもう少し掘り下げた萌え語りを読みたかったような…。だって、あの英田さんですよ。いろいろ期待してしまうじゃないですか(笑)
収録されている小説二本は、エッセイで語った萌えの要素が散りばめられたものですが、普段の英田作品に慣れているとどちらも地味な印象です(笑)