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  • 2014.07.28 Monday
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「黒き異界の恋人」 遠野春日 / ill.笠井あゆみ

魔界を追放された皇子の従者として、地上で暮らしていたサガン。暇を持て余した彼がある夜、出会ったのは、不思議な眼力を持つバーテンダーの桐宮。実は桐宮は、真の名前をラグエルといい、正体を隠し、天界から地上に派遣されてきた天使だった!? 己と敵対する身分と知らないまま、惹かれていくサガンだが……!?

年末からずーーっと積んでいたお話、やっと読みました。
前に出ていた「蜜なる異界の契約」スピンオフで、個人的に主役ふたりよりもはるかにお気に入りだった攻めの従者サガンが主役です。
…実は前作は内容がどんなだったかもう全然覚えていないのですが; これははからずも触手バンザイ! な内容でとても愉しめました!(笑)

人間の世界とは別の次元にある「我々の世界」から追放された皇子ベレトの従者として人間界で暮らしているサガン(受)は、ベレトに泰幸という恋人ができてからはもともとが世話焼きな性分のためにひとりの時間をもてあますようになっていました。
そんなサガンは、ある夜立ち寄ったバーで不思議な魅力のある桐宮というバーテンダーに出会い興味を持つようになりますが、桐宮の正体は「我々の世界」とは別に存在する「もうひとつの世界」の監視者ラグエル(攻)。
ラグエルの正体に気付かないままサガンは彼に惹かれ、そしてまたラグエルも「闇の貴公子」と称されるサガンの魅力に囚われていきますが、サガンに異常な執着を見せる異母兄のアイムが現れて波乱が起こります。

「我々の世界」とか「もうひとつの世界」とか、ファンタジーな設定が面倒くさいと思う向きもあるかもしれませんが、要するにサガンたちの属する「我々の世界」=悪魔たちの世界で、ラグエルの属する「もうひとつの世界」は天使たちの世界。このふたつの世界は敵対しているわけではなく、お互いに不干渉という設定です。
けれども天使たちは悪魔を自分たちを堕落させる存在と認識していて、悪魔に魅入られた者には厳しい制裁を与えています。
ラグエルは人間界でそれに目を光らせる「監視官」―というからにはかなり潔癖なんだろうなと思いきや、最初の方からわかりやすいほどサガンにはまってしまっています(笑)。それを頑なに認めないのが何だかもうw
前回からツンなキャラだったサガンに関しては予想通りだったからさほど新鮮味がなかったですが、個人的にそんなラグエルがツボにきました(笑)。
ところでサガンに関して意外だったのは、てっきりベレトを想っているんだろうなという予想が外れて従者として彼を敬っているだけだったという。

ふたりが惹かれ合う理由が弱いというか描写不足な気のするところが残念ですが、後半からの触手プレイが圧巻でした。作家さん、もうこれが描きたかったんだろうと思ってしまったくらいw
サガンを何としても自分のものにしてしまいたいアイムはサガンを浚い、ムリにでも契約を誓わせようと触手にサガンを責めさせるのですが、これが凄いの何の、サガンが人間だったらもたないよねと思うほど。久々に触手もの愉しめた気分です。
その後、ラグエルによって救われたサガンは、今度はラグエルによって触手状態の水で責められ(いや洗われてるんでしょうが)て、これはもうファンタジーものならではの美味しさでした(笑)。
前作ではこうしたファンタジー設定を生かしたエロがなくそれも消化不良の一因でしたが、今回は大満足です!
短絡的で容姿も魔獣みたいなアイムは全然好きじゃないですが、でもいちばんイイ仕事をした(そしていい状況を提供した)のはもしかして彼かも?(笑)
その一方で、ベレトもっとしっかりしろと何度思ったか知れませんが。サガンの身に起きた災難は、ベレトがもっとしっかりしていれば全て防げたものなんですよね。泰幸といちゃいちゃしてばかりいるってのはどうなんだろうかと。。
泰幸も所々で顔を出していますがやっぱりどこに魅力があるのかわからなくて、本編カプがますます苦手になってしまいました。

お互いに不干渉でありながら惹かれ合うことの許されないサガンとラグエルに待っていた結末は、こうなる以外にどうしようもなかっただろうなと思うものの、けっこう切なかったです。
ラグエルを救おうとサガンが翼を出そうとして出すことのできなかったシーンは泣けました。
…そしてここではちゃんと間に合ってくれたベレト、やっと面目躍如でしたね。
ハッピーエンドなんだけれどもそれからふたりはどうやって生きていくのか、果たして奇跡は起こるのか、その後がすごく気になって、エロ度の高いお話でしたがそれと同じくらい切ない読後感が印象的な作品でした。

「蜜なる異界の契約」(ベレト×泰幸の本編)

「影の館」 吉原理恵子 / ill.笠井あゆみ

天界を統べる天使長は、神の寵愛も篤く瑯たけた美貌のルシファー。そんなルシファーに激しい執着を隠し持つのは、天軍を率いる右腕のミカエル。時折向けられるミカエルの昏い瞳を見ないふりで接していたルシファーだったけれど、天界からのグリゴリの脱走事件をきっかけに、ミカエルは「おまえが欲しい」と無理やり抱いてしまう!! その瞬間、ルシファーはミカエルの従者シャヘルとして、堕天して…!?

買おうかどうしょうか悩んでいた作品でしたが、…ハマってしまいましたっ!
舞台は天界で登場するのはみな天使の、耽美なファンタジーです。
BLというよりJUNEだなーと思っていたら1994年の刊行作だそうで、今回加筆修正+描き下ろしSS「聖蜜の器」収録で文庫化なのだそう。そりゃ、JUNEですね(笑)

天界で双翼と称される美貌の天使長ルシファーと豪胆な「神の闘士」ミカエル。
しかし並び立つ者としての絆だけでは満たされない想いをルシファーに抱いていたミカエルは、ルシファーを無理やり犯し自分の従者(シャヘル)へと堕としてしまう。
それはやがて天界中を揺るがし神をも動揺させる事態を招いてしまうという、壮大な物語です。

天使の出てくるお話ですが、その敵対者としての悪魔は登場しません。
この物語の世界において、ルシファー始め悪魔の名前として有名な存在は天使の従者―シャヘルとされており、アシタロテやベルゼブルも名のある天使たちのシャヘルとして登場しています。
シャヘルというのは、天使の活力となる聖蜜を醸成する器となる情人のような存在。
聖蜜をどう摂るのかは言わずもがなですが(笑)、しかし両者の間にあるのは恋人同士という甘い関係ではなく、シャヘルとなった者は光と闇の狭間にある「影の館」に入れられて二度と外には出られなくなるという、まるで娼館に閉じ込められた娼婦のような状態に置かれてしまうのです。
シャヘルに堕ちるとそれまでの光り輝く姿から髪や瞳が闇色に変化していくなど、堕天を思わせるところがいい感じです。
そしてそれは、天使として最高の地位にあったルシファーも例外なく同じ。

BLというよりはJUNE語訳ルシファー堕天(なんだそりゃ)を読んでいる感じなので、世界観に酔いはしても萌えはありませんでした。
でも、ルシファーがただ美しいだけでなく威厳ある雰囲気なのがいい感じでした。美麗で儚げな笠井さんイラストのルシファーは若干ミスマッチかも。すごく綺麗なイラストなんですけれども、もう少し男らしい方がしっくりくる気がします。
シャヘルとなった後、初めは自ら死を選ぶほどの絶望の淵にあったルシファーでしたが、やがて他のシャヘルたちが誇りを取り戻す躍起となる存在になり、これはただ主の訪れを待つばかりだったシャヘルたちの意識を変えていくきっかけになるのかな、と思いました。
そのルシファーを己のシャヘルにしてしまうほど執着しているミカエルは、「神の闘士」と讃えられる豪の者(あ、天使か)。けっこう何でも実力行使するタイプで、まさに神をも恐れぬとはこういうことを言うのねと思うことしきりです。こちらはイラスト、美丈夫なイメージにピッタリすぎて素敵v
っていうか沐浴している姿を盗み見て欲情って、…ほんとに天使なのかよっ(笑)

改行や体言止めが多い上に独特の癖のある吉原さんの文体は苦手で; 実は作品をちゃんと読んだのはこれが初めてだったりしますが、このお話はその独特な文体が世界観にマッチしていました。
ファンタジーでも何でもない現代が舞台のお話だと気になって読めないかもですが、これはいい感じ。作り込まれた世界観に引き込まれます。
設定が厨二臭いとか古いとか言われているのをちらほら見かけたので身構えたものの、私はそうは思いませんでした。
ただカタカナが多いので、そこらへんが気になる人はしんどいと感じるかも。冒頭に天使の階級や相関図が入っているのですが、どうでしょう。

ミカエルに抱かれるルシファーの姿に嫉妬した神によってルシファーが奪われるというとんでもないところで続く…になってしまって、早く続きを〜! と叫ばずにはいられません。
…というか、これ一冊で完結するお話とばかり思っていたので、ちょっと困惑しています。。お話の設定を覚えているうちに続きを読みたいーー!

「鬼子の夢」 丸木文華 / ill.笠井あゆみ

与六はその晩、村から逃げ出した―明日には領主の「もの」にされてしまうというそんな夜だった。与六は不吉な出生から「鬼子」と村中から虐げられていたが、貧しい村の生まれとは思えぬほど美しい子供だった。十五になる頃には村中の男ばかりか、実父にまで体を弄ばれ―そしてある日、悪名高い領主の目にとまり差し出されることになってしまう。絶望し村を飛び出した与六は、谷に転落し死を覚悟したが、山に暮らす佐助という男に助けられる。その後も生活を共にするうち、与六は佐助の優しい心と熱い肌に酔い、初めて心が満たされることを知った。しかし、与六と佐助のささやかで幸せな日々、蜜月は長くは続かなかった…。

気が付いたら師走に突入、しかももう半分以上が終わっていることに焦りまくっています;
まぁ毎年この時期はこんな感じですけれど、今年はちょい仕事がドタバタしていてここのところろくにBLも読めず萌え不足…; そろそろ限界が;;
…てなわけで半月ぶりの更新です。
丸木さんの新刊がいつもの執着系でなく鬼の出てくる時代もの&笠井あゆみさんのイラストでしたので、手にしてみました。

時代は戦国期でしょうか。美作の乏しい山間の村で不吉な出生から鬼子として疎まれ虐げられていた与六(受)と、山に暮らす孤独な男・佐助(攻)のお話。
タイトルに鬼とあるので怪異譚っぽいのを期待したんですが、それほどでもなかったのが少し残念でした。

与六は不吉な出生に加えて、田舎には馴染まない美しい容姿をしていることが鬼子として忌み嫌われる原因になっている印象です。
そして美しいために成長するにつれ村の男達ばかりか実の父にまでも凌辱されるようになってしまうという、本当に気の毒な状態。与六自身も全てを諦めているような感じで、なんだか救いがないです。
更に与六の美しさに目を付けた評判の悪い領主の若殿に買われることになり、ここに来て与六は初めて自分の置かれた状況から逃げようとして村を脱出、途中崖に落ちたところを佐助に助け出されます。
長く山で暮らしあまり人と関わることのなかったという佐助は、大柄で屈強そうな容姿をしているけれども寡黙で子供みたいな純粋さのある男。与六のことを「与」と呼ぶところに萌え(笑)。
佐助と生活を共にするようになった与六は初めて人から優しさを与えられ満たされていき、ずっと孤独だった佐助もまた与六を無二の存在だと思うようになり、互いが互いの孤独を埋めるように想い合うようになる…という流れは、それまでの与六が不憫だった分が救われる思いでとても良いです。
美作が舞台とあって与六がずっと岡山弁なんですけど、それが与六の朴訥さと、お話の怪異譚っぽい雰囲気を出すのにいい感じに作用していました。

ある事件がきっかけで佐助が実は鬼であることがわかるのですが、その後丸木さんお得意の執着な展開になるのはちょっと疲れてしまいました…。
その後の佐助を調伏しようとする験者との対決も、闘いというよりは押し問答みたいな印象であっけない決着の付き方ともども若干拍子抜け;
せっかくの怪異ものなのだし、「鬼」について登場人物の会話で説明するのではなく物語として読ませてほしかったなと、こういうのが好きなだけに残念でした。
唯一、与六が見る、遊んでいた村の子供達が翠の焔の中で消えていくという夢がおどろな感じで印象的でしたが、そこから繋がっているようにみえる現実に村を襲った翠の焔の真実は何なのか、本当のところが見えてこないのがちょっともどかしい。
実は与六が…ともとれるけれども佐助が与六は鬼ではないと言っているので矛盾するし、単純に若殿の仕業のようにも思えるし、…うーん。。

まぁともかく、最後まで読むと本当の鬼よりも人間のほうが時にもの凄く残酷な「鬼」になるんだな、と思ってしまいました。

あ、エロは標準的な感じでした。
回数多いし途中執着めいたことになって拘束とかありますが、わりと普通な感じ。私が丸木さんの描くエロにエロエロしさを覚えないせいかもしれません。
鬼と交わった効力(?)で濡れるようになるという設定があるんですが、いわゆるやおい穴がウソっぽくて苦手なためかその延長線上にしか見えす私はダメでした。。
あと、最初の方で与六は村の男達や父親の慰みものにされている状態ではあるものの、シーンそのものががっつりあるわけではないのでハードルはそう高くないと思います。そして逆に、そこを期待すると肩透かしだと思います(笑)。

本編後の「流るる雲」では、人の理から外れたふたりのその後が読めますが、これはすごく良かったです!
旅の途上で出会った、妻帯者ながら多情な男・平次郎を改心させるため佐助は、…与六との閨を覗かせるという(笑)。
や、そこが目的じゃないんですが(笑)、覗きというシチュはエロくて萌えまくってしまいましたw
ラストのオチも今◯物語にでもありそうな感じで、すごく好きです。

「猫耳探偵と恋人 猫耳探偵と助手2」 愁堂れな / ill.笠井あゆみ

猫耳カチューシャを頭につけ、高級スーツを着こなす美貌の変人探偵??そんな羽越(はねこし)の恋人兼助手になって三ヶ月。無茶な要求に振り回されつつも、同棲生活は順調そのもの? そんな中、新たな事件が発生! なんと羽越の元同期・等々力(とどろき)刑事が、殺人容疑で逮捕されたのだ!! 親友の無実を信じ、真相解明にのめり込む羽越。けれど環(たまき)は、親友同士の強い絆に嫉妬の気持ちが止められなくて…?

もしかしてシリーズになるのかなと思っていたらやっぱり出ましたね、猫耳探偵第二弾です。

環が猫耳カチューシャを装着した美貌の変人探偵・羽越の恋人兼助手となって3ヶ月。
羽越の奇行?に振り回されながらもラブラブ甘々な毎日でしたが、羽越の元同僚の等々力刑事が殺人容疑で逮捕されてしまい等々力を慕う刑事の箱林から捜査を依頼されることに。
等々力の無実を信じる羽越は事件の真相に挑みますが。

事件そのものは、最初にこれが犯人だろうなと思った人がやっぱり犯人だったりして、良くも悪くも二時間サスペンスみたいです。
環は前と変わらず終始傍観しているだけで事件を追うのは専ら羽越なのですが、前回ほど猫耳も「にゃー」も印象的ではなかったような。
一方でに羽越の意外な面が明かされていますが、…うーん。。
正直、猫耳取るとこれといって目新しいところのないお話なので、もうちょい面白い使い方してくれればいいのに…。
前回は棚上げされた憎い相手に痛手を負わせられたのが進展といえば進展でしょうか。

事件面はそんな感じなので、そっちよりも事件に巻き込まれた等々力と彼を慕う箱林の方に目が行ってしまいます。
特に箱林、等々力の前では猫を被っているけれど環には容赦がない毒舌美形…というところは前回同様ですが、今回さらに元ヤンらしいことが発覚(笑)。もうなんか、ギャップがいろいろと凄いなw
っていいうか、もしや「(は)こばやし少年」って書きたかっただけなんじゃと邪推ww
色々とアレな面を見せてくれる箱林ですが(笑)、等々力には正真正銘一途で、なのにそんな箱林の心中にまったく気が付かない等々力の鈍さに同情してしまいました。
このふたり、一枚目の口絵イラストまんまですね。次回(あるのかな?)はもうちょっと関係が進展していますようにと願うばかりです(笑)。
それにしても、箱林は、環同様に小憎たらしいと思いながらも何故か恋の応援をしたくなるから不思議(笑)。

等々力&箱林のことばかり書いちゃいましたが、主役カプにもちょっと面白い波乱?が終盤にありました。
今回の事件で、環は羽越と等々力の間にある深い絆に嫉妬するんですね。もちろんそれは友情以上のものではないのですが、長年の付き合いの中で築き上げられた信頼関係というのは、ある意味恋人へのそれよりも深いのかも。
私は羽越が環に惹かれる理由がいまいち解らないので、ついつい羽越×環よりも等々力×羽越(ん? 逆??)に萌えてしまいました(笑)。あーそれだったらこのお話かなりはまったかもしれない(笑)。
まだまだ見習いな環ですが、いつか羽越と肩を並べるほどの活躍ができる日が来たらいいですね。

「猫耳探偵と助手」

「隠し神の輿入れ」 沙野風結子 / ill.笠井あゆみ

幼い頃に神隠しにあった経験から人に馴染めず、家族とも疎遠な大学生の依冶。雨の日に弱った黒猫を拾い、翌朝目覚めると野性的な美貌の男にのし掛かられていた。彼・藍染は自分が拾われた猫で、山の守り神だと言う。そして、依冶に会いにきたと迫り、依冶から力を補充しなければ人型を保てないと、きわどい接触をしてきて…。不遜ながらも優しい藍染に惹かれていき、やがて依冶は心身ともに委ねるようになるが、平穏は続かず、二人はある者から狙われ始め…!?

今月のガッシュ文庫は「獣耳フェア」だそうで、他レーベル見てても思うのですが、最近はいわゆるもふもふが大流行ですね。BLでこうした可愛い系に癒されることに興味がなかったりどうしてもファンタジー設定になるのが面倒くさかったりであまり興味がないんですけど、…最近の勢いを見るにつけなんだか置いていかれている気がします(汗)。
で、沙野さん新刊ももふもふ? と思いましたが、そこはやっぱり沙野さん、もふもふというより獣○と言った方がしっくりくる内容でした(笑)。なのでもふもふ期待したら裏切られるかも。

幼い頃に神隠しに遭った経験から世間に馴染むことができない大学生の依冶(受)。
ある学校からの帰り道、依冶は弱っている猫を拾いますが、翌朝目が覚めると猫の姿はなく代わりに見知らぬ男がいます。
依冶は彼が自分を神隠しした山の守り神・藍染(攻)であることを思い出し、共にいることに言いようのない心地よさを覚えるようになりますが、異界の存在である藍染は人間界に長く留まると霊力が弱まり禍を起こす禍津日神に堕ちる危険があり、霊力を補充するためにと同衾することを求められ…。

神隠しとか守り神などの民俗学的モチーフに獣耳ファンタジーの合わさったお話でした。
個人的に専門書読んじゃうくらい民俗学が好きなので、ついつい獣耳なところではなく民俗学的ネタの方に目が行ってしまいましたが(笑)、イラスト効果も相まって攻めの藍染は獣耳好きじゃなくてもたまらないです!

山の守り神である藍染は、本来は大型の猫というか黒豹? みたいな姿なんですが、人型をとり続けて霊力が弱くなると耳と尻尾が出てきたりするのです。神様なので尊大なところがありますが、そこが何だか猫っぽくもありました。
依冶は藍染に神隠しされた経験が自分を異質にして他人と馴染めず、記憶からは消えているにも関わらず異界こそ本当の居場所だと思いながら生きていますが、若干具体的な説明に欠けるためか最初それは単純にもともと性格が内向的なだけにも見えてしまいました。
けれど最後の最後で明かされた哀しい事実に、依冶は異界に戻りたかったのではなくて自分に無償の愛を注いでくれた藍染という存在が必要だったんだなと。
そんな依冶を藍染が本当に大切にしているのが伝わってきて、人間そのもののことは憎んでいるはずの藍染もまた、それほどまでに依冶と過ごした時間は特別たったんですね。

再会し幸せな時間を過ごしていたふたりでしたが、周囲で不可解な事故が多発し、それがどうやら禍津日神に堕ちた存在によるものらしいことが解ってきた中盤あたりから、お話はやや物騒な展開に。
禍を起こしている存在として、依冶と同じように子供の頃に神隠しに遭いやはり人の世界に馴染めずいつしか憎むようになってしまった寧近とかつて寧近を神隠しした禍津日神の白鳥が登場しますが、彼らは単に敵というだけでなく依冶と藍染の対比としての存在でもありました。
寧近は依冶と境遇が近いだけに、一歩間違えば依冶も彼と同じように人間界そのものを壊そうとしていたのかもしれません。そうならなかったのは藍染が依冶を愛してくれていたからなんですよね。
藍染が日に日に禍津日神になっていく危機の中で、藍染と依冶ふたりともが相手を想って献身的にそれを阻止する姿が感動的です。
特に、人間が憎いはずなのに大切な依冶がいるこの世界を守ろうと極限までぼろぼろになりながら白鳥たちと闘う藍染の心姿はじーんとさせられました。

エロは首への甘噛みとか舌のざりざり感とか攻めの猫っぽさを上手く使ったプレイ?いっぱいですが、そこまでエロエロではないかも。
そして前の方で触れたとおり終盤に獣○がありますが、ふたりが共に生きていくために必要な行為であることなのだと思えばそう抵抗感はないと思います。
何より姿は獣でも心は攻めなので受けを想う気持ちがちゃんとあり、そこまで拒否感なく読めるのではないかと。沙野さんなので描写はがっつりありますけれど(笑)、「獣の妻乞い」が大丈夫だった方ならこれも大丈夫だと思います。
ただ、攻め以外で鳥に犯られかけてしまうシーンがあって、こっちの方がいろんな意味で衝撃ですね…。鳥だし…。。苦手な方はご注意くださいませ。
あともうひとつ、藍染が禍津日神に堕ちかけた状態で依冶を犯すシーンがあるんですが、かなり痛々しくて読むのが辛かったです。それこそ獣姿でのまぐわいシーンよりも衝撃が大きかったです個人的に。
沙野さんの作品はこれまでもバイオレンス的に痛いシーンがあったもののわりと大丈夫だったんですが、出血が伴うときついですね。。

最後はタイトル通り攻めが輿入れするというオチですが、これってけっこう珍しいような。
獣○そのものはさほど興味ないので萌えもそれほどでしたが、ふたりのお互いを想い合う気持ちの深さに感動させられました。
ただ、後半はBLというよりも白鳥&寧近とのバトルが中心になってしまう上かなり駆け足気味だったのが惜しい。いろいろ詰め込みすぎだったのかも。
そしてなんだか戸ケ里兄弟でスピンオフありそうな気配で、こっそりそちらも期待しています(笑)。

ところで、このお話で唯一もふもふを味わえるのは笠井さんのあとがきイラストでした(笑)。ちび依冶もかわいい!!
本文イラストも素敵だったんですが、最後の獣○で依冶が反り返っているのにはちょっと笑ってしまったw 絡みのシーンはいつも凝ったアングルや構図にびっくりさせられていますが、ここはむしろ普通な感じでよかったかも(笑・何しろ獣○だしねw)。

「熱砂と月のマジュヌーン」 木原音瀬 / ill.笠井あゆみ

絶え間なく雄に穿たれ、心とは裏腹に快感に噎び悦ぶ体。この爛れた淫獄から逃れられるのはいつの日か―。石油王だった父親が倒産と同時に失踪し、寄る辺のないファウジはその美貌に目をつけられ、奴隷オークションにかけられてしまう。あられもなく恥部を晒され屈辱に震えるファウジを高値で買い取ったのは、見ず知らずの男。彼の紳士的な態度に安堵するが、連れられた館で待っていたのは耐え難い恥辱の日々だった。枷をつけられ服は与えられず、夜には淫らな狂宴で男達の性の玩具となり…!?

いろいろと話題の木原さんの新刊、漸く読みました。
初のアラブものという意外さにびっくりなのに、一切タブーのないぶっ飛んだ内容にはさらにびっくり。木原さん、こんなお話も書くのかw
実はイラスト目当てで手にした作品でしたが(すみません…)、すごーく愉しめる一冊でした!
と同時に、読むのにものすごく気力体力奪われて、とても一気には読めませんでしたが(笑)。
同人誌で発表されていた(受け視点)と(攻め視点)に書き下ろしの(攻め視点)を加えた三部構成。
とりあえず、これを商業で出したことに拍手です!

大富豪の父親が破産した上に逃亡したため、性奴隷として売られることになってしまったファウジ(受)。
白人の母の血を強く引いた金髪碧眼の美しい容姿をしたファウジにオークションは高騰し、遂にラージンという青年実業家に落札されます。
物腰の柔らかいラージンの様子に、ファウジはもしや事情を知る父の知人が落札してくれたのではないかと考えますが、その淡い期待は早々に打ち砕かれ、性奴隷としてラージンの使用人である黒人の双子ハッサン(攻)とアントンやラージンが招く客たちに陵辱される日々が始まり…。

アラブものといっても舞台がアラブというだけで、BLジャンルとしてのハーレクィン風味アラブの気配は微塵もありません。
受けのファウジが理不尽で屈辱的な目に遭ってしまう始まりからいろいろと痛いお話ではありますが、通常の木原作品での「痛さ」とこのお話のそれはベクトルが違うというか、正直私はこれが木原作品だとは思えないほどでした(笑)。
陵辱ありモブ姦あり近親相姦ありピアッシングありさらには動物も登場と、もうタブーなんて無い何でもアリな内容。
山藍紫姫子さんあたりが平気な方は大丈夫だと思いますが、普段の木原作品を読む感覚で手に取ると後悔するんじゃないかな…。
甘さが全くないとは言いませんが、終始一貫してハードな内容です。

面白いなと思ったのは、ファウジを買ったラージンがいわゆる攻めのポジションにはなく、それどころか行為には一切加わらないところです。
彼は一貫してファウジが他の男たちに嬲られているのを眺めているだけ。
どうしてそんなことをしているのかといえば、ラージンはかつて自分の兄を性奴隷にしていたファウジの父親イワフを憎んでいて、逃亡して捕らえ損ねたイワフの代わりにその息子のファウジに復讐をしているという理由が明らかになります。
彼につき従うハッサンとアントンも、元々はイワフの性奴隷。
もうね、このお話の中でいちばん怖いのはこのラージンですよ。
ハッサンとアントンを肉親のように想う心があるとかいうこととは別に、とにかく復讐を果たすという一点において一切ぶれない冷徹さが怖すぎます。
何人もの男たちに嬲り者にされているファウジを前にして、イワフが苦しめた奴隷たちが受けた屈辱と同数の行為をこなせば自由にすると、冷静に「あと1917回」とカウントしている姿はホラーです。

もしもファウジが心根の優しい人間だったなら悲惨すぎてとても読めたものじゃなかったと思いますが、このファウジもかなり性悪というか傲慢チキで外見しか取り柄のないような男で、確かに気の毒なのだけれどあまり同情できず、彼には申し訳ないけれど読み手としてはそこがこのお話を読み進められるものにしていると思います。
しかもしぶとい。折れない。どこまでも我が身の悲劇を嘆くばかりで、かつての父の被害者に思いを馳せることなど絶対にしない。
そりゃまぁ、自分の罪ではないですからね、反省しろというのが無理なんですけれども。
そもそも、ファウジの中で父イワフと奴隷たちに関しては行為を見たというレベルの記憶しかないのです。
けれどもラージンの兄や元々はイワフの性奴隷だったハッサンは、ファウジの性奴隷に対する非道をしっかり覚えている。
この双方の記憶の乖離は何なのか。色んな意味で人間は都合のいいことしか見ない記憶しないエゴの塊なのかもと思えてもきます。

ファウジにしろラージンにしろどちらも「被害者」の立場から一歩も動かない中、ひとりファウジの世話係となったハッサンだけがその立ち位置の変化を見せます。
復讐を果たすより先に潰れられては困ると、ラージンはファウジに希望を与えることを提案、それはハッサンにファウジの恋人を演じさせるというものなのですが、これが意外な結果に。
憎いだけのファウジに偽の恋心を囁くうち、ハッサンの中でそれが本物になってしまうのですね。
ハッサンはものすごいシチュエーションでそのことに気づくのですが、自己愛に溺れたファウジの傲慢さも中々のものの一方、歪んでいるという点ではハッサンも酷いと思わずにいられません。
誰かに恋をする前に性奴隷にされてしまったハッサンは、人を愛することがどういうことなのかあんな場面になるまで気が付けなかったのかと思うと、哀しくなってしまいました。
結局は人を愛することを知らない者同士のお話だったのかと。
…そして何より、ここでもそんなふたりを弄んでいるように見えたラージンが怖い…;

ハッサンがファウジへの感情に気がつくまででが同人誌発表分で、以降3分の1は書き下ろし。
その後内戦が起き、ラージンはファウジを置いたままハッサンとアントンを連れて国を脱出しています。
3年後、ひとり国に戻ったハッサンは盲目となり男娼に身を落としたファウジと再会しますが、ファウジはハッサンに気付かない。
ハッサンはしゃべれない振りをしてアリーと名乗りファウジの世話役になってまでして彼の真意を探ろうとしますが、ここまできてすれ違ったままというのが木原作品らしいというかなんというか、何度ももうふたりに甘い時間をあげようよ…と思ってしまったほどです。
ハッサンほど鈍くない読み手はファウジの本心などさっさと気が付くわけで(笑)、ファウジは実は一途だったんだなーと思ってしまいました。
そして、ファウジがラージンたちの復讐を知った気泙任魯侫.Ε源訶世任垢その後の供↓靴肇魯奪汽鷸訶世膿覆爐里如△修海ら眺めるどう見てもツンなファウジがどこか可愛らしくもありました。
この先は幸せになれるといいですね。

いつもの木原作品がツボにこない私は逆にこうしたお話のほうが愉しめたのですが、ぶっ通しで読むと胃もたれしそうな内容なので(笑)、休み休み読むのがよろしいかと思います(笑)。
話題の動物はアラブなだけに駱駝、蛇、そして予想外の駝鳥と、どれもそれ大丈夫なのか!? なのばかりでしたが(苦笑)、個人的に獣○はすげーとは思っても萌えないのであってもなくてもどっちでもいいです;
ただ、どれもしっかり描かれているので苦手な方は避けたほうが無難です。
あと舌にピアッシングプレイなシーンがあって、あわや失敗!? みたいになったのにはびっくり。こういうの、イタイからやめて下さい…; っていうかここが唯一ダメなシーンでした←
…にしても商業化の加筆修正で随分甘くなったというけれど、…だったら元の同人誌はどんなだったんだww

笠井さんのイラストもいい感じです。
いつになく苦痛に歪む主人公の表情に萌えw
そしてなんだかノベルスサイズで初めて見た気がしますが、文庫よりも大判なだけに見易さがあるというか。さすがに昔のカオスっぷりはなくなりましたが(笑)、今も背景等書き込む方なので小さな文庫サイズではともすればそれに人物が埋もれて見えることもあったので。
ただ最近受けの腰から下が細すぎて、ものによっては女の子に見えてしまうこともあったりして;;
2年位前のかっちりした感じが好きだったんですけどねー。そういえばこの人もどんどん変化していく人だったなぁ…。

「もう翼はいらない」 水無月さらら / ill.笠井あゆみ

その日、戦闘機が撃墜され、連邦軍の精鋭パイロット、ナインbは敵国の医官アルフレッド・レスター伯爵の囚われ人となった。肉体の損傷が激しすぎるうえに、両性具有の女性化が進み、二度と飛べない体だと告げられて、鬱屈するなかでナインbは伯爵の“女”にされてしまう。甘いマスクを偏光グラスで隠し、本性のわからない完璧に美しい男。退屈しきった大貴族アルフレッドに、罰と称して与えられる、肉体への甘い断罪。初めて知る官能を嫌悪しながらも、ナインbはこの得体の知れない男に惹かれゆくのだが…。ある日、心を打ち砕く悲劇が起こり―

久々に水無月さんを読んだらSFでした。
SFといえばこの間スタ○ト○ック観てきたんですけど、予想以上にBLな雰囲気でびっくりした(笑)。このシリーズは全然見たことがなくて何とこれが初(!)でしたが、これははまる(笑)。海の向こうの腐女子たちに大人気なのも納得でした(笑)。TVシリーズと映画一作目も見るぞー!
そんな感じで(笑)、ただいまSFな気分MAX(?)でして、このお話もノリノリで読んじゃいました(笑)。
でもこれは正統派SFというよりは、あとがきでおっしゃられているように銀○雄○説やスタ○ウォ○ズにベ○バラを足したようなちょっと耽美な雰囲気のお話。
そして主人公が両性具有の上に欠損、更に近親相姦という設定なので、ダメな方はご注意下さい。

核戦争と天変地異で地球が汚染され、地球を離れ火星に移住した富裕層たちによって打ち立てられたニューイングランド帝国と地球連邦が地球の所有権を巡って戦争をしている近未来。
戦闘のさなか、地球連邦によって人工的に創られ両性具有の躰を持つ新鋭のパイロット・ナインb(受)は敵に戦闘機を攻撃され肉体に酷いダメージを負い、敵国の医師であるアルフレッド・レスター伯爵(攻)に囚われてしまいます。
アルフレッドによって失った両足と片腕に義足と義手を施されどうにか一命を取り留めたものの、ナインbはもうパイロットとして戦闘機に乗ることができなくなってしまう。
これまで優秀なパイロットになるためだけに育てられてきたために人間らしい感情に乏しいナインbは、アルフレッドと生活を共にする内に人間らしさを持つようになり始めますが、帝都に赴いた時に偶然遭遇した戦友たちと逃亡をはかり失敗して、アルフレッドの怒りを買ってしまい…。

SFですが、お話のメインは特殊な生い立ちを持つためにまるでロボットみたいだったナインbが人間らしさを身に付けていく過程なのでそんなに子難しい印象はなかったです。
舞台となる火星のニューイングランド帝国は19世紀西欧社会を模したような懐古趣味にあふれた世界。貴族の名前が今に繋がるところも、なんだかパラレルっぽくていい感じです(笑)。
アルフレッドがナインbを留めおいている屋敷も19世紀そのものな感じで、それがお話を近未来でありながら耽美な雰囲気にしています。
そしてそんな懐古趣味満載の屋敷の中に登場する、魚(バルーンですが)が泳いだりプラネタリウムになったりする部屋の天井とか月で育った突然変異の百合などが、何処か幻想的な気配を添えていて何だか不思議でした。
近代的な帝都の軍本部や、アルフレッドの執事で人間の脳を搭載したロボット・ヘンリー(うちにもほしい・笑)の存在に、そういえばこれはSFだったと思ってしまうことが度々あったくらい(笑)。
この雰囲気はすごく好きです。

ナインbは両性具有ですが、自分のことは男とみなしています。
そして、どちらかと言えば女性寄りの躰であることを告げてきたアルフレッドによって女もののドレスを着せられるなど女性のように扱われることに反発するようになるのですが、それがロボットめいていた彼の初めての人間らしい感情の表れとなるのです。
けっこうきっぱりと「僕は女じゃない」と言い切るところが、なよなよしてなくていい感じです。
仲間の壮絶な死を目の当たりにしてさえ何処か醒めた反応しか示さなかった彼がアルフレッドに反発したのは、生まれた時からの「優秀なパイロット」である自分の存在価値が崩壊しそれでも残った自分自身に向き合わざるを得なかったからかもしれませんね。

アルフレッドは、怖いくらいの美貌を持ちながらも目の色素が薄いために顔半分をマスクで覆っているので表情が読めず、ちょっと謎めいた印象の男です。
彼がなぜ敵の精鋭パイロットであるナインbを味方に引き渡さなかったのかという謎は、実は彼らが叔父と甥の関係にあるからだという理由が早い段階で明かされていますが、ナインbに執着する理由がもうひとつほしかったかも。
始めはさして関心のなさそうだった彼が、ナインbが自分から逃げようとした時に見せた嫉妬の深さが唐突に感じてしまったというか。
ナインの葛藤や成長の過程がとても丁寧なだけにちょっと引っかかってしまいました。
ナインbを傷付けてしまっておたおたしている意外な姿など、けっこう好きなところもあるんですけどね。

ナインbが両性具有なので苦手な方は要注意ですが、エロなシーンは回数はないもののやたら詳しくてさすが花丸BLACK! と思ってしまいました(笑)。因みにBLなので、女性の部分でのシーンはありません。
ナインbがアルフレッドが叔父であることを知ったのが後のほうだったこともあってか、近親相姦からの背徳感はあまりなかったです。そこに期待すると肩透かしかもですが、このお話に背徳感たっぷりのドロドロした感じは合わない気がしました。

すごく素敵なお話でしたが、ひとつどうしても引っかかるのはナインbの躰が完全な両性具有ではなくホルモン投与しなければどんどん女性化していくというところ。
この先ナインbが本当の意味でアルフレッドの妻になるという結末もありうることを思うと、それではBLの意味が無いんじゃ…と最期まで疑問が拭えませんでした…。
イラストの可憐な感じといい、まるでTLを読んでいるような気分になってしまったのも事実。BLでフィジカルな性のゆらぎはあまり見たくないかも。。

「溺愛調教」 西野花 / ill.笠井あゆみ

恋人に振られ、職も失った夏乃のもとに、突然遠縁の了一が現れる。彼は有名なSM作家で、幼い夏乃に悪戯をし、その性癖を目覚めさせた男だった――。そんな彼に「俺の手伝いをしないか」と言われ、仕方なく居候を決める夏乃。ところがその邸宅には、了一のほかに二人の男がいて…!?

西野さんの初Chara作品^^
大好きな笠井あゆみさんとの初タッグというところも、とっても嬉しい!
4人なお話ながらレーベルカラーのためかいつもよりは薄味でしたが、胃もたれしないこのくらいの方が読みやすいかもと思ってしまいました(笑)。

恋人に一方的に振られた上、職も失ってしまった夏乃(受)。失意に沈んだ彼の前に、親戚で有名SM作家の了一が現れて「俺の手伝いをしないか」と手を差し伸べてきます。
了一は、まだ子供だった夏乃の性癖を目覚めさせた相手であり、夏乃の憧れの男。
その了一の誘いに夏乃はためらいながらも結局は乗り彼の家に居候することになりますが、そこで夏乃を待っていたのは了一のみならず宇崎と江里という男たちの性奴隷にされてしまう日々。
慣れた3人の男たちの手によって与えられる快楽に、いつしか夏乃はのめり込んていき…。

タイトルに「調教」とありますが、具体的な調教シーンがあるでもなく、ちょっと違うかな〜という感じです。
そこを期待して読むと肩透かしですが、でも面白いお話でした。
夏乃は複雑な家庭環境で育ったことが元で、感情を表に出さない素直ではないタイプ。
ずっと付き合っていた男は自分本位なセックスしかせず、夏乃は快楽も得たことない状態でしたが、3人の男たちの手によって開花させられ、欲望に素直になるように変わっていく、というのがお話のメインです。その過程が、まぁ「調教」なんでしょうかね。

そして、一見単純な4Pものなのかなと思いきや、そうではないのが面白いところです。
了一の性癖が大きなポイントになっていて、何と彼は、好きな相手が他の男にヤられているとこをと見て嫉妬、そして興奮するといういわゆる寝取られ性癖の持ち主(笑)。
宇崎と江里はそんな了一の欲望を満たすための存在で、彼らは夏乃を可愛いとは思っても愛してはいないんですね。
なので、4人いるけれど基本は夏乃と了一ふたりのラブのお話だと感じました。
複数ものは数あれど、こういうティストのお話は初めて見た気がしました。
複数ものって、一人の受けと複数の攻めがラブラブに〜な結末がお約束の作品が多いですが、いっつも受けはともかく攻め'sはお互いに嫉妬しないのか?? ともやもやしてしまいます;
結局、複数ものっていっても「愛のある関係」が前提で、モブ姦とかこのお話のようなプレイ的なものはNGということなんだろうなー…と。
無理矢理にでもみんなで仲良く終わる複数ものに違和感があった私は、この4人の関係はけっこう美味しかったです!

あと、西野さんはキャラがいつもテンプレだな〜と感じていたりもしましたが、今回はちょっと違って新鮮でした。
西野さんの描く受けって性格は男前なクールビューティー受けが多いと思うんですが、夏乃はちょっと不器用な感じで、そこが可愛くもありました。
了一も、自分が変態であることや長年の夏乃への執着を一方的に夏乃に押し付けるのではなく、「気持ち悪いよな」と配慮したりするところに好感が持てました。

ただ花丸BLACKの一連の作品に比べると、エロは抑えめです。そこを期待すると物足りないかもしれません。
4人でだけでなく、攻め'sそれぞれとのシーンやらギャラリーを交えて〜なシチュもありますが、わりとあっさりしているというか、いつもの西野さんに比べると控えめな印象。
ですが、これでエロこってりだったら胸ヤケ間違いなしなので、個人的にはこのくらいでちょうどいいと思いました。
でも笠井さんのイラストが素晴らしくてエロ倍増! 口絵×2なんて、もうくらくらです(笑)。

「秘恋は咎に濡れ(新装版)」 沙野風結子 / ill.笠井あゆみ

「お堅そうなくせに、ずいぶんと情の深い孔をしている」与党議員・藤末彰良の政策秘書を務める椋一。彼にとって従兄の彰良は絶対的存在で、かつては性の道具にもなっていた。その彰良の汚職ネタを政敵の野党議員・四堂匡鷹に握られる。四堂の新聞記者時代の弱味を探り当てて交渉に赴いた椋一は、彼の逆鱗に触れ、身体を蹂躙されてしまう。以来、たびたび四堂に抱かれることになるが、荒々しくも彼の愛撫は甘やかで、いつしか男の熱を心地よく感じるようになり―。

2007年にラピス文庫さんから出ていた「秘恋は咎に濡れ」の新装版。本編はほぼ変更なしで、書き下ろしSSの「sign」が収録されています。
沙野さんはBL小説ではいちばん好きな作家さんですが、中でもこのお話は5本の指に入るくらいは好きな作品。なので、今回の復活は嬉しいかぎりです^^ラピスレーベルから出ていた他の作品は新装版出たのにこれは出ないのかな…と思っていただけに、本当に待ちに待ったという感じです…!
しかも、イラストが大好きな笠井あゆみさんという、嬉しすぎるサプライズに歓びが倍増ですよ^^
旧版の砂河深紅さんも素敵でしたが、笠井さん、カバー絵からしてヤバすぎます(笑)。期待していた口絵イラストがなくてかなりがっかりしたんですが(っていうかガッシュさん、口絵なくなったの??)、半数が濡れ場の本文イラストとおまけページの甘々な朝のシーンと、どれも見応えがありお話を盛り上げて下さいました!

政敵の若手議員×政策秘書といういわゆる永田町ものなのでお堅い印象を持つ方もいるかもしれませんが、沙野作品には珍しく健気で一途な受けがタイプの違うふたりの男に翻弄される切なさいっぱいの三角関係なお話です。

子供の頃に両親を喪い代議士の叔父に引き取られた諒一(受)は、辛い居候生活で唯一の味方だったいとこの彰良に敬愛と恋心を抱きながら成長します。
諒一は一時期は彰良に一方的に抱かれていたこともありましたが、今では結婚し叔父亡き後の地盤を継いで与党のサラブレッド的存在となっている彰良はもう諒一に触れてくることはなく、それでも諒一は請われるまま弁護士になる夢を捨てて彰良の政策秘書となって彼に全てを捧げています。
ある時、彰良の政敵である野党の気鋭若手議員・四堂(攻)が彰良の汚職ネタを手に彰良に不都合な法案を通す目的で脅しをかけてきたため、諒一は彰良のために四堂に圧力をかけることに。
けれども諒一が掴んだ四堂の弱みは四堂の逆鱗に触れるもので、諒一は逆に四堂に弄られてしまいます。
その後も思うようにいかずこのままでは彰良の役に立てないと焦る一方の諒一を、彰良は党内の駆け引きの人身御供として老議員に差し出してしまう。
ぎりぎりのところを四堂に助けられた諒一は、これまで揺らぐことのなかった彰良への想いが揺らいでいくのを感じ、それが強まるほど四堂へと気持ちが傾いていくようになっていき…。

…とまぁ、筋だけ追うとまるで昼メロですかというようなベタな展開ですが、安っぽくならないのが沙野さんの筆力の凄いところ。
このお話、とにかく切ないです。再読すると最初の時ほど感動や衝撃を覚えないことがよくありますが、このお話はそんなことありませんでした。

諒一は健気な性格で、子供の頃から気の毒になるくらい彰良に一途な想いを傾け続けています。
かつては体を重ねていたとはいえそれも彰良の一方的な行為でしかなかった上、もう彰良が自分に触れてくることはないと判っているのにどうしても諦めきれずに政策秘書という形で側にあり続けている姿が、あまりに自虐的すぎて哀しい。と同時に、相手に心酔するあまり色んなことに段々麻痺している怖さもありました。
妹の幸せを犠牲にしたことや、彰良に人身御供にされてしまってもまだ想いを断ち切りきれずにいるところとなど、もし四堂がいなかったなら、諒一はどんどん「彰良のために生きる人形」になってしまっていだろうなと思えてきます。
諒一がずっと一途に思い続けている彰良は、三角関係もののBLに登場する「三人目の男」には珍しいくらい存在感のあるキャラ。
彼は諒一を散々な目に遭わせて一見とても悪いやつですが、元々は虐められていた幼い頃の諒一に救いの手を差し伸べたような優しさを持っています。けれども政界を渡り歩く内に徐々に変容してしまい、諒一への感情もいびつな執着になってしまった…という感じです。
ほんと、大切な相手に対して自分のために男に抱かれるのは許しても心を持っていかれるのは許さんって、どこまで歪んでいるんだろうかと。。
そうならざるを得なかったことを考えると、けっこう哀しいんですが。

そんな彰良の呪縛でがんじがらめの状態にあった諒一を、かなり荒っぽくはありますが救い出すことになるのが四堂で、彼は始めこそ彰良に負けず劣らす卑劣な方法で諒一を翻弄するものの、本質はごくまっとうな男。
というか、彼は色んな意味でかなりいい男で、だから諒一が彼と出会えて本当によかったなと思いました。
四堂と関わることで凝り固まっていた諒一の心がまともになって、だんだん自我を育てていく過程がとても好きです。
そして、ふたりがはじめて体を重ねるシーン(料亭でしっぽり・笑)は、その後の回想シーンも含めてすごくエロいです。
行為中に顔を合わせることで相手に囚われるのを恐れて、布で隠してまで決して諒一の顔を見ようとしなかった彰良しか知らなかった諒一が、初めて「普通に」愛されることのやらしさを知っていくのがたまらなかった…!

四堂が最後の最後に諒一に自分と彰良のどちらかを選ばせたシーンが印象的です。自ら選んだことで、諒一は長い間自分を縛り付けていたものから本当に解放されたんだなと思わせられ、何度読んでもじーんときます。
そして自業自得といえばその通りの彰良も、立場が違っていれば諒一ともっと別の関係を築けたのかもと思わせられる切ないシーンでもありました。

そんな切なさのまさるお話ですが、四堂と諒一のシーンだけでなく彰良と諒一のシーンもしっかりありますので(しかもけっこう酷い)攻め以外とのシーンは見たくない方はダメかもしれません。
他にも、人身御供に差し出された諒一が老議員に弄ばれ…な部分もあって、それが何と歯なしプレイというかなりの離れ業で、これもまた人を選びそうです(笑・私はツボってしまいましたけどね←)。
苦手な方はご注意下さいませ!

波瀾万丈な展開の連続だった本編から一転、描き下ろしの「sign」は諒一と四堂の甘々後日譚。
本編同様万年筆をそんな使い方したらダメだろと思いつつもエロさと甘さたっぷりのサインプレイは好きです(笑)。
それよりもツボにきたのは、四堂のビールで小細工してるところなのですがw

ところで、これまであまり気にしたことなかったけど、私、一途な健気受けってかなり好きかもしれないです。
ってもちろん場合によりますけれど、このお話の諒一のようなタイプには胸をきゅうぅぅーーっと締め付けられます。あー、そうか切ないのが好きなのか。あんがいベタなのがツボにくるのかと改めて実感(笑)。

「その血は夜を惑わせる」 神楽日夏 / ill.笠井あゆみ

勤務先の高級クラブで、和月聖弥は銀髪の美しい男、テオドール・ブラッドレイ―テオと出会う。退屈そうに豪遊するテオは、ただ1人の肉親である妹を失い人生を諦めかけていた聖弥と大違いだ。帰り道で獣のようにうなる謎の男に襲われかけた聖弥をテオが助ける。「無駄に血を流すな」と不可解な言葉を告げたテオは、次の瞬間、聖弥の首に歯を立てた。その夜から聖弥はテオの夢に悩まされ続けて…!?

読んだことのない作家さんだし、あまり得意じゃないヴァンパイアものだったのでどうしようか悩んだんですが、笠井さんのイラストにやられてしまいました(笑)。これだけでも見る価値アリな、金髪慧眼のヴァンパイア×孤独な青年のゴシックな雰囲気たっぷりのファンタジーです。

難病に倒れたただ一人の肉親である妹を助けるため、夜の仕事(といっても高級クラブのボーイですが)をしながら治療費と生活費を稼いでいた聖弥(受)でしたが、結局妹は病死してしまい、店のオーナーへの莫大な借金を抱えたまま20歳の若さで天涯孤独になってしまいます。
その後は生きる目的を失った日々を送るだけでしたが、店に訪れた華やかな外国人客・テオ(攻)と出会ったことで聖弥の人生は劇的な変化を迎えることに。
仕事からの帰り道、聖弥は何者かに襲われかけたところをテオに助けられるのですが、ヴァンパイアであるというテオは、同じくヴァンパイアであったという聖弥の曽祖父アリステアによって「血族」になりアリステアの仇ジェシーを追って日本に来たのだといい、さらにアリステアの血を引いている聖弥も狙われていると告げてきます。
その非現実的な出来事に加えて店のオーナーからも到底受け入れられない要求をされてしまい、聖弥にとってテオと共にいる時間が唯一孤独を忘れさせてくれるものになっていきますが…。

私、スプラッターやかなり痛いのは全然平気なのに、何故か昔からヴァンパイアものが苦手です;
どうも「血を抜き取られる」描写が生理的にダメなのようで、ヴァンパイアもののみならず採決や輸血シーンなんかでも貧血起こしかけてしまうという(苦笑)。お陰で某ヴァンパイア映画の大ファンの妹からは、散々ヘタレ扱いされております…
そんな体質?なもので特にリアルな感覚を覚えがちな小説や映画は避けて通ってたんですが、最近見た某ヴァンパイア映画が案外大丈夫だったり夜光さんの薔薇シリーズが普通に愉しめたりと、ここ数年は前ほど苦手意識がなくなってきた様子。
そしてヴァンパイア、というかアンデッドものは、永遠に生きる者の孤独や哀しみがツボにくることが多いことに今更気が付いたり…(遅…)
実は惜しいことをしてきたのかもしれません;

このお話にも、そんなアンデッドもの特有の哀しみがありましたね。
因みに、聖弥たちを狙う新種のジェシーが人狼みたいだったりしますが、全体としてはヴァンパイアものの範疇を大きく外れない内容だと思いました。
人として限りある命を生きる聖弥が永遠を生きるテオに惹かれてしまったことで、相手が人間とは違う時間を生きる存在であることを強く意識せざるを得なくなりさらに孤独を強めてしまう…みたいなところが何とも切なかったです。
とはいえ、咬まれたり血を吸われながらエクスタシーを感じているシーンは、私にはちょっと…(汗)。あちこち見ているとこういう部分がお好きな方は多いようで、ここが突破できない限り私にヴァンパイアものの本当の魅力はわからないのかも。。うぅ…。。。

聖弥は育ちがいいせいなのか年の割には世間知らずなところがあるだけに、ひとりにしておくとなんだかすごく危なっかしい。
絵に描いたように美しいテオは最初こそクールで謎めいた印象でしたが、後半は甘々に豹変、ちょっとギャップについていけないくらいでした(笑)。
そんなテオたち人外ではなく人間の方が怖ろしいのがこのお話のいちばん印象的なところだったかもしれません。オーナーの非道っぷりは、ジェシーの暴走もかすむほどでした。

そんな特殊設定ものなので、どうしても説明部分が多くなりがちなのが気になるところですかね。たぶん、一冊にまとめるにはスケールが大きいお話だったと思います。そのあたりも残念。
それにしてもこれ、日本舞台にするのはちとムリがあった気が。。
聖弥の曽祖父のエピソードもですが聖弥の家や勤め先が古い洋館だったりするのがいちいち引っかかってしまって、西欧舞台の方がよかったんじゃないのかと。。登場人物がすべて外国人設定って避けられがちのようですが、折衷して中途半端になるならいっそ開き直ってくれと思うのは私だけですか。。。

というわけで、ヴァンパイアもの苦手な私はちょいダメな部分もあったりなお話でしたが、お好きな方はすごく愉しめると思います。
そして笠井さんのイラストがすごくいい! 耽美なお話にぴったりなのはもちろんですが、145Pのあのアングルはヤバすぎました(笑)。ええ、もう、これを見られただけで十分です(笑)。

「ショコラティエの恋の味」 藍生有 / ill.笠井あゆみ

バーで声をかけてきた年下の男―彼は由輝が忘れられない味を作ったショコラティエ・副島基也だった。過去の恋を断ち切れず、そのアプローチを躱し続けていた由輝。だがある事件で自暴自棄になった夜、彼と一夜を共にしてしまい?「ゆっくり口説く覚悟はしました」焦る自分に、あくまで真摯な基也。思わぬ形で始まった関係に戸惑いつつ、彼の濃密で甘やかな愛情に身も心も蕩かされていく。彼の傍は、心地がいい。そう感じ始めた矢先、元恋人の原から接触があって!?

複数もので有名な藍生さん、今回は意外にも甘々王道なお話でした。

由輝(受)は、学生時代から付き合っていた男・原から一方的に別れを告げられたことを2年経った今でも引きずったままでいますが、行きつけのバーで知り合ったショコラティエの基也(攻)に口説かれています。
基也と付き合うつもりはなかった由輝でしたが、勤め先のデパートでスイーツフェアを任されることになり、これまでフェア出店したことない基也の店を頼ることに。
仕事で顔を合わせることが増え、これまで見たことのなかった基也の仕事への真剣な姿勢を知り由輝は徐々に基也に惹かれていきます。
ところが原の意外な姿を目撃したことが引き金となって、由輝は基也と夜を共にしてしまう。それでも基也と付き合う踏ん切りの付かない由輝に対して、基也は「ゆっくり口説く」と言った通り焦ることなく由輝を甘やかしてきて、それに由輝はこころよさを覚えるようになる。
ところが、由輝の気持ちが基也に傾いた頃になって原が現れ…。

失恋の痛手に立ち直れない主人公が年下の男に甘やかされまくる、それは甘〜いお話でした(笑)。
実は藍生さんは、3Pものを何冊か読んだことがあるものの何か合わないと思ってたんですが(汗)、このお話はとてもすてきでした^^もしかして、エロ特化な作品よりこうした王道系の方が(私的に)合うのかもと思ったり(笑)。

由輝はデパート勤務の割には生真面目なタイプ。職場ではプリンス(笑)なんて呼ばれているほどきれいな容姿をいていながらも、浮ついたところがありません。
恋に対してもそれは同じようで、一途といったら聞こえはいいけれど、そんな奴のことなんかさっさと忘れて新しい恋をすればいいのに…と思わずにいられなくなりました。
元カレの原がとんでもなく酷い男なので、余計でしょうかね。
そんな、どこかうじうじしている印象のあった由輝が、基也とのことに関してはちゃんと自分で一歩踏み出しているのがすごく良かったです。
こういう仕事上の都合で攻めと関わることに〜なお話って、大抵は偶然か攻めがアクション起こしているものばかりなので(そういうのしか読んでないだけかもですが;)、受けが自ら動いているのはすごく好印象。
踏み出した時点では基也は恋の相手としては眼中になかったにしても(笑)、これまで明かしていなかった素性を知られることになるわけですから色々覚悟はあったと思うんですよね。
知らずのうちに、そろそろ過去の恋に決着を付けたいという思いもあったのでは、と思いました。

由輝のそれまでのつらい恋を癒すように、基也は世話焼きで相手を甘やかすのが大好きな、どこまでも優しくて甘い男です。
でもただ甘いだけではなく、Hの時にはちょっとイジワルになるところが何だかツボでした(笑)。彼のこの二面性(?)のお陰で、エロ面もけっこう読み応えがあります(笑)。
あと、ショコラティエのひんやりと冷たい指先に感じたり愛おしんだりといったちょいフェチな描写が何だかやらしかった(笑)。

フェアに向けてのお仕事面もしっかり描かれているのでお仕事ものとしても楽しめる、まさに一粒で二度美味しい内容なのもいいですね。
ほんとのところは笠井あゆみさんのイラスト目当てでしたが、とっても素敵なお話でした。
因みに、笠井さんのイラストは、由輝と基也はもちろん原やバーのマスターまで男前でくらくらです(笑)。イラスト効果で甘さ倍増(笑)。
そして、読み終えたら無性にショコラが食べたくなりました(笑)。

「猫耳探偵と助手」 愁堂れな / ill.笠井あゆみ

平凡なサラリーマンの環は、ある日、理不尽な理由で突然会社を解雇されてしまう! 呆然とする環がフラフラと辿り着いたのは、ボロい雑居ビルにある探偵事務所だ。 そこで待ち構えていたのは、三つ揃いのスーツを着こなした美貌の探偵・羽越。なぜか警察とパイプを持つ羽越は、事件現場に呼ばれては名推理を披露する。そんな時、環のアパートが謎の火災で炎上! おまけに元上司が殺害され、その犯人と疑われてしまい!?

BL業界ではダントツで多作なことで有名な愁堂さん、これまでお気に入りのレーターさんがイラスト担当したものくらいしか読んでなかったりしますが(汗)、今回もやっぱり笠井さんのイラスト目当てで購入です。
タイトルにあるとおり猫耳。しかも猫耳攻め(!)。どんなのだよと心の準備をしなかったといったら嘘になってしまいますが(笑)、けっこう楽しかったです。
でも猫耳っていってもカチューシャなので、もふもふ期待して読んではいけません(笑)。

理不尽な理由で会社を解雇された環(受)は、その帰り道に偶然ある探偵事務所の見習い募集の記事を見付けます。
渡りに船とさっそく事務所に向かった環を待っていたのは、モデル並みのルックスをした探偵・羽越(攻)。突然猫耳のカチューシャを装着して「にゃー」と鳴いた羽越に環は唖然としますが、その反応に羽越はなぜか「合格だ」。
晴れて(?)探偵見習いとなった環でしたが、自宅のアパートが全焼した上に放火犯の疑いをかけられ、さらに解雇された会社の元上司が謎の死を遂げてこちらでも疑われてしまう。
次々に身の回りで起こる不可解な事件への疑いを晴らすため、環は羽越とともに真犯人探しを開始しますが。

…事件の犯人に仕立て上げられかけた主人公が他に頼る当てがなくて知り合ったばかりの探偵(や刑事)を頼りに真犯人を探し出す、みたいなお話は、なんか最近似たようなのを読んだ気がしますが(笑)、このお話は攻めの羽越のフシギさと奇抜さが突き抜けていていい味出しています!(笑)
男前が猫耳のカチューシャを装着して「にゃー」と鳴く…このギャップ、この脱力感(笑)。
BLで猫耳っていったらもふもふ系の可愛らしい受けが相場な感じなのに(そうでもない?)、その真逆というか考えもしなかったトコロを突いてきたのがたまらんです(笑)。
笠井さんのイラストも(羽越同様・笑)真面目に猫耳やっちゃってるのが実にイイです(笑)。さすがギャグ漫画家さん!(笑)

環が会社を解雇されたのは、実は会社社長の息子で跡取りでもあった元上司と付き合っていたことが関係しています。その元上司がお見合いすることになり、環は一方的に捨てられた上に体よく解雇されたのです。
そして環が探偵見習いになろうとしたのは思い付きなのではなく、自分を捨てた相手の弱みを握ってやろうというちょっと後ろ暗い動機があったりします。

事件に関してはフツーな感じですが(犯人もすぐにわかります)、羽越とともに事件を追ううち、環が捨てられたとはいえかつては付き合っていた元上司に対する感情が希薄であることに気が付きます。
そもそも何かに執着することのない性格で、遂には羽越に「恋したことがないだろ」と突っ込まれてしまう。そしてその通り、環はこれまで誰かに恋焦がれることがなかったんですね。
終盤の家財一式燃やされたことへの対応にはどれだけ執着心がないんだと呆れてしまうほどでしたが、恋の相手にはこの性格はかなり厄介なんじゃ…と思ってしまいました。
そんな恋も知らない環が羽越とどうラブを育てていくのかと思っていたら、そのあたりはこれからという感じでかなり薄〜い印象になってしまったのが残念。
羽越が環に一目ぼれっていうのも、ちょっと都合がよすぎるような。。
キャラクターが面白かっただけに残念というか、もうちょっとふたりの関係の変化を描いてほしかったです。

猫耳のナゾは意外な感じでしたが、それに関することが全然解決していないのは、もしかして続編狙いなのでしょうか。そういえば、個性的な脇キャラもいろいろ登場していますし。
…っていううか、BLで探偵もの流行ってるんですか??

イイ男が猫耳つけて「にゃー」と鳴く、そのシュールな姿がすべてなお話だったかも。

あと、文章は読みやすかったのに会話文の中で時々?が縦にいくつも並んでいるのを目にするたび違和感が。。あんなに何度もあるとくどいですってー

「蜜なる異界の契約」 遠野春日 / ill.笠井あゆみ

大きく広げた漆黒の翼、威圧感を纒う美貌―極道に絡まれた泰幸の前に現れた、黒ずくめの男・ベレト。眼力ひとつで泰幸を救った男はなんと魔界の王子!父の逆鱗に触れ人間界に追放処分になった身だった―。心も自在に読むベレトは半身半疑の泰幸に「願いを叶える代わりに精気を吸わせろ」と契約を迫ってきて!?雄大な森林から一瞬で夜の砂漠へ…連れ去られ抱かれるエロティックラブ。

笠井さんのイラスト目当てに購入した一冊。この一年、定期的にBL小説の挿し絵を手掛けてくれて嬉しい限りです^^この先もぜひぜひこのままお願いしたいです!
…とはいえ、あらすじを読む限りあまり好きではないどファンタジーな設定だし実は初読み作家さんだしどうしよ…、と実はけっこう悩みました(汗)。
で、やっぱり個人的にBLでファンタジーは鬼門のようで、読み進むのにかなり時間がかかりました…。

ある過去の出来事が原因で自堕落な生活をしている泰幸(受)は、暇つぶしに二丁目界隈でセフレの男とともに美人局をやっていましたが、それが界隈を取り仕切るヤクザにばれてしまう。窮地に立たされた彼の前に現れたのは、追放の憂き目にあった異界の王子ベレト(攻)。
泰幸を救い出したベレトは、お前の願いを叶える代わりに精気を分け与えろ、とよくわからない契約を交わすよう迫ってきます。
始めは半信半疑だった泰幸でしたが、ベレトが頭の中を読むなど人とは思えないことをするのを目の当たりにして嘘ではないと信じ、ベレトと契約を結ぶのですが…。

ベレトは真の姿の時は巨大な黒い翼を持っていて悪魔なのかなという感じですが、作中ではそれとはっきり書かれてはいません。捉え方によっては吸血鬼のようでもあり淫魔のようでもあって、その辺は読み手の想像にお任せしますという感じです。
私はセックスによって相手から精気を得ている姿にこれは淫魔だ! と思ってしまいました(笑)。
彼は異界の王子らしく傲岸で、そして多情な男。追放の原因も、父王の若い愛妾に手を出したためという筋金入りです。
そのベレトが何故か気に入った泰幸は、人に裏切られた過去と生い立ちが原因で定職にも就かずかなり自堕落に生きているいわゆるニート。ろくでなしなくせにプライドは高いという、ちょっと面倒くさいタイプです。
そんなふたりが契約を交わしベレトは泰幸と交わることで精気を得るようになるのですが、ベレトが衰弱してしまった泰幸に精気を半分返すというおおよそこれまでの彼からは考えられない行動に出たり、泰幸がベレトの翼が見たいということ以外に叶えてほしい望みが思い付かなかったりと、ギブアンドテイクな関係とは違うものになってしまい、ふたりともが戸惑ってしまうという。
その後、泰幸の過去絡みで一騒動が起き、それがふたりの関係を変えてしまうきっかけになります。

読み終えて感じたのは、ファンタジー設定な部分がBLに上手く溶け込んでいないなーと。
冒頭、泰幸がベレトを異界の存在であると信じるくだりはくどいわりにちょっと説得力に欠けていて、ここで引っかかってしまったがために後々尾を引いた感が。。
そして何より泰幸に特異能力があるっぽいというかなり含みのあることを書かれている割に、結局ベレトの目に泰幸が留まったのは容姿や相性が良かっただけのことなのかとか、肝心なところが肩透かしになっているのが残念でした。もし本当にそれ「だけ」の理由で泰幸が選ばれたのだとしたら、泰幸にそれだけの魅力があるのかも疑問です。
まぁでも人外攻めのお話なので、瞬間移動して月の○漠みたいなシチュでHしたり最中に舌が伸びたりといった美味しさはあるので、そういうのがお好きな方は愉しめると思います。

私は主役のふたりよりも、ベレトの従者サガンが好きです(笑)。笠井さんの口絵が素敵すぎるということもあるんですが、終始ツンとしているのがたまらない(笑)。
あとがきによればサガンのお話も考えてらっしゃるそうで、それはかなり読んでみたいと思ってしまいました。

「双子の獣たち」 中原一也 / ill.笠井あゆみ

野性的な男前の新進モデル・篤志と、怜悧な美貌のエリート・悦司。性格は正反対だけど瓜二つな双子の弟を、男手一つで育ててきた紅。弟の将来を考えると、永遠に三人ではいられない―。けれど独立を告げた途端、弟たちは「ずっと兄さんが好きだった。絶対離れたくない」と紅を監禁!獲物に群がる獣のように激しく抱いて!?血の繋がった弟に刻み込まれる罪深い背徳…究極の禁断愛。

待ってました! 中原さん初の3Pもの…! しかも双子攻め!! 随分前に読んだ作品のあとがきで、いつか書けたらみたいなことを見て以来ずーっと待ってました! 
内容だけでも美味しすぎるというのに、イラストが笠井さんなのが更に嬉しい! 今めっちゃはまってますので、相乗効果大きすぎて困ります(笑)。

紅(受)とその双子の弟・篤志(攻1)と悦司(攻2)は子供の頃に両親を事故で失いばらばらになっていましたが、紅が専門学校に入った頃から漸く3人で暮らせるようになり、以来3人でいることを何より大切にしているとても仲の良い兄弟。
今では、篤志と悦司は紅を支えてくれる頼もしい存在に成長しています。
野性的な雰囲気を生かしてモデルをやっている篤志と大手証券会社に勤める知的な雰囲気をたたえた悦司は、タイプはまるで違うけれども仲がよく、そして兄である紅を溺愛しているという共通点があります。
紅はそれを鬱陶しいと思うどころか快く時に優越感さえ感じていましたが、両親の十七回忌を迎えた頃にそろそろお互いに自立する時期にきているのではと思うようになります。
そしてその直後に仕事で引き抜きの打診を受け、それを機にふたりにこれからはひとりでやっていくと告げるのですが、初めは快く受け入れてくれたふたりが紅の「本当は一緒にいたい」という思いを知った途端に態度が一変、ふたりから「ずっと好きだった」と告げられ、紅は監禁され陵辱されてしまう。

美しい兄が弟(この場合は双子ですが)から執着されて(でも兄はそのことに気が付いていない)、監禁・陵辱…という、筋はこの手のお話の王道を行くものですが、それらに付きものの背徳感や病んだ感じはあまりないので読みやすいです。紅が美人だけれども男っぽいのもいいですね。
始まりから、傍目からはちょっとそれは兄弟愛の域を超えているんじゃない!? な3人の仲の良さを見せ付けられますが、意外なことにお話しの半ほどはそんな3人の姿を描いているだけでエロはありません。
半分を終えた、双子がぷちっときたところから、紅は二人がかりで愛されて大変なことになってしまいます(笑)。

この双子、BLには珍しく最初は紅の選択をすんなり受け入れるという聞き分けのいい性格をしています。執着心のまま突っ走るタイプではないんですね。
彼らは兄はこれまで自分たちの存在に縛り付けられていた、だから解放されることを望むのなら自由にしてやりたい―そういう思いから紅の独立を受け入れるんです。
けれども実は紅も、弟たちは自分がこれまで犠牲になってきていると思っている申し訳ない思いから独立を決めたという、双子たちと同じようなことを考えていたわけです。それを知ったために、双子はじゃあ別々に暮らす必要はないじゃないか、と大好きな兄に想いをぶつけて監禁の上に陵辱してしまうという。
双子がそれほどまでに紅に執着しているのが、両親すら間違えてしまう自分たちを紅だけが完璧に見分けてくれるから、というのが面白いポイントだと思います。
それは、紅だけが彼らの本質をちゃんと見てくれているということだろうし、そのために彼らの中で紅という存在が特別なものになったこともすんなり理解できました。こういう内容でそこが無理なく理解できるってミラクルじゃないですか!?(笑)

そしてそのままただれた関係になって気が付いたら紅もそれを受け入れる…みたな既視感ありありな展開になはらず、我に返った双子は何と紅を解放します。執着攻めにはあるまじき冷静な行動です(笑)。
でも今度は、ひとりになってしまった紅が彼らを必要としてしまうようになってしまうんですね。
両親を亡くして以来ずっと三人でやってきた掛け替えの無い存在だということもあり、3人に落ち着く結末に何の違和感もない作品でした。
そして終わってみれば、双子が紅に翻弄されているという(笑)。ラストのオチ(?)が可笑しかったです(笑)。

エロも、笠井さんのイラストとも相まってとても濃ゆくて大満足(笑)。
拘束や目隠しをされたり、こういうお話しではもはやお約束(笑)の二輪差しもばっちりありますが、それよりも萌えだったのは、Hの時には双子が普段とは逆になる(野性的な篤志が優しく、理性的な悦司が荒っぽくなるw)とか陵辱中に目隠しされた紅が今触れているのがどちらなのかわかっちゃうところ(笑)。特に目隠しプレイでは、作者はこのために紅にこの特技(?)を与えたのではと思ったほどです(笑)。ごちそうさまでした!

もはやBLでは3Pものや双子攻めものは珍しくなくなって、だんだんマンネリ化というかどれも似たり寄ったりな内容のものが増えている中、この作品は独自な感じでとても新鮮でした。
BLって、工夫次第で可能性がまだまだ広がるんだなーと思えた作品でもあります。

「罪の蜜」 丸木文華 / ill.笠井あゆみ

予備校で講師のバイトをしている美大生の嘉藤雄介は、天才的な芸術の才能を持つ高校生・水谷宏司に出会い、羨望と仄暗い嫉妬心を抱く。高名な芸術一家に育ちながら落ちこぼれの雄介は、人知れず深いコンプレックスに苦しんでいた。しかし、そんな雄介に水谷は好きだと告白する。雄介は天才である彼に欲されていることに優越感と歪んだ快感を抱きつつも、自分の過去の罪を水谷に隠していることに怯えていて…。

ドロドロ執着系のイメージが強くて苦手な丸木さん。でもこれは笠井あゆみさんイラストのため購入してみました。ただいま笠井さんの描く色っぽいBL絵にぞっこんはまり中です(笑)。もっとBL描いて欲しい…!
…なんてことは置いといて、以下お話の感想です。

高名な芸術一家に生まれながらも芸術の才能に恵まれない雄介(受)は、4浪したものの芸大には受からず妥協して私立美大に通う25才。彼が講師のバイトをしている美術予備校に、高3の秋から入ってきた天才的な才能を持つ水谷(攻)が入ってきます。
コンプレックスの塊みたいな雄介は水谷に激しい嫉妬を覚えますが、何故かその水谷に懐かれ「好きだ」と告白されてしまう。ゲイではない雄介は最初は水谷を突っぱねますが、次第に突出した天才に執着されることに快さを覚えるようになり…。

天才肌の高校生×劣等感にまみれた大学生の執着ものかと思いきやこのお話、読み進めば進むほど意外な展開になって行きました。
あんまり詳しく書くとネタバレになるのであれなんですが…、途中である謎が差し込まれて、これがふたりとどう繋がっていくのか、意外性を帯びた構成がいいです。
そんなある意味ミステリー仕立てな部分は楽しめたのですが、如何せん私は執着ものに興味が無いので(汗)BLとしては普通でした。
というか、ちょっと中途半端なのかなぁ?

雄介の抱えるコンプレックスや、自分が凡庸なゆえに何でもないように才能を手にしている水谷に嫉妬する気持ちはよく分かるし、そんな天才肌に執着されることが快くなってしまうのもなるほどなーとは思うのですが。
…水谷がいかに突出した才能とカリスマを持っているのかがちょっと見えてこなかったので、全体的に消化不良だったような。。
事あるごとに水谷は天才肌で人を惹きつけてやまない魅力があり…みたいな記述があるのですが、どこにも具体的なことが書かれていないので何度言われてもその凄さがよく伝わってこないんですよね。
最初は年下ワンコなのか? と思わせていて実は…な水谷の意外性が生かしきれていない気がします。最期まで読むとそこがまさにキモだったのではという気がしますし、もうちょっとどうにかならなかったのか。
あと、雄介が芸術系だからかちょっと軽い感じのしゃべり方なのがいちいち気になってしまいました。
それにしてもラストはハッピーエンドと言っていいのか。。何だかすっきりしない。。
こういう執着系はやっぱり合わないですね〜;

お話だけなら★は2.5くらいかな〜ですが、笠井さんのイラストがとてもステキなのでもうちょいプラスで3つです。キレイなだけじゃなく、なかなかエロくていいですよ〜(笑)。
笠井さん、8月の中原一也さんのキャラの新刊でもイラスト担当されるようで、とっても楽しみにしています^^そして今後もBLたくさん描いてくださることを祈ります!!

「復讐は闇の果てに」 矢城米花 / ill.笠井あゆみ

作業療法士の篠は、窮地を外科医の苅谷に助けられ、彼の家に居候することになった。だが、夜毎に感じる自分の体の異変に不審を抱いた篠は、苅谷の悪魔の所業を目の当たりにしてしまい…?

矢城さんの新刊は珍しく特殊設定も触手も登場しないふつうの現代ものです。私が今まで読んできた矢城作品が特殊設定ものばかりだからでしょうが、なんだか新鮮でした(笑)

真面目でお人好しの作業療法士・篠(受)は、ある時数人がかりで陵辱されそうになったところを脳外科医の苅谷(攻)に助けられます。苅谷は報復に遭うかもしれないからと自宅に帰ろうとする篠を暫く自分の家に泊まるように勧めてきて、篠は不審がることもなくそれに従いますが、それは苅谷の仕掛けた罠でその夜に苅谷に陵辱されてしまう。
苅谷を憎む篠ですが、苅谷には篠を憎む理由があることを知り…。

この作品は触手が出てこないばかりか、受けが攻め以外に犯られたり輪姦されたりもしません。危ない目には遭いますが、矢城さんには珍しく寸止めされています。
変わってこの作品で大活躍なのが、性格歪みまくりのド変態の攻め・苅谷(笑)
あとがきでこの間同じ花丸BLACKから出た「闇を断つ者たちの夜」の攻めが「馬鹿」だったので今回は「頭はいいが性格が悪い」攻めにしてみたとありましたが、矢城作品の攻めはこういうタイプの方が好きです(笑)。ある意味頭脳戦になるので面白い(笑)

苅谷はまず睡眠薬を使って眠らせたにいたずら(っていうか調教?笑)をするのですが、眠ったままの相手を弄ぶってもう変態プレイの極みですよね(笑)。いろいろ読んできましたが初めて見た気がします(笑)
その後、篠に本性がバレてからは、行為中に取った恥ずかしい写真を脅しのネタにして勤務中に白衣の下に女性用の下着を着けさせたり(透けますって!)ローター入れたりと篠を好き放題いたぶります。
更には篠に自分が見ている前で剃毛させたりします(!)。剃毛シーンはBLでもちらほうら見かけますけれども、受けが攻めの前で自ら剃るというシチュは初めてです(笑)。
こんな具合にこれでもかというくらい篠に恥ずかしいことをさせる苅谷は、人格破綻しているんじゃないのかという酷さです。
けれども決定的な悪人ではない、というのがポイントですね。むしろ苅谷は人の愛し方を知らない不器用な人であることがわかってきます。
苅谷は親からもまともな愛情を受けなかったために人を愛するという感情が理解できない上に自分は誰にも愛されない存在だと思っていて、だから篠を自分を憎むことによって繋ぎとめようとしていたのですね。
篠への執着の原因も篠を陥れた顛末も、わかってみればそういうことかと納得ができます。
篠も苅谷が自分をかばって怪我を負ったことでそのことに気が付き始めて、酷い仕打ちは彼のねじくれた愛し方だったことに気付くという、何だかある意味哀しいお話しでした。
湿っぽくならないのは、篠が前向きな徹頭徹尾いい人だからでしょうか。病院の患者さん同様、苅谷も篠に癒されて人を愛する感情を理解できるようになるんだろうなと思うラストでした。

いつもの矢城作品に比べれば受けがそれほど酷い目に遭っていないので(あくまで矢城さんの作品比です;)、読みやすい内容だと思います。というか、肉体的にボロボロになっているのは、何故か受けではなくて攻めの方という不思議な作品(笑)
それから笠井あゆみさんのイラストがカラーもモノクロもきれいでかっこよくて素敵です。剃毛シーンはもう…(笑)、たまらないですね!
素敵なイラストも含めて矢城作品入門にはもってこいの一冊ですが、いつもの矢城さんを求める方にはちょっとヌルいかもしれませんね。