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  • 2014.07.28 Monday
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「笑う丞相 鋭き刃の恋物語」 矢城米花 / ill.王一

国の政を司る丞相でありながら、趣味の夜遊び先で盗賊団に誘拐された索冬波。しかし首領の火耶の美貌に心奪われた冬波は、手下たちの目を盗んでその身を犯してしまう。誘拐事件は冬波の部下・興淵の釆配で事なきを得るが、一方の火耶は冬波との一件が手下たちにばれて輪姦されてしまう。そんなプライドも味方も失った火耶に手を差し押べたのは、ほかならぬ冬波だった。初対面の蛮行が嘘のような飄々とした言動で真意を見せない冬波に、火耶はいつしかあの夜のことを思い出すようになり―。

4月に出た「偽る王子 運命の糸の恋物語」のスピンオフ。莉羽にちょっかいかけていた多情な男・冬波のお話です。彼のお相手は何と彼を襲った盗賊の頭(!)。引き続き作品を彩る王一さんのイラストもステキです〜
そして副題の「鋭き刃の恋物語」から連想しそうな危険な感じではなく、意外や全体的に甘めなお話でした。

動乱から2年後。国の丞相として未熟な国王を補佐する立場になった冬波(攻)は、政敵の刺客に命を狙われる日々。
それでも懲りずにお忍びで愛人と密会していたら、盗賊に襲われて囚われの身のなってしまいます。若き棟梁・火耶(受)を始め盗賊団の連中は、襲った相手が一国の丞相であることには気が付いておらず、それをいいことに冬波は彼らを上手く言いくるめる打算を思いつく。
そしてそれだけでは思いとどまらず(笑)、その見目麗しさに目を奪われた火耶を騙して犯してしまう。

火耶は、負けん気が強くて腕は立つけれども冬波の罠にまんまとかかってしまうようなうかつさのある、まだまだ世馴れていない少年。盗賊の頭領をしているのも、死んだ父親を継いだだけであって人望があるためではありません。
そんなまだまだ子供の火耶は、武術の心得はないけれども日々政敵相手に策略を張り巡らせている冬波にはかないません。それゆえに美人には目のない冬波の毒牙にかかってしまうのですが、…ちょっと気の毒ですね(笑)。
当然火耶は自分の矜持をズタズタにした冬波を憎みます。
そして冬波自身にも、この「秘密のお愉しみ」が、その後とんでもないかたちで返ってきてしまう。
冬波を憎んだ火耶は仲間の盗賊と共に彼の屋敷に盗みに入るのですが、その途中で仲間に裏切られ輪姦されてしまう。彼らは火耶が冬波に犯されたことに気付いていたんですね。で、あいつとやったのなら俺たちも、と火耶をいいように陵辱するのです。
そのことを知った冬波は大きな後悔をします。そして火耶を救い出した後は屋敷に留め置き、国が安定するだろう3年後になら自分を殺してかまわないと告げるのですが…。

その後誘惑に負けた冬波が火耶に手を出して快楽に溺れさせるのかな、と思っていたら、意外なことに冬波は紳士です。彼は最初から火耶を気に入っているけれども、自分が原因で彼のプライドを傷付けたことへの責任の方が勝ってもう火耶には手を出すまいとするのです。
前作「偽る王子」で多情な色男という皮を被るしたたかな策士として登場した時は、もっとひどいというか、惚れた相手はそれこそどんな手を使ってでもモノにするような押しの強いタイプなのかと思っていたんですが、意外とヘタレ気味(笑)。
そして最初はひたすら冬波憎しだった火耶も、冬波という人間を間近で見ることでその優しさや意外な優秀さに気が付き、いつの間にか彼に惹かれていく。そして相変わらず政敵から刺客を仕向けられる冬波の護衛のような立場になっていくんですね。
でもお互いが惹かれ合っていることにはふたりともが思い至らないので、すれ違いばかりを起こしてしまいます。
火耶が冬波に対する感情をどう決着させるのか―憎み続けるのか恋していることを認めて彼を守るようになるのかが、お話の帰結に繋がる、という流れです。

エロは意外と(?)標準的な感じです。
矢城作品で異国ファンタジー設定なら必ず出てくる触手も、出てくることは出てくるんですがエロ目的ではなくて攻めを攻撃する存在としての登場。珍しいですね。
あとがきで冬波を触手攻めしてみようかとも思ったけれどやめたとあって、それは見てみたかったようなないような(笑)。もしあったら未知のトビラが開いたかもしれません(笑)。
唯一ヒドイのは火耶が盗賊仲間に輪姦されてしまうシーン。冬波の屋敷に忍び込むため、火耶たちは屋敷には運び込まれる大荷物の中に身を潜ませるのですが、その中でヤられてしまうという。外からは人の往来する気配のある中で気付かれないように陵辱されてしまうある意味「痴漢プレイ」な状態で、ここは矢城さんらしかったです。
そんなハードなシーンがありながらも悲惨な印象がないのは、火耶が矢城作品によく出てくるおっとり大人しめ(でも芯はしっかりしている)タイプではなくかなりやんちゃな「男の子」だからかも。この作品、攻めよりも受けの方が男前かもしれません(笑)。

そうそう、「偽る王子」の莉羽も登場して、ふたりのピンチを助けるなど道士としての成長ぶりを披露していました。雷鬼は名前だけで出てきませんでしたが、ふたりがその後名仲睦まじく過ごしているのが感じられて良かったです^^
王一さんのイラストもきれいで見応えがあり、このシリーズは数ある矢城作品の中ではわりと読みやすいお話なんじゃないかと思います(笑)。

 ・「偽る王子 運命の糸の恋物語」(本編)

「偽る王子 運命の糸の恋物語」 矢城米花 / ill.王一

政変によって父王を始め家族を失った王子・莉羽は、逃亡の途中で助けられた道士の雷鬼に育てられる。顔面の傷跡を隠すよう雷鬼は人里へは滅多に近づかず、山中で庵を結ぶ生活。そんな中、美しく成長した莉羽だったが、自分が王子であることだけは告げられずにいた。一方の雷鬼も隠遁生活の目的を明かそうとしない。互いに思慕以上の感情を募らせながら、秘密を抱える二人。ところがやむをえず赴いた都で莉羽は宦官の範賛に囚われてしまう。雷鬼に恨みを持つらしい範賛は、あられもない方法で莉羽を辱め…。

矢城さんの新刊は中華風ファンタジーです。ここのところ現代モノが続いていたので久々ですね。

国王の第二王子だった莉羽(受)は幼少の時に起きた政変で父王を始めとする家族失い、都からの逃亡途上で道士・雷鬼(攻)に助けられ、以来素性を隠したまま雷鬼のもとで弟子として育てられます。
雷鬼は西方の血の混じった容貌をしていますが、顔の右半分に酷い火傷の跡がありそれを恥じて外では覆面して暮らしている男。莉羽は尊雷鬼のことを師に対する以上の想いで慕っていますが、顔の傷跡がかつて宿敵によって付けられたものらしいということの外には何も知らず、気にはなっているものの自分も隠していることがある後ろめたさから聞くことを躊躇っています。
そんな折、雷鬼の仇敵・韓越が都にいるという情報がありふたりは都近くに移り住むことになるのですが…。

今回の攻めは、矢城作品には珍しく「単細胞バカ」でも「頭はいいけれど性格が悪い」タイプでもありません(笑)。顔に傷があったりと見た目は怖い感じですが中身はとても面倒見のいい優しい人です。
でも信頼していた兄弟子であった韓越に裏切られた上に負かされたという過去が彼を人間不信にさせ、恋愛に関しても臆病にしています。
雷鬼と莉羽は共に過ごすうちお互いに師弟を超えた想いを抱くようになっているんですが、莉羽は素性を明かせないために、雷鬼は過去にとらわれているために思いを伝えることを遠慮し続けてしまってもどかしいったらない状態が続きます。
特に雷鬼なんて、都で窮地に追い込まれた莉羽を助けた優男・冬波との関係を勝手に勘ぐったり、莉羽を試すために死んだふり(!)したり、そこまで気になるのならなぜ聞かない?? と読んでいるこちらまで悶々としてしまう(笑)。
で、そのふたりの遠慮のしすぎが、莉羽が韓越の手に堕ちるという最悪の事態を招いてしまいます。

そこからの展開は矢城さんならではといいうか、ヒドイです(笑)。
この作品、矢城さんの異国設定モノなのにも関わらず触手が出て来なかったり最初の方では陵辱されそうになるけれどもその度攻めが間一髪で助けたりと意外と大人しめ? だったにも関わらず、後半に莉羽が捕らえられてからは初めての躰を韓越に犯されるわその後は不特定多数の兵士に輪姦されるわでエライことになってしまいます。
その後に続く、広場での衆人環視の中で公開陵辱っていうのはなかなかないすごさですね。さすがにそうなる前に助けだされましたけれど、…莉羽には可哀想だけれどもちょっと見てみたかったような;

今回いつものように攻めがヒドイ男ではない、むしろ遠慮のすぎるいい人なのが裏目に出て受けが散々な目に遭ってしまう、そんなお話しです。
まぁでも、最後はちゃんとハッピーエンドですし、エロにはちゃんとオイシイ萌え要素もあるのでこれはこれでいいんですけれど(笑)、ダメな人には地雷だらけの作品かもしれませんね;;

あと、今回触手は登場しませんが(←しつこい)、かわって「淫油蟲」という如何にもな名前の媚薬が大活躍す(笑)。この他、韓越が術を使って莉羽にあんなことやこんなことを自白させるというどんな羞恥プレイ?! なシーンもあったりします(笑)。
それから素性を隠すために莉羽は常に女装をしているので、そういうのがお好きな方には萌えツボかもしれません。でも女装していても芯は男っぽくて女々しくないのがいい感じでした。
そうそう、「王子隷属 仙狐異聞」に登場した伯子鳳もちょこっと顔を出していて、それも嬉しかったです^^

お話しのみなら★3つかなという感じですが、王一さんのイラストがステキすぎるのでもう一つプラスです!
王一さんは台湾の人気BL漫画家さんで、さすが雰囲気満点な中華風テイストです。
美麗なカバーイラストのみならずモノクロイラストもキレイな上に中々エロくてとっても見応えありました(笑)。CGやトーンを多用するのではなくあくまで白と黒で描いている(でも全然古く見えない)のが何だか新鮮…。向こうではこういう感じが主流なんでしょうかね?
しかしご自身の漫画が翻訳されるのとは違って外国語の小説のイラストって結構大変なのではと思うんですが、細部まで内容に正確ですごいと思いました。これは担当さんも相当頑張ったのではと思います。
当て馬キャラとして登場した冬波のスピンオフがあるということなので、こちらも王一さんのイラストともども愉しみに待っています^^

 ・「笑う丞相 鋭き刃の恋物語」(冬波が主役のスピンオフ作品)