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  • 2014.07.28 Monday
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「真夜中クロニクル」 凪良ゆう / ill.小山田あみ

太陽の下に出られない病気を持つニーナは、気難しくて偏屈だ。そんなニーナが、夜の公園で7つも年下の陽光と出会う。どんなに邪険にしても無邪気に寄ってくる陽光を煩わしく感じるが、ニーナは次第に心を詳していく。そんな二人がすべてから逃れるため、星降る夜に飛び出した―。温かな恋心でニーナを包み込む陽光と、寄せられる想いに戸惑って踏み出すことができないニーナ。時を経て変化に呑まれながらも、成長していく二人が辿り着いた先とは。

凪良さん初読みだったんですが、すごくよかったです。
生まれつき陽の光に出られない病気を持つニーナ(新名・受)と、彼と7つも下の天真爛漫な陽光(攻)の長い長い成長のお話。ニーナ視点の18才と11才の時のふたりの出会い(「真夜中クロニクル」)から、陽光視点の23才と16才になったふたりの距離がちょっと縮まるお話(「月が綺麗ですね」)、そしてまたニーナ視点で26才と19才になったふたりが本当の恋人になる(「LOVE SONG」)までが丁寧に、けれども長さを感じさせられることなく書かれています。

病気のせいで子供の頃酷いいじめにあい小五で不登校になった18才のニーナは、以来昼と夜の逆転した引きこもり生活を送っている。病気と過去の経験のせいで、実はすごくきれいなのに自分の容姿にコンプレックスを抱いていて、おまけに人嫌いで偏屈で愛想がなくてとっつきにくい。そんな「しね、ボケ」が口癖のニーナがひょんなことから出会った7つ下の陽光は、名前のとおり明るくて、ニーナがどんなに邪険に扱ってもめげることなくまとわりついてくる。天真爛漫に見える陽光だったが、実は児童劇団に入っていることが原因で学校ではからかいの対象になっていて友達がいない。そんな意外な共通項がふたりを近付けていきます。
まず、ニーナの境遇が境遇なだけにかわいそうなお話になっていないのが凄い。
そして、出会いが18才と11才というのを不自然になることなく書いてあるのも凄いです。始めの頃のニーナと陽光の漫才みたいな掛け合いは、テーマがテーマなだけに重くなりそうなのを和ませてくれます。
一話目の「真夜中クロニクル」が終わったときに、このあとイイ男に成長した陽光がニーナを迎えに来て幸せにする、とか、ありがちな話だったらどうしようと思いましたが、杞憂に終わりました(笑)。
そこから先は、ニーナと陽光の成長物語。もちろん、ふたりの恋も育ちます。
内にこもりっきりだったニーナは、子供向けの楽曲を作曲するソングライターになり、叔父が経営しているバーでアルバイトをしたりと徐々に変わり始めていく。
一方の陽光は自分が年下であることもあって、ニーナを支えられる立派な男にならないと! と焦っているけれども、子供の頃に無邪気に信じていたようには現実は上手く進まない。才能はあるのに「元子役」の看板が邪魔をして上手くいかない。どんなに才能があっても、世間は理想通りにそれを認めてくれるわけではなくて、それにがんじがらめになっている様子が、べたなくらいちゃんと描かれています。正直、こんなにダメっぷりを露呈している攻も珍しいのでは?
その陽光が、ある大事な場面で自分の体質のために一歩を踏み出せないニーナにこう言います。
「ニーナは自分のこと『こんなん』って言ったけど、俺も『こんなん』だよ。でも『こんなん』同士、ジメジメ慰め合ったりするのは俺は嫌だ」
ああ、これはちゃんと地に足の着いた話なんだな、と思いました。
ニーナも陽光も、最後はちゃんとそれぞれに「目指したもの」になれるけれども、それが上手く行き過ぎとか運が良すぎるとか思わないのは、そこに至るまでの過程が丁寧に書かれているからだと思います。まぁ、下半身はユルイけれども仕事には誰よりも真剣な映画監督とか理解あるレコード会社の人間とか、充分ファンタジーになってはいるんですけれども(笑)。
芸能界もののBLには現実離れしがちなものが多い中で、これはとても真面目にキャラクターの葛藤が書かれているので、リアリティがあるんです。
個人的には、ツンツンしてばかりだったニーナが、成長していく陽光に少しずつ柔らかくなっていくところがまたまたらない。そしてそんな彼が、いざエッチシーンになると余裕なくして可愛い。対する陽光がそういう時だけはちょっと強引になるのが、上手く合っている。
あと、惹かれ合っているふたりが結ばれるそのときまで純潔のままでした…みたいないったいどんなお伽話よ? な設定には、今時受はともかく攻までそんな純な野郎がいてまたるか! と、まるでついていけない私でも(そこに萌を見出せないのはトシのせいですかね…)、これは受け入れられました。このふたりにはそれが必然だったんだと。
他の作品でならいろいろ突っ込みたくなる設定やエピソードも、この作品からは不思議と違和感を覚えなかったのは、人物が「ちゃんと」描かれているから、だと思いました。
そして最後にイラストの小山田さんの表紙。これが、物語を全て語っています。

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