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  • 2014.07.28 Monday
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「まばたきを三回」 凪良ゆう / ill.円陣闇丸

幼馴染で恋人の四ノ宮 令が事故で亡くなって二年、斎藤一佳は山間の田舎町で一人静かに暮らしていた。一日の終わりには令の住んでいた家に行き、その日の出来事を彼に語りかける。孤独を紛らわす一佳の習慣だった。ある日、いつものように令の部屋にいた一佳は突然大きな揺れに襲われる。そして次の瞬間、驚きに息を呑んだ。目の前に令が立っていたのだ。綺麗で意地っ張りなままの、幽霊となった令が――。

あらすじを読んだ時に、恋人が亡くなっていて幽霊って一体どういう作品なんだろうかと期待半分不安半分だった凪良さんの新刊。とてもいいお話でしたが、すごく評価の難しい一冊でもありました。
因みにちゃんとハッピーエンドで終わるお話ですので、あらずじで不安になっている方はご安心下さい。

田舎で陶芸家として生計を立てている一佳(攻)は、2年前に最愛の恋人・令(受)を事故で亡くしてから抜け殻のようになっています。ある時地震に見舞われた一佳の前に、幽霊となった令が現れて―。
…というプロローグから始まる幽霊が出てくるお話ですが、ホラーテイストではないです。そしてファンタジーですがエンタメ系の内容でもなくて、これまでの凪良さんの作品が好きな人ならきっと好きになれるお話だと思います。

一佳は令のみならず肉親を全て喪っていて、若くして天涯孤独という哀しい境遇にあります。けれども昔から前向きで誰に対しても優しくて暖かい性格の持ち主。
令はそんな一佳とは逆に、資産家の息子で美しい容姿をしていますが不器用で素直ではないタイプ。
BLとしては衝撃のプロローグの後、お話はそんな彼らが出会った9歳の頃まで遡りふたりが恋人同士になって行く様子を描き出して現在に至るのですが、想像もしていなかった予想外の展開が待っています。
令に関してはいつまでも「そう」だと言い切られなかったのでだぶんこうなんじゃないかなと予想できて、なのでそれに沿ったかたちでハッピーエンドなのかなと思っていたら、見事に裏切られました。凪良さん凄すぎます!
そういうわけで私は作者が巧みに張り巡らせている罠にかかってそこに至るまでまるで気が付きませんでしがたが、勘の良い人なら丁寧に読めば気が付くかもしれませんね。

ノスタルジーに溢れる舞台設定や田舎で陶芸暮らしとか、悪人がひとりも出てこないとか、お話を覆う雰囲気は現実とは絶対違う理想化されたもののはずなのに、そこでシラケたりしないのは凪良さんの上手さだと思います。
そのある種の「リアリティのなさ」が、このありえない、ある意味完全ファンタジーな物語を「ありえそうな話」にしているというか、そんな感じでした。

ラストはきれいなハッピーエンドですが、私はエピローグ以降はなくてもいいと思いました。途中から頭の隅で予想できていた通りのラストで、意外な展開を繰り広げてくれたここまでの内容に、私なぞの頭で想像ができてしまうようなありきたりな終わり方に物足りないものを感じました。ただ「泣ける」だけの作品になってしまっているというか、あのまま終わったほうが作品としての完成度は高かった気がします。
手紙の部分もじわんときましたが、小説であるなら小説でしか表せない文章を用いて表現してほしかったです。凪良さんの表現力をもってすればきっと素晴らしいものになると思うので、余計にそう思いました。

でもまぁ、これはBLで読み手のほとんどがこういうラストを求めているのでしょうね。
で、エピローグなしであのまま終わっていたなら、BLとは違う風合いの作品になっていた気がします。私はその「BLではない」ところに期待してしまったのです。。
そしてこの作品の面白さは、BLに求める萌えがあるとかないとかそいういうところじゃなくて、これ、もしかしたら一般文芸(それこそエンタメではなく純文学よりの)だったら良かったのかもと思ってしまいました。
でも、エピローグなしで終わっていたら一佳がとても孤独な人になってしまっていたことに気が付いて、やっぱりそうならなくて良かったんだとも思ってしまいました。一貫性のない人間ですね〜;スミマセン;;

とか何とか言いつつも、本編後のショート「夏より」はこれ単体でも凄くいいお話で、ふたりのあの結末はありだと思ってしまいました。
ええ、またうっかり凪良さんの策略にかかってしまいました(笑)。こっちはさすがに途中でもしかしてと気が付きましたけれど。

ふたりの結末に泣けたというよりは、作中のほんの些細な部分に涙腺を緩められた作品でした。そういうさりげない部分に「温かさ」や「愛情」がこもっているなーと思いました。

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