calendar

S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< July 2020 >>

latest entries

categories

category 2

archives

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

  • 2014.07.28 Monday
  • -
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

「アカサギ〜詐欺師と甘い鉄枷〜」 沙野風結子 / ill.小山田あみ

結婚詐欺師の槙圭人のカモは、ある条件を備えたノンケの男だ。普通の男たちが自分によって骨抜きになっていく様は愉快で仕方がない。だが、ある日、槙は弁護士の恩田奏源に捕まってしまう。槙の被害者が示談を依頼したのだ。恩田は他の男とは違って、槙の手管が通用せず、槙の金目の持ち物をすべて押収して去って行った。「色恋の案件など反吐が出る」。そう言い残して…。槙は、腹癒せに恩田を次のカモと決め、さりげなく接近を始めるが―!?

久々の更新になってしまいました。もう7月が終わりかけていることにびっくりです;
時間が経つのが早すぎる…というか、ここ二ヶ月ほどの記憶がまぢでないんですけど(汗)
年度が変わってからこっち、人の入れ替わりがあるわ他部署の仕事をかぶることになるわで残業続き、ここを更新する余裕がまったくないです;
とはいえBLが心のオアシスなのは相変わらずなので(笑)、限られた時間の中でも好き作家さんやレーターさんの作品は読んでいるんですけどね。
ゆとりが持てるようになるのはいつなんだろう…と遠い目;;
そんな中で読んだ沙野さんの新刊がもう凄く良くて、読んでからふた月近くになろうかというのに未だ余韻に浸っています。
沙野さんといえば最近は特殊設定ものが多くてちょっと乗り切れないことが続いてたんですが、これはもう、キャラ、お話の構成、エロ、ひとつひとつの言葉の選び方からイラストまで、どこを取っても非の打ち所のないすてきな一冊でした!

男専門で結婚詐欺を働いていた槙(受)は、被害者のひとりが弁護士事務所に駆け込んだことで弁護士の恩田(攻)に捕まってしまう。
元検事の恩田は感情を持ち合わせていないかのような甲冑男で、「色恋の案件など反吐が出る」と吐き捨てて槙の持ち物を押収、示談金に当てて去りますが、その遣り口に憤りの収まらない槙は恩田を次のカモにしてやろうと接近を試みます。
しかし、罠に嵌めたつもりが見透かされて墓穴を掘る羽目になったりやらせるつもりはなかったのに抱かれてしまったりと、思った以上に恩田は手強い。それでもなんとか一矢報いてやろうと躍起になるうち、槙の、そして恩田の感情が変わっていきます。

男相手に結婚詐欺(アカサギ)を働き表面上は軽薄を装いながらも実は辛い過去を抱えていた槙と、冷血な鉄面皮と見えて実は感情表現の乏しいむっつり男・恩田というキャラ組み合わせがツボでした。
そんなふたりが、お互いに落ちる/落とされるつもりのなかった相手に、無意識にどんどんはまっていく様がとっても伝わってきてすごく良かった。男相手の結婚詐欺師という無茶すぎる設定も、すとんと納得のできる具合に収まっているのがすごいですね。
槙と恩田の両方の視点で描かれていたためでしょうか、BLによくある、いつの間にそこまで想い合ってた?? な疑問や違和感がまったくなかったです。
恩田を何とかカモにしようと躍起になればなるほど墓穴になってしまう槙が可愛かったし、他のカモへの嫉妬から遂には貞操帯まで持ち出してしまう恩田の槙への嵌りっぷりがイイです。
感情など持ち合わせていない冷血人間と見せかけて、実は表に感情を出すのが下手なだけでけっこう暑苦しいタイプだったという(笑)。その落差にギャップ萌えですw

始めは軽薄そうに見えた槙が、実はそうではなかったことが印象的でした。
槙が詐欺を働いている本当の理由が彼の悲しい過去にあったこと、そして彼なりの正義だったのかと思うととても切ない。
読んでいたのがちょうど躑躅が咲いている季節だったこともあり、なんか、もうほんと、躑躅の蛍光ピンクを目にするたび胸がきゅーっとなりました。
また、攻めはバツイチ子持ち設定なんですが、よくある取って付けたような子持ち設定じゃなく恩田と彼の息子との関係がお話に深く関わっていきます。
色んな伏線が回収されていく終盤、これは壊れてしまった父と息子の関係の再生の物語でもあったんだな、と。
恩田は槙に自分が結果として捨ててしまった息子の姿を重ね、槙も恩田に父親を重ねていた、というか求めていたのかな。
ラストの再会のシーンは、イラストも含めあまりにも良すぎて涙してしまいました。

エロは決してハードではない(というか沙野さんにしては大人しめ?笑)ですが、なのになぜかとても濃厚です。
始めのガラス越しプレイや先ほども触れた今回の裏テーマらしい(笑)貞操帯などなど、沙野さんならではのマニアックさもちりばめられていますが、プレイそのものよりもその描かれ方の艶っぽさにまいってしまいました。
あとね、「お前を抱きたくて仕方ない」とか「そうだな。私も落とされた」とか恩田のセリフがなんかいちいちツボで、これは槙ちゃん振り回されちゃうよね、とにやにやw
小山田さんのイラストもアングルがすごくてセクシーでたまらんです!

というわけで、ひっさびさにどはまりな作品でした^^
9月に出るラヴァーズ10周年記念の特大版ラブコレに番外編が収録予定だそうなので、そちらも楽しみにしています♪

「重婚プロポーズ」 さのふゆこ / ill.中井アオ

祖父が遺した邸を訪れた教師の智孝。クローゼットを開けると、そこには可愛い少年・卯太が蹲っていた。彼は座敷童子だと言う。さらに突如現れた美貌の男・桂は、桂男だと言う。なにやら邸とそこに住む者には特殊な役割があり、智孝に継いでほしいらしい。けれど――「俺の花婿さんになって」「私の花嫁にしてやる」と、智孝との婚礼を望むふたりが、あの手この手で迫ってきて!?

また久しぶりの更新になってしまいました;
読む時間はあっても、書く時間がなかなか確保できないジレンマ…なんてやっぱりちょっと余裕のないこの頃なんですが、この間ようやっとPCをXPから7に変えました。8? あんな使いにくいものイヤだムリだとPCマニアの知人にダンナのも合わせて購入指南から設定まで頼み込んで7に(笑)。
途中、あわや10年分の撮りだめた画像が消えるなんて事態になって右往左往したもののなんとか復活(これだからデジタルは信用できないんだ…)、今はXPではもう見限られた感満載で回線ぶち切れまくっていた某イラスト投稿サイトや動画サイトがサクサク見られる快適生活です(笑)
ぶっちゃけ、ココの更新時も固まって記事が消えた…なんてことによく遭遇してましたから(更新が億劫になっていた大きな理由のひとつ;)、このたぐいのストレスからは解放されそうです^^

というわけで、読んだのはけっこう前だったりする「さのふゆこ」さんの新刊です。改名ではなくて、「シリアスじゃないエロ」を書く時はライト感をだすためひらがなになるのだそうです(笑)。
タイトルやカバー絵のポップさにどのくらいはっちゃけているのだろうかとヒヤヒヤしましたが(笑)、まさかの妖怪もので3Pオチという沙野さんらしい内容でした。
いつもよりもはライトな印象はありますが、しっかり作り込まれた作風は読み応えばっちりでした!

疎遠だった祖父が亡くなり唐突に広大な土地と邸を相続することになった高校教師の智孝。
邸を受け継ぐべきかどうかを決めるため暫く暮らしてみようと邸を訪れた彼の前に、座敷童子だと言う可愛らしい少年・卯太と月に棲む妖怪の桂男だと言う美貌の青年・桂が現れます。
彼らは智孝の一族が代々この土地に妖怪を封じ込める役割をしていたことを告げ、資質はあっても力をコントロールできない智孝には妖怪と婚姻して定期的に夫婦の営みを行うことで力を安定させる必要のあること、そして一族の当主と婚姻した妖怪は法外な力を手にできることを理由に、卯太からは「花婿に」桂からは「花嫁に」なってくれと迫られセクハラ三昧の日々を送ることに。
あまりに現実離れした彼らの話を始めは信じられなかった智孝でしたが、身の回りで奇怪な現象が頻発するのを目の当たりにして信じるようになり、一族が代々果たしてきた役割の意味を理解し受け入れていくようになります。

ただのライトなお話ではなく、妖怪、しかも桂男なんてのを出してくるあたりがイイです(笑)。こういうネタは個人的にツボなのでかなり愉しめました!
また、智孝が男子校の教師という設定のため途中から彼の務める高校が舞台になってお話が進むところなどはまるで学園もののノリで、これまでの沙野作品にないライトな感覚が新鮮でした。

座敷童子の卯太と桂男の桂以外にももちろん妖怪は登場してバトルっぽい展開にもなったりするんですけれど、やっぱりというか何というか妖怪ネタを使ったエロもばっちりあって、きっとニヤニヤされながら書かれたのだろうな〜と思ってしまいました(笑)。
桂の手首から上しかない妖怪を使ってのセクハラも愉しかったんですが、なによりお風呂のお湯触手(っていうかスライムw)プレイがイイ!(笑)
エロはこの他、ショタ攻め(されるほうが好きだけどがんばるとか…もうww)、お医者さんプレイ、同僚教師の前でのまな板プレイなどなどバラエティに富んでいますが、それよりも何よりも3Pですよ!(笑)
BLの3Pものではもはやお約束になっている総受けじゃなくサンドイッチなんです! サンドイッチ、あまり見かけないだけに美味しすぎ…w
ところで、3Pどころか外野入り乱れての複数プレイなんていまさら珍しくもない沙野作品ですが(笑)、でも3人で仲良く終わりを迎えるお話はこれが初ですよね? ありきたりじゃなく捻りを加えてくるところがやっぱ堪らないわと思ってしまいました(笑)。 

途中、智孝の兄が出てきてあわや通常営業の沙野作品になりかかりひやひやでしたが、…この兄は過去にどんな目に遭ってきたんだろうかと気になって仕方がないです。
もしかして、兄絡みでスピンオフあるのかな?

「幼馴染み 〜荊の部屋〜」 沙野風結子 / ill.乃一ミクロ

肌冷えする梅雨のある日、母の葬儀を終えた石井舟の元に、華やかな雰囲気を纏った長身の男・能登敦朗が訪ねてくる。二人は十年振りに再会する、幼馴染みだった。十年前、地味で控えめな高校生だった舟は、自分とは対極の溌刺とした輝きを持つ敦朗に、焦がれるような想いを抱いていた。しかし、親友ですらない、ただの幼馴染みであり続けることに耐えかね、大学受験を控えたある日、舟は敦朗と決別することを選んだ。突然の来訪に戸惑い、何も変われていない自分への苛立ちを覚える舟の脳裏に、彼と重ねた、苦しくも甘美な日々の記憶が鮮明に甦り―。

明けましておめでとうございます。
毎年のことですがこの時期は時間が経つのが異常に早いですね(汗)。年が明けてもう5日目なことに驚いています…。
そして、年末に観るつもりがムリだった映画を観に行くも電車の遅延で果たせず結局見逃す…とか、年明けから何やってんだな態です; これからは年始に映画を見に行ったりするのやめよう、どんなに忙しくても年越す前に観に行こう、…と、しょうもない抱負を抱いてみたり。
そんな感じで大好きな映画も観れず、アニメや本やBLも消化できない状態が年末から続いていてだいぶストレス溜まっていたりしますが; 昨年後半にちょっと環境が変わったこともありもうしばらくはこの調子です。
なのでもしかしたらこのブログの更新も滞りがちになるかもしれません。
えー今までだって月数日しか更新してないじゃんやる気あるのかー、…って言われそうですけれど(汗)せめてトップに広告が出るまで放置とかにはならないようにしたいです;;
…ので、本年もどうぞ宜しくお願い致しますm(_ _)m

さてさて、本年一作目は昨年末に出た沙野さんの新刊です。
ここのところ特殊設定が続いていましたが、今回は裏社会モノでもない普通の幼馴染み再会もの。登場人物が病んでいるのは沙野さんらしいものの、珍しく奇をてらっていない作風は何だか新鮮でした。

舟(受)が能登(攻)と出会ったのは小5の時。
愛人のところから帰ってこない父とそのために精神が不安定になってしまった母から虐待を受けていた舟は、学校でも浮いた存在となっていて、身の置き場のない孤独からお守りの中に隠し持っているカッターの芯でこっそり自傷する癖のある危うい子供でした。
その自傷現場を転校してきたばかりの能登に見られ、お守りともどもカッターの芯を奪われてしまいます。
おまけに能登の家は舟の家の斜向かいで、カッターの芯を持ち歩いていることをばらされたくなければと脅す能登は、いつの間にか舟の部屋に頻繁に入り浸るようになります。
能登は舟とは真逆の誰からも注目される華やかなタイプで、舟は意地悪をされるのではとびくびくしていましたが能登は何も仕掛けてこずただそこにいるだけ。そのことに舟はだんだんと心地よさを覚えるようになっていきます。
中学、高校と進んでもふたりの奇妙な関係は続きますが、高校になって舟に彼女ができたことをきっかけに、能登は舟に性的な行為を仕掛けるようになってしまう。
昔から一貫して学校ではつるまないのにふたりきりのときにだけ異常なほど緊密な関係になってしまったことに、舟は自分は能登の「愛人」なのかと思い悩むのようになり大学進学を機に能登から離れるのですが、母親が他界した29才の時に再会、再びふたりの時間が動き始めます。

虐待を受けたことがトラウマとなっている舟視点で進むので、舟の思い悩む感情はよく分かっても能登が何を考えているのかが見えてこなくて、特に前半の学生時代はモヤモヤと霧のかかった中を進むような印象でした。
けれども最後の最後まで読んでみると、これは舟が能登に振り回されるのではなく能登が舟に振り回されるお話だったのかな、と。
舟から見るとまるで分からない能登の行為ですが、能登も能登で過去のある失敗を引きずっていてそれを繰り返さないための彼なりの優しさでした。
ほんと、最後の最後で舟を追い詰め過ぎないように距離を取りながら傍にいようとした能登の努力とか想いが見えてきて、すごく心に染みます。
そういうお話だっただけに、「好き」とか「愛している」とかの言葉が一切登場しなかったことが何よりも印象的でしたね。
読んでいる間は、能登は何故それを言わない、少しでも伝えれば舟が安心できるのにと何度も何度も思ったのですが、言えなかったんですよね。追い詰めない程度の間隔を保ちながら傍にいてやること、それが学生時代の能登にできる精一杯だったんでしょう。
そこら辺の鬱屈が女をとっかえひっかえに結びついていたのかと思うと、もうだんだん能登が気の毒になってしまいました。

そんな、思いっきり攻めに肩入れしてしまったお話でしたが、後半の再会してからふたりの距離が縮まる過程やふたりの10年以上のすれ違いの原因が判明する終盤の展開が唐突過ぎたのが少し残念でした。
特にふたりが恋人同士になるあたりは、愛の言葉を出さない関係性だからこその描き方を見たかった気がします。と自分で書いておいてそれどんなのだと思ってしまいましたが(汗)、沙野さんなら納得な描かれ方をしそうな気がするので(笑)。
このお話は、もう一冊分くらいページがあっても良かったのかもと思ってしまいました。

エロもそこまでハードな感じではないんですが、沙野さんは言葉の選び方ひとつひとつが絶妙で、必要以上にやらしい感じが濃厚でした(笑)。これだから沙野作品を読むのはやめられません!(笑)
あと今回強く思ったのは、乳首が弱かったり受け顔負けに喘いだりとドMな面があり檜山に「一回くらいヤりたかった」と言われてしまう能登は見ようによっては受け属性のある感じで、もういっそリバってもよかったんじゃないのかと(!)。あ、でも檜山×能登になっちゃいますかねそれだと;

「隠し神の輿入れ」 沙野風結子 / ill.笠井あゆみ

幼い頃に神隠しにあった経験から人に馴染めず、家族とも疎遠な大学生の依冶。雨の日に弱った黒猫を拾い、翌朝目覚めると野性的な美貌の男にのし掛かられていた。彼・藍染は自分が拾われた猫で、山の守り神だと言う。そして、依冶に会いにきたと迫り、依冶から力を補充しなければ人型を保てないと、きわどい接触をしてきて…。不遜ながらも優しい藍染に惹かれていき、やがて依冶は心身ともに委ねるようになるが、平穏は続かず、二人はある者から狙われ始め…!?

今月のガッシュ文庫は「獣耳フェア」だそうで、他レーベル見てても思うのですが、最近はいわゆるもふもふが大流行ですね。BLでこうした可愛い系に癒されることに興味がなかったりどうしてもファンタジー設定になるのが面倒くさかったりであまり興味がないんですけど、…最近の勢いを見るにつけなんだか置いていかれている気がします(汗)。
で、沙野さん新刊ももふもふ? と思いましたが、そこはやっぱり沙野さん、もふもふというより獣○と言った方がしっくりくる内容でした(笑)。なのでもふもふ期待したら裏切られるかも。

幼い頃に神隠しに遭った経験から世間に馴染むことができない大学生の依冶(受)。
ある学校からの帰り道、依冶は弱っている猫を拾いますが、翌朝目が覚めると猫の姿はなく代わりに見知らぬ男がいます。
依冶は彼が自分を神隠しした山の守り神・藍染(攻)であることを思い出し、共にいることに言いようのない心地よさを覚えるようになりますが、異界の存在である藍染は人間界に長く留まると霊力が弱まり禍を起こす禍津日神に堕ちる危険があり、霊力を補充するためにと同衾することを求められ…。

神隠しとか守り神などの民俗学的モチーフに獣耳ファンタジーの合わさったお話でした。
個人的に専門書読んじゃうくらい民俗学が好きなので、ついつい獣耳なところではなく民俗学的ネタの方に目が行ってしまいましたが(笑)、イラスト効果も相まって攻めの藍染は獣耳好きじゃなくてもたまらないです!

山の守り神である藍染は、本来は大型の猫というか黒豹? みたいな姿なんですが、人型をとり続けて霊力が弱くなると耳と尻尾が出てきたりするのです。神様なので尊大なところがありますが、そこが何だか猫っぽくもありました。
依冶は藍染に神隠しされた経験が自分を異質にして他人と馴染めず、記憶からは消えているにも関わらず異界こそ本当の居場所だと思いながら生きていますが、若干具体的な説明に欠けるためか最初それは単純にもともと性格が内向的なだけにも見えてしまいました。
けれど最後の最後で明かされた哀しい事実に、依冶は異界に戻りたかったのではなくて自分に無償の愛を注いでくれた藍染という存在が必要だったんだなと。
そんな依冶を藍染が本当に大切にしているのが伝わってきて、人間そのもののことは憎んでいるはずの藍染もまた、それほどまでに依冶と過ごした時間は特別たったんですね。

再会し幸せな時間を過ごしていたふたりでしたが、周囲で不可解な事故が多発し、それがどうやら禍津日神に堕ちた存在によるものらしいことが解ってきた中盤あたりから、お話はやや物騒な展開に。
禍を起こしている存在として、依冶と同じように子供の頃に神隠しに遭いやはり人の世界に馴染めずいつしか憎むようになってしまった寧近とかつて寧近を神隠しした禍津日神の白鳥が登場しますが、彼らは単に敵というだけでなく依冶と藍染の対比としての存在でもありました。
寧近は依冶と境遇が近いだけに、一歩間違えば依冶も彼と同じように人間界そのものを壊そうとしていたのかもしれません。そうならなかったのは藍染が依冶を愛してくれていたからなんですよね。
藍染が日に日に禍津日神になっていく危機の中で、藍染と依冶ふたりともが相手を想って献身的にそれを阻止する姿が感動的です。
特に、人間が憎いはずなのに大切な依冶がいるこの世界を守ろうと極限までぼろぼろになりながら白鳥たちと闘う藍染の心姿はじーんとさせられました。

エロは首への甘噛みとか舌のざりざり感とか攻めの猫っぽさを上手く使ったプレイ?いっぱいですが、そこまでエロエロではないかも。
そして前の方で触れたとおり終盤に獣○がありますが、ふたりが共に生きていくために必要な行為であることなのだと思えばそう抵抗感はないと思います。
何より姿は獣でも心は攻めなので受けを想う気持ちがちゃんとあり、そこまで拒否感なく読めるのではないかと。沙野さんなので描写はがっつりありますけれど(笑)、「獣の妻乞い」が大丈夫だった方ならこれも大丈夫だと思います。
ただ、攻め以外で鳥に犯られかけてしまうシーンがあって、こっちの方がいろんな意味で衝撃ですね…。鳥だし…。。苦手な方はご注意くださいませ。
あともうひとつ、藍染が禍津日神に堕ちかけた状態で依冶を犯すシーンがあるんですが、かなり痛々しくて読むのが辛かったです。それこそ獣姿でのまぐわいシーンよりも衝撃が大きかったです個人的に。
沙野さんの作品はこれまでもバイオレンス的に痛いシーンがあったもののわりと大丈夫だったんですが、出血が伴うときついですね。。

最後はタイトル通り攻めが輿入れするというオチですが、これってけっこう珍しいような。
獣○そのものはさほど興味ないので萌えもそれほどでしたが、ふたりのお互いを想い合う気持ちの深さに感動させられました。
ただ、後半はBLというよりも白鳥&寧近とのバトルが中心になってしまう上かなり駆け足気味だったのが惜しい。いろいろ詰め込みすぎだったのかも。
そしてなんだか戸ケ里兄弟でスピンオフありそうな気配で、こっそりそちらも期待しています(笑)。

ところで、このお話で唯一もふもふを味わえるのは笠井さんのあとがきイラストでした(笑)。ちび依冶もかわいい!!
本文イラストも素敵だったんですが、最後の獣○で依冶が反り返っているのにはちょっと笑ってしまったw 絡みのシーンはいつも凝ったアングルや構図にびっくりさせられていますが、ここはむしろ普通な感じでよかったかも(笑・何しろ獣○だしねw)。

「はなだま人魚」 沙野風結子 / ill.乃一ミクロ

相次いで親を亡くした帆高兄弟は、身体の弱い弟・八尋の治療費をまかなうため、兄の正梧が教師の道を諦めて宝石店に奉公していた。兄に申し訳なく思う八尋だが、正梧は宝石商の一人娘と婚約する。「――おにぃを、盗られる」 兄への独占欲に苦しむ八尋は体調を崩し、介抱する正梧に自慰を手伝わせてしまう。ある日、正梧は真珠の不作原因を調べるべく、母の生まれ故郷・常月島へと赴く。亡き母から海に近づくなと厳命されていた八尋も後を追うが、真珠の元締めである常月芳朗から淫蕩な視線を送られて……!? 大正を舞台に紡がれる、妖しき兄弟の物語!!

沙野さんの久々の新作は、大正時代の孤島を舞台にした人魚伝説なお話でした。
で、沙野さんなので人魚が出て来る=異種姦もの、さらにそこに兄弟もの要素が加わるという濃さ。
カバーイラストのふわふわした感じからだとファンタジーテイストなのかなと思ってしまいそうですが、因習めいた雰囲気のあるだけにかなり残酷な部分もあるお話でした。
以下、だいぶバレていますのでご注意ください!

両親亡き後、兄弟二人で生きてきた八尋(受)と正梧(攻め)。
身体の弱い弟・八尋の医療費を賄うため、兄の正梧は教師になる夢を捨て宝石商に奉公していましたが、奉公先の主人に見込まれて一人娘と婚約することになります。
正梧の婚約によって八尋は帝都で高額な治療を受けられるようになるのですが、正梧に兄以上の想いを抱いている八尋は自分ではない誰かに正梧を取られてしまうと苦しむことに。
そんな中、奉公先で扱う真珠の不作原因の調査のため正梧が母の生まれ故郷である島に赴くことになり、八尋もその後を追います。
母に海には絶対に近づくなと言われていた八尋でしたが、不思議と海の側に来た途端に体の調子が良くなってゆく。
島には真珠の元締めで母方の親戚筋でもある芳郎がふたりを待ち受けていて、やがて島と八尋の出生の秘密を知ることになります。

…まぁバレてしまうと、島には人魚がいて島民は彼女たちを酷使して人魚の涙から採れる真珠によって潤っていて、八尋は人間と人魚のハーフだった…という。
ある事件で八尋は人魚の姿になってしまい異種姦(…魚姦?)、という流れです(そこにも理由があるのですけれども)。
ハードそうかなと思いきや、エロ度は割と普通です。
時代もの&因習ものなので、エロエロではなくねっとりした雰囲気になっているためでしょうか。
そして沙野さんは、こうした時代ものならではの空気感を出すのが上手いですね〜。
お話全体に漂うほの暗さが、因習ものらしさを盛り上げていてたまらないです。

ただ、兄弟ものに萌えないこともあって、BLとしてはちょっと物足りなかったです。
キャラ萌えもあまりなかったかな…。
ひたすら一途で健気な八尋とひたすらいい人な正梧という沙野作品には珍しく受け攻め両方ともがフツーにまともな人なので、いくら両親亡き後ふたりで支えあってきたとはいえなぜ彼らが兄弟でありながら一線を越えてしまったのがよく解らなかったです。
しかも途中からはそこに異種姦も加わりますからね…。
全体的に、ラブよりもお話のディープさに比重が掛かっていた印象でした。

後半の八○比丘尼伝説めいた展開はちょっとグロテスクな感じで、ダメな人はダメだと思います。。
そこも含め、色んな意味で地雷になりそうなところのある人は避けた方がいいかもしれませんね。

いちばん印象的だったのは最後のシーンでした。
そのラストに人の理から外れたふたりはその後…? とか、そういえば作中触れられていた人魚の肉を取り込めた唯一の人物は登場してなかったな、とか、もしかして続編があるのかな? と思ってしまいました。

「秘恋は咎に濡れ(新装版)」 沙野風結子 / ill.笠井あゆみ

「お堅そうなくせに、ずいぶんと情の深い孔をしている」与党議員・藤末彰良の政策秘書を務める椋一。彼にとって従兄の彰良は絶対的存在で、かつては性の道具にもなっていた。その彰良の汚職ネタを政敵の野党議員・四堂匡鷹に握られる。四堂の新聞記者時代の弱味を探り当てて交渉に赴いた椋一は、彼の逆鱗に触れ、身体を蹂躙されてしまう。以来、たびたび四堂に抱かれることになるが、荒々しくも彼の愛撫は甘やかで、いつしか男の熱を心地よく感じるようになり―。

2007年にラピス文庫さんから出ていた「秘恋は咎に濡れ」の新装版。本編はほぼ変更なしで、書き下ろしSSの「sign」が収録されています。
沙野さんはBL小説ではいちばん好きな作家さんですが、中でもこのお話は5本の指に入るくらいは好きな作品。なので、今回の復活は嬉しいかぎりです^^ラピスレーベルから出ていた他の作品は新装版出たのにこれは出ないのかな…と思っていただけに、本当に待ちに待ったという感じです…!
しかも、イラストが大好きな笠井あゆみさんという、嬉しすぎるサプライズに歓びが倍増ですよ^^
旧版の砂河深紅さんも素敵でしたが、笠井さん、カバー絵からしてヤバすぎます(笑)。期待していた口絵イラストがなくてかなりがっかりしたんですが(っていうかガッシュさん、口絵なくなったの??)、半数が濡れ場の本文イラストとおまけページの甘々な朝のシーンと、どれも見応えがありお話を盛り上げて下さいました!

政敵の若手議員×政策秘書といういわゆる永田町ものなのでお堅い印象を持つ方もいるかもしれませんが、沙野作品には珍しく健気で一途な受けがタイプの違うふたりの男に翻弄される切なさいっぱいの三角関係なお話です。

子供の頃に両親を喪い代議士の叔父に引き取られた諒一(受)は、辛い居候生活で唯一の味方だったいとこの彰良に敬愛と恋心を抱きながら成長します。
諒一は一時期は彰良に一方的に抱かれていたこともありましたが、今では結婚し叔父亡き後の地盤を継いで与党のサラブレッド的存在となっている彰良はもう諒一に触れてくることはなく、それでも諒一は請われるまま弁護士になる夢を捨てて彰良の政策秘書となって彼に全てを捧げています。
ある時、彰良の政敵である野党の気鋭若手議員・四堂(攻)が彰良の汚職ネタを手に彰良に不都合な法案を通す目的で脅しをかけてきたため、諒一は彰良のために四堂に圧力をかけることに。
けれども諒一が掴んだ四堂の弱みは四堂の逆鱗に触れるもので、諒一は逆に四堂に弄られてしまいます。
その後も思うようにいかずこのままでは彰良の役に立てないと焦る一方の諒一を、彰良は党内の駆け引きの人身御供として老議員に差し出してしまう。
ぎりぎりのところを四堂に助けられた諒一は、これまで揺らぐことのなかった彰良への想いが揺らいでいくのを感じ、それが強まるほど四堂へと気持ちが傾いていくようになっていき…。

…とまぁ、筋だけ追うとまるで昼メロですかというようなベタな展開ですが、安っぽくならないのが沙野さんの筆力の凄いところ。
このお話、とにかく切ないです。再読すると最初の時ほど感動や衝撃を覚えないことがよくありますが、このお話はそんなことありませんでした。

諒一は健気な性格で、子供の頃から気の毒になるくらい彰良に一途な想いを傾け続けています。
かつては体を重ねていたとはいえそれも彰良の一方的な行為でしかなかった上、もう彰良が自分に触れてくることはないと判っているのにどうしても諦めきれずに政策秘書という形で側にあり続けている姿が、あまりに自虐的すぎて哀しい。と同時に、相手に心酔するあまり色んなことに段々麻痺している怖さもありました。
妹の幸せを犠牲にしたことや、彰良に人身御供にされてしまってもまだ想いを断ち切りきれずにいるところとなど、もし四堂がいなかったなら、諒一はどんどん「彰良のために生きる人形」になってしまっていだろうなと思えてきます。
諒一がずっと一途に思い続けている彰良は、三角関係もののBLに登場する「三人目の男」には珍しいくらい存在感のあるキャラ。
彼は諒一を散々な目に遭わせて一見とても悪いやつですが、元々は虐められていた幼い頃の諒一に救いの手を差し伸べたような優しさを持っています。けれども政界を渡り歩く内に徐々に変容してしまい、諒一への感情もいびつな執着になってしまった…という感じです。
ほんと、大切な相手に対して自分のために男に抱かれるのは許しても心を持っていかれるのは許さんって、どこまで歪んでいるんだろうかと。。
そうならざるを得なかったことを考えると、けっこう哀しいんですが。

そんな彰良の呪縛でがんじがらめの状態にあった諒一を、かなり荒っぽくはありますが救い出すことになるのが四堂で、彼は始めこそ彰良に負けず劣らす卑劣な方法で諒一を翻弄するものの、本質はごくまっとうな男。
というか、彼は色んな意味でかなりいい男で、だから諒一が彼と出会えて本当によかったなと思いました。
四堂と関わることで凝り固まっていた諒一の心がまともになって、だんだん自我を育てていく過程がとても好きです。
そして、ふたりがはじめて体を重ねるシーン(料亭でしっぽり・笑)は、その後の回想シーンも含めてすごくエロいです。
行為中に顔を合わせることで相手に囚われるのを恐れて、布で隠してまで決して諒一の顔を見ようとしなかった彰良しか知らなかった諒一が、初めて「普通に」愛されることのやらしさを知っていくのがたまらなかった…!

四堂が最後の最後に諒一に自分と彰良のどちらかを選ばせたシーンが印象的です。自ら選んだことで、諒一は長い間自分を縛り付けていたものから本当に解放されたんだなと思わせられ、何度読んでもじーんときます。
そして自業自得といえばその通りの彰良も、立場が違っていれば諒一ともっと別の関係を築けたのかもと思わせられる切ないシーンでもありました。

そんな切なさのまさるお話ですが、四堂と諒一のシーンだけでなく彰良と諒一のシーンもしっかりありますので(しかもけっこう酷い)攻め以外とのシーンは見たくない方はダメかもしれません。
他にも、人身御供に差し出された諒一が老議員に弄ばれ…な部分もあって、それが何と歯なしプレイというかなりの離れ業で、これもまた人を選びそうです(笑・私はツボってしまいましたけどね←)。
苦手な方はご注意下さいませ!

波瀾万丈な展開の連続だった本編から一転、描き下ろしの「sign」は諒一と四堂の甘々後日譚。
本編同様万年筆をそんな使い方したらダメだろと思いつつもエロさと甘さたっぷりのサインプレイは好きです(笑)。
それよりもツボにきたのは、四堂のビールで小細工してるところなのですがw

ところで、これまであまり気にしたことなかったけど、私、一途な健気受けってかなり好きかもしれないです。
ってもちろん場合によりますけれど、このお話の諒一のようなタイプには胸をきゅうぅぅーーっと締め付けられます。あー、そうか切ないのが好きなのか。あんがいベタなのがツボにくるのかと改めて実感(笑)。

「蝶宮殿の伽人」 沙野風結子 / ill.稲荷家房之介

「せいぜい俺を愉しませるといい」学生時代から恋情を抱く友人・ベノール王国の第一王子であるナイルスに請われ、王国に赴いた望。そこで頼まれたのは、離宮に囚われた第四王子・ムスタファの無聊を慰める仕事だった。鬱屈に荒んだムスタファは手負いの獣のようで、淫らな行為をも強いる。初めはナイルスの役に立ちたい一心だったが、ムスタファの優しさを垣間見るうちほだされていき―。想う男と戯れを許す男―二人の王子の間で心は惑い…?囚われの王子と美貌の翻訳家―淫靡なアラビアンロマンス。

2008年にアルルノベルズから出た「蝶宮殿の王子様」の改題新装版。
囚われの身のアラブの王子様×日本人翻訳家の、沙野さん初のアラブものです。
前に何かの新装版で沙野さんが「新装版でタイトルが変更になっているものは内容も大幅に変わっています」的なことを言われていましたので、けっこうな変更があるのかなと思いきや、そんなに変わっている印象はなかったです。
書き下ろしのSS「蝶宮殿の魔人」も収録されて、ボリューム感はたっぷりです。

私、BLでアラブものっていまいちよさが分からなくて苦手なんです。
如何にもな王道設定に惹かれないのもありますが、やっぱりいくら大富豪だからってむこうの戒律無視して男を(しかも日本人限定で)囲うのはナゼだとか、ハーレクインをそのまま男×男にしたあり得なさについていけないのが大きな要因ですかね。そこをファンタジーとして割り切れないというか…。。
なので、正直なところいくら大好きな沙野さんとはいえアラブものかぁ…と思ってしまったりもしたんですけど、そこはやっぱり沙野さん、アラブものとはいってもハーレクインな王道ものとはちょっと違いました。
アラブものではすっとばされがちな宗教面や背景が丁寧に書き込まれていて、ちゃんとアラブの世界を堪能できました。
キラキラゴージャスじゃなくてエキゾチックでアラビアーンなアラブなのも私的にはポイント高いところですが、典型的なアラブものを求める方からすれば肩透かしかもしれませんね。一応アラブもののお約束は踏襲しているものの、好みの分かれそうな作品かも。


翻訳の仕事をしている望(受)は、学生時代に知り合い友情以上の想いを抱き続けてきたベノール王国の第一王子であり時期国王でもあるナイルスに請われて急遽ベノールへ向かいます。
ナイルスに会いたい一心の望でしたが、国王が倒れて国政に携わっているナイルスは多忙でちゃんと話すこともままならない状況。
いったい何のために呼ばれたのか分からなくなっていた頃、望はナイルスから弟である第四王子のムスタファ(攻)の相手をするようにと命じられますが、過去のクーデターの影響で蝶宮殿と呼ばれるところに幽閉されているムスタファは、母親が日本人であるためなのか望に異常に興味と執着を示してきて望を戸惑わせる。
けれどもムスタファを知っていくにつれ、望は彼の孤独や苦しみが解ってきて、次第にムスタファを幽閉するナイルスのやり方に疑問を持つようになり…。

旧版と大きく変わっていたのは、ナイルスのポジションですかね。旧版ほど存在感がなくなってしまって、彼が優しそうな仮面の下に非道さを持っていたということは伝わったものの、何だかよけいによくわからない人になってしまいました。まぁ望とムスタファふたりの関係性により絞り込んだ内容になっていると思えば、BL的には読みやすいのかな。
でも正直、この三角関係なら逆にナイルスに踏み込んでも良かったんじゃないのかと思ってしまいましたが。。その方が、内容はより濃くなりそうな気がします。
せっかく攻めが望がずっと想い続けてきたナイルスではなくその弟のムスタファというユニークな設定だったので、余計でしょうか。
あと、望がゲイ設定になっていましたね。これは別にバイである必要はなかったようなものなので気にならなかったです。

ちょこちょこ引っかかる所はあるものの、望とムスタファが段々惹かれていく過程はよかったです。
傲慢なのに囚われの身でけっこうな寂しがり屋さんのムスタファ(年下らしいかわいらしさもアリ)は、これまでの伽人のように望が突然姿を消すかもしれないという焦燥と不安のまま望に無体をしてしまいますが、それが階段プレイだったり宙吊りプレイだったりと沙野さんらしいハードさで、切ないながらも愉しめてしまいます。
でも案外印象に残ったのは、噴水でのちょっと和むシーンのほうだったかも。

望とムスタファが徐々に距離を縮めていく前半はいい感じだったんですが、ベノールの行く末を巡っての騒動がメインとなる後半は何だかあらら? という展開になってしまったのがちょっと残念。
まぁこの設定なら最終的には政治的な決着を付ける付けないになるのは仕方がないにしても、ちょっとそれが前面に出過ぎちゃったような。。こういうのはあくまでお話の背景にとどめてほしかったかも;
というか、望がベノールの国政にそこまで関わっちゃうのはどうなのかと、そこがいちばん釈然としなかったです。

望が翻訳家であるためかアラビアンナイトよろしくお話を空想したりとか、夢の中で行きたい場所に連れて行くとか、全体に漂うほのかに不思議な雰囲気がいちばんのツボだったかもしれません。

書き下ろしのSS「蝶宮殿の魔人」は、世俗にもまれた?本編とは打って変わって、幻想的なお話。
本編から5年後、若き青年王としてベノールを導くムスタファを変わらず支えている望の耳に「蝶宮殿に魔人が出る」という噂が届き、望は真相を確かめに蝶宮殿に向かいますが、そこに現れたのは少年ムスタファ。
それは、どうやらムスタファが切り捨てようとしている過去が形となったようで、望は連日彼に会いに蝶宮殿を訪れるのですが…
―という、そこれこそアラビアンナイトにありそうな不思議なお話でちょっと怖さもあったりするんですが、最後は少年ムスタファの幻?を交えた3Pみたいな展開になったりしています(笑)。これはけっこう萌えた(笑)。こんなシチュ、よく思い付きますね!
こういう、ちょっと不思議でアラビアンなBLを、もっと読んでみたいかもと思ってしまいました(笑)。

| 1/4PAGES | >>