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  • 2014.07.28 Monday
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「もう翼はいらない」 水無月さらら / ill.笠井あゆみ

その日、戦闘機が撃墜され、連邦軍の精鋭パイロット、ナインbは敵国の医官アルフレッド・レスター伯爵の囚われ人となった。肉体の損傷が激しすぎるうえに、両性具有の女性化が進み、二度と飛べない体だと告げられて、鬱屈するなかでナインbは伯爵の“女”にされてしまう。甘いマスクを偏光グラスで隠し、本性のわからない完璧に美しい男。退屈しきった大貴族アルフレッドに、罰と称して与えられる、肉体への甘い断罪。初めて知る官能を嫌悪しながらも、ナインbはこの得体の知れない男に惹かれゆくのだが…。ある日、心を打ち砕く悲劇が起こり―

久々に水無月さんを読んだらSFでした。
SFといえばこの間スタ○ト○ック観てきたんですけど、予想以上にBLな雰囲気でびっくりした(笑)。このシリーズは全然見たことがなくて何とこれが初(!)でしたが、これははまる(笑)。海の向こうの腐女子たちに大人気なのも納得でした(笑)。TVシリーズと映画一作目も見るぞー!
そんな感じで(笑)、ただいまSFな気分MAX(?)でして、このお話もノリノリで読んじゃいました(笑)。
でもこれは正統派SFというよりは、あとがきでおっしゃられているように銀○雄○説やスタ○ウォ○ズにベ○バラを足したようなちょっと耽美な雰囲気のお話。
そして主人公が両性具有の上に欠損、更に近親相姦という設定なので、ダメな方はご注意下さい。

核戦争と天変地異で地球が汚染され、地球を離れ火星に移住した富裕層たちによって打ち立てられたニューイングランド帝国と地球連邦が地球の所有権を巡って戦争をしている近未来。
戦闘のさなか、地球連邦によって人工的に創られ両性具有の躰を持つ新鋭のパイロット・ナインb(受)は敵に戦闘機を攻撃され肉体に酷いダメージを負い、敵国の医師であるアルフレッド・レスター伯爵(攻)に囚われてしまいます。
アルフレッドによって失った両足と片腕に義足と義手を施されどうにか一命を取り留めたものの、ナインbはもうパイロットとして戦闘機に乗ることができなくなってしまう。
これまで優秀なパイロットになるためだけに育てられてきたために人間らしい感情に乏しいナインbは、アルフレッドと生活を共にする内に人間らしさを持つようになり始めますが、帝都に赴いた時に偶然遭遇した戦友たちと逃亡をはかり失敗して、アルフレッドの怒りを買ってしまい…。

SFですが、お話のメインは特殊な生い立ちを持つためにまるでロボットみたいだったナインbが人間らしさを身に付けていく過程なのでそんなに子難しい印象はなかったです。
舞台となる火星のニューイングランド帝国は19世紀西欧社会を模したような懐古趣味にあふれた世界。貴族の名前が今に繋がるところも、なんだかパラレルっぽくていい感じです(笑)。
アルフレッドがナインbを留めおいている屋敷も19世紀そのものな感じで、それがお話を近未来でありながら耽美な雰囲気にしています。
そしてそんな懐古趣味満載の屋敷の中に登場する、魚(バルーンですが)が泳いだりプラネタリウムになったりする部屋の天井とか月で育った突然変異の百合などが、何処か幻想的な気配を添えていて何だか不思議でした。
近代的な帝都の軍本部や、アルフレッドの執事で人間の脳を搭載したロボット・ヘンリー(うちにもほしい・笑)の存在に、そういえばこれはSFだったと思ってしまうことが度々あったくらい(笑)。
この雰囲気はすごく好きです。

ナインbは両性具有ですが、自分のことは男とみなしています。
そして、どちらかと言えば女性寄りの躰であることを告げてきたアルフレッドによって女もののドレスを着せられるなど女性のように扱われることに反発するようになるのですが、それがロボットめいていた彼の初めての人間らしい感情の表れとなるのです。
けっこうきっぱりと「僕は女じゃない」と言い切るところが、なよなよしてなくていい感じです。
仲間の壮絶な死を目の当たりにしてさえ何処か醒めた反応しか示さなかった彼がアルフレッドに反発したのは、生まれた時からの「優秀なパイロット」である自分の存在価値が崩壊しそれでも残った自分自身に向き合わざるを得なかったからかもしれませんね。

アルフレッドは、怖いくらいの美貌を持ちながらも目の色素が薄いために顔半分をマスクで覆っているので表情が読めず、ちょっと謎めいた印象の男です。
彼がなぜ敵の精鋭パイロットであるナインbを味方に引き渡さなかったのかという謎は、実は彼らが叔父と甥の関係にあるからだという理由が早い段階で明かされていますが、ナインbに執着する理由がもうひとつほしかったかも。
始めはさして関心のなさそうだった彼が、ナインbが自分から逃げようとした時に見せた嫉妬の深さが唐突に感じてしまったというか。
ナインの葛藤や成長の過程がとても丁寧なだけにちょっと引っかかってしまいました。
ナインbを傷付けてしまっておたおたしている意外な姿など、けっこう好きなところもあるんですけどね。

ナインbが両性具有なので苦手な方は要注意ですが、エロなシーンは回数はないもののやたら詳しくてさすが花丸BLACK! と思ってしまいました(笑)。因みにBLなので、女性の部分でのシーンはありません。
ナインbがアルフレッドが叔父であることを知ったのが後のほうだったこともあってか、近親相姦からの背徳感はあまりなかったです。そこに期待すると肩透かしかもですが、このお話に背徳感たっぷりのドロドロした感じは合わない気がしました。

すごく素敵なお話でしたが、ひとつどうしても引っかかるのはナインbの躰が完全な両性具有ではなくホルモン投与しなければどんどん女性化していくというところ。
この先ナインbが本当の意味でアルフレッドの妻になるという結末もありうることを思うと、それではBLの意味が無いんじゃ…と最期まで疑問が拭えませんでした…。
イラストの可憐な感じといい、まるでTLを読んでいるような気分になってしまったのも事実。BLでフィジカルな性のゆらぎはあまり見たくないかも。。

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