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  • 2014.07.28 Monday
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「WILL YOU LOVE ME TOMORROW」 柏枝真郷 / ill.ひたき

「愛しているから……」制御不能の激情に呑み込まれる。娼館の一室で、男が殺された。現場に駆り出された探偵のクラークは、事件の解決に乗り出す。しかし、事件に巻き込まれた少年を庇って助手で恋人のアンソニーが誘拐されて……。愛憎渦巻く<デスペラードシリーズ>復刊第三弾。

デスペラードシリーズ復刻第3弾です。1991年刊の「時は過ぎゆきても」に収録されていた表題作と、書き下ろしの「BEAUTIFUL」の収録。
これまでで一番はらはらどきどきさせられました。面白かったです!


「WILL YOU LOVE ME TOMORROW」
★★★★☆
ぐーたら探偵のクラークとその助手兼恋人アンソニーの馴染みが経営している娼館で、ひとりの客が殺される事件が起こります。
客の相手をしていたのが近所の顔馴染みの少年ラリーであったことも手伝って、ふたりは逃げた犯人と事件の真相を探り始めますが、事件は予想以上の複雑さをみせていきます。
そして捜査の最中、ラリーを庇ったアンソニーが何者かに攫われてしまい…。

前回の表題作もクラークの命が狙われてかなりピンチでしたが、今回はアンソニーに災禍が訪れてしまいます。
クラークは元刑事だし多少の危険には慣れているだろうし少々のことでは死なないだろう…という勝手な思い込みも手伝って(笑)、クラークに危険が迫ったときはここまでハラハラさせられなかったです。アンソニーは、勘はいいとはいえ普通の男の子ですから。これまでで最大の危機ですね。
しかも事件絡みでふたりが仲違いした直後に起こっただけに、読んでいるこちら側は心の中でこの状況をどうにかしてくれーと叫ばずにいられませんでした。

今回は、クラークたちのホームグラウンドともいうべき場所でかなり身近な人々を巻き込みながら起きた事件だったこともあり、これまで以上に「彼らの生きる世界」が見えた気がします。
正直、これまでは事件の顛末に関してはちょっと奇をてらいすぎかなと思うことが多くて、そこがキャラは好きなのにお話にはいまいちノれない原因だったんですが、今回は地に足が着いている感じがしてすごくよかったです。
場末の街に生きるからこその哀しみやマイノリティの苦しみ…、そうしたこのシリーズの持ち味とも言うべき要素が鮮明に浮かび上がってきて印象深かったです。

そして、これまで以上にふたりの心の裡が見えて苦しいくらいでした。
刑事を辞めてからも私立探偵という明日の命も知れないやくざな家業しかできない「ならずもの(デスペラード)」であるクラークの、自分が普通の仕事をしていたならアンソニーが危険にさらされることもなかったのではという想いや、アンソニーが本来はゲイではないクラークを「こちら側」に引き込んでしまったことに対して後ろめたさを抱いていたことなど、相手を思う気持ちが強いほどすれ違ってしまうのが切ないです。
それはクラークたちだけではなくて、彼らの街で生きる娼婦や男娼たちやクラークの元同僚たち、そして事件に巻き込まれた人たちも同じなんですね。
読み終えた後に、タイトルの「WILL YOU LOVE ME TOMORROW」の意味を考えると感慨深かったです。
今までの朝チュンではなくちゃんとHシーンがあったのもよかった。
にやりとしてしまったというだけではなくて(笑)、ふたりがお互いをどれだけ求めているのかが伝わってくる大切なシーンなんです。やっぱりHシーンはあった方が盛り上がると思います(笑)。

それから、クラークたちのすぐ側で事件が起こったためなのか、これまでちょこっと顔を出していた面々がこれまで以上に存在感のある登場をしているのも楽しかったです。マンディの旦那サムもやっとお出ましですね。
このお話、海外ハードボイルドっぽいだけあって登場人物が多いですが、最近のBLのように総ホモ化するのではなく登場人物それぞれが自然な関係を築いているのがとてもいいです。クラークたちの周りにはマイノリティが多いからなのかもしれませんが(笑)。
ゲイに対して侮蔑を向けてくる奴がいるのも、アメリカっぽいなと思いました。

色んな意味で作家さん渾身の作品だったなと思うお話でした。


「BEAUTIFUL」
★★★★☆
書き下ろし。
資産家の放蕩息子が殺されたことでおこる人間ドラマを、珍しくアンソニー視点で描いたお話。
その殺された放蕩息子にたった一度だけ助けられたことのある男が事件の捜査依頼にクラークの元を訪れるのですが、実は彼にはもうひとつ依頼する理由があり…。

アンソニー視点だと、いつものクラーク視点では見えないことがわかるというか意外な感じになりますね。
「ぐーたらで図体のでかい」と形容されることはあっても、クラークが美しいと言われていることに驚いてしまいました。本人は極めて容姿に無頓着なのでまったく気が付いてないけれど、恋人のアンソニーは実はクラークが容姿で注目されはしないかとはらはらしている、という(笑)。
そのあたりと絡みながら進む事件の真相も読み応えがありました。


順調に復刊していたのに、ドルチェノベルズがなくなってしまったのでこのシリーズもここで刊行が止まってしまうという残念なことになってしまいました。
調べてみたら、復刊しているのはまだまだシリーズの序の口だったんですね…。
だんだんノってきた感じでしたし、今回登場したダニエルがお気に入りになってしまって何となく今後も登場しそうな気配だっただけにそれも含めて続きが読みたいと思わずにはいられません。
何とか何処かが引き継いでくれないものかと切に願います!(でも続きは電子で! はアナログ人間にはちょっと複雑。。)

「DESPERADO」シリーズ
 ・「500MILES」
 ・「AS TIME GOES BY」
 ・「WILL YOU LOVE ME TOMORROW」

「AS TIME GOES BY」 柏枝真郷 / ill.ひたき

ならず者(デスペラード)に降りかかった、美しくも悲しき愛――。心中事件の真相の調査を任された探偵のクラーク。しかし、その裏には心中した二人以外にも様々な愛と死の謎が絡み合っていた。幼なじみ同士の恋、兄弟愛、そして探偵と助手。切なくも悲しい<デスペラードシリーズ>復刊第二弾。

元刑事のぐーたら私立探偵×美貌の探偵助手が活躍する「DESPERADO」シリーズ復活第二段。
1991年に「時は過ぎゆきても」のタイトルで単行本化されていた表題作「AS TIME GOES BY」と、クラークの警官時代を描いた書下ろし「OUTLAW MAN」の収録です。
しかしかつては英語タイトルだと売れなかったとは、時代は変わったもんですね〜。

「AS TIME GOES BY」
★★★☆☆
義父の依頼で、ある心中爆発事故を探ることになったクラーク。
不可解な部分はあるものの事件性を感じさせないこの依頼にクラークは初めは乗り気ではありませんでしたが、もうひとりの依頼人である心中した男の年の離れた弟や事故の爆発で恋人を喪ったゲイの青年を知るうち、徐々に真相を探る気になっていきます。

今回の見所は、偶然が重なって事故に巻き込まれてしまった人たちや置いていかれた人たちが織り成す切ない人間模様だと思います。そこには愛あり憎しみあり哀しみあり…、一筋縄ではいかない複雑さがこれまで以上に深く苦しいお話になっていました。
クラークと助手のアンソニーとの関係も事件と絡みながらさらに深まっていて、なんだかもう、BLの括りでは収まりきらない壮大なお話になっている印象でした。
クラークを襲う危機も、けっこう緊迫してハラハラ。
今回もHは朝チュンでしたが、このシリーズはもうそれでいいのかも、とここに至って思うようになりました。
萌えはそれほどありませんでしたが、深みがあり読み応えは満点です。


「OUTLAW MAN」
★★★☆☆
クラークの知られざる若き警官時代(笑)を描いた書下ろしです。
若い頃から問題を起こしてばかりのクラークは、さっそく配属されて一年の部署を追い出され新しい部署に移動になりますが、早々に銀行強盗の現場に遭遇してしまう。
ピンチに立たされたクラークは犯人の裏をかくため奇抜な作戦に出るのですが、彼はこの頃から既に名探偵ですね(笑)。
BL要素はほぼ皆無な内容でしたが、若き日のクラークの姿が見られるという意外なサプライズが楽しいお話でした。

「DESPERADO」シリーズ
 ・「500MILES」
 ・「AS TIME GOES BY」
 ・「WILL YOU LOVE ME TOMORROW」

「500MILES」 柏枝真郷 / ill.ひたき

ひとつの事件から紡がれる愛の物語――。探偵のクラークは、顔見知りの警察署長から、殺された息子に託した箱を探してほしいと依頼される。事件の全容が見えた時、依頼主である署長がいなくなり、さらには同棲中の恋人・アンソニーから家に帰らないと連絡を受け……。人気作「デスペラード」シリーズがついに復刊!

ずっと気になっていた「DESPERADO」シリーズ、やっと読みました。
これ、1作〜3作目は単行本化されていなかったのですね。
今回の復刻でも投稿作であったという1・2作目は収録されていませんが、ずっと雑誌掲載のみの状態だったデビュー作である「500MILES」、その裏バージョン的作品でありながら別々に収録されていた「HOME AGAIN」とばらならだったものがひとつにまとまって、ファンには待ちに待ったという感じでしょうか。さらには書き下ろし「GOODNIGHT,IRENE」も収録という嬉しいサプライズ付きです。
ずっと通して読むのが難しい状態にあったシリーズでしたので、嬉しい限り!
…と歓んでいたのも束の間、ドルチェノベルズ休刊しちゃった…

お話はアメリカ東部にある架空の街を舞台にした元刑事のぐーたら私立探偵×元男娼の探偵助手が活躍する探偵もので、内容からは作家さんが海外のハードボイルドすごく好きなんだなーというのが伝わってくるんですが、そこが前面に出すぎてBL要素は薄かったかも。
エロシーンもなくて、全て朝チュンでしたしね(笑)。当時のBLというかJUNEのスタンダードがこのくらいだったのかなとも思いますが、書き下ろしでもエロシーンそのものは描かれていないので、きっと作家さんが描きたいのはそこではないのでしょうね。
ひたきさんのイラストがそのあたりの物足りなさを補完してくれました。
図体がでかくて浮浪者に間違えられそうな風体というクラークにしてはちょっと男前過ぎない? と思わなくもないですが、好みだからいいです(笑)。


「500MILES」
★★★☆☆
事故で妻を亡くした元刑事の30男・クラーク(攻)は、街娼の集まるうらぶれた場所で私立探偵をしながら、前に解決した事件で知り合いその後は助手兼恋人となったアンソニー(受)と共に、余裕はなくとも満ち足りていた生活をしています。
そのクラークのところに、刑事を辞める原因となったかつての上司が依頼人としてやってきて彼の息子を殺した犯人を捜すことになりますが、彼らを待ち受けていたのは予想外の結末でした。

事件の顛末は、最後はそう来たかという感じでした。
個人的にこうしたダ○エル・○イスみたいな奇のてらい方は好きじゃないのでちょっとすっきりしない部分もありましたが、読み応えがありました。、

大切な存在を失い孤独であるクラークとアンソニーが寄り添う姿にはけっこうじんわりくるものがありましたが、全体的に今回は収録されていないふたりの出会い編があってこのお話があるという感じがして、もうすでに出来上がっているふたりの関係の深さにちょっと置いてきぼりを覚えて戸惑ってしまったのも事実。
せっかくの復刊なのに、なぜ第一話からの収録じゃなかったんだろう…。
ふたり出会いの編は同人誌で出ているようなので、近々読んでみようと思います。


「HOME AGAIN」
★★★★☆
「500MILES」で、アンソニーがクラークの元を離れていた間何をしていたのかを描いた、「500MILES」の裏ヴァージョンともいうべき内容。
クラークの元を離れ生まれ故郷に向かったアンソニーが、子供時代を思い出しながらかつて自分を育ててくれた人たちに再会していくうち自分の帰る場所が何処なのかに気が付く過程がアンソニー視点で描かれているので、クラーク視点だった「500MILES」では見えてこなかったアンソニーの内側が伺えます。

このお話はすごく好きです。「500MILES」だけでは説明不足だったふたりの関係が、このお話で補完されている感じです。
自分の過去やルーツと向き合ったアンソニーが、やがて自分自身を受け入れていくのがすごく良かった。
やっぱり謎解きがメインじゃない方がツボにくる私です(笑)。


「GOODNIGHT,IRENE」
★★★☆☆
書き下ろし。
アンソニーとともに仕事の依頼人を訪ねる途上、冬の川に落ちていた男を助けたクラーク。その男は依頼人の夫でした。奇妙な偶然を訝しむクラークでしたが…。

謎解きがメインですが、その中でどこか相手のことを探り探りしていた感のあったこれまでの関係よりさらなる信頼と絆を深めたクラークとアンソニーの姿が印象的。
無二の存在になったふたりがこれからどんな事件に挑むのか、期待が膨らみます。

「DESPERADO」シリーズ
 ・「500MILES」
 ・「AS TIME GOES BY」
 ・「WILL YOU LOVE ME TOMORROW」

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