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  • 2014.07.28 Monday
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「晴れ男の憂鬱 雨男の悦楽」 水壬楓子 / ill.実相寺紫子

容姿にも頭脳にも恵まれ、順風満帆な人生を歩む志水には、どうにも克服できない欠点があった。それは雨男だということ。ある日、高校時代の宿敵・晴れ男の泉が中途採用で転職してきて、志水の部下になるが…! ? 書き下ろしも収録して待望の文庫化!

雨男に晴れ男、というちょっと見かけない設定が面白そうなのと実相寺さんのイラストに惹かれて手に取ってみました。
リンクスロマンスから2003年に出ていたものの文庫版ですが、お話そのものはなんと前世紀の作品なのだとか。キャラの年齢設定が若いのはそのせいなのかと後で気が付きました(笑)。
攻めの志水視点の表題作「晴れ男の憂鬱 雨男の悦楽」と受けの泉視点の続編「晴れ男の困惑 雨男の疑惑」に、書き下ろしのSS「晴れ男と雨男の休日」の収録。

志水(攻)は若干30歳で課長になるほど優秀で容姿にも恵まれた男ですが、唯一の欠点(?)が極度の雨男であること。その凄さは仕事に支障をきたすほどのもので、自分の努力ではどうにもならないこの体質(?)に長年コンプレックスを抱いています。
その志水が勤める会社に、高校時代の同級生で晴れ男として有名だった泉(受)が中途採用されることに。志水は雨男対策(?)のため、渋々かつての天敵を自分の直属の部下にしますが、予想以上に仕事や気配りができる泉の存在にこ考えていた以上に助けられるようになる。そして徐々に気になり始めて…。

あほな話なんですが、私、カバー絵を見たときに勝手に雨男は右の受けの方だと思っていて、そんな思い込みのまま読んでいたら段々おかしいなーとなってきて、ふたりが初めて顔を合わせたシーン(っていうか再会ですが)でやっと自分の間違いに気が付いたという;
いや、だって、イメージ的にそんな感じじゃないですか(笑)? 志水なんて雨に無縁そうにさんさんと輝く太陽の下で笑ってそうじゃないですかっ!(しつこい)
そんなイメージ通りだったら面白みがないだろと突っ込まれそうですが、そう、この意外性がいい感じにお話のスパイスになっている感じですね。でも、雨男の話はそれはもはやジンクス超えてるだろうというくらいで、ちょっとやりすぎな気がしましたが。。

雨男、という自分ではどうにもならない体質のために苦い思いを繰り返してきた志水は、だからこそ今では社内の若手一の出世頭になるほど自分の力でどうにかなる部分に関しては努力をしまくってきた男。
そうして結果を残してきたからこそ、雨男であることがものすごくコンプレックスになってもいるという感じです。
そんな志水からすれば、自分とは反対の晴れ男である泉は人に感謝こそされイヤな思いなどしたこともないだろう…と半分ひがんだようなことを思うわけですが、まぁもちろんそんなわけではなくて、晴れ男には晴れ男の悩みがあるという。
晴れ男は所詮「雨よけ対策」としてしか必要とされていない、とか、こちらはちょっと切ないものでした。
徐々に泉に惹かれながらも疎いところのある志水は気が付きませんが、泉はずっと志水が好きだったということが明らかになってこの切なさはさらに倍増です。結局志水にとって泉は、今も昔も「晴れ男」以外のなんでもない、と思ってしまうわけですから。
そんな、お互いがお互いの気持ちに気が付かないままぐるぐるしているふたりにやきもきしつつも、早く気が付け〜〜! と思わずにいられないお話でした。

後半の「晴れ男の困惑 雨男の疑惑」は、晴れて結ばれたふたりの間に、志水に縁談が持ち上がっているという噂がきっかけとなって暗雲が立ち込める…というわりとありがちな展開が一転して泉視点で進むのですが、…泉がオトメすぎて、ちょっと…;
一途なのはいいとしても仕事のデキる30男がそこまでうじうじしてどうするんだー! って思ってしまって、私が攻め視点のBL好きなせいもあるとは思いますが、志水視点の前半に比べて泉のぐるぐるしている心理描写の多い後半はちょっと好みから外れてしまいました…。
泉は「自分なんかと一緒になって志水の未来を汚したくない」みたいなことをじめじめ繰り返していて、やっぱりあんたが雨男だったのか? と突っ込みたくなってしまいましたよ(笑)。
そういえば、前半ではあれほどしつこく出てきた雨男晴れ男のジンクスは、後半ではほとんど出てこなくて拍子抜けするほどでした。志水なんて、単身イタリアに出張していたりして、前なら悪天候で飛行機が飛ばない〜〜とか騒ぐところなんじゃないのここ? とか思ってしまった(笑)。雨男設定、どこに行ってしまったんだろう…、とちょっと戸惑う。。
脳内オトメな泉にちょっと引きながらも、終盤巻き返した志水の「一緒に家のローンを払ってくれ、っているのがプロポーズじゃイヤか?」がツボにきて、そしてニヤニヤさせられてしまいました。
最後は収まるところに収まってよかったです。

SSはふたりのその後のバカップルぶり全開の、冬の秘境温泉旅(笑)。でもふたりのせいで(?)天気が大荒れしてしまい、さてどうする?! な楽しいお話でした(これも泉視点)。
そして社内では公表したのかと思いきや、やっぱりそこまでは開き直れないよね〜と、ふたりの常識人な部分にちょっと安心しました(笑)。

ちょっと変わったリーマンもの・再会ものとして楽しめますが、作品そのものがだいぶ昔のものだからでしょうが、登場人物の年齢が若いのが気になるところですかね。
志水も泉も40男はムリでも(いや個人的には大歓迎・笑)せめてあとプラス5くらいの方が違和感ないですし、何より縁談話が出るような年頃の娘がいるという部長の年が40過ぎっていうのはどうなんだと(笑)。
あと、実相寺さんのイラストきれいで惚れ惚れ〜なんですが、泉がちょっと麗しすぎる気がしました。彼が必要以上にオトメに見えたのはそのせいか??
でも、失意の中雨にうたれる泉にはくらっときてしまったんですが(笑・色っぽいシーンと違うのにね〜)。

お話の中でイイ仕事をしていたふたりの友人で同僚の藤近のお話も近々出るそうで気になるのですが、…おっさん攻めのようですね(笑)。
おっさん攻めは、はまるときと外れるときの落差が大きいのでこれはどちらになるやらですが、藤近が好きなので読むと思いますたぶん。

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