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  • 2014.07.28 Monday
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「地角の衆生」 栗城偲 / ill.ミナヅキアキラ

夜ごと仲間を探して啼いていた鵺は、人間に脚を射られてしまう。ところがその人間・寛慶は、痛みと怯えで泣きじゃくる鵺を見ると家へ連れ帰り、手当てをしてくれた。寛慶は鵺を厭わなかった。そばにいて、触れてくれる。ずっと欲しかった温もりが嬉しくて、鵺はこれからも寛慶と一緒にいたいと思う。そして、寛慶もまた癒えない寂しさを抱いていると知り、思わず彼を抱きしめて…。

破戒僧×鵺って?! っていうかBLで鵺ですか!?? …と、妖ものに弱い(人外BLが好きという意味ではなく古典や歴史ネタとして好きなのです)私はつい手を伸ばしてしまいました(笑)。
鵺は平○物語のエピソードが有名な、日本版キメラみたいな物怪のこと。これを受けにしてしまうとはどんな話なんだと期待しましたが、…妖というよりは獣といった方がしっくりきましたねー…。
ケモミミとかもふもふ系(?)が好きな方にはおいしいかもしれません。
因みに、鵺は人に化けられるという設定なのでHの時は人の姿(ただし耳だけ獣)です。ご安心を!(笑)
アンソロジー雑誌「Canna」掲載の表題作に、その後のふたりを描いた「無明長夜」と脇キャラ迅雷を描いた「薫習」のふたつの書き下ろしを収録です。

ひとりで生まれ同じ時に複数存在しないという鵺(受)は、それでも何処かに自分の仲間がいるかもしれないと多くの生き物のいる都で夜ごと仲間を求めて啼いていましたが、ある時遂に人間に射られてしまう。
鵺を捕獲したのは、寛慶(攻)という破戒僧。彼は怯えて泣きじゃくる鵺の手当をし、その奇異な姿を厭う様子もなく鵺を側におき、更には柚丸という名も与えてくれます。
これまで受けたことのなかった温かさに喜びを覚えた鵺は、このまま寛慶と共にいたいと思うようになるのですか…。

鵺が人に害を成る恐ろしい存在ではなく、ひとりぼっちの寂しい存在として描いているのが面白いというか意外な感じでした。夜な夜な何処かにいるかもしれない仲間を求めて啼くものの、その鳴き声(もちろんその姿も)が不気味だから不吉なものとして人に狩られてしまう、というのが可哀想になってしまいます。
しかも、当の鵺―柚丸は、自分の啼き声が不気味なものだということを理解していなかったりと全てにおいて何も知らない子供のように純粋で世間知らずなので、世の中で認識されている「鵺」とはまるで違う。
そんな孤独で寂しがりやの鵺・柚丸が、初めて自分を気味悪がることなく優しく接してくれた寛慶に懐き、やがて恋心を抱くのは、当然といえば当然かもしれませんね。
そして寛慶もまた、複雑な出生から人間社会からはじき出されてしまった、柚丸とは違う形の孤独の中に生きる存在でした。
そんな孤独な者同士が惹かれ合い共に生きる「番」になる、という流れは理解できるのですが、寛慶がなぜそこまで鵺に惹かれたのかが見えてこなかったので、ちょっとすっきりしなかったです。いくら破戒僧とはいえ、人外の存在を受け入れ添い遂げようと決意するのはよほどのことだと思うんですよね。
彼が例えば実道のようにもともと妖と縁の深い人間だったら、あまり抵抗や葛藤もないのかなと思えたかもしれません。
そして栗城さんらしいというか、途中で大きな出来事や派手な展開が待っているわけでもなく終始淡々としている印象なので、ハラハラ感やら号泣! みたいな感動は味わえないかもしれません。栗城作品はいつもそこが引っかかってはまりきれない…。

あと、お話全体がなんというか可愛らしいですね。受けが妖だったという以外はわりとよくあるBLという感じがして、妖モノならもっと妖しい雰囲気があっても良かったような気がしました。細かい設定やあとがきを見ていると栗城さんがこういうネタに詳しい&好きな様子が伺えるので、それだけにちょっと惜しいような。
というわけで冒頭でも書きましたが、鵺が妖というよりは獣っぽいので、全体的に怪異ものというよりはケモミミとかもふもふ系のファンタジーという感じです。というか、最初からそれを狙った作品だったのでしょうか(笑)。
柚丸は可愛いし顎とかお腹とか撫でてみたい…! と思ってしまいましたが(笑)、例えば山藍紫姫子さんとか沙野風結子さんみたいな、怪異ものを妖しく美味しく料理してしまう作家さんだったなら鵺をどう描くだろうかと思わずにもいられませんでした。
まぁ、このあたりは好みの問題ですかね。

個人的には、雷獣の迅雷がとても気になってしまって、彼について書かれた「薫習」は嬉しかったですね(笑)。そして迅雷と実道とに何やらありそうで、そのあたりをスピンオフで出してくれないかなーと秘かに願っています(笑)。

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