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  • 2014.07.28 Monday
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「伯林星列」上下 野阿梓

一九三六年、ベルリン。留学中の十六歳の少年、伊集院操青は、叔父継央の歪んだ欲望の魔手に堕ちた。娼館に身を落とされ、若く美しい肉体にあらゆる性技を調教されることとなる。一方、二/・/二/六/事/件が「成功」した日本では、内閣参議となった北/一/輝が元衆議院議員の黒澄幻洋に独ソ関係の調査という極秘任務を与え、ベルリンに派遣する。異才が満を持して放つ、最高の問題作品。

これはBLではなくて耽美SF(SM?)小説なんですけれど、いろいろすごいので取り上げてみました。
因みに私が読んだのは2008年に刊行されたハードカバー仕様の方で、500ページに達する上に上下二段組という内容はなかなか読み進められませんでした。。
上下巻に分かれて文庫化されて、だいぶコンパクトになり読みやすくなったなーと。
…内容は変わらずハードなので一気に読むのがしんどいのは相変わらずでしょうが。。

1939年、ベルリン留学していた16歳の操青は、ある事故に巻き込まれ共にいた学友兼お目付け役のベトナム人青年と取り違えられて死んだことにされてしまう。
操青を引き取りに来た、武官としてベルリン駐在していた叔父の継央はそのことに気が付きますが、操青に歪んだ欲望を持ち続けてきた彼は事実をもみ消し、欲望を果たそうと操青の身柄を娼館ナハディカル館に引き渡ます。
何も知らないまま目覚めた操青はその時からあらゆる性技の調教を受け、やがて継央の手に堕ちてゆく。
一方、日本では二/・/二/六/事/件が成功して北/一/輝が内閣参議となる事態が起き、継央は操青を残して帰国せざるを得なくなります。
ひとり残された操青は性の快楽に身を堕とし続けますが、北/一/輝から独ソの極秘調査の特務を受け単身ベルリンに渡ってきた黒澄幻洋によって救い出され、黒澄の手先となることになります。
狂った運命に弄ばれた操青が、最後に辿り着いたのは…?

野阿さんはSF小説家ですが、山藍紫姫子さんと出会った1991年以降は「やおい」ものも書かれることでも知られています。男性作家では珍しいですよね。
でも、男の人が描くやおいやBLというのは女性の描き出すそれとは違うものなんだなーと思わされます。
この作品もそうでした。
…って、本作はあくまでSF小説として書かれたもののようですが。。そこにやおい(BLではない)要素が加わった内容。

…なのですが、そのSF部分というのは二/・/二/六/事/件が成功し北/一/輝が内閣参議となったという、史実とは違う「あったかもしれない」日本の姿くらいで、読み終えて一番強烈に残るのは、少年・操青が性奴に堕ち徹底的に調教されていく過程の過激さ。
操青が継央の罠にはまり娼館に身を堕して調教され尽くすのっけの第一章が山藍さんの比ではないハードなシーンの連続で、SF小説を読むつもりがSM小説を読んでいたという感じです(苦笑)。もひとつ、終盤近くの蝋燭プレイがもの凄かったですねー。
何というか、痛々しいとかいうレベルではなくて本当に「痛い」んです。思い付く限りで近いのはサドの一連の小説かなと思いつつも、あれはもう有り得ないという意味では性ファンタジーなのに対してこれは妙に生々しくてアリティがあるからなお辛い。SFな内容の中で、調教されたりするSMシーンばかりがやけにリアルなんですよね。プレイ的には有り得ない! と思いつつも、操青の受ける痛みや辛さが真に迫ってきて息苦しくなってしまう。
ふとこれは、男性だから描けるものかもと思いました。女性が書く「男(少年)の躰」はどこまでいっても結局は想像や妄想の域を超えないわけですが、男性の場合は違いますもんね…。
調教シーン以外にも、女性スパイが容赦のない拷問を受けるシーンもけっこう痛いです。

BLの世界なら、薄幸の美少年・操青は己を助け出した黒澄に恋をしてふたりはやがて…、な展開になるところですが、この作品はそうはならず、ふたりの間には徹頭徹尾利害関係しかありません。操青は黒澄に恋をするどころか、自分に何が求められ何をすべきなのかを理解し行動していく。
つまり男同士の「恋愛」を描き出しているのではなく、1939年の不穏な雰囲気たっぷりのベルリンで暗躍する各国のスパイたちの姿を追った内容がメインなのです。そこがBLとの大きな違いですね。だから耽美SF(SM?)小説。男同士の関係性に萌えを見出すような愉しみ方は全くできないので、そこら辺は期待しないほうがいいでしょう。

大戦前夜の不穏で妖しいベルリンの雰囲気は濃厚ですし、北/一/輝以外にも、いろいろとこの時代ならではの人々が関わってきたりもして、ちょっとハードですがこの時代が好きな方なら愉しめると思います。執筆に8年も掛けたというだけあって、フィクション部分があるにもかかわらず歴史ものとしての綻びや、幼稚さやいい加減さは微塵もなく読み応えは充分です。
BL的な満足度は普通ですが、読み物としては愉しめました。ただし読むのには気力体力共にかなり消耗するので(苦笑)、調子の悪い時には絶対読んではいけない作品(笑)。
そしてSF的なものだけを求めて読むと、苦痛ばかりが先行してしまうかもしれません。やおい耐性の無い方にはキツいだろうなぁ。。

普通のBLに飽きた方やもっと別の刺激がほしい方はどうぞお試し下さい。
…でも読み終えた後のことは責任持てません(笑)。
著者のHPによれば続編を執筆中とのことなので、私は首を長くして待っていようと思います(笑)。
(※検索避けに「/」を入れた箇所があります。読みにくくてごめんなさい。。)

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