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  • 2014.07.28 Monday
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「描くのは愛(新装版)」 剛しいら/ ill.朝南かつみ

的場幸洋は父の汚名を濯ぐため、天才贋作師である阿久津脩平の元を訪れ仕事を依頼する。それですべてがうまくいくように思えたが、依頼が完成品の存在しない作品を描く代作だということから事態は一転する。まだ見ぬ作品のためならなんでもすると決めていた幸洋だが、なぜか脩平にキスされ押し倒されてしまう。やらせるのが仕事を受ける条件だと言われた幸洋は何も言い返せず……。書き下ろしSS同時収録。

2009年にショコラノベルスハイパーで出ていたお話の新装文庫版です。描き下ろしSS「描くのは愛欲」(なんてタイトルだ…笑)と、故・朝南かつみさんのラフ画も収録されています。

美術鑑定士だった父親が幻の画家ポイズンの絵画と共に失踪したことでつらい境遇の中で育った幸洋(受)は、父の勤め先だった画廊に捕らわれるように鑑定士として働いていましたが、母親が倒れてしまったことを機に父の汚名を雪ぐ行動に出ます。
ポイズンの絵を盗んだ真犯人をおびき寄せるため、天才贋作師の脩平(攻)に盗まれた絵と対になる絵の贋作を依頼するのですが、前金なしの無茶なその依頼の代償として脩平は、身の回りの世話と幸洋の体を求めてきます。
幸洋はそれを受け入れ、山深いところにある脩平の家で同じく贋作師である脩平の父・忠正と3人の生活が始まりますが。

幸洋は父のいなくなった14歳の頃から画廊の女社長(もちろん年上)に迫られ続けていたために女性に苦手意識を持っており、脩平の要求にはそれほど嫌悪感を抱くこともなくかなりあっさりと受け入れています。
そんなヘヴィーな過去のせいもあってしっかりしている幸洋ですが、と同時に何処かお人よし過ぎるところがありちょっと危うい印書。
脩平は強烈なインパクトのある父・忠正の支配の下で贋作師になる以外の道など選べない状態で成長していて、贋作師としては天才的だけれどもどこか子供みたいなところがあります。
そんな、育った環境も境遇も違うけれど何処か似た孤独を抱えているふたりが惹かれ合うようになるという流れですが、互いに心を許し合うようになるのが早かった気がして、もう少しエピソードがあってもよかったような。。
その後かなり深い絆を結んでいくようになるふたりの関係の始まりにしては唐突だったのが残念です。

幸洋の父と絵画の失踪の真相はスリリングな感じで読み応えがありました。ピリッとした緊張感漂う冒頭からぐいぐい惹き込まれた感じ。
そこに絡んでいく贋作作りという特殊な仕事(?)のことも、プロがああもあっさり騙されてどうすると突っ込みつつも興味深くて面白かったです。
そんなサスペンス風味なお話に、もともとはペンションだったという山奥の広い家での暮らしや脩平がポイズンにとりつかれたように贋作に向かう様子などにちょっと不思議なエピソードが加味されて、そこがとても好きでした。
作中に登場する重要な画家・ポイズンは創作だそうですが、こういう画家ってあの時代なら実在していそうですね(笑)。

終盤のポイズン蒐集家説得のシーンはやや強引…、というかなんだか読んでいるうちに無理矢理納得させられた感があってすっきりしなくて、もうちょっとページがあったらよかったのかなと思いました。
で、最後まで読んで怖いと思ったのは人の執着心ですよ…。
人にしろものにしろ、何かに執着する人の業の深さが起こした悲劇というか…。
幸洋の父がどうなったのか、結局分からず仕舞いですしね…。
幸洋が漏らした「邑上親子は……僕達親子を蒐集したかったのか」という言葉にぞ〜っとしました。

それにしても、脩平の父・忠正がいちばんインパクトあったような(笑)。
あと、風呂場のおっさんに癒されてしまったのは私だけですかw除霊なんてしないで〜〜(笑)

書き下ろしの「描くのは愛欲」はその後、脩平が再びポイズンに取り掛かるお話。
それはそれで面白かったんですが、もうちょっとその後のふたりのラブな様子が見たかった気もしました。

ご遺族の了承のもと収録されたという朝南さんのキャララフは必見です。
旧版刊行時、これの肌色率100%のカバー絵はインパクト大きかったですが、硬質な裸体には不思議とそこまでエロさを感じなかったのを覚えています。
むしろ、朝南さんはいとう由貴さんの「秘蜜」の時のような一糸乱れない着衣姿の絵に危険なほどのエロスを感じさせられました。
そんな不思議な魅力を湛えたイラストレーターさんだったなと、もう見られないことにまた涙してしまいました。

「妖しの剣」 剛しいら / ill.槇えびし

「この子は、魔に魅入られる」あまりの美しさゆえに、刀鍛冶・泰山のもとに預けられた紅丸。ある日、彼は名工である師が、死者の血を使って刀を打っているのを見てしまう! 成長し、領主・玄奘の小姓となった紅丸に、幼馴染の宗司が届けた師の遺作こそが、その妖刀だった!! 誰をも虜にする身体で、妖艶に男たちを魅了し、飢えたように血を求める紅丸を妖刀から救おうと、宗司は戦場へと向かうが……!

最近、八犬伝を読んでいたので「妖刀」というワードに惹かれました。
戦国時代が舞台の、剛さんならではのしっかりしたお話でしたが、あまり萌えがなかったのが惜しい。。

小領主の次男に生まれながら、陰陽師の占いで「色難と殺しの気、魔に魅入られる」と出たために刀鍛冶・泰山の元へ預けられることになった紅丸。
泰山の弟子である宗司と共に剣術を磨きながら育った彼は、自分の腕がどのくらいのものなのか外に出て試してみたいと思いながらも平穏な日々を送っていました。
しかし、泰山が鬼の力を借りて妖刀を打っているのを見てしまったことが紅丸の運命を大きく変えてしまう。
数日後、鍛冶場を訪れた大領主・玄奘にその美貌と剣の腕を買われた紅丸は小姓となって玄奘に従うことになり、泰山の元を去ります。
そして泰山の死後、その遺作となったあの妖刀が紅丸のもとに届けられ、妖刀によって負け知らずとなった紅丸を玄奘は戦場に立たせるようになる。
幼馴染みの宗司は、妖刀に繰られ飢えたように血を求めるようになった紅丸を救い出そうとしますが…。

鬼の力を借りてとか死者の血で作られたとか精気を吸い取られてとか、妖刀のお話としてはすごく面白いし読み応えがあったんですが、BLとしてはどうかなというのが正直なところでした。
妖刀は、人を斬り血を吸えば吸うほど主に男を欲しがらせるというなかなか美味しいオプション付き(笑)にもかかわらず、それが「ラブ」とは関係ないところで発揮されているからでしょうか。
そして陰陽師に「色難あり」と告げられたほどの美貌の小姓が主役なので妖艶な雰囲気なのかなと思いきや、湿っぽさのない硬質な文体で綴られるお話はむしろからっとした印象です。
内容はJUNEっぽいんだけど、読むとBLを加味した戦国時代という感じ。

紅丸は幼馴染のように育った宗司と、体こそ繋げていないものの深い関係にあったのですが、妖刀に出会ってしまったことで運命が一変、彼の元を離れて大領主・玄奘の小姓になって妖刀に繰られるまま血と男を求めるようにしまうという、ある意味BLとしては異色な展開です。
で、紅丸が玄奘の小姓時だったことがメインになってしまっているので、濡れ場は当然玄奘とのものが多い(笑)。
紅丸が本当に想っている相手である宗司との甘いシーンは最後の最後なので、どうしても宗司のインパクトが弱くなっているのが惜しいです。
っていうかこれは攻めふたりいると考えていいんですか(笑)。

妖刀が血を吸えば吸うほど紅丸は男を欲し美貌で人を惑わしているとはいえ、玄奘のもとにいた間は紅丸を溺愛する玄奘にしか抱かれておらず丸は案外身持ちが堅い(笑)。
そのせいで精気を吸われた玄奘は気の毒でしたね。
いっそ多くの男を翻弄するような魔性の男になっちゃっうのもアリじゃないかと思ってしまいましたが(笑)、まぁこのお話の雰囲気にはこれが合っている気がします。
あ、でも後半に敵に捕らわれた紅丸が男たちに陵辱されるシーンがあるので、苦手な方はご注意を。
ここ、痛い感じではないですが、妖刀が絡んだせいでエロさもなくなっているのがなんか惜しい←

というわけで萌はほとんどなかったんですが、もともと紅丸にあった野心的な部分が妖刀に呼応したんじゃないかとも思えるお話でしたが、けれども最終的に紅丸に残ったのは野心などではなく宗司といた頃に戻りたいという一途な想いだった、という結末はぐっときました。
だからこそ、妖刀を葬ることができたのでしょうね。

イラスト、絵柄は苦手系だったんですけどお話の雰囲気にぴったりですご良かったです。

「かってやるっ!」 剛しいら / ill.石原理

辰巳鋭二がついに権藤組組長を襲名する。だが襲名披露を前に警視庁公安部と東京地検が本格的に辰巳を狙い動きだした。不敗を誇る地検の若きエース・勝崎雄飛は、的確に辰巳や安藤の弱点を攻めてくる。辰巳も自分のダミーを使い、公安と地検を翻弄する。そして勝崎の中にある暗い欲望を見抜いた辰巳は、策略を巡らすのだが・・・。最強の敵との負けられない闘いがはじまる!!「やるっ! 」シリーズ最新刊、満を持して登場!!

今月はさっぱり更新できなくてすみません。
夏は地味に忙しい上に厚さにやられて気力が出ない;;
そんな状態でも相変わらずBLは読んでいるんですが(笑)、中でもこれ、待ちに待ってたシリーズ最新作が読み応えたっぷり^^
長〜いブランクなんか全然感じさせない、相変わらずな辰巳に出会える内容でした!

遂に組長を襲名することになった辰巳。
それを警戒し、本格的に辰巳を狙って動き始めたのは、地検の若きエース勝崎。
思うように動けないことを嫌った辰巳はダミーを立てて勝崎を撹乱しますが、勝崎は辰巳の過去を攻める方法で出てきます。
不敗を誇る順風満帆のエリートにトラウマである過去を探られたのが気に入らない辰巳は、勝崎が男への欲望を抱いていることを見抜き、ダミーとして使っている青年・一汰を使って勝崎を罠にかけようとしますが…。

久々の新作で辰巳に挑んでくるのは公権力でした。
だからタイトルは公安や地検に売られたケンカを「買ってやる」ってことなんですが、もうひとつ、辰巳のこのケンカに「勝ってやる」という強〜い意思も含まれていました。

今回の敵・勝崎は、絵に描いたようなエリート街道を行く、言ってみれば辰巳とは真逆の人生を歩んでいる男です。そんな彼に何としてでも勝つ、この辰巳の意志の強さがインパクトありました。
そして、どれだけ輝かしい道を歩んでいてもやっぱり人間には汚点があるもので、勝崎にもある後ろ暗い過去があるのでした。それに気付いてしまえば、後は辰巳の独壇場です(笑)。
勝崎には実は男への欲望があってそれを長年隠していたわけですが、そんな勝崎に辰巳は自分のダミーをやっている一汰を送り込ませ、一気に籠絡させようとするんですが、このあたり、何だか一作目「はめてやるっ!」のコージと笙を彷彿とさせます(立場は逆ですが)。そうえば伝説の竿師・田島も登場していますしね。何だか色々と既視感が(笑)。
あ、因みにコージは今回もちゃんと登場しています。

辰巳が敵を倒してのし上がっていくこれまでのハードな展開からすると、今回のお話はやや大人しめです。
襲名を目前にした辰巳がどうしても派手に動き回れないのでそれは仕方がないのですが、その代わり(?)にラブ面では意外な部分がありました!
なんとあの辰巳が、安藤が自分にそっくりな一汰に惹かれているんじゃないのかと嫉妬しているんです(!)。
これまで男を喰っては安藤に嫉妬させていた辰巳が、今回初めて逆の立場になるという。まぁ、あの安藤に限って浮気なんて有り得ないんですけど(笑)、「龍は、いつもこんな感じで、俺を待っているのか」というセリフに今更〜〜! と可笑しくなってしまいました(笑)。
これで少しはイイ男とみれば喰う癖(?)治りますかね?(笑)

さて、無事襲名を終えた辰巳。
襲名披露のシーンはもっとページがあってもいいくらいでしたがそれは置いておいて(笑)、シリーズはまだ続くんですかね? ぜひぜひ組長となった辰巳の活躍が見たいです!

本編後のSS「けってやるっ!」は辰巳の襲名後、一段落ついた頃のお話ですが、勝崎のまさかのオチにびっくり!
さて彼はこの先辰巳とどう関わっていくことになるのか?
一汰とのその後も含めて気になるので、ぜひとも続きを…!!

そうそう、あとがきに中村のプロフィールがあって、彼のファンとしてはニヤニヤせずにいられませんでした(笑)。中村、今回もイイ働きをしてましたしね。大好きです!

「やるっ」シリーズ
 ・「はめてやるっ!」
 ・「おとしてやるっ!」
 ・「やってやるっ!」
 ・「かってやるっ!」

「教授の華やかな悦び」 剛しいら / ill.華門

古い洋館に勅使河原教授と共に住み、教授の言葉や視線だけでいってしまうよう躾けられている天根。毎夜施される巧みな愛撫、甘いおしおきは、気持ちが良くて気が狂いそうな程。愛する人に支配される悦びに、どうしてもいやらしく身悶えてしまう。しかし、ある招待状がきっかけとなり天根が汚穢の罠にはまってしまう。教授は、復讐の青い炎に燃え、そして怖るべき行動に出る!“支配”という名の愛をあなたに教える。

勅使河原教授の第二段です。
前作「教授の密やかな楽しみ」で中途半端に終わってしまったエピソードから始まる内容でしたので、ほっと安心(笑)。
そして前作以上に愉しめました…!

好奇心が元で、勅使河原教授が招かれたSMクラブのパーティーに教授のペットとして同行することになった天根。
そこで居合わせた映画プロデューサーの服部が教授と天根に絡んできて、天根に自分の奴隷の相手をしろと言い出し教授を怒らせてしまいます。
教授はその場で鞭を使って服部を支配者から奴隷まで引きずり落としますが、あまりの仕打ちに教授を恨んだ服部は天根を拉致するという強行に出てまた教授の逆鱗に触れてしまう。大切な天根を傷付けられた教授の取った報復とは…?

前作でも顔を見せていたトラブルメーカーの服部はじめ他者が関わってくる今回は、前作の閉ざされた世界で繰り広げられたSMとはちょっと違う印象でした。
「鞭」「鎖」「革」という三部構成のメインはもちろん教授と天根のラブですが、そこに前作では謎に包まれていた教授のバックグラウンドが織り込まれていて、お話がより重層的になっています。
そのため、ほぼ天根視点だった前作とは違って今回は教授視点の部分もって読み応えありました。個人的に攻め視点が好きだから余計愉しめたかもしれません(笑)。
教授の生い立ちといい天根の実家のことといい、家族との関係を描いているのがBLではめすらしいですが、家族という輪を断ち切ってSMという特殊な関係性の上に新たな関係を築いていく教授たちの姿は、もしかしたら血の繋がりよりも強固なものになるのかもしれませんね。あ、それは先代の伯爵で証明済みなのか。

唯一ナゾなのは、これほどの帝王である教授がなぜここまで天根に惹かれたのか? ですが…、天根がそれだけ磨き甲斐と調教のし甲斐のある逸材だったということでしょうか。
まぁ、ここまで惚れ込んでいても教授は天根に愛しているとは言わないのでしょうが(笑)。
そんな、個人的になイマイチ魅力を感じなかった天根でしたが、教授なしでは何もできないように見えた彼が拉致監禁されながらも自力で脱出したのにはすっかり見直してしまいました。服部のやり方がずさんすぎたのもありますけど(笑)、受けのピンチは攻めが救い出すのがお約束のBLにあって、これはめずらしいですよね。
そこから天根の状況が実家にばれてしまう展開といい、BLのお約束をあえて踏襲しないところにありがちなBLとは違う凄さがあると思いました。

そしてもうひとつ、今回も教授の調教をたっぷり愉しめました(笑)。
天根には甘すぎるくらいであまりSっぽくない教授ですが、いざ調教師の顔になると豹変します。
冒頭の鞭もなかなか凄いですが、やはり教授の帝王っぷりを味わえるのはファニチャープレイです…! 前作の「椅子」に加えて今回は、「長椅子」「人形」そして「ベッド」が登場してします。特にベッドはすさまじすぎる。あれは何よりも非道な復讐ですね。
このシリーズはSの帝王たる教授の魅力を堪能してこそなのだと思わされました!

新たに登場したファニチャーたちのことなど、今回ももうちょい読みたいと思わずにいられないラストで、ついつい第三弾を期待してしまうのでしたw出ないかな?

「教授の密やかな楽しみ」

「教授の密かな楽しみ」 剛しいら / ill.華門

華族の血を引き、肉体的魅力に溢れた勅使河原教授の住む洋館で働くことになった地味な大学生・沢田天根。教授に近づける喜びで胸がいっぱいの天根を迎えたものは、何者かによって毎夜繰り返される淫らな悪戯だった。この手が教授なら…教授に犯されたい…!そんな天根に、教授は思いもつかない淫靡な愛で応えはじめ―。“洗練と頽廃の快楽”に酔う、書き下ろし収録。

ここのところ物置と化している部屋を片付けていて、行方不明だったものや懐かしいものなどいろいろ発掘してしまいました。物置部屋は冬は結露、今の季節はカビに悩まされる場なので、定期的にものを避難させたり戻したり…を繰り返すうちに何処に何があるのかわからなくなるという悪循環に陥っています; 真剣に除湿機がほしいなと思うこの頃。。
で、数年埋もれていた、最近名称の変わった詐欺を扱ったあの小説が意外なキャストでまさかの映画化と聞いて読む前に見てきたんですけど、これがとても面白くてはまってしまいました。原作も早く読もう!(っていうかいつの間にか文庫化してる…)
しばらくはこんな数年単位の積読本を読む日々かもしれません(笑)。

前置きが長くなりました;
本日はこれも数年越しでやっと読んだ作品の感想です。
だいぶ前に読んだ「禁縛」というお話(なんとこのブログの感想第一号作品ですよ!)に登場していてすごーく気になった勅使河原教授のお話!
BLでSMならこれ! と言われ続けているのが納得の面白さでした。

進学で地方から上京したばかりの地味でおとなしい青年・天根が、夏休みに大学で経済を教えている勅使河原教授の自宅の書庫を整理するアルバイトに雇われてその期間教授の豪華な邸宅に滞在することになるのですが、その間に実はSの裏の顔を持つ教授の手によってどんどん磨かれM化していく…というお話。

時代に取り残されたような洋館という閉ざされた空間の中で、行われる調教の数々によって冴えない感じだった天根が美しいMへと変貌していく様子と、天根の教授への気持ちが憧れから恋に変わっていく過程が読み応えありました。
鞭とかボディピアスとか剃毛プレイとかありますが、SMシーンは流血があるでもなくわりとソフトな印象。
そういう道具で相手を従わせると言うよりは、教授は精神的に相手を屈服させていくSという感じです。
なので、ハードな内容を期待すると物足りないかもしれません。

そんな教授の真のSっぷりが垣間見れるのは、天根への調教ではなくその後のファニチャープレイでした(笑)。
天根は教授に「ペット」として愛玩されている存在。それとは別に、「家具(ファニチャー)」として愛でている存在がいるのです。
ファニチャーは天根とは真逆の人気タレントとして活躍している華やかな青年・健城で、その彼を一切性的には扱わず徹底的に「椅子」にしているのがすごいです。
そして健城が、常に他者から見られ騒がれているからこそただの「椅子」にされてしまうことに心を解放させていく様子がたまらない。
その健城を椅子として扱いながらの教授と天根とのHシーンがあるんですが、3人いるのに3Pではないこのプレイは3P以上のやらしさがありました! ここがいちばん萌えた(笑)。こんなシーン、他で目にすることはないだろうな…(笑)。
鞭を使わなくてもここまで他者を支配してしまえる勅使河原教授は、真のSだと思いました。彼はSMを通して人間を解放させる天才なんだなと。

でも、お話の基本は教授と天根のラブです。
天根を愛玩しているうちにいつのまにか教授は彼を愛するようになりますが、Sゆえにそれを理解できないのがちょっと切ないですね。
でもきっと、天根の存在が教授を変えてふたりはこの先甘い恋人同士になるんだろうなと思えるラストでした。

ところで、教授にはさらにもうひとり「奴隷」がいて、最後にそのエピソード披露となっているんですけど、教授の鞭さばきが堪能できるまさにそこでページ切れという終わり方をしていてびっくり。この続きは続編で堪能できるのでしょうか(笑)。

「教授の華やかな悦び」(続編)

「やってやるっ!」 剛しいら / ill.石原理

広域暴力団傾正会若頭・辰巳鋭二に最大の危機が訪れる!?数年前、傾正会会長の権藤が撃たれた事件に深く関わっていた男の死体が発見されたのが始まりだ。決着をつけるために動き出す辰巳だが、中村は濡れ衣を着せられ警察に捕まり、安藤は辰巳を庇い、銃弾に倒れる。辰巳の大事なものをひとつずつ確実に狙う相手に対し、ひとりになった辰巳は……!?男たちの欲望が燃えるヒートアップストーリー!シリーズ3作目、文庫化!書き下ろし『よってやるっ!』収録。

シリーズ復刊版第3弾。ずっと辰巳と対立していた三河との決着編で、今回も辰巳の漢っぷりが冴えてます!

十年前の組長狙撃事件の鉄砲玉の死体がダムから上がったことが発端となって、本格化する辰巳とその叔父貴分・三河の対立。
三河は組の対立組織と水面下で手を結んでおり、一気に辰巳たちを潰そうと企んでいます。
それをさっさと見抜いていた辰巳はまたしてもコージを使って三河を逆に罠に掛けようと工作しますが、三河の元には鷹野という組長狙撃事件絡みで組を破門されたちょっとやっかいな男がいて、その存在を見逃していた辰巳は思わぬピンチに陥ってしまう。
まず中村が塗れ衣で逮捕され次には安藤が狙撃されて倒れ、辰巳はふたりの腹心を欠いた状態で敵と対峙することになってしまい…。

今回は前回のように辰巳自身が敵に捕らわれるのではなく、周りがやられ辰巳ひとりが敵と立ち向かうという状況になるのですが、…敵が辰巳を「男ならだれでもいい」のだと思い違えたのが勝敗を決めましたね!
男に抱かれるのではなく抱かせている辰巳は、自分が喰う男はもちろん厳選していて、そしてそのたび相手自身を喰らってさらにしたたかになっていく男。自分の中の「女」の部分を認識しつつもそれを受け入れて、その上で強くなっているのです。
そのことを、辰巳を男娼呼ばわりして見下していた三河たちは理解できなかったんですね。
安藤と中村という辰巳には欠かせない腹心がいない状態でただ一人的に立ち向かう辰巳の姿には、危うさよりも彼ならやってくれるなと思わせる強靭さを感じました。
そして最後には、辰巳のこうした本質を見抜けなかった三河や鷹野がなんだか間抜けに見えてしまいました(笑)。そんなわけで、ピンチ度の高さは前回のほうが上だったかも。

ひとりで、とは言ったものの、辰巳には安藤や中村ほどではないにしても頼りにしている存在がいて、今回は彼らの活躍も一役買っていますね。組の若い衆とかコージ、そしてあの笙さえも辰巳の役に立てるならとそれぞれ思っている、というのがじーんときました(というか、コージと笙がその後関係を温めていたのが嬉しい)。
なんだか色んなキャラに思い入れができてしまいましたよ。
ラストのわが子を見守る親のような眼差しで若い衆を見る辰巳の姿に、彼にも「家族」ができつつあるのかなと思いました。

それにしても、辰巳が鷹野に下した制裁はえげつないというか…(笑)。ゲイビに出演ね…(爆)。「辰巳を怒らせるとこうなるのだ」の一文に思わず笑ってしまった!
そんでもって、コージが「種馬扱いしてほしくない」と言い出した時は、確かにそれはオトコとして最大の屈辱かもね〜と思ってしまいました(笑)。彼もこの先もっと成長できるといいですね!

抗争沙汰ばかりについつい目が行きがちですが、ラブというか辰巳と安藤の絆の深まりもしっかり読ませてくれます。ロシアンルーレットのシーンは痺れるほどかっこよかった。
BLでこういうお話って、ラブそっちのけでハードボイルド全開になるかラブに寄りすぎて中途半端になりがちなものが多い気がしますが、辰巳というキャラの特殊さのためなのか、この作品はそのあたりのバランスがとってもいいです。

書き下ろしの「よってやるっ」は、安藤が辰巳のところにきて3年、成人した年の正月のお話。タイトルから連想できる通りお酒がらみのエピソードです。
新年の挨拶の席でいつもの如く三河に絡み酒されている辰巳に代わって、成人した安藤が相手をするのですが…、中村と権藤の妻・登美江がいい仕事をしてくれています(笑)。このあたりから、辰巳と三河の決着はもう着いていたような気がしますね。

さてさて、次回はシリーズ新作になるそうで、なんと辰巳の襲名披露でひと騒動! だそうです。ちょっと、もう、楽しみすぎて待ちきれないんですけどっ!
この春には読めるのかな? とにかく楽しみにしています…!!

「やるっ」シリーズ
 ・「はめてやるっ!」
 ・「おとしてやるっ!」
 ・「やってやるっ!」
 ・「かってやるっ!」

「おとしてやるっ!」 剛しいら / ill.石原理

広域暴力団傾正会の若頭・辰巳鋭二が攫われた!中国系マフィア、王大龍の仕掛けた罠に嵌まり、白昼の交差点で安藤と中村の目の前から姿を消したのだ。辰巳の身を案じて焦る安藤は、中村に疑いを持つように…。一方、辰巳を監禁し嬲り続ける王は、傾正会にある商談を持ちかける。辰巳を救うべく動き始める安藤たちだが…!?服従か、抗争か。ヒートアップストーリー第二弾、文庫化!書き下ろし『さとしてやるっ!』も収録。

シリーズ2作目、辰巳さんの男前な魅力にヤラレてしまいました(笑)。男前すぎる!
2001年にSHYノベルズから刊行された内容と、書き下ろしの「さとしてやるっ」 の収録。
※色々バレちゃってますので、未読の方はご注意ください!

辰巳のシマで何者かがクスリを売りさばいていることが明らかになり、クスリを嫌悪している辰巳は黒幕を探し始めます。浮上してきたのは新興チャイニーズマフィアの王。
けれども王と接触した直後、辰巳は人の混み合う白昼の交差点で拉致されてしまう。
すぐ側にいながら辰巳を守れなかったことを悔い憤る安藤は、同じく辰巳の腹心の中村とともに何としても辰巳を救出だすために王を追いますが。

前回は辰巳側が敵に罠を仕掛けていくいわば「攻め」の展開でしたが、今回は縄張りに侵入した敵と対峙する「守り」といったところでしょうか。
しかも、隙のないあの辰巳が罠に掛かり拉致・監禁された上、クスリを打たれて犯されてしまうというとんでもない事態になってしまいます。
けれどもやはり辰巳は辰巳というか、そんな目に遭ってもまるで心の折れない強靭さをしっかり持ち合わせているのがかっこいい! なので後味が悪くはありません。 
むしろどんな酷い目に遭おうが、結局は辰巳の、クスリにも決して溺れることのない精神の強靭さを敵にも読み手にも見せ付ける結果になって、とても小気味がいいのです。
小気味いいといえば、タレコミ屋の刑事・硲に泡吹かせるシーンもスカッとしていいですね(笑)。
こんな辰巳の姿に、もう男前受けの鑑とでも言ってしまいたいくらい(笑)! 男前受けが好きなのもあるんですが、本当に惚れ惚れしてしまいます。

そして今回、辰巳の壮絶な過去となぜクスリを嫌悪しているのかが明らかになります。
そのため、前回見えてこなかった辰巳の安藤に対する執着の理由がよくわかりました。
また、辰巳がクスリのためにこれまでは見せなかった弱った姿を見せたりしている(もちろん安藤限定で!)ので、ドライな印象だった前回比べて甘さも出ていると思います。

その後の王との決着の顛末も目が離せません。
ド派手にきっちり決着をつけているのが辰巳らしいですね。
そして王の人形だったシャオの切ない顛末を哀れむ辰巳の姿に、優しさというか人間味がでている気がしました。

あと今回、辰巳のもう一人の腹心・中村がいい味出していてツボに来てしまいました(笑)。安藤とは違う意味で辰巳という男に惚れている中村の、分をわきまえた振る舞いがたまらん(笑)。
そうそう、前回登場したコージも顔を見せて相変わらず憎めないヤツっぷりを披露しています。この分だと次回も登場しそうですね(笑)。

本編後のSS「さとしてやるっ」は、安藤が辰巳に引き取られて間もない頃、安藤と同居すろようになって初めて辰巳が別の男を喰いに行った時のお話。
嫉妬で自分を抑えられないでいる安藤に、中村が自分と辰巳の出会いを聞かせます。
その後、男のところから戻った辰巳は、機嫌を損ねている安藤に誰も知らない秘密を教えてやると甘〜くささやいて、まだ少年の気配の残る安藤を骨抜きにしてしまうという(笑・「秘密」が何かは作品でぜひご確認ください☆)。
今も辰巳を支える腹心ふたりの、辰巳に対するそれぞれの忠誠心の原点を垣間見られる、かなりサプライズな書下ろしでした。

それにしても今回、ヤクザものBLならこれ! と言われているのがよくわかりました。
こんなに面白くてかっこいいヤクザものがあったとは、何だか今まで損していた気分です(笑)
次回も楽しみ^^

「やるっ」シリーズ
 ・「はめてやるっ!」
 ・「おとしてやるっ!」
 ・「やってやるっ!」
 ・「かってやるっ!」

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