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  • 2014.07.28 Monday
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「媚熱」 中原一也 / ill.みずかねりょう

父の失踪の真相は、誰にも知られてはならない──。重大な秘密を抱えて工房を営む、若き鍛治職人の遥人。そこに現れたのは、最も会いたくなかった大親友で幼なじみ──捜査一課の敏腕刑事となった青海だった!!事件捜査で帰郷した青海は、頻繁に訪れては遥人を熱く見つめてくる。この焦がれる視線の意味は欲望か、それとも隠れた罪を暴こうとするものか? 遥人は不安と恋情を煽られて!?

幼馴染みの敏腕刑事×鍛冶職人。ミステリー色の強いお話でした。

父親の失踪事件の真相を隠しながら若き鍛冶職人として工房を営む遥人(受)。彼の暮らす片田舎の町で殺人事件が起こり、幼馴染みで今は捜査一課の敏腕刑事となった青海(攻)が捜査のためにやってきます。
暴かれてはならない重大な秘密を抱えている遥人にとって青海との接触は避けたいものでしたが、成り行きで青海が遥人の家に寝泊まりすることになってしまう。
青海は顔を合わせるたびに遥人に熱い視線を向け、遥人はそれが欲望からくるものなのかそれとも秘密を暴こうとするものなのか判らず戸惑い…。

町で起きた殺人事件と二年前の遥人の父親の失踪事件の真相を追っていくかたちで進むお話。遥人の父親の失踪事件に関しては遥人自身が関わっているらしいが、それは果たして…? というところが大きな読みどころでした。
遥人が実は愛人の子であること、にも関わらず彼が子どもを埋めない遥人の父親の妻によって育てられたこと、育ての母に産みの母親以上の感謝と愛情を持っていてそれゆえに父親を憎んでいたこと、これら遥人の複雑な背景が深く関わってきます。
その辺りの読み応えはあるものの、どちらの事件も真相が私ごときが予想していた通りのものだったという意外性のなさで、もう少し捻りがほしかったです。

ラブ面は、幼馴染みのふたりはすでに互いに惹かれ合っていたけれども遥人が抱える秘密が障害になっているという感じです。その上青海は刑事なのだから、絶対に知られてはならない…みたいな緊迫感も強いです。
こちらはこれをどう乗り越えるのかが見どころですかね。
エロは中原さんにしてはあっさり普通な感じでした。

…てなわけで事件もラブもあっさり…なちょっと物足りない読後感でしたが、ただひとつ、中原さんは受け攻め関係なく「男」の肉体美をエロティックに描くのが上手いなぁと。
このお話の受けの遥人は背中にかつて父親の虐待で受けた火傷の痕があるんですが、そんな背中を見せながら鍛冶仕事をする遥人の肉体描写がエロかったです(笑)。
BLでよくある受けの美しさに着眼した描写ではなくて、あくまでも男としての受けの肉体美にエロスを見出す描写に萌えました!
なので、個人的にはイラストの遥人はちょっと可愛らしすぎるかな。もう少し男っぽい感じの方が良かったかも。

「美獣とケダモノ」 中原一也 / ill.國沢智

「いいモノがあるんだけど、興味ある?」禁欲的な容貌の幼馴染み・阿立(あだち)がバーテンを務める店で、ハードボイルド作家の男鹿(おが)は、見知らぬ男から妖しげな錠剤を手に入れた。「憎たらしい奴を跪かせることもできる」という売り文句に、長年邪(よこしま)な想いを寄せる阿立の顔が浮かび、つい買ってしまったのだ。顔を見れば暴言ばかり吐いてくる阿立に一度「ご主人様」と言わせてみたい…。そんな妄想気分で試した錠剤の効果は想像以上のもので――!? サディスティックな美しいバーテンとスイッチが入ると鬼畜になってしまう小説家、二匹の獣の破天荒ラブ!!

イラストの印象から勝手にハードな内容なのかなと思っていたら、けっこうコミカルな作風でびっくりしました(笑)。
雑誌に掲載されていた「媚薬のキキメ」にその後の二人を描いた書き下ろし「獣のススメ」を加えた、ヘタレなハードボイルド作家×美貌のバーテンダーのお話。

攻めの男鹿視点で進む前半「媚薬のキキメ」は、外見は強面なのに実は繊細でヘタレ気味なハードボイルド作家・男鹿が、見知らぬ男に売り付けられた妖しげな媚薬を使って長年の片思いの相手・阿立に想いを遂げようとする(?)お話です。

男鹿よりも7つ下の幼馴染みのバーテンダー阿立は、その美貌に似合わず顔を合わせれば暴言を吐くようなドSなのですが、こっそり媚薬を飲ませてみるといつもの憎たらしさはどこへやら、男鹿を「ご主人様」と呼んで跪いてしまうほどのドMに豹変、その様子に男鹿はケダモノのスイッチが入ってしまいます。
男鹿はその後も隙を見ては薬を使って阿立を意のままにしますが、もとは繊細なものだから段々罪悪感が募ってしまう。

媚薬をきっかけに、普段はヘタレ気味な男がケダモノオヤジに、そしてサドっ気たっぷりな男がドMに豹変してしまうギャップが楽しいです。
媚薬の効力で阿立が何をしても覚えていないのをいいことに、男鹿は縛りやら目隠しやらイチゴを使うやら(!)好き放題ですw
でもだんだんこれって媚薬なのか??な疑問がもたげてきて、ああやっぱりね…(笑)、なオチに笑わされました。
36にもなる男が媚薬に頼らないと自分の想いも伝えられなかったとか、使ったら使ったでこれなのかwというところに可笑しさがありましたが、こんなことを仕掛けないと正直になれなかったのは阿立も同じだったんですね。彼は案外照れ屋なのかも(笑)。

続く「獣のススメ」は、阿立視点のその後のふたりのお話。もやは媚薬は出てきませんが(笑)、男鹿の友人だという男・金谷が出てきてひと騒動起こります。

学生時代からの友人だからと信頼しきっている様子の男鹿の側で、かつては成功していたものの今は苦境にあるという金谷に胡散臭さを覚えた阿立は単独で彼を調べ、実は阿立をダシにして男鹿を闇金の保証人にしようと画策していたことを突き止めます。
しかし深入りしすぎた阿立はピンチに陥ってしまう。

危機に陥った受けを攻めが救うのがBLというものだと思っていましたが、これは攻めのピンチを受けが救うというまさかの逆バージョンでした!
媚薬の件で証明済みですが(笑)、阿立から見れば男鹿は作家という職業柄なのか世間知らずな上にお人よしでどうにも放っておけない感じなのでそうなるのも仕方がないですかね(笑)。
途中、敵の罠にかかってチンピラ相手にかなり危険な状況になるも阿立は何と腕力で奴らを片付けてしまい、男鹿が救出に駆けつけたときにはもう危機を脱していたというのにはびっくりで、ここまで腕っ節のいい受けは始めて見た気がします(笑)。なんかすごく気分がいい!(笑)
それだけでなく他の中原作品なら間違いなく攻めが言ってるセリフを受けが口にしているのが何だか新鮮で、かなりツボにきました!
でも最後、やりすぎてしまった阿立の後始末をきれいに付けて丸く収めたのは男鹿で、そこはしっかり貫禄を見せ付けてくれて面目躍如。阿立じゃないけど惚れ直してしまいました(笑)。

そんな男前な阿立ですがHの時にドMに豹変するのは相変わらずですw
誘うまではドSなのにいざとなるとドMになる豹変っぷりにはまってしまいます(笑)。それだけでなく変態っぽいところがあるのもお気に入り(笑)。一番のツボはもちろん(?)純白のブリーフ!(笑) 愉しませていただきましたw
この他に剃毛プレイなんてのもありましたが、全体的にエロ度は平均的な感じですのでラヴァーズで中原さんだから当然エロエロだろうと思ったらちょっと物足りないかもしれません。
私はそこよりも阿立のキャラがツボに来て愉しめたので全然問題ナシでしたが、エロを求めていらっしゃる方はご注意を!
でもとっても愉しいですよ!(笑)

「ブラックジャックの罠」 中原一也 / ill.小山田あみ

表の顔は巨大カジノの凄腕ディーラー、けれどその正体は、敵の懐に潜り込む潜入捜査官―。長年の間、本当の自分を捨て任務に励んでいた警視庁刑事の西沖。その重圧から味覚障害を患っていた西沖だが、そこに現れたのが、カジノでの不審な自殺事件の捜査に来た所轄刑事の鵜飼だ。狩猟者のような天性の嗅覚を持つ男は、西沖が秘密を握ると直感!!西沖に付き纏い、正体を探ろうとするが…!?

ちょっと前に身内が遊びに来ていて、一緒に地元の観光してきました。
観光地に住んでいても中々行かないもんで、ガイドっぽいことを期待されても応えられない不甲斐なさなんですが(笑)、それより何より前に見た時はまだまだちっちゃかった従兄弟の子供が今年でハタチになると聞いて愕然! …私も年を取るわけですね。。ちょい焦りました;
…なんてことはどーでもいいんですが(笑)。
すごーく楽しみにしていた中原さんの新刊、やっと読みました^^
カバーイラストのカジノディーラー姿の受けがセクシーすぎる…!
カジノ特区ができた日本というある意味パラレルな設定で展開する、所轄の刑事×潜入捜査官のスリリングなお話。読み応えたっぷりでした!

潜入捜査官の西沖(受)はカジノディーラーとして捜査対象のカジノに潜入中で、味覚障害になってしまうほどのストレスを抱えながらもカジノの経営者・津川の懐に入りこみ政治家との間にある不正な資金の流れを暴こうとしていますが、協力者だった男が自殺に見せかけて殺されてしまう悲劇が起きてしまい、以来完全に味覚を失っています。
後悔の念にとらわれ不正の実態を暴くことだけを考えるようになってしまった西沖の前に、自殺事件を不審に思う所轄の刑事・鵜飼(攻)が現れ、ディーラーにしては場慣れした西沖に目を着けて何かと絡んでくるようになる。
正体がばれないようにと警戒しながらも、西沖が味覚障害であることに気づいた鵜飼にたびたび食事に誘われるうち、西沖は忘れかけていた誰かを信頼する気持ちや自分自身を取り戻すようになっていきます。
そんな中、ようやく西沖に不正の証拠を握るチャンスが訪れますが…。

主人公が潜入捜査官といういつ正体がばれるか分からない立場にあるだけに、お話全体が張り詰めた感のあるシリアス路線のお話でした。
味方からの最低限のサポート以外は基本ひとりで敵を欺き付け入る隙を窺う、それが2年にも及ぶとなると考えるだけでストレスを覚えそうになるのに、その上犠牲者まで出てしまったとあってはそれは味覚障害にもなるだろうと。
西沖はカジノディーラーとしての仮面を完璧に被り、捜査遂行のためならば男に体を差し出すことも厭わないほどですが、そこまでしてしまうのは正義感からではなく協力者を死なせてしまった自責の念から。
もしも自分に協力していなければ彼は死ぬことはなかったという思いが西沖を追い詰めていて、それに西沖自身が気付いていないのがすごく痛々しいです。

その西沖の前に現れた鵜飼は、西沖の協力者だった男の自殺を怪しむ一匹狼風の所轄の刑事。見た目は無精ヒゲにボサボサ頭で何処か喰えないオヤジという中原作品でよく見かけるタイプなんですが、いつものセクハラオヤジじゃないところが新鮮でした。
何かと西沖に絡んでくるのも下心からではなく味覚障害を治してやりたいという想いからで、そこに懐の深さが窺えて好感が持てます。
そして、それまではどこか捨て身だった西沖が何度も西沖を美味しい店に誘っては豪快に食べる鵜飼の姿に、味覚を取り戻したい=生きる楽しみを取り戻したいと思い始めるところがすごくよかったです。生きることの基本中の基本である食べることを絡めているのが心憎い!
殺しても死なないような(笑)鵜飼の存在が、西沖に自分と関わることで誰かに危険が及ぶのではと臆病になっていたことに気付かせてそれを克服させていくという流れもじわんと心が温まって大好きなのですが、これは鵜飼がセクハラオヤジではないからこそ心に響いた気がします。

捜査遂行上、西沖はターゲットとなる男と寝る状況になってしまいます。このくだりはそんなに詳しく書かれていないとはいえ、西沖と鵜飼がくっつくよりも先のことなので地雷になる方もいらっしゃると思います。
けれども、これが西沖と鵜飼が体を重ねるきっかけになるのは何だか納得でした。
割り切ったつもりが結局割り切れない不快感の残った西沖が男の残した感触を消すために鵜飼を求め、そんな自分を大切にしない西沖に鵜飼は嫉妬を隠せず、実は惹かれあっていたふたりがここで一線を越えてしまう流れはわりと自然に受け入れられたというか。
特に西沖が逼迫した状況に置かれていることもあって、そこまで唐突には思わなかったです。

その後のふたりの照れたようなぎこちないようなやりとりやら、傍目にはコントみたいな「俺の気持ちを〜」云々のくだりとか、決してコメディタッチではないシリアス路線なお話なのに吹き出してしまう可笑しさや微笑ましさがあって、なんだかニヤニヤが止まりません(笑)。
ラストのキスシーンも大好きです^^
内容が内容なので甘々ラブラブな雰囲気はないですが、こうした重たくなりがちな中に温かみを感じさせてくれるのは中原さんならではですね!

ただ、捜査の方のその後の顛末は、途中で津川側の状況を明かしてしまうのなら、もうちょっと西沖と津川の駆け引きめいた場面があってもよかったような。
ラストでの事件の収束もけっこうあっさり予測通りで、も果たして最後に勝つのは…?! みたいなハラハラな展開をもっと読んでみたかったです。

そして最後に、小山田あみさんのイラストが本当に素敵!
シーンをそのまま切り取った一枚一枚が臨場感と高揚感を高めてくれて、お話を更に楽しむことができました^^

「淫猥なランプ」 中原一也 / ill.立石涼

平凡なサラリーマンの猪瀬匡は、怪しい占い師から無理やりランプを売りつけられる。家に帰って半信半疑で擦ってみると、野生美溢れるランプの精・キファーフが出現。なんと匡が擦ったのは彼の股間だったらしく、千年ぶりに火がついた男に組み敷かれ、あれよあれよと言う間にお初を美味しくいただかれてしまうのだが…。セクハラ魔人のランプの精×昼行灯リーマンの千夜一夜ラブ!

タイトル見たときからものすごーく気になっていた中原さんの新刊、とっても面白かったです!
油絵みたいなカバーイラストも素敵ですね!
セクハラオヤジなランプの精×昼行灯リーマンで、アラブでオヤジでファンタジーなんて、一見その組み合わせは大丈夫? と思ってしまうような有り得なさですが、さすが中原さん上手〜く料理されています(笑)。

押しに弱すぎる昼行灯リーマンの匡(受)は、仕事帰りに占い師から無理やりランプを売り付けられてしまいます。
持ち帰ってランプを磨いたら何とオヤジなランプの精・キファーフ(攻)が出現、擦った場所が股間だったらしく「俺の大砲に点火しやがって」と匡に襲いかかってきて、流されるまま匡は喰われてしまう。
とんでもないものを買ってしまったと一度はランプ捨てた匡でしたが、いつの間にやらランプの主になっていた匡のところに戻ってきてしまい、気が付いたらキファーフとの奇妙な同居生活が始まっていたのでした。
セクハラを仕掛けまくるキファーフにたじたじだった匡でしたが、封印をかけられて千年の間ランプに閉じ込められていたというキファーフが千年前の主であった王子を今でも想っていることを知り、気持ちに変化が起こります。

あとがきで「だれが何と言おうとアラブものです」とおっしゃっているのに笑ってしまいましたが、なるほど中原さんがアラブものを描くとこうなるのですね(笑)。
なによりランプの精なのにエキゾチックな気配のまるでない、むしろ昭和の臭いがするセクハラオヤジ・キファーフのキャラがイイです(笑)。最初の大砲の点火云々始まり、ことあるごとに灼熱のスープやらビッグサーベルやらとオヤジな下ネタ全開なのが可笑しいw
でも、キファーフが騒動を起こしたり匡にセクハラを仕掛けたるたびに匡にランプを擦られて「うぉぉぉぉぉぉーーーー」と叫びながらランプの中に吸い込まれてしまうのがいちばん可笑しかったです(笑)。このピンチ回避策は想像できなかったですね(笑)。
そして、ランプを擦るときになぜか匡がキファーフの股間を擦ってしまうというのがまた…(笑)。匡よ、なぜそこだけ器用なんだw
そんなキファーフですが、ところどころでちらっと優しさや包容力を見せてくれるところにただのセクハラオヤジではない素敵さがあり、そこがまた魅力的です。もうすっかり彼の虜になってしまいました(笑)。

そんな奇抜なトンデモ設定なので、読む前はお話に入り込めなかったらどうしようかと思っていたりもしたんですが、匡のぼんやり昼行灯思考のお陰で(?)この非現実な事態もアリかもと思えてくる不思議さがありました(笑)。
お話そのものも、単純なアホエロなのかと思いきや意外なほどしっかりしていて読み応えがありました。
ランプの精にも種類があって、フェロモンむんむんの淫魔系かと見せかけて実はキファーフはミサイルも撃ち落としてしまうほどの戦闘系。これ絡みでかなりの騒動が起きてしまいます。
その中で、なぜ千年もの間解けなかったランプの封印が匡に解けたのかという謎が、実はキファーフの過去につながっていたことが段々明らかになっていくのですが、これがすごくよくて感動的でした。
奇抜さを売りにした作品では決してなくて、すごく上質なファンタジーロマンスだと思います。

ところで、ランプは脱皮しながら成長していくという設定があるんですが、匡が「抜け殻を財布に入れておいたら、金が貯まるのだろうか」と考えいているところに吹いてしまったw
こんな些細なところがツボにきてしまうとは(笑)。

「極道はスーツを秘密に閉じ込める」 中原一也 / ill.小山田あみ

若頭・芦澤と出会い、スーツ一筋だった榎田の人生は大きく変化した。そして、ここへきて芦澤の側近、木崎の謎に満ちた死、その恋人の弁護士、諏訪の軟禁と緊迫した状況が続き…。そんなある日、矢も楯もたまらず諏訪が軟禁されている病院を訪れた榎田は、そこで執拗に芦澤たちをつけ回す刑事、野口と再会する。常軌を逸した野口が次々に仕掛ける罠…絶体絶命の窮地に追い込まれた榎田と芦澤だったが―。

待ってました〜、「極道スーツシリーズ」の最新刊! スピンオフ含めるとこれでもう9作目になるのですね。

カバーイラストの榎田がいつに増してりりしいな〜と思った通りといいますか、前回登場した諏訪と木崎の悲劇のきっかけとなった刑事・野口との決着編ともいうべき今回は、榎田がこれまで以上に男前な活躍ぶりです。
木崎は生死不明、諏訪は精神病院に軟禁状態、そして野口の策略で舎弟たちを拘束された芦澤は自分の意志で動くことがままならないという、これまで榎田を守り助けてくれた男たちが不在の状況下で、榎田はひとり野口に立ち向かうのです。

とにかく野口の狂気スレスレな壊れっぷりがすごかったです。彼のヤバさはヤクザどころじゃなかったです。
これまでのいざこざは、芦澤と敵対しているアウトロー的存在相手でしたが、野口はそうではなくむしろ間逆の存在である刑事だというのが厄介。
しかも、正義感で芦澤たちを捕らえようとしているのでも芦澤たちに恨みがあるのでもなく、成功したヤクザが堕ちていく姿が見たいというかなり歪んだ欲望を満たすためにたまたま芦澤たちの組に目を付けただけだという、ある意味これまででいちばん面倒な相手です。
そんな野口が自分の計画を台無しにした上に警察からも追われるきっかけを作った榎田を許すはずもなく、榎田は、逃亡のついでにその身を海外に売ろうと企んだ野口によって拉致されてしまうというピンチに。
諏訪と木崎との関係がこじれ始めたあたりから、騒動はあっても組内でのことが多かっただけにこういう展開は久々で、かなりハラハラさせられました。

榎田が芦澤を信じきれずにぐるぐるしていた初期の頃とは違って、ここ数作はふたりの信頼関係はすっかり強固になってゆるぎのないものになりましたね。
今回も、芦澤の忠告も聞かず榎田は単独で諏訪に会いに行ったりと無茶をするんですが、何だかんだで芦澤もそれをちゃんと認めているんですよね。
榎田もそれをわかっているからある意味安心して動いているわけですが、このふたりのこうした深い信頼の上で築かれている関係性が好きです。
そしてこのシリーズのもうひとつのお愉しみともいうべきエロもたっぷり、今回も芦澤はいい仕事をしています(笑)。
尿道だけでは飽き足らない芦澤によってついに乳首まで開発されてしまった榎田、…もう普通のテーラーには戻れないですね(笑)。
普段は真面目なのに脱ぐと実は…なギャップは大好きですが、いったいこのままどこまでM化していくのだろう…(笑)。

そんなもはやゆらぎない関係になっている主役カプに関しては、BL的には何の心配もなくなりましたが、一方の諏訪が幸せになれるのか、そこがこれからの最大の焦点ですね。
前作からの木崎の死についての疑惑は、ちゃんと判明しています。
赤いカーネーションに希望を託していて良かった…と思ったものの、でも待ち受けるものはあまり明るくないだろうなとも思ってしまったり、、ちょっと複雑なんですが、何にしても、諏訪が早く幸せになれますようにと祈るばかりです><

それにしても、毎回のこととはいえ芦澤にしろその舎弟たちにしろ、あんたたちは不死身なのかという活躍っぷりですね! だからこそ榎田も無事に戻ってこられるんですけど、ほんと、いつも優秀すぎて感動してしまいます(…笑)。

「極道スーツ」シリーズ
 ・「極道はスーツがお好き」
 ・「極道はスーツを引き裂く」
 ・「極道はスーツに刻印する」
 ・「極道はスーツに契る」
 ・「極道はスーツを愛玩する」
 ・「極道はスーツに二度愛される」
 ・「番犬は悪徳弁護士に狂う」(諏訪と木崎のスピンオフ)
 ・「極道はスーツを愛で貫く」
 ・「極道はスーツを秘密に閉じ込める」

「愛に終わりはないけれど」 中原一也 / ill.奈良千春

労働者の街で診療所を営む坂下は、ボランティア紛いの診察で常にギリギリの生活だ。そこへ新たな珍客・斑目の師匠の久住医師がやってきた。隙あらばセクハラをしかけてくる恋人の斑目に加え、それに輪をかけて下ネタ遊びや酒好きの久住に手を焼かされる坂下。しかしそんなある日、いつもの見回りをしていた坂下は街に起きている異変に気づく。その背景に絡む一人の男により、斑目が医師を辞めるきっかけとなった出来事が明らかに。斑目の癒えることのない傷、それを知った坂下は―。

シリーズ第5弾です。前回は双葉メインのお話でしたが、今回は斑目の抱える過去が絡んでくる内容でした。
…で、どこを見ても評価高い中で申し訳ありませんなんですけれど、個人的にはそうでもなかったです。

双葉が去った後の坂下診療所。相変わらず坂下へのセクハラに余念のない斑目と斑目のセクハラをかわしつつ仕事に追われる坂下でしたが、双葉のいない診療所にはどことなく寂しい気配が漂っています。
そんなふたりの前に斑目の恩師であるという医師・久住が現れて、成り行きで坂下の診療所に下宿することに。
そしてさすが斑目を育てただけあってただの爺さんではない久住に、坂下は振り回されっぱなしになります。
同じ頃、街からホームレスが消えるという奇妙なことが続き、不審に思って調査を始めた坂下たちが辿り着いたのは、貧困ビジネスの温床となっているある支援施設。
そこのスタッフのひとり美濃島が斑目の過去に深く関わっていることを知った坂下は、これまで斑目が語りたがらなかった過去を知ることになりますが。

今回は、斑目の過去が明らかになったことで新たな局面を迎える坂下と斑目の関係と、貧困ビジネスなどの現実に社会が抱える問題を絡ませたいつになく社会派な内容でした。
日雇い街舞台のお話らしく社会の暗部に踏み込んだ内容は確かに読み応えあるんですが、今回どうもそこに重点置きすぎているような印象でBLとしてはちょっと物足りない読後感でした。
個人的に、やっぱりBLには萌えは不可欠だなーと改めて思ってしまったり。

というかこのシリーズ、いいお話だとは思うんですが個人的にはそこまでツボにこないんですよね。
医療ものに興味がないのに加えて、回を重ねるごとにおせっかいないいひとっぷりに磨きがかかっていく坂下がどんどん苦手になってきたせいかも。んで、イラストの坂下がいっつも美人に見えないのも原因のひとつですかねー
イラストといえば、今回の斑目、誰このラテン男と思ってしまったのは私だけ?wウクレレ弾き語りなんて新たな技(?)を習得しているからか??で、ウクレレはラテンじゃねーよと自分で突っ込む(笑)
…そんな、スカイツリーやらウクレレ弾き語り(w内容の酷さに笑わされつつ、返事の代わりにポロンと返すところが可愛くて好き)やらで相変わらずのセクハラオヤジっぷりを披露する斑目や、子泣きジジィ久住の登場(笑・登場シーンのイラストに吹いてしまったw)などなど、このシリーズには欠かせない笑いもちゃんとありますが、全体的にけっこう重たい感じです。

いろいろ気になってしまった部分もありました。
斑目の抱えている過去が明らかになりましたが、批判を承知の上で言うと、それだけで医者が日雇い労働者になるものなのかとどうにもギモンが拭えない。
双葉編は文句なしに納得できるものでした。
彼の過去は想像を絶していて、だからこそあの若さでこの街でしか生きていけなかったんだなと思わされました。
逆に言うなら、日雇い街にたどり着く人間というのは、双葉のようにもうそこしか行き着く場所がない状況にあるからそこにいるんだと思うんです。
でも、双葉のように追い詰められたわけでもない斑目には別に選択できる道もあっただろうに、なぜそこに来たのか? それがどうしても腑に落ちません。
彼の過去についてはまだ明らかになっていないこともあるのかもしれません。でも、これを読んだ時点ではどうにもすっきり納得できなくて、双葉を始め他に登場する日雇い労働のおっちゃんたちのエピソードがいいだけに斑目だけが浮いて見えてしまうんです。
…日雇い街が舞台っていってもBLなんだから目ぇつむれよって言われたらそこまでなんですけど; せっかくそうそうは描かれることのない世界を舞台にしたシリーズなんだから、もうひと押しほしいというのが正直なところ。
そしてそんな斑目の過去に深く関わる人物として登場した美濃島が、なんだかとってつけたように中途半端な扱いになっているのもなんだか…。
彼が貧困ビジネスに走った理由やそのことと斑目のことは関係があったのかなど、美濃島というキャラの核心が見えてこず、だから斑目が最後に彼に放つセリフがすごくいいはずなのに深いところまで響いてこない。とても惜しいです。
あと、終盤何度も繰り返された日雇い労働街を「卒業」するという言葉に違和感覚えるのは私だけでしょうか。
日雇い労働街は、人生に迷った人がモラトリアム期間を過ごす場じゃないですよ…。

そんな、なんとも言えない本編終了の後の、双葉のその後を描いたSSにほっこりさせられました。
周りの人たちの温かな支援や徐々にパパ認定されている感じが微笑ましくて、がんばれ双葉! と応援せずにはいられないパパ奮闘記でした。
今回はそんな双葉と、子泣きジジィに持っていかれた感じですかねぇ。

因みに、子泣きジジィは決していなくなった双葉の後を埋める愉快キャラとして登場したのではなくて、坂下と斑目にとってけっこう厄介な決断を迫る役割を担っています。
そのあたりのことは次回へ続く…なんですが、斑目は伝説になるほどの腕のある外科医なんだしこれまでも坂下を助けるかたちで街に貢献してきたのだし、このまま街の診療所で坂下と仲良くやっていくという道もアリなんじゃないのかと思うんですけどね…。
でも、前回の双葉編を読んだときから感じてはいましたが、多分作家さんはこれを日雇い労働街で診療所を営む坂下がそこに流れ着きやがて行き過ぎていく男たちを見守っていくお話にしたいんだろうな…。
次巻が最終巻になるそうですが、果たして彼らがどういう結末を選ぶのかとても気になりました。

「愛して」シリーズ
 ・「愛してないと云ってくれ」
 ・「愛しているにもほどがある」
 ・「愛されすぎだというけれど」
 ・「愛だというには切なくて」
 ・「愛に終わりはないけれど」
 ・「愛しているにもほどがあるプレミアム小冊子」

「極道はスーツを愛で貫く」 中原一也 / ill.小山田あみ

今日も仕立に心血を注ぐ榎田。そして、そんな榎田を淫靡な世界へと誘う芦澤。一見平穏な見える日々。だが、一人の中年刑事が芦澤の右腕、木崎と弁護士、諏訪との関係、さらに木崎の組への裏切り行為に気づいたことで、破滅へのカウントダウンが始まる。諏訪が組に捕らわれ、今度はその人質交換として木崎が榎田と組長の孫娘・優花を攫う。一方で木崎の始末を命じられる芦澤。八方塞がりの闇の中、一発の銃声が…。

待ちに待った「極道スーツシリーズ」第7弾! 今月は中原さんの待ちに待った作品が続けて読めて嬉しい限りです!
このシリーズもスピンオフを含めるともう8作目ですが、途中マンネリ化していた時期があったりしつつも諏訪と木崎の関係が複雑化したあたりからすっかり目が離せなくなってきました。
今回は、その諏訪と木崎の顛末が深く関わってくるお話。覚悟はしていましたが、かなり痛くて辛い展開になっていました。

諏訪と木崎、そして芦澤に不穏な事態が起きていることを知らない榎田は、いつも通りスーツ作りに勤しみ芦澤によって淫らな快楽を与えられる日々を送っています。
そこに野口という刑事が現れて、榎田の平和な日々が一変します。
芦澤たちを嗅ぎ回っているという野口は、榎田と芦澤の関係はもちろん、どこで聞きつけたのか諏訪と木崎の関係や木崎の犯した殺人にも気付いている。
そして榎田の反応で諏訪と木崎の関係に確信を持った野口がそれを桐野組長にタレんだことで、諏訪は組に捕らえられ木崎は逃亡、芦澤たちに追われる身となってしまう。
カタギの榎田は極道のルールにどうしても納得できず、何とかしてふたりを助け出したいと思うのですが、行方をくらませていた木崎は組長の孫娘・優花と榎田を人質交換として拐うという手に出てしまい…。

木崎が舎弟を殺してしまったあたりから安直なハッピーエンドにならないことは覚悟していましたが、ちょっともう、色々と哀しすぎます。
榎田のふたりに幸せになってほしいという願い。
ふたりを始末する立場に立たされている芦澤の苦しみ。
そして諏訪と木崎の行き場のない恋の顛末。
4人それぞれのことを考えては胸が苦しくなってしまいました。

それでも、あとがきでもおっしゃられているように読者の期待を裏切るかたちになってしまったけれども大事な作品だからこそ自分の温めてきた内容で勝負したかった、という著者さんの想いには拍手です。
こうしたシリーズものは長くなればなるほどファンの期待や要望にお応えして…なサービス的な展開に陥りがちだと思います。気が付いたら登場人物総ホモ化とか、そのいい例ですね。
それはそれで楽しくていいんですけれども、長く読み続けて愛着もあるシリーズものにこそ、作家さんには読者に媚びない面白さを追求してほしい。
このシリーズはそれが見事に描かれていると思いました。
私はこのシリーズでは諏訪がいちばんのお気に入りなので彼には何としても幸せになってほしいと思っていますが、ここまでややこしくなってしまったふたりがやすやすとハッピーエンドを迎えたりしたら、逆に嘘臭くてイヤですよ。
けれども、木崎が本当に死んでしまったのかははっきりしないし、最後の諏訪視点のSSのラストでは希望が残っています。
今後どうなるのか、まだまだ目が離せないです…!

野口は中々の曲者でしたねー。彼はこのまま芦澤のたちを諦めるとは思えないし、次回以降も手を煩わせる存在として登場しそうです。
それから、優花の変貌もちょっと気になります。彼女もこの先また関わってきそうな。。この事件で極道に目覚めてしまったりして。それはそれで見てみたいような(笑)。

お約束の尿道プレイや今回はピアッシング(合ってる??)での乳首攻めなど冒頭のエロなシーンもばっちり大満足でしたが、中盤以降の榎田と芦澤の関係というか絆が更に深まっていくのを感じさせられるベッドシーンが切なさまでにじみ出ていてとてもよかったです。いつになく積極的な榎田がとてもエロいのがまたいい(笑)。
ここでもそうでしたが、今回は榎田の意外な強さと芦澤が初めて見せた気弱な姿が印象に残りました。

あ、あとピアッシングプレイも充分イタイですが、今回はそれ以上に衝撃の指詰めシーンがあります。これもう榎田が刺青彫られちゃった時以来の衝撃ですね。苦手な方はどうぞご注意下さい!!
誰が誰のとは言いませんけど、迫真の瞬間がちょうどベージの変わり目だったりしてかなりまさかと思いました。あれは偶然? それともまさか計算? 後者だったら凄すぎます。
BLでここまでやっちゃうというだけでもこの作品は貴重かも。

それにしても、ラストのイラストには泣かされた…。

「極道スーツ」シリーズ
 ・「極道はスーツがお好き」
 ・「極道はスーツを引き裂く」
 ・「極道はスーツに刻印する」
 ・「極道はスーツに契る」
 ・「極道はスーツを愛玩する」
 ・「極道はスーツに二度愛される」
 ・「番犬は悪徳弁護士に狂う」(諏訪と木崎のスピンオフ)
 ・「極道はスーツを愛で貫く」
 ・「極道はスーツを秘密に閉じ込める」

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