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  • 2014.07.28 Monday
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「凍える月影」 いとう由貴 / ill.朝南かつみ

縹国に使いとしてやってきた僧侶の月永は、世俗を離れた身でありながら、その美貌ゆえ国主・義康の寵愛を受けるようになる。だがそれこそが月永の謀略であった。月永は家族の仇を討つため、何も知らずに正道を歩む異母兄―義康を穢そうと身体を開いたのだ。義康を禁忌の関係に堕とし、国を滅するべく罠を仕掛けていく月永。だがそれは義康の中に眠る獣を目覚めさせてしまい…。

朝南かつみさんの色気滴る坊主のイラストが素晴らしい、戦国時代の仇討ち+兄弟もの。

僧侶の月永(受)は縹国の領主の子なのですが、母が領主の正妻に疎まれて一族ごと皆殺しにされひとり生き残った過去を持ちます。
そして仇討ちのために素性を明かさぬまま縹国に入り、自分の全てを奪った正妻と、今は亡き父に代わって領主になっている異母兄の義康(攻)に近付きます。義康は月永を一目見るなりその美しさに心奪われ、月永が実の弟だとは知らぬまま寵愛するようになる。月永はこの何も知らずに育った兄を自分と同じ地獄に引きずり落としてやろうと体を使って篭絡し、その裏で策略を巡らしていきますが、そうしているうち月永への想いが元で義康の中に潜んでいた獣性が目覚め始めてしまう。

月永が奸計を張り巡らして義康や正妻や重臣たちを篭絡していくさまは中々読み応えがあります。知略に富むしたたかな美しい僧、というのがもう凄いツボです(笑)。まさか坊主がこんなに色っぽく見えようとは、ですよ(笑)。
で、腹の中では色々企んでいるのに義康を堕とすために彼の前ではひたすら儚く美しい僧を装うっていうのがまた(笑)。こういうシチュ、何だか萌えます…!
でも、色々やって国をひっくり返そうとした手前で、人のいい繰りやすい存在だった義康が月永を大切に思うあまり支配者としての顔を覗かせるようになりその内に潜む獣性をも呼び覚ましてしまうという皮肉な結果になったのは、月永の大誤算でしたね。
そして自分もいつの間にか義康によって与えられる快楽を求めるようになってしまっている。異母兄弟で禁忌を犯し、兄を地獄に落とすはずが…な、まさかの展開です。色んな意味で、義康の方が月永を上回っていたという。
真の仇というべき正妻に報いたのは良かったとしても、これは月永も予想していなかったでしょう。

本音を言えば月永には最後の最後までしたたかであってほしかったので、仇討ものとしては中途半端だった気がします。もっと徹底的に…! ってそれじゃあ悲劇がほぼ確定だから無理なんでしょうが(汗)、前半の冴え冴えとした月永が好きだったので、どうしても後半に物足りないものを感じてしまいました。
代わってこのお話に濃厚に流れてくるのが、兄弟ものとしての狂気をはらんだ背徳感。時代ものであるため更にねっとりしている気がしました。
実は兄弟ものってあんまり得意じゃないんですが(汗)、この作品は時代もののためなのかしっとりした雰囲気によく合っていてすんなりと読めました。
そして、朝南さんのイラストが素晴らしいー!
これ、坊主萌えの極地ですよほんと…! このイラストのために萌え率が3割は増したと思います。

「淫らな秘め事」 いとう由貴 / ill.北沢きょう

会社員の佳広はある日、恋人の智明が男とホテルに入るのを目撃してしまう。その男は智明の兄・眞司の恋人である直紀だった。ショックを受けた佳広は、同じ思いを抱える眞司に共感を覚え一夜を共にするが、それは仕組まれた罠だった…。兄弟は自分の恋人を互いに抱かせ快楽を共有することを望んでいたのだ。恋人に見られながら別の男に嬲られるという歪んだ愛の形に戸惑いながらも、昏い欲望に抗えない佳広は…。四人の背徳の夜が今始まる―。

歪んだ性癖を持つ兄妹×その恋人たちの4Pもの。
弟の智明(攻1)とその恋人・佳広(受1)のお話と兄の眞司(攻2)と恋人の直紀(受2)のお話の二部構成。

まずは弟カプのお話から。
出版社の営業をしている地味なサラリーマン佳広にはバーテンダーをしている智明という男の恋人がいる。華やかで金回りもいい智明がなぜ自分と付き合っているのか不思議に思いつつも彼にのめり込んでいる佳広は、ある日智明が自分とは違う男と親しげにホテルに入っていく姿を目撃。後日意を決して問い詰めると、相手の男が智明の兄・眞司の恋人・直紀であることがわかり、智明は彼を「味見」していたと言う。
衝撃で混乱する佳広ですが、その時にはもう彼は智明と眞司の兄妹の罠にかかってしまっています。
何とこの兄弟、お互いの恋人をお互いに抱かせて愉しむという歪んだ性癖の持ち主たちで、このいびつな関係を受け入れられる相手を探していたんです。
眞司には直紀という「理想的な」恋人が既にいますが、智明はやっと佳広というちょうどいい相手を見付けた、というわけです。
4人での濃密な行為を強いられて、こんなことはとても受け入れられないと思う佳広が結局智明のもとに戻る、という展開は、攻めふたりが兄妹だということや人数が増えたことを除けば前に読んだ「秘蜜」によく似ていて、特に目新しい感じはなかったです。
佳広がこの歪んだ関係を受け入れることにこれでもかというほどぐるぐる悩む姿は少しくどいくらいで、そこにページを割くならなぜ佳広でなければならなかったのかという点をもうちょっと書いてほしかったかも。

後半は兄カプの馴れ初めのお話で4Pな場面を期待すると肩透かしかもですが、私は弟カプよりもこちらの方が好みだったので、こちらの方が面白かった。
製薬会社に務める直紀は対人関係の苦手な性格で、けれどもその整いすぎた容姿のせいで冷たい人と誤解されがち。ゲイである彼には男の恋人がいるが、ゲイである上にこの性格では次はないかもしれないという思いから相手の暴力や金の要求を受け入れてしまっている状態。
そんな彼を、会社の上役の眞司が目を付ける。
眞司は弟の智明とその相手を巻き込んでの歪んだ関係を始めるそもそものきっかけを作ったS気質のド変態。
彼は直紀には「素質」があると踏んで自分のものにしようと企み、事あるごとに性的ないたずらを仕掛けます。直紀はダメだと思いながらもそれを受け入れてしまう。
そしてやがて直紀が、自分が本当に望んでいるものが何なのかに気が付くんですが、このくだりはものすごくよいです。
クールと見せて実は脆いという直紀のキャラが何よりツボでした。そんなMっ気たっぷりな直紀とドSの眞司という組み合わせがおいしすぎる(笑)
 
複数だし道具使われたり縛られたりスワッピングやらサンドイッチやら、更には受け同士で本番行為しちゃったり(!)と商業BLではそうそう見られないシーンの連続で(笑)、一穴一棒主義の方にはとことん受け入れられない内容ですが、複数ものが好きな方なら楽しめると思います。エロもただてんこ盛り! とか痛い感じではないし読みやすいと思います。
ただもう少し人物描写(特に攻めふたり)が丁寧だったらもっと深いお話になったんじゃないのかな、とも思いました。

「秘蜜」 いとう由貴 / ill.朝南かつみ

その電車に乗ったのが、淫らな悪夢の始まり。平凡な会社員・佳樹は、満員電車で痴漢に遭う。艶やかな色気を放つ英一と季之に身体を嬲られ、ふいに洩れたのは甘い吐息。執拗に追われ、下肢に淫具を挿れられた佳樹は、男達に従うしか術がなかった。エスカレートする行為によって、彼らにしか反応しない身体にされた佳樹。彼らにとって自分は羞恥奴隷でしかない。そこに愛があるはずがないのに、愛されたいと願ってしまうようになり…。

朝南かつみさんの色気ダダ漏れの攻×攻ぽい表紙イラストに惹かれて手に取りました。攻っぽいも何も、このふたりはやっぱり攻めで、受けの子は表紙を開いた先にいました(笑)。もう、表紙と口絵の絵だけでもごはん三杯くらいいけそう(笑)
というわけでいとうさんの3Pものです。それもノベルズで二段組みというボリューム。

ごく平凡なサラリーマンの佳樹(受)は、ある朝通勤中の満員電車で男に痴漢され、あろうことか感じてしまう。以来彼は痴漢を仕掛けてきた英一(攻1)と季之(攻2)のふたりによって羞恥奴隷へと調教されていく。
佳樹は取り立てて華やかな外見を持つでもない、どこにでもいる普通のサラリーマン。彼に目を付け調教していくふたりは、如何にも冷淡なタイプの高級官僚・英一と茶道家元の子息で華やかな雰囲気をした季之。タイプがまるで違いとても対照的です。
彼らふたりは自分たちの性癖を変態性のあるものだと自覚していて、自分たちの性癖を満足させる「羞恥奴隷」を探しては調教し共有していますが、その誰もが次第に行為に慣れて恥じることを忘れ快楽ばかりを求めるようになるので長続きはしません。羞恥を忘れてしまった存在では、彼らには意味が無いんですね。そんなふたりにとっていつまでも初々しいまま恥じてばかりいる佳樹は、格好の餌食です。
佳樹は、最初は同性に嬲られて感じてしまう自分に悩みまくり、ゲイではないはずだと女性を試してみたりと、BLの男子には珍しく(笑)正常で健全な男子なら出るだろう行動に出ますが、失敗に終わります。躰がふたりの男によって教えられた快楽にしか反応しなくなっているんです。
それで結局、自分は「誰かに見られている」状況下でコトに及ぶのがいちばん感じてしまう人間であることを悟り、彼らの羞恥奴隷になることを受けれ入れる。

数ある3Pものが大抵最後は3人で甘々な恋人同士になる顛末な中、この作品は最後まで攻めふたりにとっての最高の羞恥奴隷を調教していくお話です。愛や恋心よりもさきに「恥じること」を重要視し、受けもそれに堕ちていく、という歪みまくった関係性はとても新鮮でした(笑)。
痴漢電車に始まり野外とかとにかくバリエーションに富んだシチュでのエロてんこ盛り(笑・何しろ佳樹の処女喪失さえも○○○でですからねぇ…)で、その中で「誰かに見られているかもしれない」というスリルを味わいながら今まで覚えたことのない快楽を知る受けというのが、覗き見、というか視姦プレイっぽいのが大好物な私にはたまらんかったです(爆)。
そもそも。3Pに限らず複数プレイというのは、受けにとっては「見られる」視線の増えるプレイでもあると思うんです。佳樹は英一と季之に抱かれている時でさえ自分の恥ずかしい姿を見られている、と羞恥を覚えていて、そいう視姦されているという感覚に着目している珍しい作品な気がしました。
これぞ羞恥奴隷…!(笑)
そんな内容なので、甘さはまるでありません。ダメな人はとことんダメだと思います。
でも、一見冷たそうで愛情などカケラも持ってなさそうな英一の方が最終的には佳樹に執着を覚えるようになっていたりと、この先はあんがい甘々な関係になるのでは? な気がしなくもない作品です。

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